我が社も社内データを活用して業績を高めたいのだが、さて何から手を付ければいいのか…。
昨今のビッグデータ分析の盛り上がりで、さまざまな企業の方からこんな悩みを打ち明けられることがあります。それも、企業のトップ層から、事業部門や情報システム部門など現場の方まで、悩みの中身は様々です。
例えば情報システム部門の方なら「情報システム部門としてビッグデータに取り組みたくとも、経営陣や事業部門を説得して巻き込んでいくのが大変で…」「そもそも事業部門の方で、どのような分析が効果的かを明らかにしてくれないと、導入するITツールを選定しようもない」と嘆きます。
その一方で、事業部門の方は「ビッグデータ分析には興味があるが、情シス(情報システム部門)と話すのは大変だし、かといって自分にはシステムの知識はないし…」「ウチは店舗出身のメンバーが中心なので、データ分析のスキルを身につけさせるのは難しそう」といった悩みを聞きます。
データを価値に結びつける――言うは易しですが、実行する現場にとっては、組織の壁、予算の壁、専門性の壁が高くそびえ立って見えているようです。
「ガスト」「ジョナサン」など外食チェーンを運営するすかいらーくは、こうした壁を乗り越え、POS(販売時点管理)データの活用法を改善することで、大きな成果をあげることができました(図1)。この成果は「これまでのソリューションと比べて一桁ないし二桁下のコスト」で、「店舗出身者が分析担当」となり、「取り組み開始から半年強」で実現することができました。
なぜ実現できたのでしょうか。こうした実績を話すと、多くの方は「すかいらーくさんは特殊なんですよ」と言われるのですが、私はそのようには考えていません。多くの企業に、こうした壁を乗り越え、同じような成果を挙げるポテンシャルがあると思います。
私は経営コンサルティング会社、ゲーム会社を経て2013年にすかいらーくに入社し、データ分析のシステム基盤や社内体制をゼロから構築しました。そこで悪戦苦闘しながら経験したこと、例えば経営陣の説得、他の事業部門や情報システム部門との交渉や巻き込み、分析基盤の立ち上げなどのコツやノウハウは、多くの企業にとっても同じように適用できるものだと思います。