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地球人は宇宙人。我々を構成する物質は銀河鉄道に乗って宇宙を旅していた

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 我々地球上に存在するすべての生き物の体は炭素をベースに作られている。ではこの炭素はどこからきたのか?

 新たな研究によれば、この元素はかつて銀河鉄道に乗って銀河の外にまで旅をしていたそうだ。

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 銀河鉄道とは、すなわち銀河の空間を取り囲む「銀河周辺物質」のこと。ベルトコンベアを思わせるこの巨大な流れは、超新星爆発によって銀河から押し出され、また舞い戻るという循環を繰り返している。

 壮大かつロマンあふれるこの新発見は、私たちが暮らす天の川銀河がいつまで星々を産み続けるのかという疑問を解く手がかりにもなるそうだ。

生命を構成する炭素は壮大な宇宙旅行をしていた

 地球上の生命は、炭素がなければ誕生できなかった。だがその炭素は、夜空に輝く星がなければ誕生できなかった。

 炭素・酸素・鉄をはじめとする、水素とヘリウム以外のほとんどの元素は、星によって作られたからだ。

 星の寿命が尽き、超新星爆発を起こすと、そうした物質は宇宙にばら撒かれる。それらはやがて集まり、地球などの惑星に取り込まれる。

 この地球の核にある鉄や大気の酸素、あるいは私たちの体を構成する炭素などは、この壮大な循環プロセスを経て今ここにある。

 今回の研究は、この宇宙の循環プロセスをテーマにしたものだ。

 研究チームによれば、宇宙に放出された原子は、ただ宇宙を漂っているだけではなく、まるで銀河鉄道のように銀河の外にまで飛び出し、やがて戻ってくるのだという。

 星が作り出す重い原子は、超新星爆発によって銀河から押し出され、巨大な流れに乗っては、また銀河に引き戻される。この流れを構成するのが「銀河周辺物質(circumgalactic medium)」だ。

 研究の主執筆者であるワシントン大学博士課程学生、サマンサ・ガルザ氏はニュースリリースでこう説明する。

銀河周辺物質を巨大な駅だと思ってください。そこでは常に物質が押し出されたり、引き戻されたりしています(サマンサ・ガルザ氏)

 私たちの体を作っている物質は、かつて銀河の外にまで広がる壮大な宇宙旅行をしていたと思えば、とてもロマンチックに感じられるはずだ。

 研究チームのジェシカ・ワーク教授は、こう語る。

私たちの体にあるまさに同じ炭素が、相当な時間を銀河の外で過ごしていた可能性が高いのです!(ジェシカ・ワーク教授)

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ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した天の川銀河でもとりわけ星々が密集した領域/NASA/ESA/Hubble Heritage Team

ハッブル宇宙望遠鏡が炭素に吸収される光の痕跡を発見

 天の川のように星々が誕生している銀河が、銀河周辺物質に囲まれていることが判明したのは、2011年のことだ。

 このとき、循環する大規模な物質の雲には、「酸素」たっぷりの高温ガスが含まれていることが確認されていた。

 今回の研究では、銀河周辺物質には酸素のほか、もっと温度の低い「炭素」などの物質も混ざっていることを発見している。

 こうした壮大な物質の循環は永遠には続かず、いつかは終わることになる。

 だが、それがいつなのか解明にするには、銀河周辺物質を詳しく研究する必要がある。

 なぜなら星の形成の停滞は、銀河周辺物質による循環プロセスの停滞が関係していると考えられるからだ。

 今回の研究では、ハッブル宇宙望遠鏡に搭載された分光計で、9つのクエーサーからの光が星生成銀河の銀河周辺物質によってどう影響されるのか分析された。

 その結果、クエーサーの光の一部が炭素によっても吸収されていることが明らかになった。そうした炭素の中には、銀河の直径の4倍に相当する40万光年も銀河の外へ広がっているものもあったという。

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ハッブル宇宙望遠鏡の分光計で遠方にあるクエーサーの光を観察すると、銀河周辺にある銀河周辺物質に影響されていることがわかる。それを分析することで、そこにある元素を特定できる/NASA/ESA/A. Field

 銀河周辺物質がほかにどんな元素で構成されているのか、星を産み続ける銀河とそうでない銀河の銀河周辺物質にどのような違いがあるのか、といった疑問は今後の研究を待つ必要がある。

 その答えは、天の川銀河がいつまで星々を作り続けるのかという疑問の答えにもつながっていることだろう。

 この研究は『Astrophysical Journal Letters』(2024年12月27日付)に掲載された。

References: The carbon in our bodies probably left the galaxy and came back on cosmic ‘conveyer belt’ | UW News

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この記事へのコメント、10件

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  1. そうだね
    我々の太陽は第二世代だからね
    炭素系生物は当然だけど当たり前になるかな

  2. 南極とモロッコの2つの火星由来の隕石からシアノバクテリアが 
    探査機パーシビアランスが火星のジャセロでしたか?クレーターで生命活動の痕跡見つけてますもんね 今までは地球は奇跡の位置にと言われていましたが、どうやら必然的にこの恒星にはこのサイズとなっているのかもという話も 案外この宇宙は、海底の熱水噴出域に生命が集まる様に、あちらこちらで産まれているかもしれない

  3. もし元素ひとつひとつに、生まれてからの記憶が刻まれてたら、星や生命をめぐる循環の本当に壮大な景色が映し込まれてるんだろうなぁ…

  4. 地球に金があることから
    少なくとも2回は超新星で滅んだ世界の後の生命体ってなるのかな

  5. あの超新星の爆発は一本一本の線が今度は銀河系の何倍もの軌道で循環するんだね
    途方もないな・・・

  6. 宇宙の話は大好きだけど、知れば知る程、ふと「宇宙ってホントにあるのかな?」とか思ってしまう。
    壮大過ぎて、それこそ想像の域を超え、人類の常識を超えて、なおも広がり続けているという。
    いわゆる本物の「宇宙」を肉眼で見た人類は数えるほどで、ほとんどの人類は望遠鏡や探査機越しのデータと、それを元にした研究者の声が「宇宙」。

    本当に今、私が見たり聞いたりしている「宇宙」は存在するのかな?
    ちょっとワケわからんくなってくる。

  7. 宇宙人に会ったことありますか?
    ありまぁす!ってこと!?

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