「残念な人の口癖って何だろうって考えることがあるんですよね」

 書籍『残念な人の思考法』(日本経済新聞出版社)がベストセラーになった、アジルパートナーズの山崎将志氏の何気ない一言に、筆者はドキッとさせられた。2011年初夏のことである。ちょうど、日経情報ストラテジーの総力特集(2012年1月号)取材で、苦悩するミドル(中間管理職)の実情を明らかにしたいと考え始めていた矢先のことだったからである。

 山崎氏が定義する残念な人は「能力もやる気もあるのに成果を上げられないでいるビジネスパーソン」を指す。「もったいない人」と言い換えることもできる。

 さらに職場を見渡すと、残念な人は「残念な上司」と「残念な部下」に大別できるという。

「これ、やっといて」が口癖な人は要注意

 このうち、筆者は残念な上司の存在が非常に気になりだした。総力特集で明らかにしたかった、今時のミドルに欠かせない素養や能力を持たない人は、結果的に残念な上司になってしまっていると思えたからだ。

 残念な人を考察してきた山崎氏によると、残念な上司の典型は「これ、やっといて」「後はよろしく」とだけ部下に伝え、それで仕事を頼んだつもりになってしまっている人のことである。そう言われて、心当たりのある人は、ITproの読者の中にもたくさんいるのではないだろうか。