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2021/11/28

第21回東京Redmine勉強会の感想 #redmineT ~Redmineは業務も組織も包み込む柔軟性がある

第21回東京Redmine勉強会の感想をラフなメモ書き。

【参考】
第21回勉強会 - redmine.tokyo

2021/11/27 第21回勉強会 - redmine.tokyo #redmineT - Togetter

【1】最初は、@g_maedaさんのRedMica、そしてRedmineの最新機能の紹介。

【1-1】複数キーワードによるAND検索の実装は嬉しい。
チケット一覧から、Google検索みたいに細かい条件で検索できる。
チケット検索機能の強化につながるので、Redmineをナレッジ資産として使う現場としては貴重な機能と思う。

【1-2】チケット一覧でカスタムクエリをデフォルトで表示できるようになった。
PJごとに、みんなが見たいビューはたいてい決まっている。
最初にカスタムクエリで絞り込んでおけば、今日はどの作業に注力すればいいのか、考える必要もないはず。

【1-3】CommonMarkdownの試験的なサポートも興味深い。
斎藤さんのLTでは、Confluenceがすごく便利と話されていた。
実際、Confluenceでは、Wordのような直感的なUIで表も挿入できるし、履歴管理もすごく楽。
Confluenceがあれば、Excelの設計書を廃止して、すべてConfluenceで設計書を書くことができる。

一方、RedmineのWikiでは、Markdownの原稿を逐一プレビュータブで開いては確認する手間がかかる。
また、表のセルの結合、細かな文字の装飾も直感的ではない。

本来は、WikiはWordやExcelの代替機能になるべきだ。
そうすれば、Redmine上で、日々のタスク管理や課題管理はチケット、技術情報や設計書はWikiに全て集約できる。
それ以外の足りない機能は、REST APIやGit連携などの機能によって、他の外部ツールと連携すればいい。
最終的には、Redmine一つでPJの情報をすべて一括管理できるし、Redmineはナレッジ基盤そのものになるはずだ。

【1-4】Mermaid.jsによる作図機能は面白い。
PlantUMLみたいに、UMLのクラス図、シーケンス図、フローチャートをテキストで表現できる。
ただし、redmica_ui_extensionプラグインの機能なので注意。

個人的にはPlantUMLは好き。
モデルそのものもテキストで管理できれば、Gitで履歴管理できるので、設計書をソースコードと同じように管理できるのはいい。

My Redmine インストール済みプラグイン | My Redmine

GitHub - redmica/redmica_ui_extension: This plugin adds useful UI improvements to RedMica.

plantuml - Plugins - Redmine

Redmineには2つのPlantUMLプラグインがある - taikii blog

【2】第21回 パネルディスカッション <Redmineとわたしたち>では、モデレータ、パネラーの女性5人によるフリーディスカッション。

【2-1】面白いのは、5人の女性のキャリアが全員違うことだ。
もちろん、5人全員がRedmine経験歴は10年なのでベテランばかり。

akipiiさんはTwitterを使っています 「Redmineを使う女性だけのパネルディスカッション。サーバ管理者、プロジェクトマネジャー、SEPG、PMO等の色々なキャリアを持つ。組込ソフトウェア会社、外資系、サービス系、メーカー系など色々な属性。面白そう。 #redmineT」 / Twitter

【2-2】僕の琴線に触れたのは、ともこさんとりょうこさんの発言だった。
りょうこさんは外資系SIのPMでPlanioを使っているので、プロマネ観点が多い。
だから、Redmineパトロールみたいにチケット保守や、多数の社外関係者のユーザの権限管理の観点が多くなる。

akipiiさんはTwitterを使っています 「PMの方の意見では、Redmineのパトロールが大事。Redmineの運用がずれてしまうので、定期的にチケットの運用をパトロールする。ゾンビチケットを駆除したりとか。 #redmineT」 / Twitter

akipiiさんはTwitterを使っています 「Redmineの良さ。半年前のチケットを元にコピーして今回の作業チケットを作れるので、差分だけ見ればよく作業漏れがなくなる。関連チケットでチケットを相互関係付けられる。色んな会社の人が使うので権限管理が細かく決められるのがいい。 #redmineT」 / Twitter

一方、ともこさんは全社のソフトウェアの障害管理、全社PJのゲートレビューの管理、Redmineサーバーの管理をされているので、PMOの観点が多い。

akipiiさんはTwitterを使っています 「Redmineが使いにくい所では、UIが初心者のハードルが高い意見が多いが、UIよりもワークフロー設計の方に課題がある意見の方に興味を持った。トラッカーとステータスで障害管理、定常業務の作業管理のワークフローをどう設計するか?の方が重要だし腕の見せ所と思う。 #redmineT」 / Twitter

akipiiさんはTwitterを使っています 「Redmineに限らずチケット駆動の弱点の一つは、チケットの説明欄が自由すぎること。起票者の能力によってバラついて作業連携やコミュニケーションにロスが出る。そこでテンプレートを用意したり、事前にテンプレートチケットのリンクをWikiに用意して誘導する。 #redmineT」 / Twitter

akipiiさんはTwitterを使っています 「Redmineを通じて対面だけでなく非同期のコミュニケーションもやっている。1年前の障害チケット、既に去った人が書いたチケットを読んで意図を理解する。チケットの説明欄に、障害内容や関連するチケットがこれです、と書けば伝えられる。書いて伝える能力が要求される。 #redmineT」 / Twitter

【2-3】女性ならではの観点では、お母さんみたいな役割もあるらしい。
この辺りは中年男性の僕には分からない笑。

akipiiさんはTwitterを使っています 「管理者がオレオレ運用ルールを押し付けると、メンバーは何でやねん!と反発してしまう。そこで相談しやすい雰囲気を作って、お母さんみたいな役割を持って、悩みを聞きまくる。 #redmineT」 / Twitter

akipiiさんはTwitterを使っています 「Redmineをパトロール中に、この表現はダメだよね、と気づいたら、チケットもコメントもコッソリ直したり指導する。IT技術者の説明はぶっきらぼうで、これが仕様です、と書いてもノンITの人には伝わらない。 #redmineT」 / Twitter

akipiiさんはTwitterを使っています 「心理的安全性を高めて雰囲気を良くして、チケットに書いたら、お互いに時間を有効に使えるよ、と伝えたい。 #redmineT」 / Twitter

【2-4】5人のディスカッションでは、「柔軟性」というキーワードが多かった。
「Redmineはユーザとツールの観点で柔軟である」と。

ツールの観点では、Redmineはプラグインやパッチのおかげ機能追加がすごく柔軟な特徴を持つ。
一方、ユーザの観点では、Redmineは現場の人たちのニーズに応じて、運用ルールを柔軟に変更してFitさせることができる。

僕は、「柔軟性を英語でいうと、Elasticと思う。AWS用語でよく出ると思う。 #redmineT」と思っていたが、どうやらFlexibilityの方がイメージが合っていると思う。

akipiiさんはTwitterを使っています 「柔軟性には、ツールの柔軟性と人としての柔軟性の2つの観点がある。 #redmineT」 / Twitter

akipiiさんはTwitterを使っています 「100人上のユーザの中で女性PMが一番Redmineが詳しいが、若い人の意見に時々はっと気づく時がある。自分が決めた運用ルールが絶対ではないのでこう変えてもいいかもと思う時もある。人の柔軟性を実現してくれる柔軟なツールがRedmine。 #redmineT」 / Twitter

akipiiさんはTwitterを使っています 「Redmineは、各人が貯めている経験や知識を吐き出すのに向いている。他人の言葉にハッとする時はむしろTwitterや対面の方が多いのではないか。 #redmineT」 / Twitter

【3】田畑さんの森林管理でRedmineを利用している事例はとても面白かった。
岡山の山奥の村に、林業でDXをやっているらしい。

【3-1】Redmineを使う場面は、補助金の申請業務や日々の作業管理。

akipiiさんはTwitterを使っています 「林業だけでは収入が少ないので、補助金の書類が大事。書類が多い。そこでRedmine。人によって情報格差が大きい。知っている人は作業できるが、知らない人は作業できない。ストレスが溜まる。 #redmineT」 / Twitter

akipiiさんはTwitterを使っています 「ステータスは、下請けさんの作業街が多いので追加。監督者対応中も追加して65歳の監督者を想定。補助金の申請業務は他者対応待ちを追加。実際の業務で必要だから。 #redmineT」 / Twitter

akipiiさんはTwitterを使っています 「プロジェクト=現場。バージョン=作業監督。チケット=作業で数時間。トラッカー=設計、実施、監査など。 #redmineT」 / Twitter

akipiiさんはTwitterを使っています 「トラッカー=設計、監督、実施後で作ったが、WFが同じなので分ける必要はなかったかもしれない。 #redmineT」 / Twitter

【3-2】Redmineで工夫している点は、ワークフロー設計と、GTTプラグインを入れて、チケットに地図情報を記載している点だ。
実は、第20回勉強会 - redmine.tokyoで「 第20回 LT: Redmineで地理空間情報を扱う、Redmine GTT (Geo-Task-Tracker) plugin の紹介」で知って、取り入れたらしい。

Redmineと地図情報を組み合わせるアイデアは面白いと思う。
営業活動や配送管理などにRedmineを適用できるのではないか。

akipiiさんはTwitterを使っています 「森林管理は口承伝承。作業手順を文字化して標準化したい。作業手順記録はWiki、作業状況確認はRedmine+GTTプラグイン。前回勉強会LTのGeoTaskTrackerプラグインを使う。 #redmineT」 / Twitter

GitHub - gtt-project/redmine_gtt: Plugin that adds spatial capabilities to Redmine

akipiiさんはTwitterを使っています 「チケットにGTTプラグインの地図情報が表示される。チケット説明は簡単に書く。詳細はWikiに書く。チケットの説明に詳しく書くと流用しにくい。 #redmineT」 / Twitter

【4】僕も久しぶりに「Redmine屋から見たMS Planner #redmineT」を講演した。
Teamsに付属しているPlannerを使っているのだが、とにかく使いづらくて仕方ない。
Plannerは所詮ToDo管理に過ぎず、もっと細かなタスク管理や課題管理をやるのには向いていない。
当たり前なんだけどね。

MS PlannerはRedmineと違って使いにくいのは複雑なワークフロー管理ができないから: プログラマの思索

懇親会で聞いてみたら、ブレークアウトルームの大半の人はTeamsを使っている。
Slackを使う人はごく少数。
Office365を使う企業は多いので、Teams利用者が圧倒的に多い。
すると、フリーのPlannerも付属してくるので皆知っている。

しかし、Plannerは使えませんという声が圧倒的だった。
興味深い意見は、Plannerのタスクには更新履歴が残らないので、ナレッジにならない。
使い捨てのカードみたい。
PostItの感覚でしか使えない。
本来は、Redmineのように、完了したチケットでも後から参照したいのに、と。

【5】今回の勉強会は参加者が100人にも到達しなかった。
同日開催の裏番組のOL勉強会が多かったせいだろう、という意見が多かった。

また、@naitohさんのRedmine.tokyo21 questionnaireの通り、初めての参加者が少なく、4回以上の参加者が圧倒的に多くなっている。
この傾向に危険を感じる人も多い。

でも僕はあまり気にしていない。
我々の勉強会が楽しくて盛り上がっていれば自然に人は集まる。
誰でも参加できるような雰囲気さえあればいい。
他人の都合に合わせる必要はないし、こちらの雰囲気が良くて気になるなら、こちらの都合を合わせてくれればいい。

コミュニティはボランティアなので、過大なコミット感まで持たなくていい。
むしろ、緩く長く続けることのほうが大事と思う。
年2回開催という絶妙のバランスのおかげで、スタッフの作業負荷も大きくない。
5月、11月に定期的に開催できるリズムがあるから、参加者もスタッフも講演者も予定を入れやすい。

この勉強会ももう10年以上も続いているのは一つの奇跡だと思う。
他のアジャイルコミュニティも浮き沈みがあって、スタッフの入れ替え時期には開催できなかったりしていた。

三浦かずひとさんの通り、純粋に楽しめればいいと思う。

みうら かずひとさんはTwitterを使っています 「#redmineT 最近RedMineに対する思いもないし、特段興味を持って参加ではなかったのだけど…「利用者視点かつファンでない視点で見つめる」と、「お、工場?」「お、林業?」とか、凄く純粋に楽しめました。」 / Twitter

【6】2021年もAdventCalendarをやっているので、興味のある方はぜひ応募してみてください。
書いてみると、1年後には記念になるのがいいです。

Redmine Advent Calendar 2021 - Adventar

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