全1829文字

Q.関西在住のシステムエンジニア(SE)です。現在、東京の顧客対応をしています。月に2回、東京へ日帰り出張して長丁場の会議をこなさなければなりません。早朝に出発し、新大阪駅に戻るのは午後9時ごろです。勤務表に業務終了時刻を午後9時と記載したところ、移動時間は残業(労働)扱いにならないと会社に指摘されました。上司の承認済みですが、確認していなかったようです。都内の同僚は日中に移動し、この時間は労働扱いです。同じ移動時間なのに、労働扱いになるか否かが変わるのはおかしいと思います。

 筆者も昔、プロジェクト会議で、毎週金曜日に大阪から東京に日帰り出張していたことがあります。遠地への日帰り出張は疲れるものです。

 管理監督者になるまでは残業手当が付きます(通常、会社では課長以上を管理監督者として位置付けています)。出張は命令によるものなので、「移動時間も含めて労働ではないのか?午後9時までが残業だろう」という質問者の気持ちは分かります。

原則、移動時間は労働にならない

 SEは現状分析や要件定義フェーズなど、顧客と頻繁に打ち合わせをします。顧客の要望をシステム要件として設計書にまとめていくのが仕事だからです。

 顧客の場所が遠いほど、移動時間は長くなります。出発は早く、帰宅は遅くなるので疲れます。それなのに移動時間が労働時間とならないのは、「不満だ」「おかしい」という意見を耳にします。

 原則、移動時間は労働にはなりません。通勤時間と同じだと考えてください。前日移動など、休日に出張移動することもあります。金曜日の出張で遅くなると、泊まってから翌日の土曜日(休日)に帰ることもあります。これらの休日移動も同様です。

 一方、移動中であっても、上司命令で仕事をしている場合は労働になります。例えば同行している上司から議事録の作成を命じられた、電話で逐次指示を受けながら緊急で提案書の修正を命じられたというような場合です。

 車中で居眠りもできない、雑誌も読めない、帰りにアルコールも飲めない、スマートフォンで動画視聴もできないというように自由ではない状態になります。これは、労働時間です。