2017年01月

北海道新幹線は少子化解消に切り札になり得るか

欧米と日本の出生率をフェアに比較してみるより
更に日本は欧米各国に比べて移民の受け入れをほとんど行っていない事を考えると実はアメリカ・スウェーデン・フランスにはやや劣るものの欧米に比べてそん色ない出生率とみても実は妥当ではないかと思います。
 逆に言うとこれは欧米をまねても少子化を解決できない事も意味するわけで、それ故にまず現状をきちんと見ていくことが重要と考えますが如何でしょうか?

 さて先日こんなことを書いたのですが、さすがに欧米のやり方ではこれ以上出生率は伸びない、だから現状を把握しろと言うのはさすがに無責任だなと考えたのとせっかく各都道府県の出生率を調べたので、地域ごとの出生率を基に少し傾向を見ていきましょう。

 さてここで地域の区分けを行います。

北海道:北海道
東北:青森・岩手・宮城・福島・秋田・山形
関東:東京・神奈川・千葉・埼玉・群馬・栃木・茨城
甲信越:山梨・長野・新潟
北陸:石川・富山・福井
東海:愛知・静岡・岐阜・三重
近畿:大阪・兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山
中国:広島・岡山・山口・鳥取・島根
四国:香川・愛媛・徳島・高知
九州:福岡・熊本・鹿児島・長崎・佐賀・大分・宮崎
沖縄:沖縄

 さてここで各地域の出生率の指標算出方法に関するおさらいです。ここでは簡易的なやり方ですが以下の方法で各地域の出生率(他の指標も同様)の数値を算出しています。
Σ(各都道府県の人口x出生率(他の指標))/Σ(各都道府県の人口)

 さて各地域の出生率を見ていきましょう。ちなみに上から出生率の低い順に表示され更に欧米と日本の出生率をフェアに比較してみるで算出した地方圏のみの数値、地方圏+仙台・札幌の数値及び全国の数値も参考までに出しています。

都道府県人口(千人)出生率
北海道53841.31
関東429921.36
関西207281.43
東北90471.45
全国 1.45
甲信越52401.51
地方圏+札幌仙台 1.53
四国38471.55
北陸30081.55
東海150341.56
地方圏のみ 1.57
中国74401.61
九州130211.61
沖縄14341.96
表:日本各地域出生率(人口は国勢調査、出生率は第1編 人口・世帯 第2章 人口動態厚生統計要覧(平成27年度)より作成 )

 ちなみに地域ごとにまとめたのは都道府県毎だとさすがに分析するのには多すぎ、傾向を考えるのには例外が起こりやすかったからです。取りあえずまとめてみて感じたのは西高東低、全国平均を下回ったのは4地域うち北海道・関東・東北の3地域は東日本、唯一西日本から入った関西に関しては東京に次ぐ大都市圏と考えるとむしろ全国平均に遜色ないのは健闘という事すら見えます。そして地方圏のみの1.57を上回り高出生率と言えるのは中国・九州・沖縄の3地域で西日本で独占しています。そしてそれに関東・関西に次ぐ第3の大都市圏ながら地方圏のみの1.57に肉薄する1.56をたたき出した東海地域が日本の出生率を考える上で参考にする地域と言えるでしょう。

 昭和政令市平成政令市50万都市40万都市新幹線直通大都市(中心都市から)
東北仙台   東京
中国広島岡山 倉敷・福山東京・大阪・名古屋・福岡
九州福岡・北九州熊本鹿児島大分・長崎東京・大阪・名古屋・広島
表:東北・中国・九州各地方の都市比較(昭和政令市:昭和期の基準で政令市昇格を果たした政令市の意)

 さてこの差はどこから出てきたのでしょうか?筆者は少子化対策の専門家ではないので少子化施策の差など議論はできませんし、そもそもこの大雑把な地域区分けでは各自治体の少子化対策の差は決定的な要素となりづらいと思われるので、まず地域性を少し考えてみます。ここで東北・中国・九州の3地域を比較してみます。
 個人的にぱっと思い浮かんだのは東日本と西日本の大都市の分布状況、東北地方は現在各県庁市に東京から新幹線直通列車が乗り入れ最大都市東京へのアクセスは非常に良い反面、近場の大都市は東京と仙台しかないともいえます。
 一方中国・九州地方は新幹線が通っていない県が多く、最大都市東京へのアクセスは悪い反面、大阪・名古屋をはじめ東京以外の大都市にも目が向きやすく、地域内にも代表都市福岡・広島の他に北九州・岡山・熊本・鹿児島をはじめとする有力都市が多い特徴があります。また表にはあげていませんが海外にも目を向ければソウル・釜山に代表される韓国の大都市はこの地域からすると東京より近い大都市と言えます。言うなれば最大都市東京へのアクセスは悪い反面大阪・名古屋・広島・福岡・ソウル・釜山等多様な大都市に囲まれた地域ともいえます。

都道府県人口出生率 
青森県13731.43 1963.39
岩手県12801.49 1907.20
宮城県23341.36 3174.24
秋田県10231.35 1381.05
山形県11231.48 1662.04
福島県19141.58 3024.12
東北合計90471.45 13112.04
表:東北地方の出生率

 そしてその視点で出生率の低い東北地方の出生率を見ていくと面白い事に気づきます。東北地方は全国平均を下回る低い出生率なのですが、唯一福島県が地方の平均である1.57を上回っています。福島県は浜通りのいわき市、中通の郡山市の人口が30万人を超え、県庁所在地の福島市も30万人に近い人口を誇る等東北地方の中では比較的大きい都市が多いのに加え会津地方を中心に平成政令市である新潟市への距離が近い事で西日本に近い立地にある事がうかがえます。対照的なのは秋田県で秋田新幹線の開業で東京へのアクセスは良くなったものの既存の東京へのアクセスルートである山形・福島経由や庄内・新潟経由のルートが弱体化したこともあって、秋田市・仙台市・東京の3都市以外の都市の存在感が低く西日本と対照的な地域となっているのが大きいと思われます。

都道府県人口出生率 
新潟県23051.44 3319.20
山梨県8351.51 1260.85
長野県21001.58 3318.00
甲信越合計52401.51 7898.05
表:甲信越地方の出生率

 もう1か所面白いのは甲信越地方で東京以外の大都市の存在が見えづらい新潟市が最も低く、続くのが平成政令市の静岡市が比較的近い山梨県、一番出生率が高いのが東京以外に名古屋の存在感が大きい長野県が最も出生率が高いという西日本で見られた状況を裏付けているように見えます。

 こうしてみると出生率を上げるために必要な事として重要なのはアクセスが容易な大都市を複数持つ事である事であると言えるのではないでしょうか?

 そして現状の日本で出生率が非常に低いのは大都市部を除くと東北・北海道である事を考えると実は北海道新幹線が果たす役割が大きくなってくるのではないでしょうか?北海道道央・道南から仙台と言う大都市の距離感を縮め、北東北の青森・岩手・秋田から札幌と言う大都市を身近にする事はこれらの地域の人々の意識をきっと変え出生率を上げていくのではないでしょうか?またもう1つ考えなくてはならないのは東北日本海側及び日本海~太平洋の交通の改善で新潟から南東北にとって仙台・東京に続く大都市として新潟を意識するのはこれも重要なのではないでしょうか?

 多分誰も考えたこともない少子化対策…と言うよりも与太の類ですが皆さん如何でしょうか?


欧米と日本の出生率をフェアに比較してみる

出生数100万人を再び超えるには?より
取りあえず小国の多い北欧は何よりも情報の少なさとやはり都市人口(北欧4国の最大都市の人口は100万人未満なので大都市ほど少子化が進むことを考えると3大都市圏+北海道・宮城県・広島県・福岡県(影響圏も含めると山口県・佐賀県も)を抜いて比較しないと条件が揃わずそうすると有意な差があるかがわからない)を考えて比較対象から外してアメリカを見ると意外な事がわかります。

 さて先日こんなことを書いたのですがふと日本と欧米各国の出生率を何とか条件を整えて比較してみたいと思ったので少し作ってみました。

 さてまずここで整えなくてはならないのは大都市とは何かと言う定義づけです。

 まず1つのラインとしては概ね人口100万人と言うのがラインとなるのではと考えました。日本でいうと札仙広福と呼ばれる札幌・仙台・広島・福岡の4都市が浮かびます。そしてそこより少し小さい都市と言うと平成の大合併以降で政令市になった新潟・静岡・浜松・岡山・熊本(堺は京阪神大都市圏の都市という事で少し毛色が違う)の5都市となるのですがあくまで印象としては札仙広福よりは小さいような気がします。ただこれだとそれより大きな京浜・京阪神・名古屋と言った都市と一緒くたにされてしまうのでそれよりも大きな区切りが必要になります。そこでその区切りとして大手の私鉄が走っている地域をさらに大きな都市として定義づけます。大手私鉄に関しては定義づけとして上場しているJR以外の旅客鉄道会社として京浜・京阪神・名古屋・福岡・広島の5つの都市圏となります。広島に関しては異論が起こるかもしれませんが、ここではそういう事としてください。さてそこで各都市圏に属する都道府県を定義すると以下になります。
ギガシティ(大手私鉄のある100万人以上の都市のある都市圏に属する都道府県)
・京浜圏:東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城
・京阪神圏:大阪・兵庫・京都・滋賀・奈良
・名古屋圏:愛知・岐阜・三重
・広島圏:広島・山口
・福岡圏:福岡・佐賀・山口
 京浜圏は北関東をどうするかで迷いましたが、通勤の為につくばエクスプレスと言う新線を開業させたこと、その利用者数が群馬・栃木の東武沿線に比べ明らかに多いため茨城県を入れ、群馬・栃木を外しました。京阪神圏に関しては和歌山県は迷ったのですが実質的に大阪地区のベッドタウンとして機能しているのが橋本市だけと言うのが厳しい為、外しています。山口県はかつて北九州市が合併してできた際に下関市を加える話が出てきたことから福岡圏に岩国を中心とする東部は広島の影響が強いので広島圏に両属させています。佐賀県は鳥栖市が博多駅から30km圏内に入る事から茨城県と似た理由で福岡圏に入れています。
メガシティ(100万人以上の都市がある都市圏)
・ギガシティに属する各都道府県
・札幌圏:北海道
・仙台圏:宮城県
地方圏
・メガシティ以外の都道府県

さてできたものを見てみましょう。
地域圏都道府県人口(千人)出生率人口x出生率
 地方圏のみ39,1301.57 61345.69
 地方圏+札幌仙台46,8481.53 71,573
 日本全体 1.45  
京浜圏東京都1351400%124%1675736%
京浜圏神奈川県9,1271.3912686.53
京浜圏埼玉県7,2611.3910092.79
京浜圏千葉県6,2241.388589.12
京浜圏茨城県2,9181.484318.64
京阪神圏大阪府8,8391.3912286.21
京阪神圏兵庫県5,5371.488194.76
京阪神圏京都府2,6101.353523.5
京阪神圏滋賀県1,4131.612274.93
京阪神圏奈良県1,3651.381883.7
名古屋圏愛知県7,4841.5711749.88
名古屋圏岐阜県2,0331.563171.48
名古屋圏三重県1,8161.562832.96
福岡圏福岡県5,1031.527756.56
福岡圏佐賀県8331.641366.12
福岡・広島圏山口県1,4051.62248
広島圏広島県2,8451.64552
札幌圏北海道5,3841.317053.04
仙台圏宮城県2,3341.363174.24
 青森県1,3731.431963.39
 岩手県1,2801.491907.2
 秋田県1,0231.351381.05
 山形県1,1231.481662.04
 福島県1,9141.583024.12
 栃木県1,9751.492942.75
 群馬県1,9731.492939.77
 新潟県2,3051.443319.2
 富山県1,0671.511611.17
 石川県1,1541.541777.16
 福井県7871.631282.81
 山梨県8351.511260.85
 長野県2,1001.583318
 静岡県3,7011.545699.54
 和歌山県9641.541484.56
 鳥取県5741.65947.1
 島根県6941.781235.32
 岡山県1,9221.542959.88
 徳島県7561.531156.68
 香川県9771.631592.51
 愛媛県1,3861.532120.58
 高知県7281.511099.28
 長崎県1,3781.672301.26
 熊本県1,7871.683002.16
 大分県1,1671.591855.53
 宮崎県1,1041.711887.84
 鹿児島県1,6491.72803.3
 沖縄県1,4341.962810.64
表:修正版出生率(人口は国勢調査、出生率は第1編 人口・世帯 第2章 人口動態厚生統計要覧(平成27年度)より作成 )

 上の表での出生率は各都道府県の出生率x人口の合計を人口の合計で割ったものです。地方圏のみだと1.57と0.12も上昇しているのがわかります。札幌・仙台を加えても1.53と0.08と概ね0.1近い上昇がみられます。

年度出生率最大都市人口(万人)
ハ ン ガ リ ー20121.34ブダベスト174
イ タ リ ア20121.39ローマ286
日本20131.43東京1351
日本(地方圏+札幌仙台)20151.53--
ス  イ  ス20121.53チューリッヒ37
日本(地方圏のみ)20151.57-100未満
カ  ナ  ダ20111.61トロント262
アメリカ合衆国20121.88ニューヨーク818
スウェーデン20121.91ストックホルム87
フ ラ ン ス20122パリ225
表:修正出生率と諸外国との比較(第1編 人口・世帯 第2章 人口動態厚生統計要覧(平成27年度)より作成 )

 修正出生率を持って欧米各国の出生率と比較しますと地方圏だとスイスを上回り、仙台・札幌を加えてもスイスと同水準となります。欧米各国には日本における私鉄の様な旅客鉄道会社が無いので地方圏のみ、あるいはそれに札幌仙台を追加した物と比較するのが妥当で、更に日本は欧米各国に比べて移民の受け入れをほとんど行っていない事を考えると実はアメリカ・スウェーデン・フランスにはやや劣るものの欧米に比べてそん色ない出生率とみても実は妥当ではないかと思います。
 逆に言うとこれは欧米をまねても少子化を解決できない事も意味するわけで、それ故にまず現状をきちんと見ていくことが重要と考えますが如何でしょうか?

出生数100万人を再び超えるには?

出生数が初の100万人割れ 平成28年推計98万人 厚労省・人口動態@産経新聞2016/12/22より
 昨年末,こんなニュースが入ってきました。年間出生数が戦後初めて100万人を割り込んだそうです。

無題
20002001200220032004200520062007
出生率1.361.331.321.291.291.261.321.34
出生数11905471170662115385511236101110721106253010926741089818
20082009201020112012201320142015
出生率1.371.371.391.391.411.431.421.45
出生数10911561070035107130410508061037231102981610035391005677
図:表:合計特出生率及び出生数の推移(合計特殊出生率について@厚生労働省より)

 さてここで2000年以降の出生率及び出生数の推移を見ていきましょう。ここで見て取れるのは
・出生率(合計特殊出生率)はボトムとなった2005年以降一貫して増加傾向(2014年は例外)にあり2015年には1.45まで回復している
・一方出生数は2006~8年には確かに回復と言える数字をかろうじて示しているものの2010・15年に微増だっや他は減少傾向を示していて2016年に100万人を割り込んでいる

 という事です。一見矛盾しているようですが、ポイントは団塊ジュニアになると思います。出生率が回復し始めたのは2006年、この年団塊ジュニアの中核年齢である1973年生まれの人は33歳、だんだん出産の可能性が減ってくる段階に入っていたのが大きな要因です。そしてこの状況が示すもう1つの事は少子化対策として行った各施策は出生率そのものが挙がった事から一般論としては間違っていなかったもののその時期の人口動態と言う現状を軽視したのが出生数の低下と言う大きな結果をもたらしたという事です。

出生率をめぐるパズルと、それに対する「答え」@筒井淳也  | 立命館大学産業社会学部教授2016/1/16より

出生率についての研究では、ひとつのパズル(謎)があります。そのパズルとは、次のようなものです。

日本を含む経済先進国の間で1970年前後からみられた出生率の急激な低下は、主に女性の職場進出によるものだ、と考えられています。特に高い学歴を獲得した女性が増え、彼女たちが高い収入を得るようになると、結婚して子どもをもつことで失ってしまう収入が増えるために、少子化が進むのだ、という考え方です。 ~中略~
それは、「性別分業」なのです。性別分業とは、「男性は外で稼ぎ、女性は家庭の責任を負う」という労働の配分の仕方です。イタリアでもドイツ(特に旧西ドイツ)でも、そして日本でも、こういった考え方が根強く、両立支援プログラムの実施(国のものでも会社のものでも)がアメリカやスウェーデンに比べて遅れてしまったのですこういった国では、子育てや介護において家族、あるいは女性が背負い込む責任が重く、そのせいで女性が「仕事か家庭か」の選択に直面してしまい、結果的に少子化を解決できないでいます。



 さてこの時期に行われた少子化対策のスタンスと言うのはどういったものだったのでしょうか?上は代表的なものとして取り上げたのですが簡単にまとめると「アメリカや北欧など進んだ国に比べ高学歴化した女性が社会進出し高収入化した変化に男性や社会に対応できていない」と言った所でしょうか?

syo
199019952000200520102015
所得249127312800272826932760
図・表:女性の所得推移(民間給与実態統計調査結果@国税庁より作成、単位:千円)

 そもそも論としてこの前提21世紀以降の日本においてあてはまるのでしょうか?上の表は国税庁の資料から作成したもの、これを見ると確かに1995年くらいまでは女性の所得が増えたと言えますがそれ以降は停滞しています。むしろ2000年以降はアベノミクスまで女性の所得は減少傾向にあったとさえ言えます。出生率の回復した2005年以降は2010年まで女性の所得は減少、それ以降は増加ですから女性の所得の増減は出生率とは相関関係にないともいえます。


syussyou
2000200520102014
保育所22199226242168124509
定員1925641206093820332922339029
図・表:保育所の施設数・定員の推移(社会福祉施設等調査:結果の概要@厚生労働省より作成)
保育料が20万超でも、アメリカでは共働きが主流@日経DUAL2016/1/6より
 産休・育休制度がないアメリカでも、Family and Medical Leave Act(家族および医療休暇法)という法律により、雇用期間や労働時間などの諸条件を満たせば、出産前後に12週間の休暇を取得できる権利が定められている。しかし、従業員50人以上の企業にしか適用されず休暇は有給ではなく無給、同職復帰の保証もないという心もとない代物だ。州によっても違いはあるが、結局は勤め先が産休・育休を認めるか、認めないかにかかっている。~中略~
地域によって差はあるが、例えばシアトルは全米一高い水準の保育料となっており、都市部でそれなりの施設に生後6週間くらいから預けるとなると月2000ドル(約23万円)くらいのお金は軽々飛んでいく。0歳児が一番高く、子どもが大きくなるにつれ安くはなるものの、日本の保育園がフルタイムで預けても平均で月2万~3万円くらいで済むことを思えば、信じられないくらい高額だ。
 もう1つ外国との制度の比較を見ても意外な事がわかります。取りあえず小国の多い北欧は何よりも情報の少なさとやはり都市人口(北欧4国の最大都市の人口は100万人未満なので大都市ほど少子化が進むことを考えると3大都市圏+北海道・宮城県・広島県・福岡県(影響圏も含めると山口県・佐賀県も)を抜いて比較しないと条件が揃わずそうすると有意な差があるかがわからない)を考えて比較対象から外してアメリカを見ると意外な事がわかります。と言うのはアメリカには産休・育休の制度がほとんどなく、かつ公的制度により安価に抑えられた保育園制度もほとんどないとの事です。別の部分で優れた制度があるのかもしれませんが、どう考えてもこれで日本の制度が手厚くないとは言い切れないような気がします。むしろアメリカで最大月20万近くかかっても出産直後から保育園に子供を預けて働くアメリカ人カップルと言うか女性の強さと言うのに驚いてしまいます。逆に日本では21世紀に入って出生率が2割減っているのに保育園の定員が2割も増えているのが目を引きます。

 そう考えるとこれまでのやり方は出生率を上げたので必ずしも間違っていたとは言えませんが、ただこれから出生数を増やすには発想の転換が必要なのではないでしょうか?さて上で上げた考え方「アメリカや北欧など進んだ国に比べ高学歴化した女性が社会進出し高収入化した変化に男性や社会が対応できていない」で抜けているのは何かと言えば実は「経済や男性は変化したのでは」と言う視点ではないでしょうか?

1970年代 2000年代以降
平日に窓口で下すお金の確保コンビニATM 
平日夕方までにスーパーか商店街で食材の買い物平日深夜時間までやっているスーパー
手間暇かけて食材を1から料理料理冷凍食品やお総菜などが発達電子レンジでそれなりに
  チェーン店等安くてそれなりにおいしい外食も充実
親戚・近所など多い付き合いそれほどない
表:1970年代と21世紀の独身男性の単身生活環境

 上の表は団塊の世代が若かった1970年代と現在の独身男性の生活環境を比較したものです。
 例として夕飯を作る過程を挙げてみました。こうしてみると大きな違いがあるのがわかります。かつては仕事が終わって一人の部屋でまともなご飯を食べるのはほとんど不可能だったのがわかります。だからこそ会社は社食や寮などを用意するケースも多かったと思われます。一方今だったらスーパーは深夜まであいているし、冷凍食品や中食と言われるお総菜も充実しています。私が初めて群馬で一人暮らしをしていたころよく言われたのは「コンビニ弁当ばかり食べてはいないか」という事でしたが、実際自炊で極端にきつかったことは無かったです。
 またファミレスやファーストフードなど外食が充実してきたことも見逃せません。

 また今30代以下の世代に関しては家庭科の共修が進んだこと、親世代で専業主婦が減った事によって家庭での家事教育が減っている中、男女の家事能力の差が減っている事も見逃せません。私の大学時代1人暮らしの先輩たちの多くは「ご飯を作ってもらう為」彼女を作ったものでしたが、私が卒業するころの追い出しコンパで止まった後輩の家では後輩(男性:ちなみに彼には彼女がいたと思う)の手作りの味噌汁がふるまわれてびっくりしたものでした。そういった意味でイメージに比して独身単身男性は作業としての家事で困っていると言うケースは減ってきています。

息子の嫁たちをタダで使える労働力として盆暮れ正月酷使した結果、誰も帰省してこなくなった @together

 また作業としての家事の下に置いた付き合いに関しては昔に比べたら近所づきあいが減っている中、付き合いとして相対的に重要になっている親戚と言うか実家関係の付き合いはやはり嫌われています。

 そしてその世代の男性達は上の世代の「なぜ結婚しないの?」と言う質問に「今の収入では養えないですよ」と答えるわけです。この言葉には単純に女性の所得の低さと言うこと以上に多くの独身男性が「今の時代、女性や結婚に多くを期待してはいけないのだな」と言う諦念もこもっていると言えます。

 
2015未婚離別死別総数
35~3913771171494
40~4413762041580
表:35~44歳の結婚していない男性の総数(平 成 27 年 国 勢 調 査抽 出 速 報 集 計 結 果より)

 そしてそんな未婚者ですが40歳前後の35~44歳でおおよそ275万人、離別・死別を合わせると300万人を超える人数にもなります。現在の年間の婚姻数が70万組程度と言われますのでおおよそ4年分、そんな忘れ去られた彼らにいかに結婚や女性に期待させるか、それをしなければきっと再び出生数は100万人を超えないのではないでしょうか?


謹賀新年

IMG_6051
写真:本年もいつもの天神様で初詣

 読者の皆様

 あけましておめでとうございます。当blogの管理人brother-tです。
 昨年は当blogをご愛読いただきありがとうございます。本年も変わらぬご愛顧をお願いします。

 さて昨年は参議院選挙・東京都知事選挙・イギリスのEU離脱に関する国民投票・アメリカ大統領選挙と大きく注目された選挙が多かった事、政治・選挙絡みの記事ばかり書いていたような気がします。また8月に書いている終戦の日関連の記事に関してはちょうどその頃今上天皇が生前退位を表明されていたことあの終戦からもう71年もたっていることなどから「戦後の終わり」を意識した記事を書きました。そんな記事の中でも多くの人に読まれたのが以下の記事でした。

戦後の終わりに考える~SEALDsと赤木智弘から見るリベラルの衰退~

 2007年に「希望は戦争」と文壇に殴り込みをかけた赤木智弘氏とSEALDsの話からリベラルの衰退について書いた記事ですが、2007年に書いたことが未だ古びず、トランプ大統領やイギリスのEU離脱と言った所謂リベラル衰退の状況下で再び注目されたのに対し、SEALDsは結局リベラルに耳心地の良い事を言うだけの一部の若者と言うコントラストは印象的でした。日本に限らずもしリベラルと呼ばれる勢力が復活するならいかに赤木氏の様な人物の言葉をとらえられるかと言うのがポイントかなと思います。

来春の千葉知事選、浦安市長が出馬検討 森田健作知事、県政批判に反論@産経新聞2016/10/28
横須賀市長選 3選目指し吉田氏出馬 /神奈川@毎日新聞2016/10/15

 さてまたしても選挙の話で恐縮ですが今年は個人的に縁のある地域2か所で首長選挙が行われます。1つは3月に行われる千葉県知事選挙、もう1つは地元横須賀の市長選挙、千葉県は卒論の舞台になった場所であり、今でも年賀状のやり取りをしている方のいる地域ですがその中で「千葉県がだめだという事がわかった」と書いてらっしゃったのが印象的でした。横須賀市長選挙は当blogでも何度か取り上げたのですが、やはり同年代の政治家と言う事で藤野英明氏がどのように動くかと言うところに注目がいってしまいます。
 吉田市長に様々な問題があったとしてもその代わりがつとまるほどの人物と言うと前回市議選でトップ当選した上地克明氏と藤野氏くらいしか正直な所思い浮かびません。小泉新次郎衆議院議員が鞍替えすれば可能性はあるかもしれませんが吉田市長自身が2度小泉親子の応援した候補を破っている事を考えると果たしてどうだろうと感じます。自分を含めた横須賀市民にとっては小泉親子は国政の場にいてこそと感じているのではないかと言うのが正直な所です。
 とは言えどちらの選挙も「いかに雇用と若い人たちを自分たちの地域に呼び込めるか」が最大のテーマになりそうな気がします。

 さてそんなこんなで始まった2017年、当blogや読者の皆様にとってよき1年となる事を気がしております。

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