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ビーチサイドの人魚姫
俊樹

2019年9月Nikon D700で一眼レフデビュー。カメラは独学。2020年4月、Nikon D810へアップグレード。いつか写真展を開く為、日々精進。勿論、詩、小説、エッセイ、作詞は継続中。2021年夏、Nikon Z7Ⅱへと更にアップグレード。2022年10月、3回目の心臓手術に耐え抜き現在に至る。2023年8月ペースメーカー植え込み。

神秘と慈愛に満ちた黄金リング。

2012年05月26日
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日食

  21日、夜明けを今か今かと待ちわびる人々の頭上には、梅雨の走りを思わせる灰色の雲が青い空を深く遮断するように果てしなく連なっていた。
 東の空が明るみを帯び始めると共に、一斉に今日という日が動き出す。東風に流される雲の向こうで特別な一日が始まろうとしていた。
 天空に繰り広げられる壮大な宇宙のファンタジー、それは一千年の時空を超えてわたしたちの眼前に姿を現した。
 日本列島の広い範囲で観測された金環日食、中国の南東部から始まった神の触手は日本列島を横切り、アメリカ大陸へと移動して行った。
 932年ぶりのどよめきが地上のあらゆるものを包み込んだ瞬間、好奇心と浪漫を含んだ眼差しが、的を射る矢の如くに一点を目掛けて注がれる。
 右端から徐々に欠けて行く太陽、月と太陽と地球とわたしたちが一直線に並び、その感動で涙さえ浮かべる人もいた。途切れた雲の切れ間からその神秘的な姿を覗かせる様は、まさに神秘と慈愛に満ちた光のリングであった。
 日食に纏わる伝説は、世界各国に散らばっており、ここ日本では日本神話に登場する『天岩戸(あまのいわと)』が最も有名な話である。
 太陽神の天照大神が天岩戸に隠れてしまい、世の中が暗闇に包まれてしまうという物語は、この日食を示唆しているようだ。
 宇宙が織り成す大自然は常に一体であり、絶妙なバランスの上に成り立っている。この素晴らしき宇宙の姿がわたしたち人間の中にも宿っている事を決して忘れてはならない。
 日食メガネなる日食観測ツールが登場したのも今回が初めてではなかっただろうか。わたしが子どもの頃はプラスチックの下敷きを通して観測したものであるが、飛ぶように売れた今回のメガネ人気に便乗して粗悪品も流通していたようで、消費者庁から注意喚起が促されていたようだ。
 一か月も経たない内の6月6日には、『日面通過』と呼ばれる太陽と地球の間に金星が通過する現象が見られるようなので、メガネは捨てずにその日まで大事に保管しておくとよいだろう。

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俊樹
この記事を書いた人: 俊樹
本名/神戸俊樹
静岡県藤枝市出身。
19歳の時に受けた心臓手術を切っ掛けに20歳から詩を書き始める。
2005年3月詩集天国の地図を文芸社より出版、全国デビューを果たす。
うつ病回復をきっかけに詩の創作を再開。
長編小説「届かなかった僕の歌」三部作(幼少編・養護学校編・青春編)父を主人公にした(番外編)を現在執筆中。
詩、小説、エッセイ、作詞など幅広く創作。
2019年9月、一眼レフデビュー。Nikon D700を使用。
2020年4月、Nikon D810にアップグレード。
2021年夏、ミラーレス一眼 Z7Ⅱへと更にアップグレード。
2022年10月3度目となる心臓手術を受け、大成功を収める。
2023年8月徐脈性心房細動で心停止(失神)したため、ペースメーカーを植え込む。

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