ジャッキー・チェンのカンフー映画で育った世代にとって、香港と聞いてまず思い浮かぶのは、あのカオスな魔窟・九龍城という人も多いのではないだろうか。
2024年5月に封切られた香港映画、「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦)」は、まさにそんな怪しさ大爆発な、九龍城最後の時代を舞台にした映画である。
その撮影に使われた九龍城砦を完璧に再現した映画セットが、12月16日から啓徳空港跡地にオープンしたショッピングモール、AIRSIDEで展示されている。
啓徳空港と言えば、超低空で高層ビルを掠めて飛ぶ飛行機が圧巻で、九龍城砦と並んでかつての香港のシンボルだった場所。これは新たな観光の目玉になりそうだ。
あの悪名高い「東洋の魔窟」を完全に再現!
このセットは10月7日~11月20日までの間、香港の玄関口である香港国際空港(HKIA)の到着ホールに展示されていたので、この間に香港を訪れた人は目にする機会があったかもしれない。
この写真は、空港に展示されていた時のものだ。
かつてのディストピアが蘇ったかのように精巧なセットには、床屋や診療所、食堂、路地などが当時の雰囲気のままに再現されている。
このセットの製作には、映画の製作費用全体の約6分の1に相当する、5,000万香港ドル(約10億円)が費やされたんだそうだ。
それだけ本気で、九龍城砦の再現に取り組んだということなのだろう。
その他リアルに再現された九龍城砦内部の様子。
「一度入ったら出られない」無法地帯
1898年にイギリスが当時の清朝から香港を租借した際、九龍城砦だけが清朝の飛び地として残り、租借地からは除外された。
だが後に清朝が滅亡し中華民国となる過程で、九龍城砦はどこの国にも属さない無法地帯となって行ったのだ。
第二次世界大戦後、中華人民共和国が樹立すると、共産党政権下の中国から逃れた人々が九龍城砦に大量に流れ着き、さらにスラム化が進むことになる。
下の画像は、在りし日の九龍城砦だ。びっしりと隙間なく建ち並ぶ高層住宅の集合体だが、その大半は違法建築である。
増築に次ぐ増築を重ね、城砦の内部は迷路と化し、「一度入ったら出られない」と言われるように。
売春・賭博・薬物など、違法行為の巣窟となった城砦は、悪名高い三合会の拠点となり、香港黒社会の一翼を担っていた。
城砦内には診療所や歯医者も軒を連ねていたが、香港の医師免許・歯科医師免許は持っていなかったという。
香港が中国に返還されるに先立って、1993年から取り壊しが行われ、現在その跡地は九龍寨城公園 (Kowloon Walled City Park)という公園になっている。
九龍城砦にロマンを感じる日本人は多く、かつては神奈川県川崎市に、この城砦をモチーフにするゲーセンがあったくらいだ。
迷路のような城砦内をイラストで紹介している映像がこちら。なんと畳1畳に人間3人という、あり得ないほどの人口密度の高さだったそうだ。
このセットを使った映画が2025年1月17日より日本公開
そして、このセットで撮影した映画が、2025年1月17日より日本でも全国の映画館で公開される。
下がその予告編だ。九龍城砦+黒社会+男の友情という、かつての香港アクション映画をほうふつとさせる仕上がりになっているらしい。
サモ・ハンといったレジェンドも登場するほか、アクション監督に谷垣健治、音楽を手掛けるのは川井憲次というラインナップ。
香港に残った最後の魔窟?「重慶大厦(チョンキンマンション)」もすっかりキレイになってしまった今、これはちょっと絶対観に行かなきゃと思っているんだぜ。
References: ong Kong Airport recreates Kowloon Walled City, the muse for cyberpunk games & films
ヤクザの巣窟は嫌だけど、こんな感じの超雑然とした小汚い集合住宅地にちょっと住んでみたい気持ちがある。
世間でいうような野蛮でGTAな世界でなく、一定の世界で平和的な
街だったことにはびっくりした
しかも医師の技術もかなりのもので、仮に下手だと追い出されるし
犯罪も起こそうものなら内部で処理されるのでそういうことを起こす
ばっかもいないというシンプルな理由
クーロンズゲートを思い浮かべた
(未だにあれを超える奇怪なゲームはない)