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猫は赤ちゃんより早く人間の言葉を理解するという驚きの研究結果

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image credit:unsplash

 飼い主が何を言おうが我が道を行くタイプに見える猫だが、実際にはちゃんとわかっている上で、無視している可能性も浮上してきた。

 日本の麻布大学の動物科学研究チームが、飼い猫は餌やおやつなどの報酬を与えなくても、人間の言葉と画像を関連づけることができる、つまり言葉を速く覚えられることを実験によって発見したのだ。

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 しかも言葉を学び始めた人間の赤ちゃんよりも速く覚えることができるという。それでは詳しく見ていこう。

飼い猫は知っている

 麻布大学の特別研究員である高木佐保氏は、過去にも、猫は一緒に住んでいる人間の人間や猫の名前を認識できることを明らかにしている。

 さらに猫は、知っている人間の顔と名前を一致させることができるという。

 2021年の研究では、猫は家のどこにいても飼い主の位置を把握していることが示された。

 これらのことから、猫が一緒に暮らす人間にいつも興味を抱いて観察するほど、愛着があることがうかがえる。

人間の幼児に使用する単語テストを応用して猫で実験

 このたびの新たな研究では、猫は人間に話しかけられた言葉の多くをちゃんと理解できている可能性が示された。

 実験では、猫が物体と単語を結びつけられるかどうかを調べるために、おとなの家猫31匹を対象に短いアニメーションを見せ、生後14ヶ月の人間の赤ちゃんの単語連想能力を知るために考案された単語テストを行ってみた。

 画像が表示されている間、意味不明な言葉が一緒に聞こえてくる。猫たちはこうしたアニメーションと音声を2種類見せられるが、ひとつには「ケラル」という言葉、もうひとつには「パルモ」という言葉が付随している。

 パルモ?私のこと?っとドキッとしたが話を戻そう。

 このアニメーションは猫が飽きて目をそらすまで繰り返し再生される。

 次に猫たちに休息を与えた後、再びアニメーションを見せる。今度は画像と言葉が入れ替わっている、つまり、「パルモ」=曇り、「ケラル」=晴れのアニメーションだ。

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Scientific Reports(2024)。DOI:10.1038/s41598-024-74006-2

14ヶ月の赤ちゃんよりも速い?

 猫たちの様子を観察してみると、最初に覚えた「パルモ」=晴れ、「ケラル」=曇りのアニメーションを見たときよりも、画像と言葉が入れ替わっている映像のほうを長く見つめていることがわかった。

 どうやら、映像と言葉が前とは違うことをちゃんと認識していて、それに戸惑って、どうしてなのかその理由を見出そうとしているかのようだ。

 つまり、たとえ報酬がもらえなくても、猫が自ら進んで言葉と画像を結びつけようとしている証拠だといえる。

 生後14か月の赤ちゃんの実験では、特定の単語と画像を結びつけるには16~20回程度の繰り返しが必要で20秒かかったという。

 一方で今回の猫の実験では、わずか9秒間の映像と音声の組み合わせを数回見せただけで、猫たちはこれを認識していた。

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Photo by:iStock

ただし実験条件が異なるため、完全に比較するのは難しい

 これらの実験からは、猫が人間の赤ちゃんよりも速く人間の言葉と画像を関連づけることができる可能性を示している。

 だが、赤ちゃんに対する90年代の実験と今回の新たな実験とでは、直接比較できない重要な違いもある。

 例えば、赤ちゃんには1音節の単語しか与えられず、見知らぬ人間のさまざまなイントネーションで発音されたが、猫の場合は自分の飼い主の3音節の言葉を聞いているといった点だ。

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Photo by:iStock

猫は我々が思っている以上に人間を理解しようとしている

 猫と人間、どちらが速く単語を覚えるかは別として、猫が私たち人間が日常生活の中で話していることに注意を払い、私たちが思っている以上に人間を理解しようとしているらしいということは、かなり興味深い事実だといえる。

 こうした能力が猫共通のものなのか、それとも個体による個性なのかは、異なる種の間の認知コミュニケーションを理解するのに役立つ可能性がある。

 この研究は『Scientific Reports』(2024年10月4日付)誌に掲載された。

References: Cats associate human words with images, experiment suggests / Cats Can Learn Words Faster Than Human Babies, Study Suggests : ScienceAlert

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この記事へのコメント、25件

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  1. 「猫は我々が思っている以上に人間を理解しようとしている」なんだろう?ちょっとウルっと来た

    1. 猫飼いはたいていの場合
      「あいつらは言っていることを理解しているが従わない」
      という現実

  2.  自分の経験からもそうだろうなと思いました。
     というか、相対的に人間の成長が遅くて、完成も遅い感じ。 生まれて数時間で立ち上がる四つ足の動物に対して人間がハイハイできるようになるのは数か月後。 人間からすると未熟児かと思うようなカンガルーでも袋から出てきて自分で移動を始めるのは半年後くらい。 って考えるとネコがヒトよりも早くいろいろできるようになるのは納得です。 実験方法が大変興味深いのですが、なんでパルモ?とは思いましたw

  3. 抱っこ好きな子に「抱っこ」って言いながら何回か抱き上げたら覚えたわ
    側にいなくても「抱っこする?」って聞いたら寄ってきたし
    他の子も話しかける頻度が高い子程、理解してる節があったな

  4. ぬこ「理解しているからといって、人間の言葉に耳を傾けるとは思うなよ」

  5. 人間は10年単位で成長するが類人猿以外の動物はだいたい1年以内に大人になるしそうでないと生き残れないから、親や仲間とのコミュニケーション能力を早くから習得しないとダメなんだろうな。

  6. 猫が「ニャーニャー」鳴くのは
    子猫の時に人間が「にゃーにゃー」言うから
    迎合しているのであって
    実際には「ニャーニャー」は猫語ではないの。

  7. 頭の善し悪しはあるけど、基本的に簡単な単語なら理解してくれるよね。
    声のトーンをメインで聞いてるんだろうけど、
    前飼ってた黒猫は「洗濯」「風呂」「ご飯」「病院」「どいて」は確実に理解してくれた。
    今の猫は指を指して「あっち」しか理解してくれないけど、まあ幸せそうだからいいわ。
    最終的に猫に支配されるから、皆、ネコと和解したほうがいいよ。

  8. 昔から言われてるからね
    人間の言葉なんてわからないだろうと猫ちゃん本人の前でその子の悪口を言うな。ちゃんと理解しているんだから。っての
    たぶん悪口言われてるって理解してる風な行動をとってたんだろう

  9. ネッコ「子分のやることに付き合ってやるニャア。」

  10. 人間やその言葉の話だと特別感あるけど、動物側で考えると音や見える物で判断するのは当たり前のことではないの?
    猫は、昔から人間のそばで暮らしてきたんだから家族の強い声に動かないと作業に巻き込まれたり事故になりかねない
    野良ならもっと過酷だろう
    人間のいない世界で生きる動物が初めて会った人間にどれだけ注意を向けるかはわからないけど、イエネコの多くは人間の世界の中にいるわけだから人の言動はある程度理解すると思うよ

  11. 関係ない話だけど、冬に猫の暖かさは手放せないの

  12. こういう実験の話を聞くたびに結果もだがその手法が面白いと思う
    どうやって考案しているんだろう

  13. あなたが猫を見ているとき、猫もまたあなたを見ている 私の好きな言葉です

  14. 年取った猫を叱る時申し訳なさそうに目を閉じてうつむいてしょぼーんってしてるけどあれは完全に叱られてるのを理解してるぽいしな・・・
    猫の知能って中学生並みにあるのかも知れない
    猫を叱った理由ですか?目を離した隙に刺身を全部食べられました・・・

  15. うちのはもう天国だけど冗談ぽく「もー!」とか怒ったことすら後悔してる
    人間の都合に合わなかっただけ
    なんも悪いことしてなかった

  16. 18歳の三毛は人間の会話はほぼ理解出来てる気がする
    むしろ本当は日本語喋れるのに色んな事情であえて隠していると信じている

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