死刑廃止

日弁連内にも溝…賛否激論、144人棄権

人権擁護大会後、記者会見に臨んだ日本弁護士連合会の木村保夫副会長(中央)=福井市松本4の市体育館で2016年10月7日午後5時54分、立野将弘撮影
人権擁護大会後、記者会見に臨んだ日本弁護士連合会の木村保夫副会長(中央)=福井市松本4の市体育館で2016年10月7日午後5時54分、立野将弘撮影

 死刑廃止を明確に打ち出した宣言が7日の人権擁護大会(福井市)で採択されたことを受け、日弁連は国会や法務省に死刑廃止に必要な刑事法の改正を呼び掛けていく方針を明らかにした。一方で宣言採択前には死刑廃止反対派と賛成派の意見が激しくぶつかり、溝の深さが目立った。

 宣言採択前に開かれた討論では20人の弁護士がそれぞれ意見を述べた。再審開始決定が出た袴田事件の西嶋勝彦弁護団長が「誤判がある以上、死刑は廃止すべきだ」と述べる一方、「全国犯罪被害者の会」を設立した岡村勲弁護士や副代表幹事の高橋正人弁護士は「死刑廃止は犯罪被害者の権利を奪うことにほかならない」と反対意見を表明した。

 日弁連は2011年の同大会でも死刑制度に関する宣言を採択したが「死刑制度について全社会的な議論を呼び掛ける」とする内容にとどめた。今回の宣言は日弁連内の死刑廃止検討委員会が中心となって宣言案を作り、各弁護士会の会長が集まる理事会で8割の賛成で機関決定された。日弁連会員数は約3万7600人。この日の討論では、思想・信条に関わる問題を786人の出席者で決めてよいのかとの質問も出た。

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