徐脈性心房細動で心停止(T_T)。
昨年10月の心臓手術から一年も経たない内に再び手術室へ入る事になるとは…。7月26日、徐脈性心房細動(不整脈)で三井記念病院へ緊急入院。前回と同じ16階の4人部屋に入るも、脈が一時的に18まで下がるなどし、看護師たちが「怖い、怖い」を連発!その為、直ぐに駆け付けられるナースステーションの前にある個室へ移動。それにしても18とは徐脈のレベルを越えて心臓が止まってしまった状態に近い。だがこの時は意識を失う事なく保つ事が出来ていたのだが…。
それは27日の早朝だった。採血の最中に看護師と冗談交じりの会話を交わしている時だった。「神戸さん、神戸さん、しっかり!」看護師の大きな叫びにも似た声が病室に響いていた。約15秒間に亘り心停止。私は失神した。三途の川一歩手前で呼び戻され意識を回復。戻った瞬間の事はハッキリと覚えている。自分に何が起こったのか、此処が何処かなのか?頭の中はグチャグチャでパニック状態だった。死の恐怖に怯え顔は蒼白、冷静な自分を取り戻すのに30分は掛かったと思う。
この失神の後も断続的に脈が30を切り気が遠のく感覚に襲われた。危篤ではないにしても予断を許さない状況にあるため、体外式ペースメーカーの装着が急務となり、朝、早い段階から首の静脈からペーシングカテーテルを挿入するもワーファリンの影響で出血が止まらず、血腫も出来てしまったため1回目は失敗。そのまま16階には戻らず、常時監視体制の整っているHCUへ移動。失敗で途方に暮れる医師たちにお構いなく、4~7秒の心停止が30~15分間隔で襲って来る。脈が下がり始める度にモニターの警告音が鳴り響き、看護師たちが数人駆け寄り「大丈夫?」と声を掛ける。私は言葉が出せず「うん、うん」と頷くのが精一杯だった。心停止する時は背中から首、後頭部の辺りに火傷のような激しい熱さが「ゾゾー!」と走り抜けて行く。そして目眩を起こし気が遠くなるのだ。
今度また10秒以上の心停止がおこれば失神は免れない。最悪は戻る事が出来ず死に至る事である。一刻の猶予もないため、夕刻、再度、体外式を決行する事となった。昨年の心不全でお世話になった医師が担当るす事になり、1回目と同じ首の静脈からアプローチ。2回めはすんなり成功し、迎えに来たHCUの看護師が泣きそな声で「よかった、よかった!」と声を掛け励ましてくれた。その晩、初めて安心し熟睡する事が出来た。
体外式は感染リスクもあるため、出来るだけ早い段階で植込み手術を行う必要がある。入院から6日後、昨年オペした時のリード線が腹部に残っているため、それが使える可能性があり、心臓外科、循環器内科の合同オペチームで結成された。これは後にも先にも前代未聞の出来事である。7月31日、合同チームが待機するオペ室へ。全身麻酔で行う事になったのだが…。
結果は無惨にも失敗に終わった。心外が担当した腹部はリード線が筋肉に埋もれて使用不可、そして循内チームの方も右鎖骨下の血管が脆すぎて挿入出来ず断念。麻酔から覚め結果を聞いた私はかなりショックではあったが、それよりも辛かったのは、麻酔と痛み止めの副作用が酷く激しい吐き気と身体中がガタガタと痙攣を起こし凍てつくような寒気に襲われ、このまま死んでしまうのではと思うほどだった。病棟へ戻ってから外は猛暑だと言うのに、電気毛布2枚で身体を包み温めた。手術は失敗、それに加えて身体が引き裂かれるような苦しみ。昨年の手術の時の方がよっぽど楽だったように思った。夜になって循環器内科の責任者がスタッフと一緒にやって来て、辛い思いをさせてしまった事への謝罪をと頭を下げた。
翌日の8月1日、再び植込み手術を開始。2度めは局所麻酔で行われたため、医師たちのやり取りは全て耳に届いていた。右鎖骨下へ再度アプローチするもやはり血管が使えず断念し、左鎖骨下への植込手術に切り替え、約1時間30分ほどで、無事終了した。今回の手術なんだか随分遠回りになった気がする。メスを入れる前に検査で分からないのだろうか?首、腹部、左右の鎖骨下と私の身体は傷だらけとなった。ベッドから起き上がるのに傷のあちこちが痛くて参った。
心不全を起こしていない私は徐脈が治まればいたって元気であったが、ヘモグロビン値が正常な人の半分しかない事が分かり、貧血を改善するため輸血が行われた。その輸血のお陰か分からぬが胸の動悸が治まり少し元気になった気がした。血液は臓器の一部だから輸血はある意味臓器移植の部類に入る。
貧血を起こした要因は判明しなかったが、腎不全や肝硬変を抱えているため、それらが今回の失神とオペによってダメージを受け、複合的に重なり発症したのかも知れない。今後、どのような試練が私の未来に待ち構えているか分からぬが、明確な目的がある以上、このまま人生を終わらせる積りは毛頭ない。どんな試練であろうとこれまでのように乗り越えてみせるつもりだ。それにしても失神した場所が病院のベッドで本当に良かったと思う。やっぱり私には幸運の女神が付いているような気がする。
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