日本人の弱点は忖度しすぎること、理論化できないことではないか
4月末と今夜、平鍋さんがアジャイル開発について語る勉強会を聞いた。
日本人の弱点は忖度しすぎること、理論化できないことではないか、という気づきをラフなメモ書き。
【参考】
今こそ必要な実践知リーダーシップとスクラム - connpass
BPStudy#164?アジャイル開発とスクラムの今を語ろう - connpass
【1】野中先生の肉声を初めて聞いた。
86歳らしいので、平成上皇と同い年らしい。
すごくハキハキした口調で、英語の論文にも慣れているのだろうか、知的バトル、とか、割と英単語が出た。
スクラムを生んだジェフがすごいのは、ベトナム戦争で偵察機の経験があったこと。
その経験をベースに、スクラムを生んだ。
ソフトウェア開発の手法は幾多数多あるが、それを理論化できたのはジェフがフィロソフィーを持っていたから。
野中先生の論文でも、スクラムでも、共感ありきで始まる。
欧米の哲学は、デカルト以来、コギト、我思う故に我あり、から始まるが、そうではなく、共感をベースにした。
だから、上手くいく。
一方、日本人は、元々共感力があるので、スクラムをやるのにもっと共感を重視しようとすると、忖度しすぎてしまう。
忖度するのではなく、もっと知的バトルをすべきだ、と。
僕らの頃は、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われていたが、DXの流れに乗れず、今はその面影もない。
だから、またジャパン・アズ・ナンバーワンを目指してほしい、と。
【2】日本人の弱点は忖度しすぎること、理論化できないことではないか、という考えを思い巡らすと、今まで読んできた本のいろんなフレーズを思い出してくる。
【3】「採用基準」「生産性」はマッキンゼーの元コンサルが、日本人や日本の組織に足りない要素2つを書いている。
それは、日本人には問題解決リーダーシップの能力が足りないこと、問題解決の生産性の意識が低いこと、の2つ。
リーダーシップ経験のない日本人が多すぎるから、評論家ばかりで、実際の問題を泥臭く解決していこうとする能力も意識も低い。
リーダーシップとは、自分の意見を持ち、周囲を巻き込んで、リスクを取って、問題を解決していく。
しかし、リーダーシップを発揮する日本人は、出る杭は叩かれる、ばかりに思われるので、たぶん自然に忖度してしまう。
また、生産性をコストダウンの事ばかり考えすぎる。
日本人が得意なプロセス改善の手法は、コスト低減による付加価値を上げる手法の一つに過ぎない。
生産性=付加価値/コストで考えるならば、コスト低減よりも、付加価値を圧倒的に増やす方がはるかに生産性は上がるはず。
しかし、日本人サラリーマンは斜陽産業でコスト低減ばかり経験しているので、ホワイトカラーが付加価値を上げるために、今までの手法を捨てて、全く新たなアイデアや手法を採用して、リスクを取っていく、という発想も能力もない。
【4】「経済数学の直観的方法 マクロ経済学編」では、世界の経済戦争の重心が、製造業の競争力強化から、世界全体の資金の流れを上手く誘導して流す方向に変わってしまった。
しかし、日本は、製造業があまりにも成功したので、マクロ経済学における動的均衡理論を取り入れる機会を逸してしまった。
そして、世界中の中央銀行がインフレターゲット政策を運用し始めた頃、慌てて、動的均衡理論を学習しようとしたが、従来のケインズ経済学とは異なり、解析力学をベースとした高度な数学理論を使うので、とても学習しづらい。
ちょうど、欧米では、これを学んだ人たちが政治経済の中枢に占めているのに、日本では学習し損なった世代がブランクになり、そのギャップを埋めることが難しい状況らしい。
かつて、日本では、ケインズ理論に従って、政府の公共政策による景気浮揚策は良いことだ、という理解が、割と世間の人たちも認識が共有されていた。
ちょうど、その頃は、日本の製造業が無敵の時代だった。
しかし、コンピュータやITが直近の四半世紀でまたたく間に普及して、ITなしでは生活もビジネスも経済も成り立たなくなった。
経済学の主導権もケインズ理論から動的均衡理論に代わったが、日本は追いつけていない。
さらに、世界中の資金を自国に誘導するように、情報や経済理論を整備して発信していく、というやり方に日本は乗り遅れてしまった。
「ミクロでマクロを制する」という発想は、日本人は弱いらしい。
【追記】
平鍋さんが「先生へお礼のメッセージを送ろう」とtwitter 上で平鍋がよびかけ、集まったコメントが公開された。
自分のコメントも掲載されていて恥ずかしい。
今一度読み直すと、日本人には共感力よりも、知的バトル、知的コンバットが必要なのだろう。
つまり、対立することを恐れず、もっと知的論争をすべきであり、お互いにもっと衝突して、その後で握手する事が大事なのだろう。
知的論争に忖度は無駄。
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