企業が抱える情報システムの課題として、セキュリティ強化と業務効率の向上がある。事実、経営層のIT投資対象への意識調査でも「業務効率化」と「セキュリティ」が圧倒的な2トップ。しかし「投資したい」と考えている一方で、情報システム部門の人手不足などにより、進みが遅く、対応できていない企業は少なくない。

　これらの課題を効率的に解決する手段として、ファイルサーバのクラウド化が注目を集めている。クラウド化によるセキュリティ対策の強化は、単なるデータ保護にとどまらない。

　たとえば、ランサムウェア攻撃に対しては、クラウド上のバックアップと迅速な復旧機能により、被害を最小限に抑えることが可能だ。また、PPAPに代わる安全なファイル送信方法や、USBメモリーを使用しない情報共有の実現など、従来の課題も解決できる。

　同時に、クラウド化は業務効率の大幅な向上をもたらす。社外からのアクセスや大容量ファイルの送受信が容易になり、テレワーク環境の整備にも貢献する。さらに、管理者の負担軽減や、柔軟なアクセス権限設定など、運用面でのメリットも大きい。

　以降では、ファイルサーバのクラウド化がもたらす具体的なメリットや、導入時の注意点について詳しく解説する。限られたリソースで最大限の効果を得るための新たな選択肢として、クラウド化の可能性を探る。