2018/11/28
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<一帯一路>透明性や持続可能性で懸念の声 見直しの動きも
11/27(火) 19:57配信 毎日新聞
インド太平洋地域で、中国が進める経済圏構想「一帯一路」でのインフラ支援に対して、事業の透明性や持続可能性の面などで懸念する声が、援助を受けるアジア各国の間で強まっている。特に警戒が強まっているのが、膨れ上がる中国に対する債務。債務増への忌避感から、中国からの支援見直しの動きも出始めた。【ニューデリー松井聡、ジャカルタ武内彩】
11月中旬にパプアニューギニアで行われたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の場では、ペンス米副大統領が「ある国による支援はひも付きで巨額の債務に結びつく」と中国を念頭に激しく批判。一方、習近平・中国国家主席も演説で「一帯一路は幅広く歓迎されている」と主張するなど、米中首脳が舌戦を展開した。
中国による支援が警戒されるのは、安全保障面など中国の国益追求が隠れているとの不信感や、援助によって債務が膨れ上がることへの不安などがぬぐえないためだ。
米国のシンクタンク「世界開発センター」が今年3月に発表した報告書は、一帯一路の沿線68カ国のうち23カ国で債務返済のリスクが高いと指摘。うちパキスタンやジブチ、モルディブなど8カ国は債務返済が困難になる可能性が強く懸念されると警告する。
特にインド洋に浮かぶ島国、モルディブの中国の融資による対外債務の膨張は深刻だ。2016年時点で対外債務は国内総生産(GDP)の約3分の1に上る。就任したばかりの親インド派のソリ大統領に近いモルディブ民主党のファーミー議員は「対外債務の7割が中国だ。親中派のヤミーン前政権は『債務のわな』にはまった」と指摘する。
債務膨張への警戒感から、政権交代を機に中国の融資による事業見直しを進める動きも各国で出ている。今年5月の総選挙で政権を奪取したマレーシアのマハティール首相は、ナジブ前政権が中国への経済的な依存を強めて大型インフラ事業を推進した姿勢を批判。中国企業が既に着工した事業費200億ドル(約2兆2600億円)の東海岸鉄道計画などを凍結している。
長年中国と友好関係にあるパキスタンでは今年8月、イムラン・カーン政権が誕生。カーン首相は「双方の繁栄につながる」と「一帯一路」に賛意を示すものの、債務削減の観点から中国の融資による鉄道改修事業の縮小を決めた。(
Yahoo!より抜粋)
米中対立はむしろ「熱戦」
遠藤誉 | 東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士 11/28(水) 6:57
トランプ大統領が対中関税を25%に引き上げる意向だ。となれば中国に製造工場を持つアップルなどは打撃を受ける。また米議会は中国の対米投資を厳格化はしたが、対中投資する米企業への報復を避けて抑制的だ。米中の相互作用を考察する。
◆中国製品に対する関税を10%から25%に
トランプ大統領は11月26日、2000億ドル相当の中国製品に対する関税を10%から25%に引き上げるとの見通しを示したと、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。
それによれば、関税率の引き上げは来年1月1日から実施するようだが、もし中国との協議で合意できなければ、中国からの残り全ての輸入品についても関税発動に踏み切ると発言しているとのこと。
そのような中にあっても、今週末アルゼンチンで開催されるG20(20ヵ国・地域)首脳会議で、習近平国家主席と会談したい旨をトランプ大統領は1ヵ月ほど前に中国側に伝えている。
◆中国企業の対米投資制限に関して
トランプ大統領は、「中国がアメリカ企業買収やアメリカ企業への投資によってアメリカの知的財産を侵害している」として、中国の米企業買収や対米投資を阻止するための法案を議会で通そうとしていた。しかし、結果的に中国だけを狙い撃ちせずに、どの国に対しても適用される「対米外国投資委員会(Committee on Foreign Investment in the United States。以下、CFIUS)」の権力強化に留めている。CFIUSは「外国から米国への投資に対する国家安全保障の確保を目的とした審査を行う委員会」で、この「外国」は中国に限らず、日本を含めた全ての外国を対象としている。
今年8月13日、トランプ大統領は、CFIUSによる審査制度等に大きな変更を加える「2018年外国投資リスク審査近代化法(Foreign Investment Risk Review Modernization Act)」に署名し、同法が成立した。この「外国」には、日本も含まれる可能性だってある。
なぜこのような遠回りなことをしたかというと、中国だけを狙い撃つと、中国でビジネス展開をしているアメリカ企業が中国から締め出されるという報復を受ける可能性があるからだ。それほどに、中国とアメリカは互いに深く、広く、複雑に食い込んでいる。
◆清華大学経済管理学院顧問委員会の米投資ファンドCEOたち
何度も例にとって申し訳ないが、習近平の母校の清華大学経済管理学院には数十名の米大財閥が顔を揃えている。習近平は必要に応じて日頃から顧問委員会委員と連携を取っており、年に1回は総会を開く。
顧問委員会の中で、投資ファンドに特化した会社のトップが委員を務めているアメリカ企業を、いくつか列挙してみよう。
●ジェネラル・アトランティック(General Atlantic)投資グループ(委員:ウィリアム・フォードCEO)
ジェネラル・アトランティックは 1980 年に設立され、成長企業に資本と戦略的支援を長期的に提供する株式投資会社だ。ニューヨーク、グリーニッチ、パロアルト、メキシコシティ、サンパウロ、アムステルダム、ロンドン、ミュンヘン、北京、香港、ムンバイ、シンガポールなどに 100 人以上の投資専門家を置いている。
●KKR社(投資ファンド)(委員:ヘンリー・クラビス共同創設者&共同CEO)
KKRは1976年に3人のユダヤ系アメリカ人「コールバーグ(Kohlberg)、クラビス(Kravis)、ロバーツ(Roberts)」の頭文字を取った社名で設立された。世界的規模を持つ投資会社で、ニューヨークに拠点を置く。同じユダヤ系アメリカ人であるキッシンジャー元国務長官と仲が良く、もちろんキッシンジャー・アソシエイツを通して中国入りしている。
●カーライル・グループ(The Carlyle Group)(委員:デイヴィッド・ルーベンシュタイン共同創立者&共同CEO)
カーライル・グループは、アメリカ、ワシントンD.C.に本拠地を置くプライベート・エクイティ・ファンド(投資ファンド)である。1987年に設立され、現在、バイアウト(株式を買い占めることや企業を買収すること)、グロース・キャピタル(企業が投資ファンド等からのリスクマネーを利用してM&Aを行い、企業価値を向上させていく投資)、リアルエステート(不動産投資)、レバレッジド・ファイナンス(企業が他の企業の支配権を獲得する際に、その被買収企業側の資産や将来のキャッシュフローなどを担保として買収資金を融資すること。レバレッジ:てこの作用)の4つの部門に分かれている。
●ブラックストーン・グループ(The Blackstone Group)(委員:シュテファン・シュワルツマン共同創立者&CEO)
ブラックストーン・グループは、アメリカの大手の投資ファンド運用会社で、最も大きな上場株投資会社の一つである。本社はニューヨークにあり、キッシンジャー・アソシエイツはブラックストーンの本社ビルの中にある。仲の良さが窺われよう。1985年に設立。世界各地に支社を持つ。シュワルツマンは習近平政権になってから清華大学に中国の若者を対象とした人材養成のための「蘇世民書院」を設立(蘇世民はシュワルツマンの中国名)。習近平とは非常に緊密で、中国のために貢献したいという熱烈な親中派だ。ブラックストーンが保有する資産には、軍事・衛星技術関連の会社が含まれると指摘されており、この技術が中国政府に渡らないようにアメリカ政府は懸念しているようだが、習近平とシュワルツマンの緊密さは増すばかりである。シュワルツマンは、トランプの古くからの友人だったこともあり、キッシンジャーの推薦によりトランプ政権誕生当初はトランプのブレインである大統領戦略政策フォーラムの議長を務めていたが、このフォーラムはメンバー(16人)の内の何人かがトランプの政策に反対したため、その後、解散した。トランプのブレインだった人物が習近平の傍にいて習近平を熱烈に応援しているのである。この現実を見て見ぬふりをしながら、米中関係の分析をすることは不可能だ。
◆複雑に食い込んでいる米中の投資
彼らはみな米企業の対中投資をする際にアドバイスを与えながら、中国でのビジネス展開を支援し、中国企業の対米投資をも支援する。
中国にいる在米企業が、もし中国政府によって締め出されたら、アメリカ経済は崩壊に近いほど減衰する危険性を孕んでいる。だからトランプ政権は中国に対して思い切り強硬に出たくても出られない。
筆者は1990年代初期から在米の華人華僑を取材し続けてきたが、彼らは意図的にその複雑さを深めることにより、米中が戦争できないようにしているのだと言っている。
あらゆる面から米中両国は複雑に絡まっているのであり、ただ単に米中二大国が対立し、その対立がしばらくは続くということを以て、「新冷戦」などという言葉で、現在の米中関係を位置づけることは、現状の把握を誤らせる。
金融あるいは投資は、グローバルな世界で動いている。金融工学という学問にしても、実は米ソ冷戦構造の消滅によってニーズが少なくなったロケット工学などに使われる物理学の流体力学が応用されたことにより補強されたという側面を持つ。流動的なダイナミズムを持っているのだ。
だから、トランプ政権は中国の米企業買収や米企業への投資を阻止したいと思っても、一直線に中国をターゲットにした強硬な対抗法案を決議することができず、やむなくCFIUSを介して迂回しなければならなかった。
グローバルなつながりが絡み合い、複雑な「作用・反作用」の原理が動く中で、もし「○○戦」という単語を使いたいのなら、むしろ「熱戦」と言うべきで、米ソ対立時代になぞらえた「新しい冷戦」という概念を用いてしまった瞬間に、米中の実態を見失う。
◆困り果てたアップル
その証拠の一つに、中国製品に対する関税を10%から25%に引き上げたときのアップルの困惑がある。
アップル製品の多くは台湾企業を通して、中国大陸で製造している。受託しているのは台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業だが、鴻海が中国大陸に持つ生産拠点で製造している。賃金が安いからではない。大陸には膨大な数のエンジニアという「人材」がいるからだ。
いま米中対立の根幹になっている「中国製造2025」が発布された原因の一つも、実はこの事実と深く関係している。
たとえば、一台のiPhoneの利潤に関しては、理念設計側のアップルが80ドルほどを儲け、中の構成要素である半導体などのキー・パーツを製造する日本企業は20ドルほどを稼ぎ、そして組立作業しかやっていなかった中国は、ほんの数ドルしか稼ぐことができない。これが2012年9月の反日デモのときに若者の不満として噴き出した。
今般のトランプの「中国製品に対する関税を10%から25%に引き上げる」という表明に関して、アップルは猛然と反対。アメリカの消費者の反発も招くのは明らかだ。
そこでトランプはアップルのハイテク製品の関税だけは10%に留めるかもしれないと、ほのめかしている。それでもトランプの「10%から25%」にという発言が報道された瞬間に、アップルの株価は下落した。
なお、アップルのティム・クックCEOも、顧問委員会の委員である。
ことほど左様に、米中は貿易や金融、投資そして人物など、すべての面において絡み合い、「熱い戦い」を繰り広げていることを、見逃してはならない。
詳細は、来月出版される『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』で分析した。(
Yahoo!より抜粋)
ウクライナ、30日間の戒厳令へ 国連安保理、露の提案を否決 艦船拿捕問題
【モスクワ=小野田雄一、ニューヨーク=上塚真由、ベルリン=宮下日出男】ウクライナ南部クリミア半島とロシア領を隔てるケルチ海峡で、ロシアがウクライナ艦艇に発砲、拿捕(だほ)した問題で、ウクライナのポロシェンコ大統領は26日、同国の一部地域を対象に30日間の戒厳令を敷く大統領令に署名し、同国議会が承認した。
イタル・タス通信によると、同氏は「戒厳令は28日に実施する」と説明。ロシアから地上攻撃があった場合のみ適用するという。
戒厳令の対象地域は、ロシアに近い東部のドネツクやルガンスク、南部のオデッサなど計10州やケルチ海峡内側のアゾフ海。同氏は当初、戒厳令の期間を60日間とする方針を示していたが、30日間に短縮した。
一方、国連安全保障理事会は26日、拿捕問題をうけ緊急会合を開催。米国のヘイリー国連大使は「ウクライナ領に対する言語道断の主権侵害」とロシアを非難した。
ロシアのポリャンスキー国連次席大使は、ウクライナ艦艇が、ロシア当局の通告を無視して違法にロシアの領海に侵入したと主張し、ウクライナ側の「挑発行為」と訴えた。
これに対し、ウクライナのイェルチェンコ国連大使はウクライナ艦艇はロシアとの合意に従い、事前通告をした上で通行しようとしたとし、露側の主張を「完全な嘘」と批判した。
露側は国連安保理の緊急会合で、同問題について「ロシア領海への侵入」を議題に協議を行うことを提案。中国などが賛成したが、米国や英国、フランスなどの反対多数で否決された。ロシアによる2014年のクリミア併合が、国際社会に受け入れられていない現状が改めて示された形だ。
ドイツのメルケル首相は26日夜、ウクライナ艦艇を拿捕したロシアのプーチン大統領と電話会談し、「緊張緩和と対話が必要」との認識を伝えた。ロシアとウクライナ双方の専門家を交え、拿捕の状況を分析する可能性も話し合った。
メルケル氏は同日、ウクライナのポロシェンコ大統領とも電話会談し、「緊張緩和と対話」のために自身も「尽力する」として、ロシアとの間を仲介する意向を伝えた。
ウクライナ東部で同国政府軍と親露派武装勢力の紛争が激化した際、メルケル氏は15年2月、オランド仏大統領(当時)とともにロシアとウクライナの和平合意の仲介役を果たした。(
産経より抜粋)
太平洋島嶼国への中国の進出と警戒する豪州
11/28(水) 12:40配信 Wedge
太平洋の島嶼国をめぐっては、潤沢な資金援助を梃子に影響力の強化を図る中国と、それに対する警戒感を強める豪州との関係は、日米豪等が協力して推進するインド太平洋戦略にもかかわることであり、注視されている。
11月8日に豪中外相会談が北京で開かれたが、同日、モリソン豪首相は最大で30億ドルに上る「南太平洋インフラ基金」の創設を発表した。外相会談後の共同記者会見の質疑応答で、同基金について尋ねられた中国の王毅外相は、要旨、次のように答えている。
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近年、南太平洋の島嶼国は、豪州などとの伝統的な結びつきを維持する一方、それ以外の中国のような国との協力の緊密化も模索している。中国側としても、太平洋の島嶼国のニーズに喜んで応える用意がある。
中国は、南太平洋の島嶼国が世界中により多くの友人を持つことを嬉しく思う。我々は、太平洋島嶼国と豪州、そして中国の間での、正常な友好関係とウィン・ウィンの協力も喜ばしく思う。
今日の会談でペイン外相と私が達した重要な共通理解は、太平洋の島嶼国との協力では、中国と豪州にはそれぞれの強みがあるということだ。この点において、中国と豪州は競争相手ではなく協力のパートナーだ。我々は、太平洋の島嶼国を含む3極協力を実施すべく、それぞれの強みを結びつけ活用し得る、ということに同意した。 この種の3極協力は、中豪の新たな協力分野となり、太平洋の島嶼国の発展と繁栄に貢献し得る。
出典:‘Fifth Foreign and Strategic Dialogue, Diaoyutai Guest House, Beijing’(Australian Minister for Foreign Affairs, November 8)
中国は太平洋の島嶼国に対し、2011年から18年にかけて合計12億ドル以上の支援をしており、今や同地域にとり、豪州に次ぐ第二の援助国である。同地域は中国にとり、(1)アジアと中南米方面との間のシーレーンに位置する、(2)小笠原~グアム~パプアニューギニアを結ぶ「第2列島線」の南端およびその周辺に位置する、(3)台湾との国交を維持している国が多い、といった戦略的重要性を有する。第2列島線は、台湾有事の際に、米軍の来援を阻止するラインとして、中国が設定していると考えられているものである。一方、豪州は伝統的に、南太平洋島嶼国を「裏庭」とみなしてきた。中国の進出は、「太平洋版真珠の首飾り」とでも言うべき状況になり得る。
王毅外相の上記発言は、南太平洋島嶼国に対する支援において中国と豪州が協力を模索することを示唆している。仮に協力できれば、協力を通じて、「債務の罠」などの懸念が高まる中国の支援を国際水準に合致したものに誘導できる可能性が出てくるかもしれない。しかし、ペイン外相は会見で、島嶼国をめぐる協力については何も言っていない。抽象的に協力につき合意したにとどまるということだろう。外相会談の当日にモリソン首相が最大30億ドルに上る「南太平洋インフラ基金」を打ち上げたことが、豪州側の姿勢を象徴しているように思われる。同基金は、インフラ融資15億ドル、輸出金融機関向けの約7億ドルの資本などで構成され、通信、エネルギー、輸送、水などに関する重要プロジェクトが優先されるという。
ロイター通信によれば、6月に中国がパプアニューギニア北部沖合に位置するマヌス島の港湾整備に資金援助をする可能性が持ち上がったが、これに対し豪政府は同港湾整備への資金協力を発表して対抗した。モリソン首相は、豪軍兵士への演説で、太平洋島嶼国を「縄張り」と明言し、「豪州は、太平洋南西部の戦略的安全、経済的安定、政治的独立に関心を持ち続ける」と述べている。
11月16日に豪州で行われた日豪首脳会談では、「両首脳は、太平洋の経済的及び社会的な強靭性、安定性及び繁栄を支えるための、太平洋島嶼国との協働における日豪の緊密な協力の重要性を強調した。両首脳は、日本のPALM(太平洋・島サミット)プロセスと豪州のこの地域に関する『ステップ・アップ』政策に関するものを含む、太平洋における協力を強化することにコミットした」(共同プレス声明より)。王毅外相は中豪協力について示唆したが、中国が一帯一路の一環として太平洋島嶼国への関与を強めようとし、日米豪が「インド太平洋」の枠組みでこれに対抗しようとする構図に大きな変化はない。([Yahoo!]より抜粋)
中国の駐米大使、ウイグル問題で警告 「中国に制裁発動なら報復」
(CNN) 中国の少数民族ウイグル族に対する人権侵害が報告されている問題をめぐり、同国の崔天凱駐米大使は27日、トランプ米政権が中国政府に対する制裁の発動に踏み切れば中国側も報復措置に出ると警告した。
ロイター通信とのインタビューで述べた。米議会の報告書によれば、中国西部の新疆ウイグル自治区ではイスラム教徒100万人が中国政府により「再教育施設」に強制収容されたとみられている。
26日には世界各国の専門家270人が共同で声明を出し、中国政府の施策を厳しく非難。収容者らは「栄養不良の状態に置かれ、耐え難い精神的苦痛にさらされている」と主張した。
米国ではトランプ政権がこうした現状への批判を強めているほか、超党派の議員グループからも中国政府への制裁を求める声が上がっていた。
崔大使はこれらの批判に反発し、中国政府はあくまでもテロリストへの「再教育」を試みているのだと強調。中国の対応を過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」と戦う米軍になぞらえ、「ISISと戦う米国の当局者に制裁が科される事態など想像できるだろうか」と述べた。
また米軍が中東でテロリストを殺害しているのに対し、中国政府はそうしたテロリストの多くを再教育することで「彼らが普通の人間として、普通の生活に戻れるようにしている」と説明した。
そのうえで中国の当局者に何らかの制裁が科されるのであれば、中国政府も相応の報復措置に踏み切らざるを得ないと警告した。ただ具体的な報復の内容については明らかにしなかった。(
CNNより抜粋)
【政治デスクノート】プーチン氏は本当に信頼できるのか
11月14日の日露首脳会談では「1956(昭和31)年の日ソ共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させることで合意」(安倍晋三首相)した。安倍首相は来年6月に開催される20カ国・地域(G20)首脳会議の際にプーチン大統領と会談し、北方領土問題に決着をつけたい意向だ。日ソ、日露間では共同宣言の後もいくつかの合意があったが、首相が「共同宣言を基礎」としたのは両国の議会が批准し、国際法的に通用するのが結局、同宣言だけになるからということだろう。
ロシアは揺さぶり
これに対し、プーチン氏は首脳会談翌日の15日、「(歯舞群島と色丹島の)2島は何を基礎に引き渡され、島の主権はどちらになるのか、具体的にどう引き渡すのかは書かれていない」と述べた。その後もロシア側は揺さぶりをかけるような発言を繰り広げている。
実は日ソ、日露交渉の歴史はつねにロシア側に翻弄されてきた。日ソ共同宣言の過程も同様だった。
昭和29年12月に就任した鳩山一郎首相(当時、以下同じ)はソ連との国交正常化を目指した。「もし日本が国交をソ連と結ばないまま、米ソ開戦となれば、日本は戦場になってしまう」(「私の履歴書」=日本経済新聞社)のを阻止したいと考えた。国交正常化の目的はほかに、国連加盟による日本の独立の完成、北方沖での漁業問題の解決、シベリアに抑留された旧日本軍兵の早期帰還、そして北方領土の返還があった。対米重視をとった前任の吉田茂氏への対抗意識もあったろう。
30年6月に日ソの平和条約交渉が始まったものの、31年3月に中断した。
重光葵外相によると、日本側は「日本固有の領土たる南千島(北方四島)は当然、返還されるべきもの」だと訴えた。ソ連側は「歯舞、色丹は日本に引き渡す用意がある」が、国後、択捉両島については「すでにソ連に編入されたものであるから引き渡す意向のない」ことを主張して両者は平行線をたどり、「平和条約の方式で妥結をはかることは不可能」との結論になった。そこで領土問題を除く課題で合意して国交を回復するという「暫定方式」に方針転換し、同年7月末から交渉が再開した。(同年11月16日、衆院本会議)
共同宣言に調印した鳩山首相は「(米ソの)緊張緩和という時代が来るだろうと思う。そういう時代には、択捉、国後をしいて固執はしないだろう、そういう時代が領土の問題を決定するにはいい時期だろう」として、領土問題について歯舞、色丹の引き渡しも留保して「全部継続審議」にしたと説明した。(同月20、22両日、衆院日ソ共同宣言等特別委員会)
「引き渡し」の解釈も議論になっていた。日ソ交渉全権代表を務めた松本俊一衆院議員は「単なる物理的な占有の移転を表す言葉」と説明した。「歯舞、色丹は日本固有の領土」なので「こういう字句で十分だと考えた」という。同時に「ソ連側がどういうように考えておるかということは、この文字の上には全然現れていない」とも答弁した。(同月25日、同委)
外務省でロシア課長や欧州局長などを務めた小町恭士氏は著書「対ロ平和的積極外交」(中央公論新社)で、「引き渡し」についてのソ連の解釈は、第二次大戦の結果、四島は自国に帰属したが、歯舞、色丹だけは「『善意』で引き渡す」ということだった。また、ソ連にとって平和条約で積み残された問題は「引き渡しを具体的に実施する過程で生じる住民の移転問題に関連する補償などの諸々具体的な実務的問題」だったという。
日本側は、歯舞、色丹は返還の上、国後と択捉においては日本側が自由に経済活動できるという「2島返還+α」が当面の目標ではないかとされている。
これに対し、プーチン氏が歯舞、色丹の引き渡しにあたって「主権」にこだわるのは両島で生活するロシア住民の法的な地位と保護を求めるためとみられる。ロシア側は歯舞、色丹について日本の所有権を認めるにしても施政権はロシアに置くという「上下分離」方式を譲歩のラインとするかもしれない。
プーチン氏は15日、「第二次大戦後に生じた(国境と領土の)事実は文書に記されており、わが国は領土問題は存在しないと考えている」とも言い切った。国内向けの発言であるとはいえ、日ソ共同宣言時のソ連の解釈から譲歩する気がないようだ。
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の11月の合同世論調査では「四島返還を求めるべきだ」が61.6%だった。しかし、現状は「四島一括返還」どころか「二島先行返還」も厳しくなりつつあるようにみられる。
3S気質
ここで、ある元外務省幹部が語った、ロシア人の気質を表す「3S」を改めて紹介したい。
「ロシア人は、懐に飛び込まれると、なついてくる『素朴』さがある。しかし、自らに都合が悪い話になると面倒くさがるようになる『粗雑』さを出し、気に入らないことをされると、なりふり構わず襲いかかり、『粗暴』になる」
そもそもロシアは、ソ連時代を通じて「法と正義」よりも大国主義に基づく自己勝手な解釈を押し通してきた。プーチン氏とて大国主義の志向が強く、例外ではない。プーチン氏は本当に信頼できるのか。(
産経より抜粋)
ウクライナ艇拿捕 この国と平和条約交渉か
ロシアが一方的に併合したクリミア半島近くの海域で、ロシアの沿岸警備艇がウクライナ海軍の艦艇に発砲し、3隻を拿捕(だほ)した。
国連安全保障理事会が緊急会合を開催し、ヘイリー米国連大使は「ウクライナ領に対する言語道断の主権侵害」とロシアを強く非難した。
現場のケルチ海峡は、ウクライナとロシア、クリミア半島に挟まれたアゾフ海と、黒海を結ぶ。ロシア側は「領海侵入があった」と主張するが、両国は2003年、アゾフ海を両国の内海とし、すべての航行の自由を認めることで合意している。そうした状況が生じるとは考えにくい。
安倍晋三首相は20カ国・地域(G20)首脳会議の機会にロシアのプーチン大統領と会談する。その際、真っ先にこの事件についてただしてほしい。
首脳会談で論ずべきは、いかにして北方四島返還を実現するかである。これと、クリミア半島の問題は無関係ではない。ロシア(ソ連)による侵略、不法占拠という点で、2つは同根だからだ。平和条約の締結を交渉する機でも相手でもあるまい。
先の大戦末期に日本で起きたことが、14年にウクライナで繰り返されたのである。北方四島の返還要求が当然であるように、クリミア併合は断じて認められない。
ロシアは、ロシアとクリミア半島を結ぶ自動車橋をケルチ海峡に建設した。「クリミア併合」は現在進行中との認識が必要だ。
海軍艦艇拿捕も、その影響力強化の一環とみるべきだ。アゾフ海にはウクライナの主要貿易港があり、ケルチ海峡の安全が妨げられれば、大きな打撃となる。
日本は、中国の力ずくの海洋進出を封じるため、米国などと「航行の自由」を唱えている。ここでの沈黙は許されまい。
事件は、06年に日本漁船が北方領土付近の海域でロシア警備艇に発砲、拿捕され、乗組員が死亡した事件を想起させる。真相が解明されないまま船長の帰還で幕引きとなったが、こうしたあいまいな態度が、今に至るロシアの身勝手を許してきたのではないか。
事件を受けウクライナは、ロシアとの国境や黒海、アゾフ海沿岸地域に戒厳令の発動を決定した。ウクライナ東部の戦闘はなお、収束していない。責任は、ロシア側にある。(
産経より抜粋)
岩屋防衛相、いずも“空母化”とF35B導入を示唆
岩屋毅防衛相は27日の記者会見で、海上自衛隊の「いずも」型護衛艦を空母化するよう改修し、短距離滑走での離陸が可能なF35B最新鋭ステルス戦闘機を運用することに前向きな姿勢を示した。年末に策定する新たな「防衛計画の大綱」に明記する方向だ。
岩屋氏はいずも型護衛艦について「せっかくある装備なので、できるだけ多用途に使っていくことが望ましい」と指摘。F35Bの導入についても「短い滑走路で離陸できる性能を持った航空機だ。航空機体系全体をどうするかの一つとして検討している」と述べた。
自民党が5月に示した防衛大綱に向けた提言には、いずも型護衛艦を空母化改修する「多用途運用母艦」と、F35Bの導入が盛り込まれている。(
産経より抜粋)
【軍事ワールド】廃艦に実射も 新型対艦ミサイル登場
国産の対艦ミサイルでは初めて超音速のスピードで飛ぶ、新空対艦誘導弾「ASM-3」の量産が2019年度から開始される。研究開発を行った防衛装備庁では11月中旬、その開発の様子と性能の一端を「技術シンポジウム」で公開した。 (岡田敏彦)
対艦ミサイルは速さが命
ASM-3は全長約6メートル、重さ約940キロ。「空対艦」の名前通り、空中を飛ぶ戦闘機などに搭載し、艦船を攻撃するミサイルだ。同様の空対艦誘導弾である80式(ASM-1)、93式(ASM-2)の後継として平成15年から開発が始まった。制海権を握る要ともいえる新型の対艦ミサイルがら2019年度から量産される。その性能はASM-1及び2から飛躍的に向上している。特に最も重要なエンジンに最先端技術が用いられているのが特徴だ。ASM-1がロケットエンジン、同2は射程を伸ばすためターボジェットエンジンが用いられたが、「3」では個体ロケットモーターとラムジェットエンジンを組み合わせたもの(インテグラル・ロケット・ラムジェットエンジン)を採用。これにより超音速巡航が可能となった。最高速度もマッハ3(音速の3倍)以上で、1,2が音速に届かなかったことに比べ格段の進歩を遂げた。この速度向上は、敵の迎撃を防ぐために欠かせない。
地球の丸さのため、艦船は水平線下から低高度で迫るミサイルを探知できる距離は限られている。迎え撃つにはレーダーにより数十キロ先で発見し、機関砲や対空ミサイルで迎撃するのだが、発見から“命中”までは1分もないとされる。
もちろん向かってくるミサイルが1発きりという状況もありえず、前後左右から迫る多数のミサイルを数十秒のうちに全て撃ち落とさないと撃沈の憂き目に遭う。この状況でミサイルの速さが3倍になれば、迎撃可能時間は従来比で3分の1になる。対艦ミサイルの速さは重要な性能なのだ。
2つの誘導方式
そのキモとなる技術は、ラムジェットエンジンだ。一般にエンジンは空気を圧縮して燃料を吹き付け爆発的なエネルギーを得ている。車の場合はピストンで圧縮し、ジェットエンジンの場合はタービン羽で圧縮する。そしてラムジェットの場合は、速い速度(空気抵抗による圧力)で圧縮する(漏斗をイメージすればわかりやすい)。機械可動部はほとんど必要なく、いったんロケットで高速を得れば、あとの圧縮は速度におまかせという具合だ。
その早いミサイルを誘導する方式は「アクティブ電波とパッシブ電波の複合誘導方式となっており、高い耐妨害性を有する」(防衛装備庁)。ミサイル自身が電波を発し、跳ね返ってきた電波で目標位置を得るのが「アクティブ」。そして目標が警戒のため作動させているレーダー電波を受信し、その電波発信元を割り出すのが「パッシブ」で、ASM-3はこの2種を駆使して目標に向かう。優秀な“目”を持たせたのにも理由がある。その一つは、搭載母機を守るためだ。
誘導弾が初めて使われた第二次大戦時はもちろん、ベトナム戦争でも空対地ミサイルの誘導は発射母機の乗組員の仕事だった。当然、自身の放ったミサイルが目標に当たるまで誘導を続ける必要があるため、敵の対空ミサイルや機関砲弾が飛び交う「危険な空域」にとどまらなければならなかった。
一方でASM-3は射程が大きく伸びたため敵のレーダーの探知範囲外からの発射が可能となった。そして優秀な“目”によって、いわゆる「打ちっ放し」が可能となっている。
まそたんの“裏側”
その開発は平成22(2010)年度から28年度まで開発施策、29年度まで技術試験。そして29年度には実用試験として実射が行われた。実行したのは航空自衛隊岐阜基地の「飛行開発実験団」所属のF-2戦闘機だった。
岐阜基地では11月18日に航空祭が行われ、同基地を部隊にしたSFアニメ「ひそねとまそたん」とのつながりを大々的にアピール。アニメの総監督を務めた樋口真嗣さんと声優の久野美咲さんを招いてトークショーを行ったほか、「まそたん」として登場する機番999のF-15イーグル戦闘機を機番まで再現して展示し、広報活動に力を入れた。一方、重要な任務の「飛行開発実験」についても各種展示が行われ、そのなかにはASM-3の試験用モデルも展示していた。その試験の実際とは-
標的は「しらね」
防衛装備庁によるとASM-3の性能確認試験には、飛行開発実験団のF-2戦闘機がASM-3発射専用の改修を受けて発射母機として任務にあたった。さらにASM-3の飛翔の状況を確認、記録するために特殊な装備(テレメーター中継ポッド)を搭載したF-15戦闘機2機が参加した。
一方、実射の目標となったのは海上自衛隊護衛艦として昭和55(1975)年に就役、老朽化のため平成27(2015)年に除籍された「しらね」が選ばれた。ただ標的と言っても、ミサイル命中により激しく壊れてしまうと、ミサイルの威力その他の調査ができない-極端に言えば、沈んでしまっては調査できない-ため、内部の構造に補強を施して標的としている。この大がかりな発射試験は29年度に若狭湾(京都府~福井県)北方の臨時射場で行われたという。
このほか、全長約6メートルにもなる大型のASM-3をF-2戦闘機に搭載した場合に、F-2にどんな影響が現れるか、飛行特性の変化などを調べる試験や、緊急時などに投棄する場合の試験も行われている。
実は投棄といってもただ落せばいいというものではなく、翼から離れたあと気流の影響で機体に衝突したりという危険性も無視できないのだ。また、目標を探知するセンサーの実験には別の現役護衛艦の協力を得るなど、さまざまな試験を経てASM-3は量産にこぎ着けた。ASM-3は改修を加えることで、多くの護衛艦が備える垂直型ミサイル発射装置にも搭載可能とされており、今後は艦艇への搭載も検討されるとみられる。(
産経より抜粋)
G20で日米印首脳会談へ 米高官表明、対中の連携狙い
11/28(水) 13:07配信 朝日新聞デジタル
米ホワイトハウスのボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)は27日の記者会見で、アルゼンチンで30日から開かれる20カ国・地域(G20)首脳会合の場で、トランプ大統領と安倍晋三首相、インドのモディ首相による日米印首脳会談が行われることを明らかにした。アジア太平洋で存在感を高める中国にインドと連携して対抗し、日米が掲げるアジア政策「自由で開かれたインド太平洋」構想を推進する狙いがある。
ボルトン氏は会見で「トランプ氏は日本の首相と会う。この2者会談はそのあとに、インドのモディ首相も参加する3者会談に移行する」と語った。
「自由で開かれたインド太平洋」構想は、トランプ大統領が昨年11月、ベトナム・ダナンでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、環太平洋経済連携協定(TPP)に代わる政策として打ち出した。
ペンス米副大統領も今月のアジア歴訪で、同構想の一環として、アジア太平洋地域のインフラ整備のため、600億ドル(約6兆8千億円)の支援をする考えを表明。日本も100億ドル(約1兆1300億円)の支援を行う考えを示すなど、同地域でシルクロード経済圏構想(一帯一路)を進める中国に対抗する姿勢を強めている。また、民主主義の価値観を共有する3カ国によって経済や防衛面での連携を強める狙いもある。
ボルトン氏は会見で、トランプ大統領が中国の習近平(シーチンピン)国家主席との夕食会談をもつほか、トルコのエルドアン大統領、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と首脳会談を行うことも明らかにした。ボルトン氏はロシアのプーチン大統領とも会談するとしたが、トランプ氏は、米紙のインタビューで、ロシアがウクライナ艦船を拿捕(だほ)した問題を踏まえ、プーチン氏との会談に否定的な考えを示した。(
Yahoo!より抜粋)
WSJもゴーン逮捕は宗教裁判で中国並みと猛批判
2018年11月28日 16:00 八幡 和郎
ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)がカルロス・ゴーン逮捕と日本の司法を『宗教裁判』と批判。朝日新聞の報じるところを要約すると以下の通りだ(この事件を西川社長や検察とつるんで仕立て上げたといわれる朝日新聞もさすがにやばいと思ったのだろうか)。
“
「詐欺や私的金融取引を行った前歴のない世界企業のトップにではなく、暴力団の構成員にこそふさわしいものだ」
「(日産)そのことにずっと前に気づくべきだった」「未公表の報酬よりも、むしろ内部統制に大きな問題を抱えていると思われる」
「検察によるゴーン前会長の取り調べに弁護士が同席できず、疑惑が次々とメディアにリークされる中、ゴーン前会長が一方的に企業のトップを解任された」
「共産主義の中国ではなく、日本で起きたことだ」と指摘。検察が捜査の透明性を高め、ゴーン前会長に自らを弁護する機会を与えなければ、この出来事が「日本経済界の汚点として残るだろう」
”
韓国の徴用工判決よりある意味で悪質なゴーン逮捕
この事件をアメリカの陰謀とかいう馬鹿がいるが、世界のビジネス界を不安に陥れるこのような野蛮な行為は韓国の徴用工判決よりさらに悪質である。徴用工判決は過去に遡って企業に負担をかけるが、現代のビジネスマンを逮捕したり長期の服役の脅威にさらしたりするものでない。
しかし、こちらは、現実の脅威であって、世界のビジネスマンに来日をためらわせる恐れすらある。そんなことをアメリカが望むはずないだろう。
余談だが、私がアゴラにした「ゴーン逮捕と解任は日本の司法制度の自殺行為」という投稿に対して郷原信郎氏から「珍しく、八幡和郎氏と私の意見が完全一致のようです」とお褒めをいただいた。郷原氏とは安倍首相にまつわる評価に関連したこと以外ではそんな考え方が違うとは思ってないが、評価していただいたことはうれしい。
一方、元代議士の早川忠孝氏から、いささか迷惑な批判をいただいた。反論はもとの投稿の追記でしておいたが、私が使っていない表現を使ったようにされたり、「かのような」とまったく違う趣旨に置き換えておられるのは、遺憾だということだけは申し上げておきたい。(
アゴラより抜粋)
ゴーン闇給与は日産からの賄賂でルノーは被害者?
2018年11月29日 19:00 八幡 和郎
ゴーン事件の論評を見ていると、フランス人でルノーの人間であるゴーンが加害者で日産が被害者のような受け取り方が多い。しかし、これはまったくおかしい。そもそも、ゴーンはレバノン、ブラジル、フランスの三重国籍である。レバノン人を両親としてブラジルで生まれたことで、この両国の国籍を持っていた。
そして、フランスで学びエコール・ポリテクニークに外国人学生として入り、卒業後はミシュランのブラジル法人で働いていた。その後、アメリカ法人に転じ、その辣腕を見込まれてルノーにスカウトされて専務になった。このときに、国営企業だったルノーの役員に就任するためにフランス国籍を便宜的にとった。
そして、日産の再建に送り込まれて成功し、それを背景にルノー本社の社長となった。こうした経歴から分かる通り、フランスに長く住んだわけでもないし、フランス国家にもルノー本社にも忠誠心など露もない。むしろ、自分の思うがままに動かせる日産を本拠としてルノーも牛耳っていたというべきだ。
また、日産の経営にあたって、ルノーやフランス政府の利益を図っていた形跡もない。むしろ、日産の独立性を確保すべく、日産がルノーの株式を買い増すことを可能にしたりもした。
英国のEU離脱の際には、工場建設をフランスなど大陸に移すのでないかといわれたが、いち早く英国での投資継続を決め、フランス政府を怒らせた。インドでの生産計画を一部、フランスのルノー工場に切り替えたりしたが、そんなものは新工場建設に比べれば、ささやかなものだ。
私はEUの強化が世界経済にとっても好ましいと考えているから、英国の離脱を後押しするような決定をどうして日産がするのか訝しく思ったが、いまとなっては、ゴーンと日産の共通の利益を図るための措置だったという側面があったわけだ。
つまり、ルノーはフランス政府の方針もあってゴーンに国際的な常識からみれば少ない報酬しか出していない。そこで、日産とゴーンは手を組んで、カルロス・ゴーンに“闇給与”を出して大株主であるルノーの利益に反した日産の経営方針をとってきたということだ。しかし、マクロン大統領としては、ゴーンの「日産寄り」すぎる経営は面白いはずがない。そこで、なんらかのかたちで、ルノーの利益を増進する経営を求めた。
また、いずれは、ゴーンも引退する日が来る以上は、ルノーも日産もゴーンという蝶番なしの連合体制の再構築が必要になってきた。そのなかで、この問題が起きたので、一気に勝負を賭けて、ゴーンとケリーという鬼の居ぬ間にクーデターを起こそうとしているという図式である。
しかし、そんな虫のいい話を簡単にルノーもフランス政府も受け入れるはずがない。当然、これまで、ゴーンが不当に日産側の利益を図ってこなかったか洗うだろうし、うっかりすると損害賠償の請求にもつながりかねない。日産も検察と組んでずいぶんと危ない橋を渡っているように見える。(
アゴラより抜粋)