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写真:演劇に限らず、表現に必要なもの@横須賀市三笠公園野外ステージ

 さて本題の前にコロナに関する役立つ情報を
新型コロナお役立ちコーナー@首相官邸
・首相官邸での各省庁の対策のまとめサイトです。
新型コロナウイルス感染症について@神奈川県
・神奈川県庁でのコロナウィルスに関するまとめサイトです。
新型コロナウイルス感染症に関する情報(2020年4月3日更新)@横須賀市
コロナ禍から芸術を守りたい“#SaveArts”プロジェクト@READYFOR
・今回取り上げる平田オリザ氏も関わっている芸術を守るためのクラウドファンディングです。

NHKにおける私の発言に関して@青年団2020/5/9より
 私のNHKの番組出演をきっかけに、私が製造業を見下しているという、まったく根拠のない悪意のツイートが繰り返されています。
 個別のツイートには返答をしない方針ですが、記録のために、あらためて番組で語った内容を書いておきます。
 劇作家の平田オリザ氏の発言が炎上したようです。
【更新版】「文化を守るために寛容さを」劇作家 平田オリザさん @NHK2020/4/22より
 非常に難しいと聞いています。フリーランスへの支援に行政が慣れていないということが露呈してしまったかなと思います。1つには、小さな会社でも「融資を受けなさい」と言われているのですが、まず法人格がないところが多いと。それから、ぜひちょっとお考えいただきたいのは、製造業の場合は、景気が回復してきたら増産してたくさん作ってたくさん売ればいいですよね。でも私たちはそうはいかないんです。客席には数が限られてますから。製造業の場合は、景気が良くなったらたくさんものを作って売ればある程度損失は回復できる。でも私たちはそうはいかない。製造業の支援とは違うスタイルの支援が必要になってきている。観光業も同じですよね。部屋数が決まっているから、コロナ危機から回復したら儲ければいいじゃないかというわけにはいかないんです。批判をするつもりはないですけれども、そういった形のないもの、ソフトを扱う産業に対する支援というのは、まだちょっと行政が慣れていないなと感じます。 
製造業の場合は、景気が回復してきたら増産してたくさん作ってたくさん売ればいいですよね」と言う言葉が製造業を馬鹿にしているという名目でたたかれたようです。ただ前後の文脈を読むと、製造業前提で金融対応を中心とした対応が演劇だけでなく観光業も含めた第3次産業に対して対応できていないという解釈の様でそこまでおかしい事は言っていないように感じます。

野田秀樹さん「劇場閉鎖は演劇の死」 公演自粛に意見書@朝日新聞2020/3/1より
予定される公演は実施されるべきと考えます。演劇は観客がいて初めて成り立つ芸術です。スポーツイベントのように無観客で成り立つわけではありません。ひとたび劇場を閉鎖した場合、再開が困難になるおそれがあり、それは「演劇の死」を意味しかねません。
 ただ先ほどの炎上箇所以外の箇所や他の演劇関係者の発言を見るとやはり3月の野田秀樹氏の「スポーツイベントのように無観客で成り立つわけではありません」発言が大きかったと思います。結局この発言があったから演劇関係者は他の業種をこき下ろす人たちだと取った人が多かったのではないかと思います。

【更新版】「文化を守るために寛容さを」劇作家 平田オリザさん @NHK2020/4/22より
 Q:日本だけでなく、世界中でいまその危機にあるということですね。
そうですね。ただ海外の方が圧倒的に文化に対する支援がもともと強い。日本は文化政策が非常に弱いところにこれが直撃してしまったので、非常に苦しい状況にありますね。ドイツの文化担当の大臣は「芸術はただ単に必要不可欠なものだけでなく、生命維持装置だ」とまでおっしゃっている。人々が生きていくうえでどうしても必要なものなんだということですよね。
日本の舞台と芸術が死にかけている。新型コロナが落ち着いた時には手遅れになっているかもしれない@ハフィントンポスト2020/4/22より
月並みではありますが、演劇を含めた文化の土壌は国の民度を反映します。ドイツやイギリスが大幅なアーティスト支援を表明し、その額の大きさもさることながら、芸術が社会で存在することの意義を国の中枢が明言するということ自体に大きなカルチャーショックを受けました。純粋に心から羨ましい

 ただ個人的に気になったのは演劇やアートの業界は経済的に厳しいのがあってか国の政策的な予算が少ないという文句が多い点、確かに国の文化予算が増えそれがアートや芸術に回ってきたら経済的に厳しさが緩和されるというのはあるかもしれません。

#10 平田オリザ(青年団、アゴラ劇場)@ワンダーランド wonderlandより
基本給は、年齢ではなくて、出演舞台数で4段階に分かれて、新人は時給300円、これはホントに見習い期間の時給ですね。あとは400円、450円、500円と分かれている。劇団員の大部分は、時給500円です。あとは職種別に、標準がA、特殊がB、ふじみ勤務がF、いまS指定といって超特殊技能や拘束時間が長い勤務もあります。
チケットノルマという「クオリティを殺す毒」 @石田徹弥/映像作家/舞台作演出家より
簡単に説明すると、「チケットを興行主が設定した枚数、出演者等が販売責任を負う」ことです。
例えばAさんという役者が、ある舞台に出演するとします。
その際に「Aさんはチケットノルマ30枚ね」と興行主に言われます。
そうすると仮にチケットが3000円だとすると、その時点でAさんは9万円のチケットを「負担」することになります

 ただそれは補助を受ける側のアートや演劇側が政治によって問われるという事になると思います。上の引用は少なくとも5年以上前のものですが時給3~500円と言うのは、最低賃金を下回り、劇場やライブハウスなどで出てくるチケットノルマに関してはグレーな部分とは言え、公金を入れる以上、間違いなく問われる部分でしょう。
 イギリスやドイツをうらやましがるのは勝手ですが、こういった部分を改革する覚悟はあるでしょうか?

大権力者である市民から表現をいかに守るか~あいちトリエンナーレに思うその2~より
 さて表現の自由を揺さぶられたことで良くも悪しくも話題となった今回のあいちトリエンナーレ、さて今回この「表現の自由」を揺さぶった主犯はだれになるでしょうか?それはこのイベントに電凸した人たち、言うなれば一般の市民に他ならないのではないでしょうか?  そして今回の件で市民がその気になってちょっと電凸すれば表現なんて簡単につぶせる、それが多くの人の目に留まる形で示されたのが今回あいちトリエンナーレの騒動ではないかと思います。

 そして何より日本は民主主義国家である以上、民意は無視できない、昨年あいちトリエンナーレが市民による電凸で大きく揺さぶられた件も記憶に新しいところです。ドイツやイギリスでこういった問題があったかどうかは分かりませんが、少なくともかの国のアーティストたちがタダでこういった環境を勝ち取ったとは思えません。その経緯を無視してうらやましがるのは子供じみた感じがします。

【更新版】「文化を守るために寛容さを」劇作家 平田オリザさん @NHK2020/4/22より
舞台だけでなく、イベント等も一切なくなりましたので、ほぼ無収入の状態になってしまったという事なんですね。例えば私の知り合いの照明の方は、ふだんの年ならこの季節はイベントが多く1か月に25日間くらい仕事が入っていたのが、1日だけになってしまったと


 ただ演劇と言う主語を外して、新インフルエンザ特措法による自粛要請で仕事が激減して苦しんでいる働く人を救済するべきと言う視点で考えると、それはもっともな話ではありますそれはフリーランスの方も、中小企業関係者も、フリーターの方も風俗産業従事者でも一緒の事ですそこには文化の話も寛容の話も必要なく、労働権と生存権の話であり、日本国民である以上区別なく日本国政府が責任をもって救済する必要があると思われます


アフィリエイト:「ぼくのかんがえたさいきょうのバンド 」を率い続ける男の最新アルバム

昨年デビュー35周年を迎えた角松敏生 今のテクニックとスキルを持って再構築し 30年の時を越え生まれ変わった『SEA IS A LADY 2017』や ツアーについて語るインタビュー&動画コメント@ぴあ関西版WEB2017/9/5より
たとえば僕のコンサートはチケットも高いですよ。けどそれには理由があって、ダンサーを入れたり派手なセットを組んだりするとかじゃなく、技術のあるミュージシャンに定価でお願いしているからなんですよね(笑)。~中略~
でも、そういうことをしていると、本来の技術に対して投資するという考え方がなくなってきちゃうんですよね。~中略~
一番簡単な解決法は、なるべく多くの楽器を自分で演奏する(笑)。5年前に、それまで20数年間貯めていたお金をはたいてスタジオを作ったんです。スタジオ代が一番高いですからね。それをこれから回収していかないといけないので大変なんですけど(笑)


 その上で平田オリザ氏がもし演劇を守りたいというなら、どうすればよいでしょうか?ジャンルこそ違いますが平田氏の同年代にそれを実践し続ける人物がいます。長野オリンピック閉会式で歴史に残る名演を行い、「ぼくのかんがえたさいきょうのバンド 」を率い続ける男角松敏生です。
 デビュー当時から佐藤博、村上秀一、鈴木茂と言った名人とセッションし、同年代の青木智仁、浅野祥之、小林信吾、友成好宏と言ったともにその名人から学び目指して育ち、最近では山本真央樹のような親子ほど年の離れた若手ともセッションする文字通り「ぼくのかんがえたさいきょうのバンド 」を率い続ける男です。
 そしてそんな彼が大切にしていることは2つ、1つは名人の演奏を買いたたかず、技術に投資する事、そしてその名人の演奏を聴くリスナーから相応の対価を受け取る事、確かにチケットが安ければ、席が埋まらないリスクも減るでしょうし、ファンも喜ぶでしょう、そして名人を安く雇えればコストもかからず赤字のリスクも減ります。ただそれを行わず、これらをのリスクを背負い続けることで、ともに音楽を作り上げるミュージシャンだけでなく名演にお金を惜しまないファンを育て上げたのが彼のすごみです。そして何よりこういったお金の話も綺麗ごとなしで語る事が出来るという意味でファンと大人の関係を築き上げたともいえるのです。
 見た目が違うので気づきづらいですがアニメやゲームなどのオタク的な業界にも同じ匂いを感じます

青年団の豊岡移転について@青年団2017/9/2より
 なお、豊岡市内には、演劇人が常勤・非常勤で働ける多くの雇用が存在する。
【劇場が世界と地域をつなぐ】江原河畔劇場設立プロジェクト@Makuakeより
支援金額が2,000万円に達した場合は、特に若年層にとって観劇がしやすい環境をつくるために、江原河畔劇場で上演される全公演について、高校生以下の観劇を無償化します
支援金額が3,000万円に達した場合は、地域の児童が参加することを想定した、参加費無償の児童劇団を創設します
また4,000万円に達した場合は、これまで東京にて実施されてきた若手演劇人の育成機関「無隣館(※3)」を豊岡市内で再開します。(参加費も無償)


 一方平田氏はどうでしょう。平田氏は近年自分の劇団である青年団を城崎温泉で有名な兵庫県豊岡市に移転させていて、またその本拠劇場設立のためにクラウドファンディングを行っています。しかし演劇人と言う書き方をしている劇団員はそもそも演劇だけで食えない前提か、「常勤・非条件で働ける多くの雇用が存在する」とし、高校生以下の観劇無償化、参加費無償の児童劇団、参加費無償の育成機関と無償のオンパレードです。
 確かに「価値のある」演劇が無償で見れたり、学べることは価値があるかもしれません。しかし何十年も演劇を学び実践してきた演劇人が中高年になっても演劇で食べられず、フリーターのように働いているのを見た子供たちやその親たちはその演劇を「価値のあるもの」とみるでしょうか
 そういった意味で平田氏がしなくてはならないのは演劇が真に「価値のある」ものであるなら、それにふさわしい値付けをすること、その事から逃げない事ではないでしょうか
 それが出来なければ演劇・教育・芸術と美辞麗句で飾っても、結局の所若い人の人生を食らい続けるおぞましい怪物でしかなく、それに無視識・意識的に気付いた人からの悪意あるツイートは止まらないですし、演劇そのものもその文化的寿命を食らいつくしていくしかないと思いますがいかがでしょうか?