薬物まみれのホームラン。
毎日のように流れて来る清原和博容疑者逮捕と覚せい剤のニュースを見聞きするにつけ、もう少し早い段階で何かしらの手を打つ事が出来なかったのだろうか?と心が痛むと同時に歯がゆい思いを抱いている。
西武ライオンズの黄金時代の立役者としてチームを支え、輝かしい成績を残して来た男の逮捕劇は野球界のみならず、各界に衝撃と悲痛な叫びにも似た落胆の声で重苦しい空気に包まれた。
日本のプロ野球界で、王貞治を超える選手は清原だろうとまで言わしめた球界のスーパースターに一体何が起こったのか、なにゆえ犯罪に手を染めてしまうところまで転落の一途を辿ったのか、その背景に見え隠れする黒い闇に、燃え尽きた男の悲哀が痛々しい。
野球や相撲といったプロスポーツの世界は、ある意味で一般企業と同様に徹底した管理社会でもある。然しながらそのような管理体制の中にあっても、不祥事を起こす企業が後を絶たないのと同じで、利益を優先する利益至上主義が今もなお根深く蔓延っているからであり、スポーツも娯楽・サービス業とさほど変わらない経済の集合体なのである。
利益と集客率これこそがスポーツ選手に課せられた最も優先すべき課題であり、そしてまたノルマとも言えるだろう。個々のアスリートたちは勝利と記録更新のために日々の鍛錬に時間を費やし、技術を磨き更に上の頂きを目指すが必ずしも求めていた結果が得られるとは限らない。
清原の最初の躓きはおそらく強く熱望していた憧れの巨人に入団出来なかった事であろう。その悔しさを西武で爆発させ、スター街道を駆け上がる事となった。然し彼の胸の奥底では巨人の裏切りが許せなかった…。
一見華やかに見えるプロ野球の世界にも裏の世界があり、それらの駆け引きに翻弄される選手たちはひとつの駒に過ぎないと思うのは私だけだろうか…。2008年の清原引退セレモニーで派手なパフォーマンスを見せた長渕剛も清原から距離を置くようになり、気が付けば彼の周りには親身になって話しを聞く者や進言する者など誰一人存在しなくなり、近づいて来るのは闇社会に生きる者たちばかりとなって行った…。
野球を失った清原は「裸の王様」だったのか…。桑田真澄氏も語っているように、現役から退いても野球から退く訳ではない。野球を支える側として幾らでもその方向転換は出来た筈である。
孤立無縁の状態で疎外感と不安の毎日を薬物に頼る、薬物依存という心の病に陥ってしまった彼がこの逮捕を契機に罪の償いを果たし、社会復帰した時には大勢のファンの前で頭を下げ謝罪し、生まれ変わってくれる事を期待するのみである。
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