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農業者戸別所得補償法案が参院本会議で可決
民主党の議員立法「農業者戸別所得補償法案」が9日の参院・農林水産委員会で民主党・日本共産党の賛成多数で可決されました(社民党は農水委員がいない)。
民主党の「怒濤の法案ラッシュ」では「年金流用禁止法案」に次ぎ、第2号の参院委員会での可決です。
法案はあす(9日)の参院本会議で可決→衆院に送付されます。
【追記2007-11-9】参院本会議は午前10時過ぎ、農業者戸別所得補償法案を議題に。郡司彰委員長の報告をうけて、押しボタンで投票。
投票総数 233
賛成 129
反対 104
で可決しました。【追記おわり】
これにより農政は
【自民党】品目横断的経営安定対策
vs
【民主党】農業者戸別所得補償法案
という対立軸が明確になりました。おそらく第45回総選挙もこの対立軸で闘うことになるでしょう。
10月18日に平野達男さんら民主党議員5人が法案提出。
10月30日に平野達男さんが趣旨説明し、審議入り。
それから10日後の11月8日に委員会可決にこぎ着けました。
この一連の質疑はけっこう聞いていましたので、きょうに限らず雑感をまとめます。また資料類もそろえました(長文ご容赦)。
まず流れから説明します。
民主党の参院選「マニフェスト」の当該部分をすべて抜き書きします。
★「国民の生活が第一」を実現する民主党3つの約束
3農業 農業の元気で、地域を再生。農業の「戸別所得補償制度」を創設します。
○農家に直接支払う「戸別所得補償制度」を創設して、農家が安心して農業に取り組むようにします。それにより、食料自給率を高めます。
○農業の活性化で地域社会の再生・安定と自然環境の保全を進めます。
○あらゆる食品について、食材の原産地表示を義務づけます。
○森林・林業に対する自立支援を拡充します。
(以上、民主党参院選届け出1号ビラから引用)
これを平野達男さん(岩手選挙区)らが法案化したのが、農業者戸別所得補償法案です。
10日間の審議中、自民党の「質問者」は散漫な難癖をつけるばかり。「財源措置」に関しては民主党も厳しい場面がありましたが、答弁ミスはありませんでした。
これまでの答弁は平野さん、舟山康江さん(山形選挙区)ら農水省出身の民主党議員が務めました。特に舟山さんは7月初当選。答弁を平野さんに後から修正されたのはご愛敬。MVPでしょう。法案提出者ではありませんが、米長晴信さん(山梨選挙区)もまとまりのある質問を展開し、農水委員として法案成立を最大限バックアップしました。学識経験者へのインタビューもたいしたものでした。
第21回参院選「逆転の夏」で民主党は議席だけでなく、人材も獲得したようです。
一方、自民党質問者は怒鳴り口調。質問の内容うんぬんより、「良識の府」参議院で怒鳴り口調はありません。
特に自民党の佐藤昭郎さん(全国比例)はひどかった。猛省を求めます。「国会議員」でなく「農水議員」という名刺を作った方がいいのでは?
【国会傍聴記 2007-11-8 参・農水委員会】
委員会最後の採決の場面を再現します。
政府・若林正俊農相
「政府としてはこの法案に反対です」
自民党・野村哲郎さん
「反対だ。民主党は参院選の公約を具現化した法案を出してきたと思っていたが、すべての販売農家といいながら、(当面)5品目に限っている。自治体にも新たな負担がかかる。未熟な法案だ」
民主党・青木愛さん
「賛成だ。日本の農業・農村の活性化、食料自給率向上のためには、法案を実行に移す以外、方法は無い」「日本の農業は重大な局面に直面している」「(自民党の品目横断的経営安定化策は)経営の規模によって国の支援する農業者を入り口で絞りこむという究極の選別政策だ」「農業の構造改革より(時間的に)先に個々の農業者の離農、農村の崩壊が進む」「政府の政策では日本の農業、農村を立て直すことができない」
公明党・谷合正明さん
「反対だ。マニフェストと法案で一部違いがある」
日本共産党・紙智子さん
「賛成だ」
このあと、郡司彰委員長(民主党)が審議の終局を宣言。挙手による採決の結果、賛成多数で可決しました。
なお、民主党、自民党、共産党とも「グローバリゼーション」という単語が質疑でよく出てきました。「国際化への危機意識は与野党共通だな」と感じことを付け加えておきます。
【資料編】
農業者戸別所得補償法案全文(pdfで全16枚)
この法案のダイジェスト(要綱)(pdf全4枚)
自民党の品目横断的の経営安定化対策と民主党の農業者戸別所得補償法案の比較(民主党作成資料)
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