2008年8月の朝日新聞から
8-1
4日
「危ないかな」。ロビーから5mほど上った男性がそう感じた時、突然「ガクン」と揺れがあった。途端に上から人が落ちてきた。自分も体の左側を下にするかたちで落ち始めた。(朝刊35面)
東京ビッグサイトで起きた事故の記事。この文体は記事と言うよりルポだろうな。こういう文体になると文章の巧拙がモロに出る気がする。そこそこ感じが出ている文章だったが、この「自分」の使い方で引っかかった。これが「自分の体も左側を下にするかたちで落ち始めた。」ならもう少し素直。あるいは、「男性も体の左側を……」にするのが素直。「自らも体の左側を……」にしてもいい。フツーの三人称で書かれている文章に、なんでいきなり筆者が出てきたのかヒドく驚いた。この数行後にも「自分も階段で~」とある。要するに何も意識してないのね。フツーの記事を書いていなさい、と書くのはインネンだろうか。
8-2
9日
アパートではおれが洗濯、(三男)和毅が食事、(次男)大毅が掃除をした。(朝刊22面)
亀田興毅のインタビュー。聞き手は広部憲太郎記者。3人で家事を分担したと言いたかったんだろう。でも食事は3人ともしているはず。「炊事」とか、「炊事当番」とか、まあ「食事当番」でもいいや。
8-3
23日
体操、卓球や重量挙げなど、得意の競技・種目で金メダルを量産した。(朝刊15面)
オリンピックで、中国の金メダル獲得数1位が確定したことを伝える記事。共同の配信。金メダルを量産するのは、工場の仕事。世界記録を量産するならわかるけど。じゃあ、この場合どう言うかが難問。「多数の金メダルを獲得した。」くらいかな。つまんない表現だけどしかたがない。
8-4
26日
(前略)森内の強固な受けで形勢のヨリが戻った。(朝刊14面)
将棋観戦記。大川慎太郎記者。2008年1月には「形勢の」をつけない「ヨリが戻っていたのだ」って使い方があった。書き手は別人。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=700476089&owner_id=5019671
8-5
26日
いずれもプロ間で評価が高い若手ばかり。アマが1次予選突破に大きく近づくか、中堅プロがストッパーの役割を果たすか(後略)
将棋の記事。村上耕司記者。これは本文だが、リードにもほぼ同じ表現が見える。「中堅プロに……伸び盛りの若手」。大雑把に一般的なパターンを考えると、若手→中堅→トップ→ベテランくらいだろう。実際には「若手にしてトップ」ってこともある。「ベテランにしてトップ」ってのは大山康晴で終わった。「若手にして中堅クラス」はありうる。でもそれならそう書かないと。「若手ではあるがトップクラスに迫る実力者」とか。ここであげられた棋士の年齢を見ると、25歳(七段)、28歳(七段)、33歳(五段)。棋士ランクで考えると、七段の2人は「若手ではあるがトップクラスに迫る実力者」。五段の棋士は年齢は中堅だけど、少し格が落ちる。だって五段だもん。結論を言うと、この3人をひとくくりにするからむずかしくなる。もう少し書き方を工夫しないと。
4日
「危ないかな」。ロビーから5mほど上った男性がそう感じた時、突然「ガクン」と揺れがあった。途端に上から人が落ちてきた。自分も体の左側を下にするかたちで落ち始めた。(朝刊35面)
東京ビッグサイトで起きた事故の記事。この文体は記事と言うよりルポだろうな。こういう文体になると文章の巧拙がモロに出る気がする。そこそこ感じが出ている文章だったが、この「自分」の使い方で引っかかった。これが「自分の体も左側を下にするかたちで落ち始めた。」ならもう少し素直。あるいは、「男性も体の左側を……」にするのが素直。「自らも体の左側を……」にしてもいい。フツーの三人称で書かれている文章に、なんでいきなり筆者が出てきたのかヒドく驚いた。この数行後にも「自分も階段で~」とある。要するに何も意識してないのね。フツーの記事を書いていなさい、と書くのはインネンだろうか。
8-2
9日
アパートではおれが洗濯、(三男)和毅が食事、(次男)大毅が掃除をした。(朝刊22面)
亀田興毅のインタビュー。聞き手は広部憲太郎記者。3人で家事を分担したと言いたかったんだろう。でも食事は3人ともしているはず。「炊事」とか、「炊事当番」とか、まあ「食事当番」でもいいや。
8-3
23日
体操、卓球や重量挙げなど、得意の競技・種目で金メダルを量産した。(朝刊15面)
オリンピックで、中国の金メダル獲得数1位が確定したことを伝える記事。共同の配信。金メダルを量産するのは、工場の仕事。世界記録を量産するならわかるけど。じゃあ、この場合どう言うかが難問。「多数の金メダルを獲得した。」くらいかな。つまんない表現だけどしかたがない。
8-4
26日
(前略)森内の強固な受けで形勢のヨリが戻った。(朝刊14面)
将棋観戦記。大川慎太郎記者。2008年1月には「形勢の」をつけない「ヨリが戻っていたのだ」って使い方があった。書き手は別人。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=700476089&owner_id=5019671
8-5
26日
いずれもプロ間で評価が高い若手ばかり。アマが1次予選突破に大きく近づくか、中堅プロがストッパーの役割を果たすか(後略)
将棋の記事。村上耕司記者。これは本文だが、リードにもほぼ同じ表現が見える。「中堅プロに……伸び盛りの若手」。大雑把に一般的なパターンを考えると、若手→中堅→トップ→ベテランくらいだろう。実際には「若手にしてトップ」ってこともある。「ベテランにしてトップ」ってのは大山康晴で終わった。「若手にして中堅クラス」はありうる。でもそれならそう書かないと。「若手ではあるがトップクラスに迫る実力者」とか。ここであげられた棋士の年齢を見ると、25歳(七段)、28歳(七段)、33歳(五段)。棋士ランクで考えると、七段の2人は「若手ではあるがトップクラスに迫る実力者」。五段の棋士は年齢は中堅だけど、少し格が落ちる。だって五段だもん。結論を言うと、この3人をひとくくりにするからむずかしくなる。もう少し書き方を工夫しないと。