「御迷惑をお掛けしまして申し訳ございません」。東京都健康安全研究センターが2021年8月に発表したお知らせは冒頭、この言葉で始まる。
お知らせによれば、同センターが2018年に配布した乳児ボツリヌス症の予防に関するポスターやリーフレットに掲載されていたQRコードを使用すると、東京都とは関係のないWebサイトに誘導されるという。
東京都はお知らせを出した後、ポスターを配布した病院などに対して、ポスターをはがすよう依頼した。これによりポスターを貼ったままの病院はなくなったという。ただ、2018年当時にこのポスターやリーフレットを取り上げたニュース記事や病院などのブログには、QRコードやQRコードを読み取って得られるURLが掲載されたままだ。東京都が公開している資料の中にも、URLが残っている。
このURLにアクセスするとリダイレクトされて、詐欺サイトなどでよく見かけるロボットの画面が表示される。そして、カレンダーへの書き込みや不正なアプリのインストールを求められる。危険なリンク先であった。
どうしてこのような事態が発生したのか。原因には、ドメイン取引が関わっていることが分かった。取材を進めると、東京都以外にもドメイン取引に関する「怖い話」を聞くことができた。