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そうだ、合体しよう!傷ついた2体のクシクラゲは融合して1つになることが判明

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傷ついた2体のクシクラゲが合体し1個体になった様子この画像を大きなサイズで見る
 image credit:Jokura et al., doi: 10.1016/j.cub.2024.07.0

 傷ついた者同士が心を寄せ合うように、傷ついたクシクラゲ同士は体を寄せ合い融合しひとつとなることが、新たな研究により明らかとなった。

 海に生息するクシクラゲは有櫛動物で、クラゲと名がついているものの、毒針を持つ刺胞動物のクラゲとは別のグループである。

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 海でプカプカと浮遊している原始的な生物とされているクシクラゲが、実は高度な神経系や筋肉、消化器官を持ち、驚きの生理学的メカニズムを駆使していることがわかったのだ。

クシクラゲとは

 クシクラゲ(Ctenophora)は、クラゲという名がついてはいるが、有櫛(ゆうしつ)動物という動物群に分類される。

 毒針を持つ刺胞動物のクラゲとは別の生き物で、人間を刺すこともない。進化的にもっとも初期に分岐した生物とされている。

 透明なゼラチン状で楕円形や球形の体を持ち、8列の櫛板(クシバン:繊毛が集まった構造)を持つのが特徴だ。運動器官である櫛板を使って移動し、それが光の加減によって虹色に輝く。

 海面から深海まで幅広く生息していて、大きさは数ミリから1.5メートル前後になることもあるという。

傷ついた2体のクシクラゲが合体し1つの個体に

 あるとき、英国エクスター大学の研究者で、基礎生物学研究所に所属する城倉圭氏らの研究チームが、クシクラゲを飼育していた水槽の中に、口がふたつあるひとまわり大きな個体がいるのを偶然発見した。

 研究者たちは、これは2つの個体がひとつに合体したのではないかと推測し、体の一部を切除した2個体を人為的につくって放置してみた。

 顕微鏡下でタイムラプス撮影を行いながら観察してみると、実験開始からわずか30分後には2体の切除部分が癒着し始め、1時間後にはその境界はほとんど見分けがつかなくなった。

 その後、両者の筋肉収縮がほぼ100%同期し始め、片方の個体を突つくと、もう片方がはっきりと反応した。

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2つの個体が1つに合体したクシクラゲ、片方をつつくともう片方も反応しているのがわかる。 image credit:Jokura et al., Current Biology, 2024

 また、蛍光色素で着色したエサを片方の個体の口から与えると、エサを与えた側とはべつの個体の肛門から排泄物がきちんと排泄されたという。

 つまり、別々の2個体の神経ネットワークだけでなく、消化管もちゃんとつながっていたということだ。

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融合したクシクラゲを示す図  image credit:Jokura et al., Current Biology, 2024

傷ついたクシクラゲ同士が融合し1つの個体になっていた

 これは原始的なクシクラゲだからこそ得ることができた特殊能力だろう。

 他人の血液や臓器を移植すると拒否反応を示す人間とは違って、クシクラゲは自己と非自己を区別するメカニズムを持っていない可能性が考えられる。

 同種認識に必要な遺伝子が欠如していると思われるが、まだはっきりしていない。このメカニズムの進化は、多細胞生物の進化と深く関係しているのではないかという。

 同種認識メカニズムは免疫とも関わりがある。このクシクラゲの融合の分子メカニズムを解明することで、傷治療や移植などの再生研究に応用することができる可能性があるという。

 この研究は『Current Biology』(2024年10月7日付)に掲載された。

References: After injury, these comb jellies can fuse to | EurekAlert!

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この記事へのコメント 31件

コメントを書く

  1. 生物は進化の過程でこの能力を捨てた、ということになる
    生存に有利な能力に見えるけど、何かの不都合があるのだろうな

    1. よほど手足とかがクシクラゲみたいに全身にあるような構造じゃないと結合双生児みたいに妨げになるからじゃない。
      大概の脊椎動物はくっついても有利にならないと思う。

    2. 進化の過程でこういった偶然が重なって、我々につながっているんだろう

      人間だって多細胞生物だもん

    3. 色々理由はあるだろうけど、わかりやすいと言えば何らかの理由で隣の全く知らない人とくっついても嬉しくない

    4. くっついた相手が病気だったら、こっちまで病気になっちゃうじゃん。
      くっつくよりも、自己修復機能を強化したほうが生物的には有利でしょう。

    5. くっついた方が有利な時もあるよね。哺乳類はそれを胎児という形で実装し直した
      いいとこどり!

  2. 人間も合体出来た日には、コナンや明智小五郎も不要になり
    ドラマやアニメが失業だw

    1. これ傷口から流れる栄養成分に反応してお互いにすり寄っているうちに偶然くっついたんじゃないかな

      1. めっちゃなるほど!って思った
        だってくっ付いてもクラゲだって特に有利じゃないと思うし

  3. この研究は興味深いな
    同種判別と排除の遺伝子が後天的に得られたのか、元より存在しててある時点で有効になったのか
    後者の場合、遺伝子の原型設計が現在の生物の姿を見据えて作られた可能性が出てくるし、それは生命の起源に対する答えになり得る

    1. こうやって一見科学っぽい言いまわしでカムフラージュしながら言外で神の存在を語るのがインテリジェント・デザイン論者の論法なんだよね
      なぜ何を説明しようということもなく、いきなり後天的か先天的かの疑問が突如として湧いているのか?
      原始的なクシクラゲになく発達的な哺乳類にあるのならそれは進化途上で獲得されたものだと仮定するのが普通で
      クシクラゲにも実はあるが巧妙に隠蔽されているかもしれないなどと仮定し対置論とする必要はないはずだ
      すなわち創造者が先天的に与えたからだという結論ありきの疑問でしかありえず、結論から”創造”された疑問であり、エセだ

  4. これさクラゲにも仲間を助けたいという意思があるって事なのかな
    だったら凄い事じゃない?
    前々から思うんだけど知能の差はあるけど
    意思や意識には微生物も虫も鳥も犬も人間も
    差はないんじゃないかと思う。

    1. 構造が単純で同じだから自分の体と勘違いしてくっついた所を間違って修復してるだけだと思う

    2. 仲間を助けたいと思ったかは分かんないけど意思があるだろうってのは同意
      根源的な意思はどんな生き物も持っている気がしてる
      ニンゲンが思う事は大概ほかの生き物も思う事のような気がしてる

  5. >他人の血液や臓器を移植すると拒否反応を示す人間とは違って、クシクラゲは自己と非自己を区別するメカニズムを持っていない可能性が考えられる。

    このへんがいわゆる高等生物で融合能力が失われた理由かもしれない

  6. まさかくっつくなんてビックリだな~
    しかも同期してしまうんだね・・・

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