その人生に脇役あり。
映画やドラマの中心にいる訳ではないが、その俳優が存在しなければストーリーそのものが成り立たなかった。
俳優として数多くの作品に惜しげもなくその資質を発揮した「大滝秀治」さんが、2日の午後に肺扁平上皮がんの為、都内の自宅で亡くなった。
つい先日にも女優の「馬渕晴子」さんが、やはり肺がんのため亡くなったばかりである。馬渕さんは、女優として日本で初めて自分のヌードを公開するなどして、女性解放の一役を担っている面もあったが、やはり大滝さんと同様に、名脇役の一人として高い評価を受けていた。
大滝さんは、悪役から政治家、刑事役など幅広く様々なドラマ、舞台、映画などでその滋味深い演技をさり気なく醸し出し、存在感たっぷりの名脇役だった。
彼は、若い頃から老け顔でそれに伴って俳優の人生を左右すると言われる「声質」についても、決して褒められたものではなく当時から「悪声」と呼ばれており、その二つの個性により、ドラマの中心的存在に位置する事がなく、常に「脇役」と言う、俳優生活に取ってみれば「付けたし」のような部分に甘んじてはいたが、その個性を持ち前にし独特のキャラクターを創り出し、結果的に成功を収めている。
わたしの中で、最も印象深かったのはやはり名作「北の国から」で演じた「北村清吉」。普段は朴訥で殆ど口を聞かない清吉であったが、時には周りの者たちをねじ伏せてしまうほどの説得力と存在感をその個性に重ねて表現していた。
今年6月に他界した「地井武男」さんもまた名脇役の一人だったのかも知れない。大滝さんの訃報で、「北の国から」に出演していた役者が二人亡くなってしまい、このドラマの筋書きに二人の運命を重ね合わせてしまう人も多いのではないだろうか。
全ての人の人生に於いて、主人公(主役)は常に「あなた」、「自分」であるが、その影には多くの「脇役」が存在している事を忘れてはならない。
そしてまた、あなた自身も「脇役」である事が心の中に存在していて欲しいと思う。自分を支えてくれる人たちと、自分もまた誰かを支えているのだと言う事、それこそが人生そのもだと思っている。
あなたの周りには何人の脇役がいますか?あなたは誰かの脇役になっていますか?「名」が付く必要はない、さり気なく気付かれなくともあなたの大切な人の支えになっていて欲しい。
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