情報を共有しよう,ネットの力で会や企業をより良くするために。ネット産業の勝負はこれからだ。個として自立しよう,好きを貫こう,幸福になるために。「ウェブ時代5つの定理 この言葉が未来を切り開く!」,「私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる」(齋藤孝氏との共著)などの著者である梅田望夫氏と,Rubyの作者まつもとゆきひろ氏が,ウェブ時代を生きる人々に語りかける。
(司会:矢崎茂明=日経ソフトウエア編集/高下義弘=日経コンピュータ
構成:高橋信頼=ITpro,写真:室川イサオ) |
社会の問題をオープンソース方式で解決するには
梅田 もっと社会の問題もサメのように直してくれる人がいればいいのにと思います。
Rubyはたまたまそういう構造が出来つつあるんですが,全部のオープンソース・プロジェクトがそうなっているわけではない。我々はかなり例外的なんです。
梅田 なぜですか。
まつもと 先ほどお話した,オープンソースは多様なものであり,成功しているものもあれば停滞しているものもあるということです。
梅田 成功しているプロジェクトと停滞しているものの差を考える上で,ヒントになる話ですよね。適度なサイズに問題が分割されていて,難しい問題から簡単な問題までが発生し,中心にいる人がどんどん大きな問題を解いてるから,常に進化している。
まつもと そうすると周辺に小さな問題が発生して。
梅田 周辺の問題を解くことが,中心のリーダーの求心力によって,大きなことへの貢献につながる。
まつもと そういう構造ができると結構うまくいくんじゃないかな。
梅田 そういうふうにブレイクダウンされると初めて,オープンソースというものがソフトウエア開発だけじゃなく,社会問題の解決に向けて応用できる糸口になるような気がする。
梅田 プログラムの場合は,バグを直すというのが一意なんだよね。
まつもと そうですね。こうあるべきというのが。
梅田 イデオロギーというのか,社会をよくするって何,という議論が出てきちゃうと結構たいへんかもしれない。
まつもと 例えば人力検索はてなやOKWebなんかだと,いろんな答があって,最終的に質問した人が選ぶ。候補を出すという点では多様性が出てくるんじゃないかな。