月の岩石の分析によれば、月の年齢は43億5000万歳だ。だが新たな研究によると、実年齢はそれより1億年以上古い可能性があるという。
これまでも月は本当はもっと古いのではと思わせる証拠はいくつかあった。今回の研究では、月が地球から受ける重力に着目し、その力で月面が熱されて岩石が再融解したと指摘する。
そのせいで年齢がリセットされ、本当の年齢がわからなくなってしまったというのだ。
月の本当の年齢は?
大昔、地球に火星くらいの大きさの天体が衝突し、その衝撃でちぎれた破片が地球の周囲をぐるぐる巡るようになった。これが月の起源についてもっとも有力な「ジャイアント・インパクト説」だ。
だが、この大衝突がいつ起きたのか、はっきりした時期はわからない。
だが、アポロ計画などで地球に持ち帰られた月の岩石の分析によるなら、月が誕生したのは43億5000万年前のこと。太陽系が46億年前に形成されたことを考えるなら、比較的若いと言える。
ところが、この月の年齢を疑わせるような証拠がいくつか見つかっている。
たとえば、月で見つかった珍しいジルコン鉱物は、その誕生が45億年前だろうことを示唆している。
またシミュレーションによって、太陽系形成から2億5000万年が経過すると、月を作り出すような大きな衝突が起こる可能性は低くなることも明らかになっている。
確かに初期の太陽系では、大規模な衝突がよく起きていた。だが、それを引き起こすような岩石は、44億年前までにはもっと大きな天体にまとまっていたと考えられるのだ。
地球の重力によって月の表面岩石が再溶融したという新説
今回の新たな研究は、月の年齢に関する学説に食い違いがある理由を説明してくれる。
それによるなら、月は43億5000万年前に地球の重力によって作り替えられ、本当の年齢がわからなくなってしまったのだ。
カリフォルニア大学サンタクルーズ校の惑星科学者フランシス・ニモ博士は、「岩石の記録から月の形成時期を割り出すのは、必ずしも可能ではありません」と語っている。
地球の海が月の重力によって満ち引きを繰り返すように、月もまた地球の重力による「潮汐力(潮汐力)」を受けている。
とりわけ月が誕生した頃は、今よりもずっと地球の近くにあったため、その潮汐力も今よりずっと強かった。
そのために月面に広範囲にわたる地殻変動を引き起こし、月の岩石を激しく加熱した。
そうして溶けた岩石は火山活動によって放出され、月面を塗り替え、その結果、現在の岩石は実年齢よりも若く見えるようになったのだ。
月の岩石が再溶融したというこの説は、初期に小惑星などがぶつかってできたはずの衝突盆地が、現在の月面に意外なほど少ない理由をも説明してもくれる。
そうした衝突盆地は、おそらく岩石が再び溶けたことで消えてしまったのだ。
月の年齢に関する従来の仮説の対立をつなぐ
ニモ博士は、この仮説は「これまでの月の学説をくつがえすものではなく、ただその調整を図っているだけです」と語る。
動力学的な観点からは、月の年齢はもっと古いはずだと思われる。一方、地球化学的には、若く見える。今回の仮説は、これらの対立する説の橋渡しをしてくれるのだ。
なお太陽系でもっとも火山活動が活発とされる木星の衛星「イオ」は、初期の月と同じような状況にあるのだという。木星から受ける潮汐力によって、その地表は常に再形成されている。
研究チームがシミュレーションで導き出した月の誕生日は、太陽系誕生からおよそ8000万年後のことだ。その真偽は、中国の嫦娥6号が月の裏から持ち帰った岩石から明らかになるかもしれないそうだ。
この研究は『Nature』(2024年12月18日付)に掲載された。
References: The moon may be 100 million years older than we thought | Space / The Moon Is Much Older Than We Thought, New Research Suggests : ScienceAlert
若作りしやがって !
おぉ~実年齢よりも1億歳もサバ読んでいたのか・・・ふむふむ。
月のフェイスラインも重力の影響で、やはり年齢は隠せなかったようだ。だが、日焼けのシミやクレーター状の凸凹跡はあるが、たるみはなさそうだ。
もう一度、美容整形にチャレンジだにゃん!
月に火山活動があったんだ