2023年10月

令和の大きな宿題その24 マスメディアが衰退し、ローカルとコンテンツが前面に出る時代~ジャニーズ騒動に思う

ジャニーズ事務所、解体 新社名「SMILE-UP.」で再出発へ<会見>@ModelPress2023/10/2より
ジャニーズ事務所が10月2日、新体制についての会見を都内にて実施し、東山紀之社長、ジャニーズアイランドの井ノ原快彦社長、9月30日付でCCOとなった山田将之弁護士、顧問である木目田裕弁護士が出席。新社名「SMILE-UP.(スマイルアップ)」で再出発することを発表した。~中略~
東山は、ジャニーズ事務所でのタレントの育成業務を完全に撤退し、「自分たちで新しく会社を立ち上げ、ファンの皆さんの力をお借りしながら、アップデートしていき向上する。自分たちでジャニーズ事務所を解体し、新しい会社で、ファンの方々と新しい未来を切り開いていく。これが私たちのビジョンです」としたうえで、新社名「SMILE-UP.」を発表。同社では、被害者への補償業務のみを行っていく。~中略~
ジャニーズ事務所は9月7日の会見で、初めてジャニー喜多川氏の性加害があったことを認め謝罪し、藤島ジュリー景子氏の引責辞任、東山の新社長就任を発表。その際には、ジャニーズ事務所の社名を存続することも伝えていた。
その後、9月19日に取締役会を開催したことを報告。「藤島が保有する株式の取り扱い、被害補償の具体的方策、社名変更、所属タレント及び社員の将来など、今後の会社運営に関わる大きな方向性についてあらゆる角度から議論を行い、向かうべき方針を確認いたしました」と説明し、本会見ではその進捗内容を具体的に報告するとしていた。
また10月2日、会見前に公式サイトにて「弊社は、『外部専門家による再発防止特別チーム』(以下「特別チーム」といいます。)からの提言を踏まえ、以下の各項目の再発防止策を講じております」とグループ人権方針の策定やジャニーズJr.の相談係として機能する「ホスピタリティー担当者」の人員増加など、11項目の再発防止策を実行していることを発表した。(modelpress編集部)


さてここ最近性加害問題で揺れていた、ジャニーズ事務所ですが、10月に入って社長交代と新会社立ち上げが行われました。SMAP/TOKIO/V6/嵐と平成の芸能の世界で大きな存在感を見せていたジャニーズ事務所のある意味での落日を見せ付けられているように感じられました。性加害に関してははっきり言ってよく分からない面も多いですし、そこを書いている人達も多いのでここでは書きません。ただその代わりその周りで見えてきた色々から書いて行こうと思います。

スポンサー離れと育成体制~ジャニーズ事務所の落日~
ジャニーズ激震 滝沢秀明副社長が電撃退社 なぜこの時期に 理由は明かさず アイランド新社長は井ノ原@スポニチ2022/11/1
 ジャニーズ事務所は31日、滝沢秀明副社長(40)が同日付で退任し、事務所を退社したことを発表した。グループ会社「ジャニーズアイランド」の社長も9月26日付で退任。後任は元V6の井ノ原快彦(46)が務めている。現在第一線で活躍しているSixTONES、Snow Manをデビューさせて成功させた立役者の退任劇だけに、各所に激震が走りそうだ。
  キンプリ平野紫耀ら3人脱退&退社「海外での活動をはじめとして、方向が異なる」報告文全文@2022/11/4


さて今後のジャニーズは現状の苦境を脱して平成期の様な活況を取り戻せるかと言われたら、多分難しいと思います。まず大きいのは育成体制が揺らいでいる事、2019年に創業者とも言えるジャニー喜多川氏の死去後、ジャニーズの改革を進め、Snow Manなど今のジャニーズの屋台骨を支えている若手の育成を行ってきた滝沢秀明氏が昨年退社し、その影響からかking&Princeの1部のメンバーも脱退退社しています。2016年のSMAP騒動以降続いていた世代交代、2019年のジャニー喜多川氏の死去、2022年の滝沢氏の退社と大きく揺さぶられる中での今回の騒動ではさすがにと言った感じでしょうか?

SMAP騒動の語るもの

ジャニーズの深刻な「スポンサー離れ」 原因は東山紀之新社長の就任記者会見にあった 影響はCMだけでなく「番組」に及ぶ恐れも2023/9/25
 ジャニーズ事務所の所属タレントをテレビなどのCMに起用する企業が、ここにきて次々に契約見送りを打ち出している。創業者で2019年に死去したジャニー喜多川氏による性加害が社会問題化し始めたのは3月。ただ、大半の企業はその後も静観し続けていた。共同通信が7~8月、国内主要企業114社に景気動向を尋ねるアンケートを実施し、その中でジャニーズに関する設問も入れたが、その時点では正面から答えない消極姿勢が目立っていた。
旧ジャニーズ出演、日テレ番組「都立公園で森づくり」 都に苦情@朝日新聞2023/10/19


またスポンサー離れの兆候が見えているのも痛手です。有力タレントにとってCM等に支障が出る中、キンプリのメンバーの様に脱退と言う話も出てきそうです。そう考えると更に立て直しは難しくなっていくでしょう。

TOKIOとひらパー兄さんに見る地名のあるローカルの存在

岡田准一さん「超ひらパー兄さん」続投…京阪HD「これまで続いてきた関係を大切にしたい」@読売新聞2023/10/4
 京阪ホールディングス(HD)は4日、運営する遊園地「ひらかたパーク」(大阪府枚方市)のイメージキャラクターを務める俳優の岡田准一さん(42)の起用を継続する意向を明らかにした。
きっと義昭公からも枚方の荘園を所領として拝受したのでしょう
 ジャニーズ事務所の性加害問題を受け、岡田さんは11月30日で同事務所を退所すると発表している。京阪HDは「これまで続いてきた岡田さんとの関係を大切にしていきたい」として、今後も広告契約を続けることに前向きな考えを示した。


そんな逆風の中でも早い段階でもジャニーズタレントとの関係の継続を宣言した企業などもあります。まずは今年の大河で織田信長役を熱演した岡田准一さんの起用継続の意向を明らかにしたのはひらかたパークを運営する京阪ホールディングス、岡田准一さんは2013年以降「ひらパー兄さん」と言うキャラクターで沿線の遊園地ひらかたパークを盛り上げ、ニコニコ動画などの動画サイトでも多くの動画が作られる等多くの地域で親しまれてきました。

ジャニーズ事務所における性加害問題に関し、TOKIOとの連携について、福島県の考え方は以下のとおりですので、お知らせします。 @2023/9/15
大前提として、いかなる性加害も絶対に許されるものではない。 性加害は、被害者の尊厳を踏みにじる極めて悪質な行為であり、決して許されない行為である。~中略~
TOKIOの皆さんは、震災前からDASH村の活動などで本県と深いつながりがあり、震災と原発事故後、私たちが風評被害などで最も悩み、苦しんでいた時も、福島に寄り添い続け、福島県民を勇気づけていただいた
そして、「第二のふるさと福島のために何かできないか」と、長年にわたり、県産農林水産物のPR等に協力いただくなど、福島を全力で応援し続けていただいていることに心から感謝している
本県の復興はこれからも長く苦しい戦いが続く。TOKIOの皆さんには、今後も変わらず福島県を応援していただきたいと考えている


またTV番組「鉄腕DASH」を中心にTOKIOとの関りが多かった福島県も早い段階での連携継続の意思を表明しています。TOKIOと福島の関りの深さは言うまでもないですがTOKIOとひらパー兄さんが語るのは「福島」「ひらかたパーク」と言う地名のあるローカルの存在、企業は社会全体の空気を読むからこういった逆風時はあっさりと縁を切るもののローカルな地域を味方に付け、良い関係をきづけば、その地域は逆風の時でも支えてくれるという事ではないでしょうか?


TVアニメ『女神のカフェテラス』第4話「桜まつり!」WEB予告より

そして多くの作り手、演じ手はそれに気づいているのかもしれません。上は今年4月~6月に放映された「女神のカフェテラス」と言うアニメの次回予告、「桜まつり」と言うお祭りが舞台になる回なのですがある程度年のいった方ならここ最近のアニメでこういったお祭りが出て来るものが増えたと思う方も多いと思われる方も多いのではないでしょうか?
聖地巡礼が定着した昨今、最近は地域が積極的にイベントを行うなどコンテンツを活性化に取り込むケースが増えた結果、お祭りに限らず舞台の地域を丹念に描く作品が増えたのは注目したいところです。

電車とバスでGo!その11~女神のカフェテラスの聖地三浦海岸を少し歩く~ 電車とバスで行ってみたその5:デジタルみさきまぐろきっぷで巡る女神のカフェテラス聖地巡礼スタンプラリーin三浦 20230629



実際漫画などの世界ではもともとコミケと言う文化があっただけに、出版社と言う会社を相対化している部分があります。今後は芸能の世界でもこういった名前のあるローカルを大切にしようという動きがより強くなっていくのではと思われます

YOASOBIに象徴されるコンテンツが前面に出る時代

YOASOBI 全世界的ヒットを果たした『アイドル』と次の一手@日経クロストレンド2023/8/31より
2023年4月12日に配信リリースしたYOASOBIの『アイドル』が世界を席巻している。TVアニメ『【推しの子】』オープニング主題歌として誕生した『アイドル』は、同作品の原作者・赤坂アカによる書き下ろし小説『45510』をもとに制作された。作中に登場する“完璧で最強のアイドル”アイをテーマに、ラップ、エレクトロサウンドのサビ、耳に残るメロディーが畳み掛けるように押し寄せ、その中毒性の高さはアニメ放送開始直後から話題に。オリコン、Billboardの両チャートにおいて史上最速でストリーミング再生回数1億回を突破。ミュージックビデオも自身最速となる36日間で1億再生に到達すると、遂には米Billboardの北米を除くグローバル・チャート「Global Excl.U.S.」で日本語楽曲初の1位を記録した


さてもう1つ感じるのは人間ではなくコンテンツが前面に出る時代になってくると言う事でしょうか?今回のジャニーズでは性加害の問題なのですが、人間はトラブルを起こすと考えると人間以外、コンテンツを前面に出すというのは増えていくのではないでしょうか?上の引用は今年世界的に大ヒットして話題になったYOASOBIのアイドルですが、おっさんが興味深いと思ったのは確かにアニメ「推しの子」の主題歌だったとはいえ、MVが「推しの子」のキャラクターを前面に出した楽曲と言うよりもアニメのPVの様になっている点でした。


平成のタイアップヒットと言えば

「アイドル」はアニメとのタイアップでヒットしたと言えますが平成のタイアップと言えばドラマ・CMとのタイアップで大ヒットするケースが多かったです。上は平成期のドラマタイアップの代表的存在とも言えるCHAGE&ASKAの「SAY YES」のMV、ドラマの出演者はいなく、演者であるCHAGE&ASKAが前面に出ています。平成期はこの様な形で、演奏しているアーティストが前面に出る事が多かったです。どちらが良いかは判断を任せますが、少なくともYOASOBIのパターンはありだと思います。ある意味で「推しの子」と言うコンテンツの1部ではあってもその「推しの子」のキャラクターが出る事でMVが良いものに仕上がっている訳ですから。
そして今後はCHAGE&ASKAの様にアーティスト個人を前面に出すパターンはリスクが大きさを考えると減っていくのではないかと思います。逆に言えば個人を表に出さないという事でコンテンツを前面に出すケースが増えるのではないでしょうか?

記者会見で目立つ女性記者に見るマスメディアの衰退
東京新聞の望月衣塑子記者が東山紀之新社長に対して約10分以上質問【ジャニーズ事務所会見】@中日スポーツ2023/9/7より
 創業者の故ジャニー喜多川元社長による性加害問題を巡り、ジャニーズ事務所が7日に開いた記者会見で、東京新聞の望月衣塑子記者が東山紀之新社長に対して約10分以上質問した。
 東山は会見で、自身の性加害疑惑について「僕はしたことがないです」などと否定を続けた。これに望月記者が、東山から性被害を受けたとする元Jr.の書籍を挙げて「自身のセクハラやパワハラの話になると、元Jr.の本について中身も読まずになぜ分かるのかなと思う」と指摘した。


さて今回の騒動で話題になった件として東京新聞の望月衣塑子記者の件があります。個人的には質問そのものは積極的にすべきで望月記者が悪いとは思いませんが、何となく思うのは「記者会見でしか目立たない」望月記者のような存在を見るとマスメディアの衰退を見せ付けている様な気がします。望月記者の勤める東京新聞の親会社である中日スポーツの記事を読むと印象的なのは「元Jr.の本について中身も読まずになぜ分かるのかなと思う」と言うくだり、正直な所、自ら取材で質問の話を掘り起こしていないようでどうなのだろうかと感じます。本来なら記者会見で質問して情報を掘り起こすのでなく、事前の取材で記事を作って有利な状況を作ってから記者会見で答え合わせをする形だと思いますが、こういった当たり前の取材で得た情報で追い詰めるのが出来ていないと言うのはメディアの衰退と言う他ないのではと思います

まとめ~マスメディアが衰退し、ローカルとコンテンツが前面に出る時代~
如何だったでしょうか?まとめるなら令和の時代中央の大メディアや芸能の業界が衰退し、地名のあるローカルやコンテンツが前面に出る時代になっていくのではと感じます。
まずは素晴らしい芸を見せてくれるタレントの方がそんな時代でその能力を生かして活躍できる事を祈念して筆をおきたいと思います。

お金の話その5~復活する金利が問うもの~

kokusai202310
10年国債金利推移(楽天証券)
日銀利上げ観測で長期国債利回りが上昇、円安には歯止め@NRI2023/9/11より
11日の東京市場で、ドル円レートは円高方向に振れた。先週末の海外市場で1ドル147円80銭台まで進んだ円安は、1円程度円高に押し戻された。また、国債市場では10年国債利回りが、0.7%台まで上昇した。7月末に日本銀行がイールドカーブ・コントロール(YCC)の運営柔軟化に踏み切って以来、利回りが0.7%台に乗せたのは初めてだ。この水準は9年8か月ぶりの水準である。


さて最近のインフレ傾向から日銀のイールドカーブコントロールの運営柔軟化により、およそ10年ぶりに長期金利が0.7%台に載せたそうです。

金利復活の光景その1~増えていく低リスクの運用方法~
kokusai202310_2
現在募集中の個人向け国債・新窓販国債@財務省2023/10/12現在

そして長期金利の代表的指標である国債の金利を見に行った際少しびっくりしました。10年物の新窓販国債の金利が0.8%、国債は長期債券の代表であると同時に元本保証の低リスク資産(ただし金利が前後するので市場取引での売却損はありえます)の代表選手でもあるのですが、その金利が1%が見えるレベルまで到達しているのです。流石に現状のインフレ率を下回り、高利回りとは程遠いのですがそれでも元本保証の金利商品で利子・利回りと呼べる水準の金利がついたというのは興味深いです。

kokusai202310_3
ホーム > 資産運用 > 円預金 > 定期預金@楽天銀行2023/10/14現在

現状例えば金利が高いと言えるネット銀行の定期預金ですら0.02%、100万円預けても200円税引き後は160円弱とペットボトル1本分ですが、10年物の新窓販国債ならそれぞれ8000円、6374円ですから。言って見れば金利が復活した事により比較的大きなリスクを負う株式や不動産、投資信託以外に低リスクで小さいながらも利子収入を生み出す方法も復活しつつあるわけです。

金利復活の光景その2~フラット35に見る増加するローン返済額~
kokusai202310_4
フラット35HPより2023/10/2現在
住宅ローン「フラット35」2か月連続で金利引き上げ@NHK2023/10/2より
長期金利の上昇を背景に、長期固定型の住宅ローン「フラット35」の最も低い金利が今月から2か月連続で引き上げられました
「フラット35」は、住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して取り扱う住宅ローンで、最長で35年間、金利が固定されます。
金利は金融機関によって異なりますが、住宅金融支援機構は、今月適用される金利について、返済期間が21年以上、35年以下で、借り入れる金額が購入額の90%以下の場合は、最も低い金利で年1.88%と、先月より0.08ポイント引き上げました


さて金利が復活するという事で預けるお金がある人達にとっては朗報ですが、逆に厳しくなる人達は誰か、それはお金を借りている人と言う事になります。特に住宅ローンに関しては報道が多いです。現段階ではあくまで0金利が解除されたわけではなく短期金利は低いままなので、変動金利でのローンでは金利は上がっていませんが固定金利のローンでは金利が上がってきています。長期固定型の住宅ローン「フラット35」の利率を見ると2021年4月以降では2021年8月の1.28%、引用したグラフの範囲外である2016年8月0.9%から2023年10月で1.88%と上昇傾向にあります。ただし注意しておかないといけないのはアベノミクス以前2000年代の金利水準は3%前後が一般的でそこからで言えば今も十分に低い水準ではあります。

kokusai202310_5
表:返済額シミュレーション

実際3500万円35年返済で月間返済額を比べて見ると
2016年8月 :0.9%  月間返済額:97518円
2023年10月 :1.88% 月間返済額:114489円 学館返済額97000円前後の借入額:3000万円
2000年代想定:3%   月間返済額:135740円 学館返済額97000円前後の借入額:2500万円
現状の金利での返済額は現状の金利で17%増加、2000年代を想定した年利3%だと41.2%増加と大きく増加するのが見て取れます。逆に返済額を変えないとすれば借入額はそれぞれ3000万円、2500万円となります。言って見れば金利復活により、新たに住宅を購入する人にとってはかつてより負担が大きくなり、返済額を増やすか、同じ返済額であれば前よりも少ない予算での購入を考える必要が出てくると言えます。

米新築住宅販売、8月8.7%減@日経新聞2023/9/27より
【ニューヨーク=野一色遥花】米商務省が26日発表した8月の新築一戸建て住宅販売件数(季節調整済み、年率換算)は前月の改定値に比べ8.7%減の67万5000戸だった。前月比の落ち込み幅は2022年9月以来の大きさだった。住宅ローン金利の高止まりが需要低下につながったとみられる。


また不動産を販売する視点でも大きな逆風になると考えられます。日本より早く急激に金利上昇が始まったアメリカでは住宅販売戸数の減少が話題になっています。

金利復活の光景その3~厳しい財政が縮小させるサービス~
「収支均衡一定評価」「長期的見通し無い」 京都市財政再建に賛否@朝日新聞2023/4/6より
多額の赤字を、将来の借金返済のための基金を取り崩す「禁じ手」で穴埋めしてきた京都市。門川大作市長は2020年、緊急の記者会見を開いて「深刻な財政危機」を訴えた。21年には「このままでは財政再生団体に転落しかねない」として、5カ年の行財政改革計画を進めた。市独自で行ってきた福祉施策の見直しのほか、ヘルスピアのような市営施設の廃止や学童保育の利用料値上げなどに踏み切った結果、税収増もあって23年度予算の収支を均衡させた。門川市長は今年2月、記者会見で「安心して下さい。財政再建の道筋をつけた。今後も財政破綻(はたん)することはない」と胸を張った。


もう1つ考えなければならないのは国債利回りの上昇は分かりやすく行政の資金調達コストが上がる事であり、緊縮財政志向が高まるという点です。上は財政危機が深刻な京都市のものですが、コロナ対策で財政負担が高まった地方を中心に緊縮財政志向が高まり財政サービス縮小のリスクが大きくなるという点です。

物価高やコロナで「ホーユー」など業者撤退、公立高の学食ピンチ…弁当注文・コンビニに切り替えも@読売新聞2023/10/15より
ホーユーは、広島県や大阪府、京都府などの高校や特別支援学校を中心に学食や給食の運営を手がけていたが、契約する計約150施設で、9月上旬から次々と事業を停止。9月25日付で広島地裁から破産手続き開始決定を受けた。負債総額は約16億8000万円に上る。


いきなり大きなサービス削減は無いと思いますが、教育や福祉の現場では昨今の物価上昇もあって厳しくなる場所が出てきそうです。学校で言えば学費の値上げの様な大きなところはすぐ起きないにしても高校の給食・学食などのプラスアルファのサービスが廃止されたり値上げされたりと言うのはありそうです。上は話題になった給食事業を行っているホーユーの破綻のニュース、さすがにこれは極端ではあっても今後無理して続いているサービスは終わっていくケースは増えそうです。

金利復活の光景まとめ~答え合わせの時代~

これまで見てきたことを金利復活の時代を纏めると以下になります。
・国債など低リスクの資産運用手段が復活する
・住宅ローンの負担は2000年代の水準に戻るだけでも一番金利の低い時期よりも40%増加する
・国債・公債の金利上昇により財政に緊縮圧力がかかり、サービスの低下リスクがある



こういった状況で有利になる人はどんな人になるでしょうか?「今資産を持つ人」、そして「家計が黒字体質な人」となるのではないでしょうか?
上は預金9300万円貯めこんで話題になった絶対仕事辞めるマンさんのツイート、9300万円も資産があれば仮に利回りが上で挙げた10年物の新窓販国債の0.6374%なら592782円、月5万近くにもなります

20年で9630万貯金、45歳彼が節約に目覚めた必然@東洋経済2023/9/16より
寮はボロボロで本当にカイジの世界観でした。嫌がって出る人もいましたけど、私はそこで耐えましたね。家賃に5万~6万円使ってしまうと貯金ができないので。20年経った今でも家にはお金をかけていなくて、質素な賃貸に住んでいます
お金の話その3~単身赴任のおっさんに学ぶクルマなしの地方・郊外生活~より
仮に管理費・ネットなどのインフラ費を含めた住居費を月7万円、車保有費を月4万円とすれば月11万円、年間132万円となります。家は実家、車が必要な地域の場合でも家のクルマをシェアする形ですから、実家住まいなら仮に生活費等で親に毎月いくらか収めたとしても親世帯との連結でまるまるこの132万円が節約できる形となります。


もう1つ重要なのは家計の黒字体質、絶対仕事辞めるマンさんのツイートのツイートではその質素な暮らしぶりにも注目が集まりました。9300万円を貯めこめたというのは親からの遺産相続などなければ1年1年家計の黒字を積み重ねた結果と言えます。食事に代表される質素な生活が注目されますが、「家賃に5万~6万円使ってしまうと貯金ができない」と言う言葉にある様に家賃に代表される固定費を抑えるのが基本と言うのがよくわかります。黒字体質であれば物価や給与の変動に対しても冷静に対処できますし、今資産が無くても今後資産が出来ていく可能性も高くなります。

kokusai202310_5
新しいNISA@金融庁より

言ってみれば復活しつつある金利が答え合わせを突き詰めている様な気がします。「あなたはどれだけ資産を築きましたか?」「今あなたは黒字体質を築けていますか?」そして来年からは新NISAが始まります。年間360万円、月額に均すと30万円、通算1800万円もの無税投資枠、これを日々の家計黒字で埋めていける人はあまり多くないと思います。当然この枠を5年間でなく年60万円30年間で埋めていくというのもありますがどちらにしても資産か、安定した投資原資を生み出す黒字家計を持つ人が有利になるのは見て取れます
一方で家計ぎりぎりのローンを組んでいる人にとっては厳しい事になってくると思います。返済がいきなり倍になる事はありえないとは思いますが、月1万円増加した時にどうなるかと言う問いがなされてくると思います。
また行政に多くを求める人も厳しくなってくるのではと感じます。
如何でしょうか?復活した金利の問いに笑顔で答えられることを祈ります。

人気記事ランキング202309

IMG_3579
写真:バスが問われた1か月

さて残暑が厳しいというか夏が続いた9月のランキングです。

1.令和の大きな宿題その18~中高年独身女性の貧困問題を整理する~
2.令和の大きな宿題その19 上がり過ぎた普通を問うもの~金融緩和の終わりに思う~
3.令和の大きな宿題外伝~電車を失った街が語る事~
4.令和の大きな宿題外伝その6~ドライバー不足の時代令和のバス転換を考える~
5.お金の話外伝その3 都会の独身女性と言うお客様~スープストック騒動に思う~

1位には令和の大きな宿題その18~中高年独身女性の貧困問題を整理する~が初の一位獲得と相成りました。この記事が読まれている反面、世の中では女性の貧困問題に対しては無関心な感じですが、ただ問題の解決につながるようなことが無かっただけに問題が解決したように思えないのは気のせいでしょうか?

2位には令和の大きな宿題その19 上がり過ぎた普通を問うもの~金融緩和の終わりに思う~が入りました。

“金利のある世界”に?どうなる住宅ローン金利@NHK2023/9/24

現状インフレや他国との金利差が要因の円安が続いている中で徐々にゼロ金利政策の終了がささやかれています。実際低金利を前提に変動金利でぎりぎりのローンを組んでいる人たちにとってはこの「金利復活」は厳しい事になると思います。

米FRB、利上げを終了する可能性を示唆=NY連銀総裁@ロイター2023/9/30

ただ現段階ではそろそろアメリカを中心とした欧米各国の利上げはそろそろ終息を見せそうな状況で、日本の金利上昇も限られたものとなるそうな気がしますが、ただ住宅ローンだけでなく「金利復活」で他にどの様な影響が出るのかは考えておく必要はあるように思います。

3位には令和の大きな宿題外伝~電車を失った街が語る事~が入りました。

宇都宮LRT「ライトライン」利用者数は予測の1.4倍 土休日が平日を上回る@鉄道プレスネット2023/9/30

先月のランキングでも少し書いた宇都宮LRTですが、利用者が好調に推移しているようです。利用者数は1日1万人を上回り、地方都市の鉄道路線としては非常に活発な利用を見せているのは厳しい話題の多かった地方の鉄道にとって明るい材料です。通勤に使える利便性を兼ね備えればクルマ社会と言われる地方でも鉄道はやっていけるし、既存の路線も「クルマ社会だから」とあきらめないでほしいなと思います。

4位には令和の大きな宿題外伝その6~ドライバー不足の時代令和のバス転換を考える~が初のランクインしました。

大阪 富田林などで運行の「金剛バス」 路線バス事業廃止へ@NHK2023/9/11

先月は大阪府のバス会社金剛バスが路線バス事業廃止を表明して大きな話題となりました。大阪都心ではないものの大阪府富田林市を中心とした大都市郊外部で一定規模の路線を運営していたバス会社だけにショックを感じた人は多かったのではと感じます。その大きな要因の1つにはこの記事で取り上げたドライバー不足の問題もあると思います。個人的には運転手の待遇改善を行いつつ出来るだけ鉄道を活用して鉄道バスの連携で出来るだけ効率的に公共交通サービスを運営してほしいと思うばかりです。

5位にはお金の話外伝その3 都会の独身女性と言うお客様~スープストック騒動に思う~が入りました。

「閉店したら困る…」 “買い物弱者” 都会でも増加@NHK2023/9/26

スープストックのある大都会とは違いますが鳥取県ではJA系スーパーの閉鎖が相次ぎ話題となっています。3・4位の記事にも共通しますが「地域の生活に欠かせないインフラをいかに維持していくか」と言うのは令和の日本にとって大きなテーマになってきそうです。

如何だったでしょうか?なんだか暗い記事が多くなってしまいましたが皆様にとっても私にとっても10月が良い月である事を祈ります。

<% for ( var i = 0; i < 7; i++ ) { %> <% } %>
<%= wdays[i] %>
<% for ( var i = 0; i < cal.length; i++ ) { %> <% for ( var j = 0; j < cal[i].length; j++) { %> <% } %> <% } %>
0) { %> id="calendar-1283272-day-<%= cal[i][j]%>"<% } %>><%= cal[i][j] %>
読者登録
広告
広告3
広告4
広告2
アーカイブ
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

ギャラリー
  • 人気記事ランキング202504
  • 人気記事ランキング202504
  • Choose or Loose課題多き参院選2025プロローグ:立憲民主党消費減税政策に思う
  • Choose or Loose課題多き参院選2025プロローグ:立憲民主党消費減税政策に思う
  • Choose or Loose課題多き参院選2025プロローグ:立憲民主党消費減税政策に思う
  • Choose or Loose課題多き参院選2025プロローグ:立憲民主党消費減税政策に思う
  • 令和の大きな宿題外伝その11~コメ高騰の原因は減反なのか~
  • 令和の大きな宿題外伝その11~コメ高騰の原因は減反なのか~
  • 令和の大きな宿題外伝その11~コメ高騰の原因は減反なのか~
楽天
  • ライブドアブログ

'); label.html('\ ライブドアブログでは広告のパーソナライズや効果測定のためクッキー(cookie)を使用しています。
\ このバナーを閉じるか閲覧を継続することでクッキーの使用を承認いただいたものとさせていただきます。
\ また、お客様は当社パートナー企業における所定の手続きにより、クッキーの使用を管理することもできます。
\ 詳細はライブドア利用規約をご確認ください。\ '); banner.append(label); var closeButton = $('