ChatGPT-4の驚異的結果から、実は人間ってパターンマッチで会話しており文脈など理解していないのではないか……という疑念をもった方を見かけた事があります。
じゃあ言語って何やねんという事で、リベラルアーツな方々は日々議論を戦わせています。
で、この本は人間の言葉は「生成文法」や「パターンマッチ」などではなく、意志疎通の連続から言語が生まれたという仮説をたて本書で検証しています。
バベルの塔の説話のような統一言語があった訳ではなくジェスチャーや呻き声のようなものからボンヤリとしたパターンの空気感が形成され、それが言語になったというわけです。
これは知らなかったのですが、今知られている7000近い言語のうちの大半は赤道周辺に密集しているそうです。
食料確保が比較的簡単な地域では群れが固まる傾向にあるため交流が少なくなり言語が生まれる。
一方、現在の欧州のような痩せた地域では周辺の群れと交流しない事には生活を維持できないので言語が集約する傾向にある……そうです。
そういえば、中国の特に南部は山一つ隔てるとマトモに会話が成立しないと聞きますが、これはやっぱり南部は米所なのが影響しているんでしょうかね。
冒頭のGPTの話題についても著者の考えが示されています。
GPT-3時代に書かれた本である事もあるでしょうが……即興を伴うコミュニケーション能力が備わっておらず、またLLMの構造上そうはならない以上、AIに社会を乗っ取られるリスクは当面捨て置けるというのが著者の見解です。
読む切っ掛けになったツイート(死語)
「人は言語のルールを知らなくても会話している。物理法則を知らないままテニスをしたり、音楽理論を知らないまま歌をうたったりするのと同じである」──クリスチャンセン&チェイター『言語はこうして生まれる』p12
QT「人は言語のルールを知らなくても会話している。物理法則を知らないままテニスをしたり、音楽理論を知らないまま歌をうたったりするのと同じである」──クリスチャンセン&チェイター『言語はこうして生まれる』p12
— Rootport💰🍹🍑 (@rootport) June 15, 2023