理想の機種転換
昨日の記事で練習機について以下のように書きました。
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「初期型」→「改良タイプ」→「完全新型機」へと生産が移行し、その度に旧タイプは機種改変で余剰となり訓練機に回される。
そういうループは理想的で、戦況と開発が共に好調な時は行えます。
しかし戦線が悪化、あるいは開発が遅延するととたんに破綻してしまいます。
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これを書いていて思ったのは、共和国軍はまさしく理想的になっているという事です。
主力歩兵ゾイドで言えば
ガリウス
↓
ゴドス(初期型)
↓
ゴドス(改良型※)
↓
アロザウラー
といい感じに更新しています。
(※)
ゴドスはバトスト1巻戦力比較表ではイグアンに負け。しかし3巻では「引き分け」に持ち直しています。
これは改良タイプになったという事でしょう。
キットもゴドスは2バージョンあります。
初期型。これは脚部構造がガリウスと同じです。
後期型。これは脚部構造がイグアンと同じになりました。
キットが改修されたのはおそらくイグアンのキットが出たよりも後です。
バトストと絡めて考えるなら、イグアン登場に衝撃を受けた共和国軍は直ちに改良を計画した。
イグアンを鹵獲指導力周りを研究、ゴドスに転用した。
こうしてイグアンと互角に戦える改良型ゴドスが誕生した……という感じでしょうか。
共和国軍の歩兵ゾイドの更新をまとめると、
・早期にゴドスに更新した。ゴドスは小型最強の名をほしいままにした。
・イグアンの登場で小型最強の座から引きずり降ろされた。
・改良タイプになってイグアンと互角にまで向上した。
・次世代歩兵アロザウラーが登場した。
という流れです。
さて一方の帝国軍は更新が上手くいっていないなぁと思いました。
ガリウス
↓
マーダ
↓
イグアン、ハンマーロック
の順かな。
共和国軍は機種転換時は最低限の訓練で乗り換え可能なように見えます。
対して帝国軍はけっこう訓練が大変そう。
ガリウス→ゴドスはほとんど同じ操作でいけると思いますが、マーダはなぁ……。ちょっと動きが違い過ぎる。
そして注目すべき事があります。それはゲルダーの設定です。
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マーダにかわる帝国側の主力メカとして登場。
マーダは、機動性は良いものの、弱体装甲のため次第に消耗度が多くなってきた。
そのため多少機動性を犠牲にして、装甲を強化し対弾性、生存率を高めたのがこのゲルダーである。
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となっています。
マーダに代わる主力歩兵ゾイドとして、帝国軍はゲルダーを想定していたようですね……。
これが失敗に終わったのは、バトストにゲルダーがほとんど登場していない事からお察し。
もしゲルダーが大量生産されていたとしても、機種転換訓練は大変だっただろうなぁ……。
訓練に手間取っている間に共和国軍に猛攻されそうな気がする。
戦場では最高性能の兵器よりも実用性の高い必要にして十分な装備を欲している。
結局ゲルダーは主役になれずイグアンになるんですが、ここでまた不器用さを感じる。
同時期にハンマーロックという役割のかぶるゾイドを投入しているんですよね。
一応、主力歩兵ゾイドはイグアン。ハンマーロックは大型ゾイドの補佐という住み分けは設定されています。
でも各種資料を見ると、ハンマーロックにイグアンと運用上の違いは見られない。ハンマーロックも主力歩兵ゾイドとして運用されている感じがする。
登場からイグアンとハンマーロックは猛威をふるい、ゴドスを小型最強から引き摺り下ろした。
その成果はすばらしい。「ゴドスを超える歩兵ゾイドが二種類も同時に出た!」というのは心理的な効果も大きかったと思う。
ただ、国力の低い帝国は、二種類のゾイドを生産するより片方を集中的に生産した方が効率が良かったと思う。
もちろん野生体の捕獲数などゾイド特有の事情もあったとは思います。
またハンマーロックは将来アイアンコングに乗るパイロットを実戦で鍛えるという目的もあったとは思いますが……。
なお次は登場しなかった。イグアンとハンマーロックを更新するHiユニット級歩兵ゾイドは登場しなかった。それゆえ帝国軍はアロザウラーに対抗できなかった……。
これは致命的でした。
なんで帝国軍は次期歩兵ゾイドを開発しなかったんだろう?
ふと思ったんですが、ゲルダーの事例から考えて……、帝国軍はイグアンやハンマーロックの更新として「ブラックライモス」を想定していたんじゃないかな。
マーダからゲルダーへ更新しようとしていた過去を見るに、イグアン・ハンマーロックからブラックライモスへ更新しようとする考えだったような気がする。
ゲルダーは性能不足で更新の思惑は外れた。
「でもブラックライモスは傑作機だから、今度こそイケるんじゃないか?」
そう考えて、同タイプの次期歩兵ゾイド(帝国版アロザウラー的なゾイド)を開発しなかったのかも……。
ブラックライモスは傑作ですが、しかし”歩兵”ゾイドではない。イグアンとは機体特性が違うので更新しうるものではない。
帝国軍はかつて犯した歩兵ゾイド更新の失敗。それをゲルダーの性能不足に原因があったとした。
でも実際は「二足機の特性を四足機はカバーできない」事を学ぶべきだった。
帝国は思えば他にも後継機の開発が苦手だなぁ……。
ブラックライモスといえば、「レッドホーンの後継機」という設定もあるんですよね。
旧式化したレッドホーンの後継機と箱設定にあります。
でも中型では大型機の働きを全てカバーできなかったようで、けっきょくレッドホーンは最終局面まで最前線に立ち続けた。
帝国軍はレッドホーンの後継機はやはり改良型レッドホーンにするべきだった。その気になればダークホーン並とは言わないけどもディバイソンとやりあえる位の仕様にはできていたんじゃないか。
ヘルキャットの後継機開発が遅れまくったせいで、グレートサーベルを有しながらコマンドウルフを主力とする共和国軍高速部隊に敗北してしまった事もこの例。
共和国軍は上手いんだよなぁ。
ビガザウロ→ウルトラザウルス
マンモス→ディバイソン→マッドサンダー
のように後継機のつながりが非常に見えやすい。極めて理想的な開発をしていっているように見える。
旗艦ゾイドを開発する(ビガザウロ)という発想が当事としては凄いし、その後継機(ウルトラザウルス)では能力を更に強化している感じが上手い。
大型突撃機も、正直マンモスは成功とは言いがたかった。でも後継機を出すたびに仕様をブラッシュアップし実用的なゾイドにしていっているのが良い。
単発で終わってしまうことが多い帝国とは対照的です。
戦争とは残酷なことを言えば国力の勝負でもある。
国力のある国は「安定した性能の兵器を量産する」ことで勝とうとする傾向にあります。
国力の低い国は「超兵器で一発逆転を狙う」ことで勝とうとする傾向にあります。
それは戦艦大和であったり陸上戦艦ラーテであったりするのでしょう。
帝国と共和国にもその傾向があると思いました。
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「初期型」→「改良タイプ」→「完全新型機」へと生産が移行し、その度に旧タイプは機種改変で余剰となり訓練機に回される。
そういうループは理想的で、戦況と開発が共に好調な時は行えます。
しかし戦線が悪化、あるいは開発が遅延するととたんに破綻してしまいます。
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これを書いていて思ったのは、共和国軍はまさしく理想的になっているという事です。
主力歩兵ゾイドで言えば
ガリウス
↓
ゴドス(初期型)
↓
ゴドス(改良型※)
↓
アロザウラー
といい感じに更新しています。
(※)
ゴドスはバトスト1巻戦力比較表ではイグアンに負け。しかし3巻では「引き分け」に持ち直しています。
これは改良タイプになったという事でしょう。
キットもゴドスは2バージョンあります。
初期型。これは脚部構造がガリウスと同じです。
後期型。これは脚部構造がイグアンと同じになりました。
キットが改修されたのはおそらくイグアンのキットが出たよりも後です。
バトストと絡めて考えるなら、イグアン登場に衝撃を受けた共和国軍は直ちに改良を計画した。
イグアンを鹵獲指導力周りを研究、ゴドスに転用した。
こうしてイグアンと互角に戦える改良型ゴドスが誕生した……という感じでしょうか。
共和国軍の歩兵ゾイドの更新をまとめると、
・早期にゴドスに更新した。ゴドスは小型最強の名をほしいままにした。
・イグアンの登場で小型最強の座から引きずり降ろされた。
・改良タイプになってイグアンと互角にまで向上した。
・次世代歩兵アロザウラーが登場した。
という流れです。
さて一方の帝国軍は更新が上手くいっていないなぁと思いました。
ガリウス
↓
マーダ
↓
イグアン、ハンマーロック
の順かな。
共和国軍は機種転換時は最低限の訓練で乗り換え可能なように見えます。
対して帝国軍はけっこう訓練が大変そう。
ガリウス→ゴドスはほとんど同じ操作でいけると思いますが、マーダはなぁ……。ちょっと動きが違い過ぎる。
そして注目すべき事があります。それはゲルダーの設定です。
-----
マーダにかわる帝国側の主力メカとして登場。
マーダは、機動性は良いものの、弱体装甲のため次第に消耗度が多くなってきた。
そのため多少機動性を犠牲にして、装甲を強化し対弾性、生存率を高めたのがこのゲルダーである。
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となっています。
マーダに代わる主力歩兵ゾイドとして、帝国軍はゲルダーを想定していたようですね……。
これが失敗に終わったのは、バトストにゲルダーがほとんど登場していない事からお察し。
もしゲルダーが大量生産されていたとしても、機種転換訓練は大変だっただろうなぁ……。
訓練に手間取っている間に共和国軍に猛攻されそうな気がする。
戦場では最高性能の兵器よりも実用性の高い必要にして十分な装備を欲している。
結局ゲルダーは主役になれずイグアンになるんですが、ここでまた不器用さを感じる。
同時期にハンマーロックという役割のかぶるゾイドを投入しているんですよね。
一応、主力歩兵ゾイドはイグアン。ハンマーロックは大型ゾイドの補佐という住み分けは設定されています。
でも各種資料を見ると、ハンマーロックにイグアンと運用上の違いは見られない。ハンマーロックも主力歩兵ゾイドとして運用されている感じがする。
登場からイグアンとハンマーロックは猛威をふるい、ゴドスを小型最強から引き摺り下ろした。
その成果はすばらしい。「ゴドスを超える歩兵ゾイドが二種類も同時に出た!」というのは心理的な効果も大きかったと思う。
ただ、国力の低い帝国は、二種類のゾイドを生産するより片方を集中的に生産した方が効率が良かったと思う。
もちろん野生体の捕獲数などゾイド特有の事情もあったとは思います。
またハンマーロックは将来アイアンコングに乗るパイロットを実戦で鍛えるという目的もあったとは思いますが……。
なお次は登場しなかった。イグアンとハンマーロックを更新するHiユニット級歩兵ゾイドは登場しなかった。それゆえ帝国軍はアロザウラーに対抗できなかった……。
これは致命的でした。
なんで帝国軍は次期歩兵ゾイドを開発しなかったんだろう?
ふと思ったんですが、ゲルダーの事例から考えて……、帝国軍はイグアンやハンマーロックの更新として「ブラックライモス」を想定していたんじゃないかな。
マーダからゲルダーへ更新しようとしていた過去を見るに、イグアン・ハンマーロックからブラックライモスへ更新しようとする考えだったような気がする。
ゲルダーは性能不足で更新の思惑は外れた。
「でもブラックライモスは傑作機だから、今度こそイケるんじゃないか?」
そう考えて、同タイプの次期歩兵ゾイド(帝国版アロザウラー的なゾイド)を開発しなかったのかも……。
ブラックライモスは傑作ですが、しかし”歩兵”ゾイドではない。イグアンとは機体特性が違うので更新しうるものではない。
帝国軍はかつて犯した歩兵ゾイド更新の失敗。それをゲルダーの性能不足に原因があったとした。
でも実際は「二足機の特性を四足機はカバーできない」事を学ぶべきだった。
帝国は思えば他にも後継機の開発が苦手だなぁ……。
ブラックライモスといえば、「レッドホーンの後継機」という設定もあるんですよね。
旧式化したレッドホーンの後継機と箱設定にあります。
でも中型では大型機の働きを全てカバーできなかったようで、けっきょくレッドホーンは最終局面まで最前線に立ち続けた。
帝国軍はレッドホーンの後継機はやはり改良型レッドホーンにするべきだった。その気になればダークホーン並とは言わないけどもディバイソンとやりあえる位の仕様にはできていたんじゃないか。
ヘルキャットの後継機開発が遅れまくったせいで、グレートサーベルを有しながらコマンドウルフを主力とする共和国軍高速部隊に敗北してしまった事もこの例。
共和国軍は上手いんだよなぁ。
ビガザウロ→ウルトラザウルス
マンモス→ディバイソン→マッドサンダー
のように後継機のつながりが非常に見えやすい。極めて理想的な開発をしていっているように見える。
旗艦ゾイドを開発する(ビガザウロ)という発想が当事としては凄いし、その後継機(ウルトラザウルス)では能力を更に強化している感じが上手い。
大型突撃機も、正直マンモスは成功とは言いがたかった。でも後継機を出すたびに仕様をブラッシュアップし実用的なゾイドにしていっているのが良い。
単発で終わってしまうことが多い帝国とは対照的です。
戦争とは残酷なことを言えば国力の勝負でもある。
国力のある国は「安定した性能の兵器を量産する」ことで勝とうとする傾向にあります。
国力の低い国は「超兵器で一発逆転を狙う」ことで勝とうとする傾向にあります。
それは戦艦大和であったり陸上戦艦ラーテであったりするのでしょう。
帝国と共和国にもその傾向があると思いました。