エンタープライズDX
インテル
クラウドに出せない情報については
ローカルで生成AIを活用する
企業はクラウドには出せない情報を多く蓄積している。こうした情報を外部に出さないまま、生成AIを使って活用したいというニーズが高まっている。また、これに対応するAI PCも日本HPなどからリリースされている。ローカルでの生成AI活用のユースケースや注意点などについて、日本HPの松本英樹氏に話を聞いた。
(聞き手:菊池隆裕 日経BP 総合研究所 上席研究員)

株式会社 日本HP
エンタープライズ営業統括
営業戦略本部
本部長
松本 英樹 氏
菊池 生成AIのビジネス活用について、現状をどのように見ていますか。
松本 一度試したものの、「期待外れだった」といった声を聞くこともあります。生成AIが幻滅期に入ったとの見方もありますが、私は先日、「OpenAI o1(オー ワン)-preview」を使ってみて衝撃を受けました。自然な会話ができますし、音声入力なども非常にスムーズです。同じChatGPT でもその世代やバージョンによって、使った人の印象は大きく変わると思います。
菊池 生成AIが業務に浸透するために、ポイントになりそうな要素はありますか。
松本 1つは、アウトプット精度やマルチモーダル化などの使い勝手の要素でしょう。もう1つのキーワードはPCなどローカルでの活用です。企業や自治体など組織の中では、クラウドに出せない情報を多く扱います。場合によっては、社外どころか隣の部門にも渡したくない情報もあります。こうした情報について閉じられた環境の中で生成AIを活用し、生産性を向上させたいと思っているユーザーは少なくありません。
菊池 ローカルで生成AIを使いたいというニーズは増えているのでしょうか。
松本 HPはインテルと共同でAI PCを開発し、2024年夏から法人向けに提供を始めています。また、私たちはAI PCで生成AIを業務で活用するためのアプリケーションを開発する企業とも連携しています。当社のパートナー企業であるWEEL社によると、生成AIをローカルで使いたいという企業からの相談が増えているとのことです。2024年6月には1件、8月には11件の問い合わせがあったそうです。これは私の肌感覚とも一致します。
営業支援、社内のQ&A、プログラミングなどの領域で
AI PCを使ってスモールスタートする
菊池 ローカルで生成AIを活用する場合、どのようなユースケースが考えられるでしょうか。
松本 例えばプログラミングです。金融機関では、システムを構成するソースコードそのものが機密扱いになっていることが多いんです。クラウド上の生成AIにコードを覚え込ませることなく、オフラインのPCの中だけでコーディング作業ができるのは時間短縮につながるため、大きなメリットです。また、現在私たちが実証実験を行っているのは、営業における商談の補助です。顧客からあらかじめ録音の許可を得て、商談のやり取りをテキスト化し、生成AIが整理してくれます。営業担当者の知らないことを質問された場合は生成AIが回答例をレコメンドしてくれるという機能もあります。
菊池 ローカルの生成AIとクラウドの生成AIはどのように使い分けるべきでしょうか。
松本 組織内の機密情報を扱う場合は、ローカルで処理しなければなりません。一方、世の中の膨大な情報を使う場合にはクラウドの生成AIが適しています。上手に使い分けることで、業務の生産性を高めることができるでしょう。
菊池 最後にローカルでの生成AI活用を検討している企業へのアドバイスをお願いします。
松本 AIは急速に進化しており、今後はAI PCに実装しやすく優秀な小型サイズの生成AIモデルが増えていくでしょう。営業や採用面接、プログラミング、クリエーティブ制作など、どんな領域でもいいので、「まずは実践する」ことが重要です。インテル® Core™ Ultra プロセッサー搭載のAI PCでスモールスタートしてみてはどうでしょうか。
お問い合わせ
- インテル株式会社
- URL:https://www.intel.co.jp/
- 株式会社 日本HP
- URL:https://www.hp.com/