2006年はNTT東日本/西日本のIP電話サービス「ひかり電話」にトラブルが数回発生した。この電話がかかりにくくなったというトラブルである。また,オープンソースのIP電話サーバー・ソフト「Asterisk」の本格的に導入が始まった,それから,「Skype」に050番号で着信が可能になったこともあり,導入が本格化している。2006年1日~12月22日のアクセス数を集計した結果から見えてきた傾向である。
2006年,もっとも注目を集めたトピックスは,NTT東日本/西日本のIP電話サービス「ひかり電話」のトラブルである。電話がつながらない,あるいはかかりにくくなるというトラブルが数回発生した。
一方で,オープンソースのIP電話サーバー・ソフト「Asterisk」が本格的に導入が始まった。従来,PBXなどの電話システムは,限られたベンダーの独自システムを利用するのが常識であった。これを覆す動きで,製品やアプリケーションの可能性が大きく広がった。また,フリーのソフトフォンである「Skype」に関連した製品やサービスが多く登場している。ひところのブームは過ぎたものの,相変わらず高い興味を持たれている。2006年1~12月22日の間のITpro IP電話サイトへのアクセス数を集計したからも,こういった動きに読者の関心が高いことが明らかになった。
今後のインフラ「ひかり電話」の宿命か?
ニュース部門のアクセス・ランキングでは,上位30位のうち,実に20本がひかり電話に関連した記事であった(表1)。20本のうち,1本だけ,『光る電話機「ハウディ・グローバーホン光」発売』という記事が2位に入ったが,それ以外の19本はトラブル関連の記事である。
写真●ひかり電話のトラブルについて陳謝するNTT東日本経営陣
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電話がつながらないこと自体も問題であったが,そのトラブルの原因がなかなかわからないため,なお注目を集めた。この原因を特定,発表したのが9月25日。原因は,呼制御サーバーの一部機能のソフトウエアにバグがあったこと。それがもとで呼制御サーバーが過負荷になり,電話がつながらないといったトラブルになった。原因究明に,7日間近くかかったわけである。
一方,NTT西日本のひかり電話で10月23日に発生したトラブルを報じた記事にもアクセスが集まった。同社のひかり電話サービスでは春にもトラブルが何回か発生したが,そのときはあまり注目されなかった。しかし,10月23日に発生したトラブルは,NTT東日本の9月19日のトラブルから間もないため,アクセスが多くなったと思われる。
もっとも,IP電話のトラブルは,ほかのサービスでも多く発生している。それにひかり電話の契約者は,東西NTTを合わせても,150万強(2006年9月末)に過ぎない。ところが,トラブルが発生すると注目されてしまうのは,“NTT=高信頼性”,あるいはNTTはネットワーク・インフラの核を担うという期待の裏返しなのだろう。
ニュース部門の第1位は,FMC(Fixed Mobile Convergence)に新規に060番号を割り当てる方針を報じた記事である。FMCは,固定電話と携帯電話を融合させたサービスである。総務省は,このFMCに対して,従来の090/080といった携帯電話番号や050のIP電話番号のほか,新規に080番号を割り当てる方針を打ち出した(関連記事)。これらの体系の番号を使って,固定電話でも携帯電話でも,同じ電話番号で着信できるサービスを提供することが可能になった。
Skypeは今年,一般の電話からの電話を受けられるようになった。それを報じたスカイプ社がSkypeに050番号を割り当てるという記事が3位に入っている。もっとも,同様のサービス「Multi Gateway for Skype」を,フュージョン・コミュニケーションズが2006年2月からトライアル・サービスとして提供していた(9月1日に商用化)。スカイプ社のサービスは,このMulti Gateway for Skypeの仕組みを使う。また,Skype搭載のWi-Fi端末が発売されたことを報じる記事が7位にランクインするなど,Skypeを利用した製品やサービスがいくつも登場,読者の関心を集めた。