2023/02/27
ホント、岸田閣下と自民の愉快な仲間達には「今日のウクライナは明日のわが身」という危機意識を益々もってもらいたいってか‥(祈願)そのためにも
「自主防衛無くして同盟無し&同盟とは相互扶助」&
「令和の大攘夷体制」履行&構築が…(思案)
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自民党大会 保守の矜持で改革進めよ
自民党は26日、党大会を開き、4月の統一地方選や国政補欠選挙での勝利を誓った。
岸田文雄首相(党総裁)は安倍晋三、菅義偉両内閣を振り返り、「民主党政権によって失われた日本の誇り、自信、活力を取り戻すために、この国を前進させた10年だった。次の10年をつくるために新たな一歩を踏み出す」と決意を語った。
政権政党としての責任の重さを改めて自覚し、保守の矜持(きょうじ)を保って改革を進めてもらいたい。
とりわけ党是である憲法改正の実現に向け、改正原案の作成にもっと主導的役割を果たすべきである。党大会で決めた運動方針には「憲政史上初の大事業である憲法改正の実現に向けてその運動を加速し、国民とともに邁進(まいしん)する」と明記した。首相は「時代は憲法の早期改正を求めている。野党の力も借り、国会の場の議論を一層積極的に行う」と意欲を示した。有言実行が求められる。
昨年の臨時国会の衆院憲法審査会では緊急事態条項の創設に関し、論点整理が行われた。首都直下地震などの大災害や有事などへの備えとして、急を要するテーマだ。憲法第9条の見直しも合意形成が急がれる。
与野党は、今国会初となる衆院憲法審査会を3月2日に開くことで合意したが、国会が1月に召集されたことを考えると、遅いと言わざるを得ない。立憲民主党の意向を踏まえたとみられる。憲法改正論議にブレーキをかけてきた立民に過度に配慮して、改憲を遠のかせることはいいかげんやめるべきである。
国家安全保障戦略など安保3文書の改定で掲げた防衛力の抜本的強化策の実現は、日本の命運に関わる。党を挙げて取り組んでもらいたい。
党大会で首相は、安定的な皇位継承策について「先送りの許されない課題で、国会での検討を進めていく」と表明した。皇位継承の最重要原則は男系(父系)継承である。この原則を踏まえた、旧宮家の男系男子の皇籍復帰実現に向け、議論を主導すべきである。
自民は昭和30年の結党以降、ほとんどの期間で政権を担い、今も衆参両院で他党の追随を許さない議席数を維持している。国政上の諸課題に対し、常に保守政党としての原点に立ち返り、勇気をもって政策を遂行してほしい。(
産経より抜粋)
ロシアが「勝てない」戦争を続ける理由、プーチン氏の失脚は?民主主義研究の世界的権威に聞く
2/16(木) 6:01配信 ダイヤモンド・オンライン
ロシアのウクライナ侵攻から約1年。民主主義研究の世界的権威として知られ、米スタンフォード大学フーバー研究所シニアフェローで、同大学政治学・社会学教授でもあるラリー・ダイアモンド氏は、ロシア・ウクライナ戦争を、経済制裁や国際的な孤立でロシアを破壊へと導く「破滅的な戦争」だと警告する。「ロシアを再び偉大な国に」という野望に突き動かされたプーチン大統領が恐れていることとは? プーチン大統領の失脚はあるのか? なぜウクライナは、民主主義にとって戦略的にもっとも重要な国なのか? 『侵食される民主主義:内部からの崩壊と専制国家の攻撃』(勁草書房、市原麻衣子監訳)の著者でもあるダイアモンド教授に話を聞いた。(ニューヨーク在住ジャーナリスト 肥田美佐子)
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● 「NATO問題は誇張されすぎている」 ウクライナ侵攻の最大の動機は?
――2022年9月に開かれたアメリカ政治学会(APSA)年次総会を取材しましたが、教授は9月17日、「How Autocracies Die」(独裁政治の死に方)と題するセッションに登壇されましたね。
ロシアや中国は存在感を増していますが、中国では、厳しいコロナ対策への反発が国内で起こるなど、変化も見られます。
ラリー・ダイアモンド(以下、ダイアモンド) 独裁政権は長期的な危機の時代に入りつつある。まさに独裁支配という特性に起因した危機だ。
10~20年前、独裁政治は「次代を担う体制」になるのではないか、という議論が盛んになされた。民主主義よりもうまく機能するというのが、その理由だった。だが近い将来、そうした議論は、今よりもっと通用しにくくなるだろう。
――教授の著書『侵食される民主主義:内部からの崩壊と専制国家の攻撃』の原著刊行は2019年6月ですが、ロシアとウクライナに関する記述もあります。例えば、上巻第6章「ロシアによる世界的な攻撃」では、プーチン大統領が2000年の就任から約20年間、「経済の近代化、一般的なロシア人の生活の質向上、ロシアの人口減少食い止めなどに失敗してきた」ため、国民の注意をそらす必要があったと書いていますね。
改めてお伺いしますが、2022年2月のウクライナ侵攻に当たり、プーチン大統領にとって最大の動機づけとなったものは何だと思いますか?
ダイアモンド 北大西洋条約機構(NATO)拡大に対する恐れでないことは確かだ。
NATO問題に注目しすぎると、プーチン大統領の真意を見失ってしまう。一方、自らの権力を維持するために侵攻に踏み切ったとも思わない。プーチン大統領は国粋主義者だ。ロシアの偉大さを取り戻すという野心を心の中に抱き続けている。トランプ前大統領の「米国を再び偉大な国に」というスローガンと相通ずるところがある。「ロシアを再び偉大な国に」するためなら、他国の犠牲もいとわない。
ロシアの国粋主義者らは、道義的にも歴史的にも誤った不当な考え方に取りつかれている。ウクライナを独立国家ではなく、「ロシアの一部」だとみなしているのだ。または、そうあるべきだと。国際法の侵害だ。プーチン大統領は、非公式な形でのソ連邦復活を望んでいる。旧ソ連邦構成国を傘下に置き、ロシア政府の意のままに従わせたいと考えているのだ。
● ウクライナ侵攻は ロシアにとっても「破滅的」だ
ダイアモンド 例えば、ベラルーシのルカシェンコ政権との関係が好例だ。2020年8月、ベラルーシで行われた大統領選挙で(親ロシアの)ルカシェンコ大統領が勝ち、不正を訴える大がかりな抗議デモが起こった際、プーチン大統領は国境周辺に治安部隊を派遣し、同政権を守った。
また、2008年8月には、ジョージアの南オセチア紛争をめぐり、ロシアは、ジョージアからの独立を目指す南オセチアを支援すべく、ジョージアに軍事侵攻を行った。
西側諸国が後押しすべきなのは、ウクライナにとどまらない。自国の完全な主権を望む国々や、ロシアと敵対するつもりはないがロシア政府の属国になる気もない国々も、支援すべきだ。
著書(下巻第11章「自由のための外交政策」)でも書いたが、かつて存在した米国の政府機関で現在は国務省に統合されている米国情報局(USIA)が行ったような、エネルギッシュで創意に富み、民主主義を推進するための大規模でポジティブな情報キャンペーンを繰り広げるべきだ。
そして、ロシアに向けて、こう発信するのだ。「イエス、ロシアも『再び偉大な国』になれる。国内の科学的・技術的人的資本を破壊的目的ではなく、イノベーションというポジティブな目的のために使うのであれば」と。
――第6章で、1991年のソビエト連邦崩壊は大半のロシア人に「近代化や西側との統合ではなく、貧困と国家の屈辱」をもたらし、それは、世界大恐慌が米国経済に与えた打撃を大きく上回るものだったと指摘していますね。
そして、そこに現れたのが、ロシアを「再び偉大な国にする」と誓った新指導者、ウラジーミル・プーチン氏だったと。プーチン大統領は独裁政権の指導者ですが、彼も一種のポピュリスト(大衆迎合主義者)といっていいのでしょうか。
ダイアモンド プーチン大統領がロシア経済の回復に取り組み、1人当たりの国民総所得増などで、経済がある程度持ち直したのは確かだ。その結果、ロシアは国際舞台で再び力を誇示するようになった。「再び偉大な国に」とまではいかなかったとしても、少なくとも国家機能を取り戻し、再び世界の大国の座に返り咲いたのだ。
だが、彼は、「ロシアを再び世界の超大国にしたい」という野心と欲望に取りつかれる一方、国内の課題を前に疑心暗鬼に陥った。そして、自国の独裁体制や汚職から国民の目をそらすべく、2014年にウクライナのクリミアを併合し、親ロ派を支援して東部ドンバス地方の大半を支配下に収め、2022年2月にはウクライナに「破滅的な戦争」を仕掛けるという、国際的な侵略行為と領土拡大に走ったのだ。
ウクライナのインフラ施設破壊や驚くべき数の死者数、戦争犯罪、大規模な人権侵害に加え、経済制裁や国際的な孤立でロシアを破壊へと導いているという意味でも、まさに「破滅的な戦争」といえる。
そして、これは中国と台湾の問題を想起させる。絶対的な権力を手にすると、誰もその指導者に進言しなくなることは歴史を見てもわかるが、中国も同じだ。私たちはウクライナ問題だけでなく、台湾に迫りくる難題にも直面している。
――欧米や日本を含めた西側諸国は、ロシアのウクライナ侵攻を受け、厳しい対ロ経済制裁を続けています。一方、第11章にはこう書かれています。「ウクライナほど、民主主義にとって戦略的に重要な国は考えにくい」と。
ウクライナは、ロシアと欧州連合(EU)の間に位置する「最大の独立国」であり、その人口はロシアのほぼ3分の1に匹敵するそうですね。民主主義にとって、なぜウクライナは戦略的にもっとも重要な国といえるのでしょうか?
● 世界は「新冷戦」へと突入 核兵器の使用に踏み切る可能性は?
ダイアモンド ウクライナが、ロシアとEU、つまり西側諸国との間に位置する大きな国で、かつ戦略的に大きな意味を持つ国だからだ。ユーラシアと欧州の懸け橋となる重要な国は2つ。ウクライナと(黒海を隔ててウクライナの南方に位置する)トルコだが、トルコがロシアの属国になるリスクがあるとは思わない。
一方、ウクライナは、同書執筆当時、ロシアがすでにクリミアを併合しており、それ以前にも、ロシアはウクライナに再三、政治介入していた。2010年には、ウクライナに親ロ派ヤヌコビッチ政権(注:ロシアのクリミア併合に有利な状況をつくったとされる)が誕生している。
その後、ウクライナでは民主主義が機能しており、汚職対策も進んでいる。同国はゼレンスキー大統領という改革者の下で西側への統合を目指し、法の支配や自由民主主義体制の実現に向けて前進している。腐敗した国のほうがコントロールしやすいため、ウクライナがこのまま自由な民主主義国家になれば、ロシアによる政治介入やコントロールの余地が少なくなる。プーチン大統領には耐えがたいことだ。
彼が、ウクライナのNATO加盟を差し迫った問題だと考えていたとは思わない。それよりも、ウクライナが永遠にロシア政府の属国でなくなり、汚職も減って、強固な法の支配の下で、より自由民主主義的な国家として成功することを危険視したのだ。
とはいえ、ロシアにもウクライナと同じチャンスがあった。安定した自由民主主義国家へと変貌し、NATOに加盟するという選択肢もあった。現在のロシアと西側諸国との「新冷戦」は、プーチン大統領の攻撃性とウクライナ侵攻、そして、視野の狭さが招いたものだ。
――教授は著書の中で、民主主義にとって「新冷戦」は望ましくないといった趣旨の指摘をしています(下巻第9章「独裁者の挑戦に対応する」)。しかし、世界はもう「新冷戦」に突入していますよね?
ダイアモンド 多くの点で、もう「新冷戦」が始まっていると考えていい。相手はロシアだけでない。中国もそうだ。「新冷戦」という言葉は使いたくないが、西側諸国はイデオロギーや規範をめぐり、民主主義ではなく独裁政治を広めようとする世界でもっともパワフルな2つの国との戦いのさなかにいる。イデオロギーだけでなく、地政学的な闘争も多くの場所で起こっている。
残念なことに、新冷戦は、かつての冷戦をほうふつさせるような、すさまじい様相を呈している。
――プーチン大統領が大規模な経済制裁で追い詰められることで、核兵器の使用に踏み切る可能性は?
ダイアモンド 経済制裁が核兵器の使用を招くとは思えない。
経済制裁以外にどんな選択肢があるというのか。ロシアと直接戦火を交えるより、はるかにましだ。私たちは、第2次世界大戦後に築いた世界――主権や人権の尊重、国境不可侵――の中で生きている。ロシアによってそうした世界が侵害されているのを目の当たりにしながら、ただ手をこまねているわけにはいかない。
ロシアのウクライナ侵攻を看過すれば、他の独裁国家が、さらに憤激に満ちた武力行使を行いかねない。他国に侵攻しても、ほとんどおとがめがないと感じるからだ。そんなことになれば、日本にとっても重大問題だ。日本も(地政学的に)脆弱な立場にいるからだ。(
Yahoo!より抜粋)
ウクライナ侵攻から1年、民主主義陣営の団結は「独裁国家」へ何をもたらしたか?米国大統領選挙の有力候補は?米専門家に聞く
2/27(月) 6:02配信 ダイヤモンド・オンライン
ロシアのウクライナ侵攻から1年余り。民主主義研究の世界的権威として知られ、米スタンフォード大学フーバー研究所シニアフェローで、同大学政治学・社会学教授でもあるラリー・ダイアモンド氏によれば、民主主義体制と独裁体制、いずれにも転びうる「揺れる国家」ウクライナをロシアから守るために、さらなる支援が必要だという。民主主義にとって、ウクライナ敗戦と台湾有事が「最大のリスク」だと話す同氏。中国の台湾侵攻はあるか? 米民主主義の行方を決める次期大統領選の見通しは? 『侵食される民主主義:内部からの崩壊と専制国家の攻撃』(勁草書房、市原麻衣子監訳)の著者でもあるダイアモンド教授に、前編に引き続き、話を聞いた。(ニューヨーク在住ジャーナリスト 肥田美佐子)
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● 民主主義と独裁体制のどちらにも転びうる 「揺れる国」ウクライナ
――教授は著書『侵食される民主主義』の中で、ウクライナは典型的な「swing state(揺れる国家)」だと書いています。「真の民主主義と法の支配に向けて前進することもできるし、腐敗したオリガルヒ(※旧ソ連解体を契機に、ロシアなどで台頭した新興財閥)に寄生されたまま、拡大主義のクレムリン(※旧ソ連政府あるいは旧ソ連共産党を指す語)に取り込まれてしまう可能性もある」と。
ラリー・ダイアモンド(以下、ダイアモンド) 「揺れる国家」とは、いずれの方向にも変わりうる国という意味だ。つまり、民主主義と独裁体制のどちらにも転びうる。「揺れる国家」の多くは、独裁体制に転じる可能性があるだけでなく、ロシアか中国、いずれかの勢力下に入る可能性もある。
だからこそ、そうした「揺れる国家」の民主主義をテコ入れし、自由民主主義の規範を順守するような、より広範な国家体制への移行を後押しすることに意味がある。
――同書には、こうも書かれています。「改革に向けた国民の圧力を築くために、ウクライナの市民社会は、欧米からの資金的・技術的支援を必要としている。また、ロシアの軍事侵略に対抗するために、防衛用軍事装備(対戦車ミサイルなど)も必要である」(下巻第11章)と。
米国は何年も前から、世界におけるプレゼンスの低下を指摘されてきました。しかし、今回は強い指導力を発揮し、大規模なウクライナ支援を続けています。何が米国をそうさせているのでしょうか。
ダイアモンド まず、断っておきたいが、原著刊行は2019年6月で、ロシアのウクライナ侵攻前だ。現況は、執筆時とは大きく違っている。ウクライナがロシアによる全面的侵攻を受けている今となっては、もっとウクライナへの支援が必要だ。ウクライナは武力侵略と戦っているのだ。
西側諸国の支援は、世界中で民主主義を求めて必死に闘っている人々を後押しするためのものだ。これは非常に重要なことだ。
――ウクライナ支援をめぐる西側諸国の団結は、民主主義にとって何を意味するのでしょうか。
ダイアモンド 明るい兆しだと思う。
● ロシアによるウクライナ侵攻は 自由民主主義陣営の目的意識を取り戻した
ダイアモンド ロシアのウクライナ侵攻という実存的な難題に直面し、西側諸国は目的意識や決断力を取り戻した。
だが、ロシアという侵略国を懲らしめ、ウクライナの人々という犠牲者に救いの手を差し伸べることにとどまらず、私たちにできる、もっとポジティブなことがたくさんある。もっと純粋に平和的なこと、つまり、世界中の民主主義的な価値や大志を支えることだ。
ロシアはデマを世界に拡散し、米国などの民主主義国家に関するウソや歪曲(わいきょく)した情報を広めることに巨費を投じ、世界の民主主義国家の裏をかこうとしている。民主主義という概念のイメージを悪くさせ、価値を下げようとしている。
一方で、イランや中国といった独裁政権の国々で、人々が立ち上がり、抗議デモが起こっているのも事実だ。
例えば、中国では、政府の厳しいコロナ対策に対する大規模なデモが見られ、ロシアでも、ウクライナ侵攻に反対するデモが起こった。ミャンマーでは、2021年2月の国軍によるクーデターを受け、自由を求める人々が果敢にも抗議デモを行った。
とはいえ、独裁政権しか知らない人々は、民主主義の実現や維持に必要な条件が何かを、熟知していない。民主主義がどのように機能するか、わかっていないのだ。独裁政権による圧制を打ちのめすのに不可欠な戦術とされる、市民による非暴力の抗議行動をどのように行うか、といったテクニックを十分に把握していない。
だからこそ、私たち民主主義国家が協力し、正しい報道や真実、ポジティブなメッセージを伝えていく必要がある。それが、民主主義という多極的世界を再確認し、支持するのに役立つ。
独裁国家の独立系メディアでは、ジャーナリストやコメンテーターが自由を求めて闘い、基本的に私たちと同じ価値を共有している。だが、そうした反体制派ジャーナリストらには、持続性のあるニュースサイトや放送局を創設し、維持するだけのお金がない。私たちは彼らに資金を提供すべきだ。そうした支援は、独裁体制の国々に民主主義的な変革をもたらす一助となる。
――ロシアへの経済制裁における西側諸国の団結は、独裁政権にとって何を意味するのでしょう?
ダイアモンド 最初に言っておきたいのだが、地政学的な呼び方である「the West(西側諸国)」というのは、あまり有用な言葉とは言えないかもしれない。「自由民主主義陣営」という意味で、「liberal democratic community」か「the community of committed democracies」のほうがいいだろう。そうした呼び方なら、欧州や北米、日本、韓国なども入るからだ。
本題に入るが、ポイントは2つある。
まず、自由民主主義陣営の団結は、独裁国家にとって、極めてパワフルな「抑止力」になりうるという点だ。
自由民主主義国家はロシアの武力侵略や威嚇を前に、萎縮したり後ずさりしたりするようなことはない。その確固たる主義主張のために立ち上がり、経済力を行使し、武力侵略に立ち向かい、必要とあらば軍事力も行使する。先進民主主義国家がこれほど団結してロシアに立ち向かい、大規模なウクライナ支援を行うことをプーチン大統領が事前に予想していたら、彼がウクライナに侵攻していたとは思わない。
2つ目のポイントは、自由民主主義陣営の団結によって、民主主義国家が独裁国家に対抗して立ち上がるときは民主主義陣営が支援に回る、というメッセージが世界に発信されたことだ。「たとえ軍事介入は行わなくても、支援する道を探りますよ」というメッセージだ。
――教授を筆頭に、多くの専門家が、米国や世界の民主主義が危機にさらされていると警鐘を鳴らしています。民主主義陣営のウクライナ支援によって、危機に瀕する民主主義はどのように強さを取り戻すことができると思いますか。
● 民主主義にとって最大のリスクとなりうる問題は ウクライナの敗戦と中国による台湾への軍事侵攻
ダイアモンド ウクライナ支援は、私たちが何者なのかを思い出させてくれる。そして、自由と民主主義を支持することが重要だということも。ひるがえって、プーチン大統領のような独裁者は無意味な破壊的状況を引き起こす。
プーチン大統領に理解を示す米議員は、今やのけ者的存在で、片隅に追いやられている。ウクライナ支援は、米国人が政治的なスタンスの違いを乗り越えて団結するのに役立つ。米国の民主主義にダメージを与えてきた政治的二極化が少しでも緩和されればいいのだが。
2022年12月21日、ウクライナのゼレンスキー大統領がワシントンDCを訪れ、米連邦議会で行った演説は、とても心に迫るものだった。そして、民主党だけでなく、(トランプ派など、長引くウクライナ支援に批判的な議員がいる)共和党からも幅広い超党派の支援を勝ち取った。
――世界の民主主義に少し光が差してきたと言ってもいいのでしょうか。
ダイアモンド そう言っていいだろう。ウクライナ支援だけではない。米国では、2022年11月に行われた中間選挙で、「選挙否定派」の共和党候補者が大敗を喫した。選挙否定派とは、2020年の大統領選でトランプ氏が負けたという事実を頑として受け入れない人々のことだ。
多くの点で、民主主義に以前より光が差してきたと言えるだろう。
――民主主義にとって、2023年に最大のリスクとなりうる問題は何でしょうか。
ダイアモンド 最大のリスクとなりうるものは2つある。
まず、ウクライナの敗戦だ。そして、中国による台湾への軍事侵攻だ。
しかし、ほかにもある。ロシア・ウクライナ戦争の陰に隠れて注目されていないが、南米ペルーなど、他の民主主義政権の崩壊だ。
以前は軍事政権でありながら40年以上前に民政に移管した民主主義国ペルーでは、昨年12月初め、カスティジョ大統領が議会による弾劾で追い落とされ、拘束されたのを機に反政府デモが続き、極めて深刻で身がすくむような政治的危機が起こっている。国が党派的イデオロギーと二極化で引き裂かれ、お粗末な統治で弱体化しているのだ。ペルーのような、南米の中でも国土の大きい国を独裁国家にするわけにはいかない。
一方、世界最大の人口を擁する民主主義国家のインドも、インド人民党(BJP)のモディ政権(によるヒンドゥー至上主義)の下で、非民主的な方向に進んでいる。
――先ほど台湾の話が出ましたが、中国は台湾に全面的な軍事侵略を行うのでしょうか。それとも、海峡を「封鎖」して台湾を孤立させ、エネルギーなどの輸入を阻むつもりでしょうか。
ダイアモンド 中国の習近平国家主席にとって、まずは2024年1月に行われる台湾の総統選挙で誰が勝つかを見極めるのが先だろう。
(中国からの独立を志向する)台湾の民主進歩党(民進党)が勝利を手にできなければ、中国の台湾侵攻は実行可能だ。
中国は最終的に、海峡封鎖で台湾を降伏に追い込むか、全面的な軍事侵攻のいずれかに向けて準備を整えるだろう。地政学専門家の見解は分かれているようだが。
一方、私の見立てでは、中国はロシアのウクライナ侵攻から教訓を学び、軍事行動の長期化を避けるはずだ。軍事行動が長引けば、米国や日本、オーストラリアをはじめとする国々が台湾防衛に回る時間的余裕が生まれるからだ。
いずれにせよ、決断するのは習近平国家主席だが、中国が短期間での台湾再統一を望むならば、驚異的な規模での圧倒的な全面的軍事侵攻になるだろう。
――『侵食される民主主義』には、米国における権威主義的ポピュリズムの台頭や民主主義の衰退などと絡め、当時大統領だったトランプ氏に関する記述もあります。一方、2019年6月の原著刊行時と比べ、現在は状況が変わりましたよね?
ダイアモンド そうだ。なにより、彼はもう大統領ではない。米国の民主主義はまだ危機を脱したわけではないが、当時よりはるかに健全になった。米国は、世界の民主主義にとって、信頼できるパートナーとして復活したのだ。
また、2022年4月に行われたフランスの大統領選では、マクロン大統領が極右のルペン下院議員を破った。ブラジルでは、同年10月の選挙で極右のボルソナロ大統領(当時)が敗れた。そうした国内外の状況を考えると、本の執筆時に比べ、少し希望が出てきた。だが、依然として民主主義には深刻な課題が立ちふさがっている。
――2024年の米国大統領選挙について、お聞きします。仮にトランプ前大統領が共和党予備選挙を勝ち抜いたとしても、中間選挙で同氏支持の候補者らが激戦州で敗北し、予想外に共和党が伸び悩んだことからもわかるように、トランプ氏は本選で無党派層などの十分な支持を得られないという見立てもあります。
● 2024年の米国大統領選挙 バイデン氏とトランプ氏以外の有力候補は?
ダイアモンド 彼が再び大統領として選出される可能性は極めて低い。「犯罪行為」と疑われる行動や精神の不安定さ、大統領としての能力の欠如など、トランプ氏の問題が次々と明らかになるにつれ、米国人は、より断固とした姿勢で、彼に背を向けつつある。
共和党の幹部や議員の間でも、「トランプは正真正銘の負け犬だ」という認識が広まっている。また、多くの政治献金者や組織が、トランプ氏を支持すべきかどうか再考し始めている。もちろん、その驚くべき政治的な打たれ強さを考えると、彼をまったく考慮に入れないのは早計だが、共和党の大統領候補者に選ばれるとは思わない。
――では、共和党予備選で、誰がトランプ前大統領に勝てると思いますか。
ダイアモンド 今のところ、フロリダ州のデサンティス知事が有力だろう。「デサンティス対トランプ」という構図だ。デサンティス知事が勝つのではないか。
――バイデン大統領の再出馬が取りざたされていますが、80歳という年齢を懸念する声もあります。
ダイアモンド 民主党が中間選挙で善戦したことを考えると、彼は再出馬しそうだ。しかし、年齢を考えると、ペロシ前下院議長のように、後進に道を譲るべきだ。
バイデン大統領が身を引けば、良き大統領として、歴史に名を残せる。だが、次期大統領選で、彼の功績の多くを覆そうとする共和党候補者に敗れるようなことがあれば、そうはならない。
――有望な民主党候補者はいますか。
ダイアモンド たくさんいる。例えば、中西部の激戦州ミシガンのグレッチェン・ウィットマー知事や、中西部ケンタッキー州のアンディ・ベシア知事、南部ノースカロライナ州のロイ・クーパー知事など、民主党には、大きな成功を収めている知事が多い。
その3人は、いずれも穏健派だ。ウィットマー知事は、ややリベラル寄りだが。ベシア知事とクーパー知事は、ケンタッキーとノースカロライナという、共和党が強い州を治めている。
上院議員の中にも、有望な候補者になりうる人が多い。私がもっとも強い印象を持っているのが、東部コネティカット州選出のクリス・マーフィー議員だ。彼は大統領選への出馬こそ口にしていないが、極めて有望な候補者になる資質を備えている。
また、ブティジェッジ米運輸長官やレモンド米商務長官も有望な候補者になりうる。彼女(レモンド商務長官)は、高い知性と穏健派としての資質を兼ね備えている。
バイデン大統領の再出馬について、「(トランプ氏などの)共和党候補者を倒せるのは彼しかいない。だから、再出馬しなければならないのだ」という理由づけを耳にするだろうが、そうは思わない。年齢を考えると、私が挙げた有望な候補者になりうる知事や上院議員、高官などに比べ、むしろ不利だと言える。
――それでも、バイデン大統領が再出馬する可能性は高いと思いますか。
ダイアモンド そう思う。(
Yahoo!より抜粋)
ウクライナ停戦に乗り出す中国 雪解けか中露ブロックか
2/27(月) 6:02配信 Wedge(ウェッジ)
ロシア軍のウクライナ侵攻開始から1年。中国がここにきて戦闘停止と和平の仲介に向け積極的な姿勢を見せ始めた。2月24日には、ウクライナ危機の政治解決に向けた「中国の立場」を示す文書を発表し、エスカレーション抑止を呼びかけた。
モスクワでプーチン大統領と会談した王毅共産党政治局員は今春にも予定される習近平国家主席の訪露の地ならしを行ったとみられ、ゼレンスキー大統領も中国の仲介は「心強い」として会合を希望している。
1年の死傷者数は32万人超。戦争の先行きが見えない中で、両国の最大貿易相手国でもある中国の和平案は事態を好転させる期待感がある。しかし、プーチン政権寄りの姿勢を見せれば、ウクライナは反発し、このことをきっかけに一気に西側諸国と対峙する中露ブロック結成につながるリスクもはらむ。
ロシア、ウクライナともに関係を深めていた中国
フランス、イタリア、ハンガリー、ドイツ、ロシアの欧州歴訪を行った王氏は各地で和平の重要性を訴え、「北京政府がウクライナ紛争の迅速な平和的解決に関心を持っており、最も積極的な役割を果たす準備ができている」と語った。
イタリアでタヤーニ副首相兼外相と会談した際には、悪化する戦況を踏まえ、「状況が混乱すればするほど、より多くの政治的、外交的努力を払わなければならない」と戦闘の速やかな停止を訴えた。
これまで両国の交渉による解決を呼びかけるだけで、どちらかと言えば仲介に及び腰だった中国の姿勢に変化が起こった理由には、(1)戦争によって不確実性が高まり、長期化は中国の発展や国内情勢にもマイナス面をもたらす、(2)ウクライナ危機の解決に関与し、欧米への発言力を高める、(3)大国としてのイメージをあげ、アフリカ・アジアなどの「グローバルサウス」諸国への影響力を高める――ことが背景にあるとみられる。
中国は1996年に「戦略的パートナーシップ」を表明し、2001年に「中露善隣友好協力条約」を締結してロシアとの関係を強化してきた。中国税関総署によると、22年の中露貿易額は1903億ドル(約24兆円)と前年比3割増え、2年連続で最高を更新した。中国は欧米の対露制裁により、行き場を失ったロシアの石油・天然ガスを購入し、戦争1年目のロシアの国家財政を支えた。
侵攻開始直前の昨年2月、プーチン氏は訪問前に新華社通信に論文を寄稿し、「ロシアと中国は国際情勢を安定化させる役割を担っている」と両国関係の重要性を訴えた。それだけに中国がとる姿勢は、「プーチンの戦争」がどのように展開して、どのような結末を迎えるのか、そして、「戦後」の国際秩序形成がどのように進捗するのかを図るうえでも重要とされてきた。
一方で、14年の首都キーウの中心部を占拠した市民と治安部隊が衝突した「マイダン革命」以降、脱ロシアが顕著になったウクライナにとっても、国内のあらゆる社会・経済層で中国の存在感は増していた。
21年4月、ゼレンスキー政権は中国のシノバック・バイオテック(科興控股生物技術)が開発した新型コロナウイルスワクチンの使用を承認。パンデミックが拡大する中で、ウクライナは欧州諸国の中でもワクチン接種プログラムは後れを取っており、保健省は声明で「このワクチンは信頼できる」と説明した。自らの影響力を高めようとする中国の「ワクチン外交」を受け入れた。
21年3月には今後のさらなる発展を促進させるため、中国国民を対象にビザ(査証)を免除することを決めた。22年は奇しくも両国が国交を樹立して30年にあたり、ゼレンスキー大統領と習主席が正月に30周年を祝う電報を交換している。
これまで、両国の仲裁にはトルコのエルドアン大統領が間に入り、精力を注いできた。昨年8月には、アフリカ諸国などでの食糧危機打開のため、黒海上に安全な海の回廊を作って、タンカー船の航行を再開させるなどの成功例はあったが、戦闘停止にまで至ることはなかった。むしろ、犠牲者数は膨らむ一方だった。
習近平の和平12提案の意味
ウクライナ側に第一印象として中国の和平案への期待感が広がったのは、王氏がミュンヘンでウクライナのクレバ外相とも会談し、この戦争におけるウクライナ側の譲れない一線に理解を示したことだ。クレバ外相は「中国は戦略的パートナー」と述べ、「領土保全の原則は両国にとって神聖であることを確認した」のだという。
23日、記者会見に応じたゼレンスキー大統領は習氏との会談の可能性に関する質問にふれ、「中国との会合を希望する。こうした会合は現在、ウクライナの国益にかなう」「大きな影響力を持つ国を含む多くの国が、ウクライナの主権を尊重しながら戦争終結に向けた方法を検討すれば、より早く実現する」と語った。
中国は、侵攻2年目にあたる24日の記念日に、ウクライナ危機の政治解決に向けた立場を示す文書を発表した。和平に向け12の提案があり、即時停戦やエスカレーション抑止のための両国の直接会談の再開、各国の主権尊重や小麦輸出のための安全な海の回廊設置まで盛り込んだ。「中国は建設的な役割を果たしたい」とも記された。
和平案はロシア、ウクライナ双方受け入れ可能な条件でなければならない。今回の和平案には、実際にどうやって戦闘停止まで持ち込むのかのメカニズムや具体策は記されておらず、実現にはまだまだハードルが立ちはだかる。さらに春にも予想されるロシア側の大規模攻勢や、ウクライナ側の反撃を抑止できるかどうかにも疑問符が付く。
一方、米国のブリンケン国務長官は独ミュンヘンでの安全保障会議で王氏と会談した際、中国がロシアに「殺傷力のある兵器」を渡す動きがあるとして、くぎを刺した。多くの専門家が中国が示す和平案はロシア寄りになるかもしれないと懸念を抱く。
しかし、損失が膨らむロシア側はこの1年間でも中国に秋波を送っている。王氏のモスクワ訪問でもその姿勢が色濃くにじみ出る場面があった。
王氏と会談したロシア国家安全保障会議のパトルシェフ書紀は「ロシアは、台湾、新疆ウイグル、香港の問題で中国政府を支持している。西側諸国は中国の信用を傷つけるために利用している」と習氏の統治を評価しているような忖度を見せた。ロシアがあからさまに台湾問題について言及するようになったのもこの1年で顕著になっている。
また、パトルシェフ氏は露中関係のさらなる深化を強調し、こう言って第三国の中露ブロックへの支持を呼び掛けた。
「露中はより公正な世界秩序を支持し、『自由で主権を重んじる発展の道』を選択する国家の増加を歓迎する」
ロシア国内でもあがる懸念
もし、中国の仲介がロシアに偏ったものとなれば、ウクライナ側も西側も大きく反発することは間違いない。侵攻2年目を迎え、火中の栗を拾うことに乗り出した中国が結局はウクライナ側に十分な配慮を示せず、仲介が失敗におわれば、「やはり中国は権威主義でロシアと結びついた」として民主主義陣営との対立が鮮明化。21世紀の新冷戦の訪れを告げる大きな出来事になるかもしれない。
米国は中露ブロックの強固な結びつきを警戒している。ウクライナ情勢だけでなく、将来の台湾有事をふまえ、アジア各国でも懸念が広がる。ロシアと中国の関係の深化、言うなれば軍事同盟化の到来を指摘する声はロシア側にも出ている。
昨年3月、ロシアの軍事評論家、ワシリー・カシン氏は「グローバル政治におけるロシア」のサイトで発表した論文で、こう記した。
「(ロシアと中国の軍事同盟については)恐らく当面は持ち上がることはない」が、しかし「仮説としては、正式な露中軍事同盟が出現する可能性や、太平洋で軍事的危機が生じた場合に応じた軍事的連携を行う可能性を排除することはできない」
「台湾をめぐる危機が生じた場合に、米国の干渉を阻止するためにロシアの『核の傘』に中国が関心を寄せるであろうことを考えると、極めて現実的である」
今春、モスクワを訪れる予定の習氏がプーチン氏とウクライナ情勢をめぐって、どのような会話を交わすかを注目したい。(
Yahoo!より抜粋)