日本テラデータは2017年7月25日、米国や日本、ドイツなど9カ国の大手企業の経営者900人を対象に実施した、クラウド活用の調査結果を発表した。
9カ国全体では、59%が企業内の全データをプライベートクラウドやパブリッククラウドといったクラウド環境で管理していると回答した。一方で39%の企業は、仮想化されていない自社内のサーバーなど、オンプレミスの環境で管理していることが分かった。
この調査は、企業におけるデータ活用の動向を探るため、2017年1月に実施した。特にここ最近は、クラウド事業者が大容量のストレージサービスの一機能として、管理するデータを対象にした分析機能をそろえる動きが出てきている。そういった分析にも活用できるクラウドサービスの利用実態を、今回の調査で探った。
同日、日本テラデータ本社で実施した記者説明会では、日本企業の回答者から得た結果を紹介した。企業内のすべてのデータをクラウドで管理している企業は、54%に上った。その一方、44%がオンプレミスの環境でデータを管理していると回答した。
日本テラデータの森英人執行役員Think Bigアナリティクス・ビジネス・コンサルティング・プラクティスは「クラウドでデータを管理しておけば、ビジネスに役立つ知見を、データ・アナリティクスから得たいと思ったとき、すぐに着手できるメリットがある」と話す。
調査では、日本企業の経営者の98%がデータ・アナリティクスを企業が成長するカギだと回答していることが分かった。「今後、日本の企業でも、社内の様々なデータをクラウドへ移行して活用度を高めていく動きが強まりそうだ」と、森執行役員は分析する。
森執行役員は「当社では、オンプレミス用の製品のほか、パブリッククラウドやプライベートクラウドの環境で動くソフトウエア製品、分析処理を高めたクラウドサービスであるIntelliCloudも提供する。これらを複数組み合わせた分析環境も提供できる」と強調した。
調査に関連して、日本テラデータは、企業がクラウドを導入するうえで、踏むべき四つのステップを提言した。具体的には、「オンプレミスからクラウドへ段階的に移行するアプローチを取ること」「コスト効率を分析すること」「ビジネス上のニーズに合わせて、クラウド・モデル(クラウドの活用形態)を決めること」「クラウドに移行するアプリケーションを慎重に選定すること」の四つだ。
日本テラデータの大谷内康夫エンタープライズ・データ・コンサルティング本部ビッグデータ分析ラボコンサルタントは「コスト効率の分析では、コスト削減に重点を置きすぎないことがポイントだ」と指摘した。クラウド・モデルの決定については、「パブリッククラウドやプライベートクラウド、パブリックとプライベートの両方を取り入れたハイブリッドクラウドがある。その良し悪しをつかんで、ビジネスニーズに合ったものを選択するとよい」と話した。