宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

衆・倫選特別委員長の解任動議が提出 大荒れの会期末処理

2012年09月07日 12時27分25秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[画像]会期末に委員長解任動議を趣旨説明する衆議院政治倫理の確立および公職選挙法改正特別委員会、2012年9月7日、衆議院インターネット審議中継から。

 各委員会で会期末処理が行われました。

【特例公債法案、防衛省設置法改正案、総合こども園法案は審議未了で廃案に】

  ただし、衆議院社会保障と税の一体改革に関する特別委員会は開かれませんでしたので、総合こども園法案(180閣法76号)は審議未了で廃案になりました。参院の特別委員会では「消費増税反対」の請願が実に749件寄せられましたが、採択は保留して散会しました。

 また、参・財政金融委員会は「財政運営に必要な特例公債法案」(180閣法2号内閣修正衆院可決)を議題としませんでした。参・議院運営委員会が付託していないものとみられ、廃案になる見通しです。政府は第181回・秋の臨時国会の冒頭にも再度法案を出し直す必要が出てきました。ただし、公明党が「水ぶくれ予算の見直しと含めて出し直す責任は政府・民主党にある」という趣旨の発言を代表や国対委員長がしていますので、閉会中に政府の知恵や公明党とのパイプが太い新進党勢が官邸を占める野田政権の水面下での工作が期待されます。

 参院・政治倫理の確立および選挙制度改革に関する特別委員会は、衆院定数是正法案(180衆法22号、樽床伸二さんら提出)を議題とせず、審議未了・廃案となりました。秋の臨時国会の召集を待たずして超党派で合意した法案の提出と成立が衆参与野党の全議員の義務です。

 衆院安全保障委員会は、第174回国会で自民党が提出した3つの衆法を継続審査としました。しかし、今国会で防衛省の唯一の国会提出法案だった「防衛省設置法改正案」(180閣法29号)は議題とならず、審議未了廃案となりました。この法案は、昨年の通常国会で衆院可決・参院で審議未了廃案となったものを出し直したものですが、防衛官僚が国際会議で発言しやすいよう防衛政策局長の上に「防衛審議官」というポストを新設したり、防衛医科大学に看護学科を新設したりするという法案。別に防衛政策局長の肩書きで国際会議に出たり、他の学校を出た看護師を自衛隊が採用すれば事足りるわけで、自民党からも必要ないとの声があり、廃案となりました。もう出ることはないと思います。防衛省国会連絡室は、夏休みをとりやすかったかもしれません。

【衆院内閣委員会では内閣提出だけでも12議案が継続審査の渋滞続く】

 現在もっとも長くたなざらしになっている第174回通常国会提出の独禁法改正案(174閣法49号)は、衆院経産委で、民主党・自民党などの起立多数で閉会中審査(継続審議)となりました。174回国会で参院で可決寸前まで行きながら鳩山内閣総辞職など会期末の混乱で廃案となり、出し直された「地球温暖化対策基本法案」(176閣法5号)も民主党などの賛成多数で衆院環境委員会で閉会中審査となりました。が、野党・民主党が参院に出した福山・岡田法案の前提が「3・11」で大きく崩れましたので、引き続き練り直しを求められます。

 衆院内閣委員会では、閣法だけで11法案1議案の合計12本が継続審査となり、渋滞ぶりが際立ちました。枝野幸男・行政刷新相が力を入れていた「裁判官のインカメラ審査を可能とする情報公開法改正案(177閣法60号)」、中川正春国務大臣により衆院委員会での質疑答弁までこぎ着けた「労働協約権を付与する国家公務員制度改革4法案と1承認案件」(177閣法など)、マイナンバー2法案、独立行政法人通則法2法案などが民主党と公明党などの賛成多数で閉会中審査となりました。

 衆院厚生労働委員会は請願896件のうち、腎疾患に関する167件、難病・小児医療に関する131件、精神疾患の地域医療に関する10件の3類型の請願を内閣に送付することを全会一致で可決しました。そのうえで、「消えた年金の回復を受けた国民年金法の一部を改正する法案」 (179閣法15号)、「労働安全衛生法の一部を改正する法案」(179閣法16号)、「年金交付国債を外し年金特例公債に付け替える国民年金法改正案」(180閣法26号内閣修正)、3党合意に基づき社会保障と税の一体改革法を補う「年金生活者支援給付金法案」(180閣法83号)は起立多数で閉会中審査(継続審議)としました。

 そのうえで、前日に付託されたばかりの長妻昭さんら提出の「医薬品行政評価・監視委員会設置法案」(180衆法35号)は、採決の結果、起立が民主党ら22人。池田元久委員長は念のため反対者を起立させたところ、自民党ら22人。可否同数のため、国会法50条にもとづき委員長が判断し、可決、継続審査としました。

【衆院倫選特では委員長解任動議、衆院国交委・内閣委は自民党欠席】

 衆議院政治倫理の確立および公職選挙法改正特別委員会では冒頭、自民党の西野陽さんらから「赤松広隆委員長解任動議」が提出されました。そのため与党側筆頭理事の加藤公一さんが委員長代理を務め、西野陽さんが趣旨説明し、民主党の柿沼正明さんが反対討論、自民党の阿部俊子さんが反対討論、公明党の富田茂之さん、共産党の佐々木憲昭さんらも反対討論。そのうえで採決し、解任動議は否決されました。赤松委員長が席に戻ってから、自民党や公明党が提出した定数是正法案、政治資金規正法強化法案、政党助成法改正案などの各種議員立法が継続審査となりました。

 衆院国交委や衆院内閣委などで自民党が欠席しました。

【参院決算委は無念の平成22年度決算継続審査も、委員長と理事が衆院決算行政監視委に申し入れ】

 参院決算委員会では、山本順三委員長が、中川雅治、今野東両理事とともに、衆院決算行政監視委員会を訪れ、衆院先議の各年度の予備費使用調書(半年ごとにその1、その2)をもっと早く送るよう申し入れたことが紹介された後に、平成22年度決算を継続審査としました。

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