(画像は以前のものです。きょうのものではありません)
【国会傍聴記 2009-2-26 衆院予算委一般的質疑⑥日目】
午前中はNHK入りの集中審議で前原誠司さん、細野豪志さんが質問。
午後はNHKは入らず、一般的質疑⑥日目。川内博史さん、馬淵澄夫さんが余った弾を一掃し、一般的質疑は終わりました。
川内さんは、かんぽの宿の減損会計が日本郵政公社時代からはじまり、日本郵政株式会社に引き継ぐ時にはほとんど終わっていたことを明らかにしました。
パンドラの箱を開けたオリックス不動産へのバルクセール79件(世田谷物件抜き)の各年度の帳簿価格の推移を明示しました。
2003年4月1日。公社承継時(郵政事業庁→日本郵政公社)では、
土地が365億円、建物等が1360億円で総額1726億円。(端数切り捨て)
2004年3月31日には、
土地が365億円、建物等が1255億円で総額1620億円。
2005年3月31日には、
土地が365億円、建物等が1169億円で総額1535億円。
2006年3月31日には、
土地が206億円、建物等が466億円で総額672億円に急減しました。これがこの事件のミソである、「減損会計」の導入です。固定資産評価額から不動産鑑定額に切り替えたことがうかがえます。
2007年3月31日には、
土地が146億円、建物等が180億円で総額326億円へとさらに半減します。不動産鑑定士を変えた可能性があります。
その半年後、日本郵政公社閉鎖(2007年9月30日)。
2007年9月中間期決算(最終の決算)では、
土地が75億円、建物等が53億円で総額129億円まで下がります。ここだけ時間の流れが半年間ですが、総額326億円が129億円に減っています。
さらに1年の時がたち、日本郵政(株)の2008年9月中間決算では、
土地が74億円、建物等が48億円で総額123億円でした。
ということは、郵政公社の2005年4月以降に減損会計がはじまり、公社が閉鎖する2007年9月までの2年半の間に「減損会計の嵐」が吹き荒れたことになります。
不自然です。
日本郵政公社閉鎖時には、安倍さんの政権投げ出しによる政治空白(自民党総裁選)で国会が開けず、原口一博ネクスト総務相が衆院総務委員会での質問するチャンスをなくしました。翌月、原口さんはギッシリ資料が入ったカバンを持ち上げ、福田新首相に悔しさをにじませました。郵政公社の決算を国会で審査できなかったことと政権投げ出しの時期の一致には私は当時から関心を寄せていました。“謀略”とは言いませんが、安倍さんの政権投げ出しはこのような波紋をもたらしていたのです。
これに先立つ24日の基本的質疑④日目の川内質問から補足します。
簡易生命保険法1条は「かんぽの宿は簡易保険の加入者の福祉施設だ」と定めていたそうです。
そして、郵政省は「(宿泊)費用の一部を負担する」となっていました。ということは、かんぽの宿は「赤字」が前提の福祉事業だったことになります。 きょうの予算委でも日本郵政(株)の佐々木専務が「現物給付的サービスだった」と認めています。
これが郵政公社時代に、赤字だから収益還元法による減損会計で、大幅に簿価を減額したことになります。
なお、減損会計導入の決裁者については、川内さんの粘りの結果、「公社の山下理事と藤本理事が財務部門の担当者だった」という答弁がなんとか出てきています。とはいえ、この山下さん、藤本さんという人がバルクセールを謀っていた、ということではないと推測します。誰かがバックにいるでしょう。それが竹中さんなのか、生田さんなのか、西川さんなのか、宮内さんなのか。場合によっては小泉さん本人かもしれません。
先週、今週と財務金融委員会と総務委員会で松野頼久さんもかんぽの宿について徹底的に質問しています。また参院予算委には、自見庄三郎さんが名を連ねています。私は3月は、総選挙取材に力を入れますので、今年の参院予算審議は失礼しようかと思っています。興味のある方は、松野質問の議事録や、来週以降の自見さんの質問を要チェックです。
【蛇足】
ところで、「温泉」ってどういう評価額になるんでしょうね。福祉施設だろうが、ホテルだろうが、温泉の存在がイチバン集客に影響すると思うんですが。謎の多い世界にこそ悪い奴らが付け入る隙ができます。
情報公開・情報共有こそ、デモクラシーの始まりであることを再認識させられる日々でした。
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