老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

森会長発言と自民党新憲法草案

2016-07-09 15:23:51 | 選挙
「国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない」。ご存知、この言葉は7月3日のリオ五輪の壮行会で、東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗氏が言い放った言葉です。彼の説教臭いスピーチを聴かされている日本代表選手たちの、晴れやかな舞台にそぐわない、憮然とした暗い表情をYouTubeで見て、「何て盛り下げ上手!」と、森氏の特異な才能?に拍手を贈りたくなったほどでした。

その後、会場のモニター画面やアナウンスで「独唱」となっていたことを知った森会長は、「案内状には『国歌斉唱』と書いてあった」「JOCの『日本代表選手団としての行動規範』では、結団式やメダルセレモニーなど公式行事で『君が代』を斉唱すること』と規定している」などと(言い訳がましく)強弁し、自分の場違いな説教への反省や謝罪はなかったようです。

また、森会長の勇み足を庇うように、『壮行会の進行が国歌「斉唱」から「独唱」に変わったことについて、JOCの平岡英介専務理事は「誤解を招くような段取りになってしまった。これからは国歌斉唱を徹底したい」と釈明した。』と7月7日の毎日新聞は伝えています。
http://mainichi.jp/sportsspecial/articles/20160708/k00/00m/050/068000c

こうして、権力を握るものの礼を失した居丈高な発言は、批判されることもなく、謝罪や取り消しもないまま、取り巻きの「忖度」や「補足」に支えられて、上からの要請、あるいは命令として定着するという例が、安倍自民党政権下、またひとつ新たに加わりました。

何て息苦しいことでしょう!これが、自民党がめざす「美しい国」日本の社会の姿なのでしょうか。

翻って、「自民党新憲法草案」を見てみると、草案3条2項に「日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない」と「国旗・国歌尊重義務」が明文化されています。

そして、すでに何度も指摘されているように、現憲法は99条で「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員」に「憲法尊重擁護義務」を課しているのに対し、自民党草案では、102条で「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」と国民に尊重義務を課し、立憲主義を否定して、憲法の役割そのものを大逆転させています。

そんなわけで、もし今度の参院選で改憲勢力が2/3議席を獲得したら、権力の座に着いたものが、「国歌を歌えないような人間は、日本人じゃない」と堂々と言ってはばからない、そんな社会を完成させる「新憲法への道」の第一歩が踏み出されるかもしれません。

あなたは、森会長のようなアナクロなおっさんに「あ~せい、こ~せい」と口出しされて、気がついたら、「余計なお世話」といえない位がんじがらめに自分の心まで縛られているというような社会を望みますか?

いよいよ明日7月10日は参院選投票日。あなたの大事な一票を投じる前に、そんな観点でもう一度考えてみるというのはいかがでしょうか。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
笹井明子
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする