写真:豪華市役所に代表される富裕自治体の財政を支えてきたのは・・・
加藤智大被告「居場所なく、やるしかないと」@読売新聞7/29
復讐は両親にも!? 秋葉原事件被告の心の闇@Blog vs. Media 時評
さて2年前に起きた秋葉原の事件、その裁判中と言う事で出てきた情報から様々な容疑者の心の闇について語られています。
さてここではその心の闇についてではなく少し変わった視点から話を書こうと思います。
「統計おおた」平成21年度版より
15.人口ピラミッド平成20年4月1日現在
男性 年齢 女性 男女比
1992 34 1850 107.7
2017 33 1794 112.4
1903 32 1603 118.7
1727 31 1642 105.2
1782 30 1480 120.4
1773 29 1516 117.0
1579 28 1440 109.7
1540 27 1301 118.4
1486 26 1267 117.3
1318 25 1292 102.0
17117 合計 15185 112.7
さてその為に用意した舞台は群馬県太田市、富士スバル等の大工場が多く立地している工場都市で加藤容疑者のような地元を離れて働く派遣労働者も多かった街です。実際人口統計を見ると30歳前後の男女比は男性の方が1割以上も多い事が分かります。

写真:駅前一等地に人通りの少ない風俗街が立ち並ぶ
平成20年度決算の概要@群馬県太田市より
(1)歳入
(単位:千円、%)
1 市税 36,906,354 50.0
10 地方交付税 2,399,979 3.2
工場への派遣労働者も多く駅前の一等地には風俗店が並ぶ太田市は一見寂れた街のように感じますがどっこい財政の状況見るとそれが見間違いである事が分かります。実際は交付税も少し入っているのですが「北関東唯一の不交付団体」と言われる事だけはあり歳入に占める市税割合は50%、交付税はわずか3%と非常に裕福である事が分かります。
平成20年度決算の概要@群馬県太田市より
(2)歳出
(単位:千円、%)
1 議会費 511,397 0.7%
2 総務費 11,132,570 15.5%
3 民生費 19,218,574 26.7%
4 衛生費 4,887,463 6.8%
5 労働費 558,162 0.8%
6 農林水産業費 1,539,959 2.1%
7 商工費 5,187,965 7.2%
8 土木費 7,878,450 11.0%
9 消防費 3,395,698 4.7%
10 教育費 9,169,448 12.8%
11 災害復旧費 0 0.0%
12 公債費 8,340,313 11.6%
13 諸支出金 25,146 0.0%
合計 71,845,145
除く民生、教育 43,457,123
このアンバランスな状況を考えると一つの大胆な仮説が成り立ちます。即ち「貧乏な派遣労働者が多いけれど裕福」なのではなく、「貧乏な派遣労働者が多いからこそ地域は裕福なのだ」と言う・・・。
それを考える為に続いて太田市の歳出の状況を見ていきます。すると教育に使われる教育費、保育園や老人ホーム等の福祉に使われる民生費が支出の実に4割を占める事が分かります。これらは加藤容疑者のような派遣労働者には基本的に縁のない支出なのではないでしょうか?一見貧乏な派遣社員と福祉負担、特に生活保護を結び付けて考える人がいますが例えば昨年・今年と行われた派遣村の光景を思い出せば分かると思いますが、あの派遣村に集まった人と言うのは生活保護と言う税金からのセイフティネットからこぼれ落ちた人たちで、それがあれだけの人数になったと言う事です。結局の所生活保護と言う税金からのセイフティネットを受けるにも人的なネットワーク等が必要で加藤容疑者のような地域のネットワークから離れて別な土地に移り住む事になってしまった人達にとっては縁の無いものではないでしょうか?
そう考えると加藤容疑者のような派遣労働者にとって納めた税金のうち半分は自分には縁のない教育や福祉に使われていると言う事ではないでしょうか?
所得 3000000 5000000
健康保険 139950 233250
厚生年金 235560 392600
雇用保険 18000 30000
差し引き 2606490 4344150
基礎控除 330000 330000
配偶者 0 330000
配偶特別 0 330000
扶養控除 0 660000
差し引き 2276490 2694150
住民税 139589 164649
年収300万円の単身者と年収500万円の標準家庭(夫婦(専業主婦)子供2人)家庭の住民税負担比較
参照
太田市HP
あおば労務経営事務所
続いて税金の負担についてみていきましょう。上の表は加藤容疑者のような独身の派遣労働者(年収300万円左)と結婚し標準家庭を築いた正社員(年収500万円右)との税負担を比較したものです。大雑把に言うと年間14万円対16.5万円、年収では1.67倍の差がついても税負担ではその差がわずか1.18倍にまで縮まってしまいます。
纏めると加藤容疑者の様な場所から見ると恵まれている正社員と殆ど同じ税金を払った上にその分配は半分以下と言う事であるわけで、逆に言えば行政と言うのは加藤容疑者の様な低所得で雇用その他で恵まれない人達から集めた税金で家庭を築ける正社員や経済状況に恵まれた時代を生きて来た高齢者等の強者に還元しているともいえるのでしょう。そして太田市の財政はそれを証明しているように感じます。
そしてそれは行政や税金の問題だけではないでしょう。大企業にとって見れば解雇しやすい非正規雇用者はある意味で確実に黒字を出してくれる存在(赤字になったら派遣切をすればよい)ですし派遣もとの会社にとってもそうでしょう。そして地元の人達から見ても住居を借り家賃を払ってくれ、消費をしてくれる存在は確実に大家さんである地域のお金持ちやパート等で地元に残った女性たちを中心に雇用を生み出してくれるありがたい存在です。
加藤容疑者は確かにあの時多くの人達を殺傷し、罪を犯しました。それは言うまでも無く法的にも倫理的にも大きな罪です。でも加藤容疑者が100%完璧な加害者で被害者が100%完璧な被害者でしょうか?子供達にとって見れば教育をしてくれる学校の運営費だったりサラリーマンにとっては少ないかも知れませんがその給与、高齢者にとっては当たり前のように貰っている年金の一部は加藤容疑者の様な弱者がそれこそ自尊心や様々なものを削って作り出したものではないでしょうか?
そしてあの事件はそんな状況が限界に来ている事を示した物だったのではないでしょうか?
まぁなんだかまとまらないですし不快に思われる部分も多いのは正直お詫びします。
ただ1人の人間の心の闇と言う事場で済ますのは何だかなぁと思って書かせてもらいました。それでは失礼します。
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