得体のしれない恐怖をマジメに考えたオカルトSFホラー映画の佳作。57点。
不況で仕事をクビになった父親と、不動産レディーの母親、そして思春期のガキとチビちゃんの4人家族は迫りくる貧困に両親はギスギス。そんなある日、夜中に家の冷蔵庫がめちゃくちゃにされる事件が発生。さらにはいろんな保存食がオブジェのように積み上げられる事件や、度重なるリアルすぎる悪夢、チビちゃんの異常行動、家を覆いつくすバードストライク等の怪奇現象が起こるようになる。いったい、この家に何が起きているのか。家族と怪奇現象の戦いが今幕を開ける。
みたいな話。
で、まぁこのルックだとなんていうか悪霊系のスーパーナチュラルホラーっぽい感じなんだろうなぁと思うんだけど、実際には宇宙人(と思われる存在)による実験でしたと言う話になるので、エッ、そうなの?ってなる。よく幽霊がポルターガイスト現象を起こしたり、謎現象を起こすのに対して「そもそもなんでそんな回りくどいことするん?」ってツッコミがあるけど、今作に関してはなんかよくわからんけど宇宙人が怖がらせることで人類の反応を研究してるんじゃないかなぁという説明がつく。う~ん、いやだからなんでそんな実験を?と思うんだけど、劇中のセリフで「ラット目線で見たら研究者の意図なんか理解できなくて当然」みたいなことを言われるので、まぁそれはそうかとギリ納得。
途中で最近のオカルトホラーにありがちな「この異常な現象は宇宙人による陰謀なのではないか」ということを母親がネットで調べていかにも陰謀論サイトに行き当たり、夫に話すも却下されるという展開があるんだけど、この映画「実際そうでした!」という話に最終的にはなって行くのが面白い。陰謀論おじさんのところにいくと何が起きてるのかを割とちゃんと説明してもらえるんだけど、最終的な(防ぎようは)ないですって言われるのも珍しいし、実際に防ぎようがなくて終わるビターさもよい。
宇宙人は家に対していたずらを仕掛けながらもチビちゃんに対して接触を試み始める。自分たちのイタズラをチビちゃんの夢の中で伝え始めるんだけど、その結果として両親、特に父親はこのイタズラはチビちゃんの仕業であるという疑心暗鬼に陥り、その証拠を探し始める。さらには宇宙人は父親にもアクセスし機構を埋め込むことで父親に対して強い怒りや幻覚を見せるように働きかけ、夫の異常行動に妻との関係はどんどん劣悪になっていき、それを見ている子供たちもどんどん不安が募っていく。
そして、仕事中の妻の異常行動による職場からの業務停止、家中を覆いつくすくらいのバードストライクによる鳥の死骸や、宇宙人によって子供たちの身体に残された痛々しいアザ、異常行動を起こした思春期ボーイの原因をその友人に求める父親による暴力行為(なお相手の父親に殴り返された模様)と、家庭内の関係悪化に重ねて周囲との関係も悪化していく。
作中ではこの宇宙人の実験内容は不明だとされているが明らかに「得体のしれない恐怖を与えることで人間を孤立させる方法」を実験しているのではないかと思えるような形で話は進んでいく。
そして最終的に宇宙人によって、思春期ボーイは連れ去られて今でも家族はみんなで彼を探していますと言う形で話は終わる。
映画的にはここで「宇宙人に最初に接触した人間が攫われる」という設定が登場し、チビちゃんが最初に異常行動を起こしたのでちびちゃんが攫われる!となっていたんだけど、実は宇宙人は思春期ボーイが赤ん坊だったころから接触しており(思春期ボーイが子供のころ異常な病気に罹っていたという伏線もある)ターゲットは思春期ボーイだった!というツイストがあるんだけど、これに関してはべつにどっちでもよくない?ってなっちゃった。どっちがターゲットでもどうせ守れてなかったし、どっちがターゲットだったかで宇宙人の研究内容の意味合いが変わってくるとかもなかったし。
まぁ、そんな感じかな。
個人的に好きだったのは思春期ボーイが友人と隠れてエロ映画見てて友人が「ソフトすぎるよな!俺だってこれくらいやったことあるぜ!」って服の上から乳揉むシーンを見てるんだけどさ。その後、友人とボーイと近所の女の子2人の4人でパーティーするときにボーイと幼馴染の女の子がちょっとイイ感じになったときにボーイがいきなり乳揉んで「バカなの?死ぬの?」って怒られてしょんぼりしてたら「キスしたこともないだろ!」って言われて、女の子主導でチューするところ。めっちゃ思春期感あってよかった。
こんな悪霊映画みたいなルックスで犯人が宇宙人で、なおかつ陰謀論通りの話なことあるんだ!っていう驚きはあるし、ホラー表現も正直凡庸ながらも一定の水準には達してるのでホラー映画好きなら別にみてもいいと思う。