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 最近は欲しいアプリケーションがあると、人工知能(AI)による対話サービス「ChatGPT」につくってもらうことが増えた。自分で調べてつくると半日から1日はかかるようなアプリでも、ChatGPTを使えばあっという間に出来上がる。

 AIアプリも簡単に実現できる。先日AIの取材で、オープンソースの物体検出モデルである「YOLO(You Only Look Once)」を使ったデモを見た。これを自分のパソコンでも再現できないかと思い、Pythonによるアプリの作成をChatGPTに依頼してみた。

 最初はアプリ内の画面表示がうまくいかなかったものの、数回のやり取りでトラブルは解決した。ChatGPTが生成したPythonコードを実行するとアプリが起動し、パソコンのカメラに写った複数の物体をリアルタイムに認識してそれぞれが何かを表示してくれる。こんなアプリがたった数分で出来上がるのだ。私はコードを1行も書いていない。

 当然、ソフトウエア開発のツールもAIによるアプリ生成機能を取り込み始めている。例えば、米Google(グーグル)の「AppShet」や米Microsoft(マイクロソフト)の「Power Apps」といったノーコード/ローコードツールは、生成AIによるアプリ作成機能を提供している。自然言語で指定するだけでアプリができてしまうのだ。

 米GitHub(ギットハブ)も、2024年10月末に開催した開発者向けイベント「GitHub Universe」で、自然言語による指示だけで小規模なアプリを作成できる「GitHub Spark」というサービスを発表した。既にプレビュー版の提供を始めている。アプリのプレビューに対して追加や変更を言葉で指示していくことで完成度を高める仕組みだ。

 ギットハブは生成AIによるコード補完ツール「GitHub Copilot」も提供している。同社はこれまで「ソフトウエア開発の主体はあくまで人間の開発者であり、Copilotは開発者を補佐する存在に過ぎない」と強調してきた。

 ところがGitHub Sparkでは、小規模なアプリとはいえ、AIがコード生成を全面的に担う。生成AIはもはや人間の補佐だけにとどまらない存在になったことをギットハブが認めた格好だ。