戦前、外国との関係を【複雑怪奇】と嘆いた総理大臣がいたが、外交関係はまさに【生き馬の目を抜く】もので、国内政治が乱れると諸外国の干渉が激しくなる。
日本の野田政権がレ―ムダック化しているのは、衆知の事実だが、韓国の大統領も完全にレームダックと化している。国内政治が行き詰ると外国との緊張関係を作り出し、国民の関心を外にそらすのは古今東西権力者の常套手段だ。
今回の李大統領の竹島上陸は、この文脈で理解できるが、期を一にして、香港の活動家たちが尖閣に上陸した。これを仕掛けたのは、米国に本拠を置く【華人団体】。こうなってくると、どうやら、今回の領土問題のもめ事の本家本元は、米国あたりにありそうだと疑うのが筋だ。そう見ていたら、時事通信が以下のようなニュースを伝えていた。
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≪ 米超党派グループの対日政策提言要旨 ≫
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012081500982
【ワシントン時事】アーミテージ元米国務副長官らが発表した対日政策提言の要旨は次の通り。
【序文】
中国の台頭や北朝鮮の核開発に 的確に対応するには、より強力で平等な同盟が求められる。日本国民と日本政府が二流国家に甘んじる気なら、この報告書は無意味だ。日米同盟の未来は、日本が世界の舞台でより大きな貢献を果たすパートナーになるかどうかに懸かっている。日本は依然として一流国家であり続ける力を十分持つ。
【エネルギー安全保障】
原発を慎重に再稼働することは日本にとり正しくかつ責任ある措置だ。原子力は日本の包括的安保の不可欠な要素となる。日米は原子力エネルギーに関する協力を強化し、世界規模で原子力安全の促進を図るべきだ。
米国は資源ナショナリズムに訴えてはならず、民間企業の液化天然ガス(LNG)輸出を禁じてもならない。日米はメタンハイドレートの研究・開発で協力すべきだ。
【経済・貿易】
環太平洋連携 協定(TPP)交渉参加に加え、日米にカナダ、メキシコが参加する包括的経済・エネルギー・安全保障協定を締結すべきだ。
【隣国との関係】
日韓の緊張緩和のため米国は外交上の努力を尽くさなければならない。日本は韓国との関係を複雑にし続ける歴史問題にしっかり向き合うことが不可欠だ。日韓は民族主義的感情を内政上の目的に利用するのをやめるべきだ。米国を加えた3カ国で日韓の歴史問題に関する非公式な官民の取り組みを拡大させる必要がある。
日米は政策・運用両面で、中国が尖閣諸島や南シナ海に「核心的利益」を広げてくるのに対処しておく必要がある。
【新たな安保戦略】
日本はインドやオーストラリア、フィリピン、台湾との関係を強化すべきだ。イランにホルムズ海峡封鎖の兆候が出た場合、日本は単独でも掃海艇を派遣すべきだ。南シナ海の航行の自由を確保するため、米国と協力して監視活動を強化する必要もある。
サイバー攻撃への対処策を研究・開発するため、日米は「共同サイバーセキュリティー・センター」を設立すべきだ。日本の武器輸出三原則の緩和を踏まえ、日本の防衛産業に米国だけでなく豪州などへの技術移転も促すべきだ。
米軍普天間飛行場移設問題は、(日米同盟の)将来像に焦点を当てていけば解決可能だ。米政府は日米同盟深化を担当する大統領直属ポストを設置すべきだ。≫(時事通信)
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米国の産軍複合体の本音が見事なばかりに表れている文章だ。要は、原発の再稼働はやれ。TPP交渉に早く参加しろ。中国封じ込め政策に積極的に参加しろ。普天間飛行場移設問題を早く解決しろ。【日米同盟の深化】というのは、日本は独立するなんて百年早い、米国の傘の下で甘んじろ、というわけである。
つまり、今回の李大統領の竹島上陸強行や活動家の尖閣上陸は、日本や韓国の国内政治情勢のカオスに付け込んだ米国のやらせの疑いがきわめて濃いと思う。
さらに深読みすると、近く行われるであろう解散総選挙の争点を【消費税増税】や【原発問題】から、自国の領土保全や安全保障問題に転化させ、日本の安全保障強硬派連中を勝利させようという狙いが隠されている。
こう見てくると、安全保障問題における日本自立派(田中角栄・小沢一郎など)が米国産軍複合体にとって如何に邪魔な存在か良く理解できる。ここ数年の小沢叩きはこの文脈で見ておかねば、その本質を理解できない。
小沢が民主党を脱党し新党を立ち上げたその瞬間を狙って、様々な国際紛争(メドベージェフの北方領土訪問、李大統領の竹島上陸、尖閣諸島に活動家上陸など)が起きているのは、日本の国内世論のナショナリズム意識を掻き立て、日本政治を米国の傀儡政権に任せるように画策している米国産軍複合体の意図が露骨に表れている、と見るのが至当であろう。
これだけのシナリオを描き、それを実行するのだから、米国と言う国家の恐ろしさは底知れない。よほど腹を据えた対応をしないと日本は米国産軍複合体の意のままに扱われ、ペンペン草も生えない国家にされてしまうかも知れない。以前、わたしは、小沢一郎悪党論を書いたが、彼を【悪党】に仕立て上げたメディアの罪は、途方もなく大きくて深いと言わざるを得ない。
「護憲+BBS」「 政党ウォッチング」より
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