アジャイルの概念を取り入れたCMMI
岡本 隆史さんが、アジャイルの概念を取り入れたCMMIの記事を公開されていたのでメモ。
ラフなメモ書き。
【元ネタ】
徹底検証! CMMIはアジャイルの改善にも役立つか?- @IT情報マネジメント
CMMI | CMMI Solutions | Translations | CMMI 日本語翻訳版
上記の記事を読むと、スクラムを例として、アジャイル開発のワークフローにCMMIの概念をマッピングして整合性を取ろうとしているように思える。
ScrumとCMM/CMMIの親和性については、「スクラム入門-アジャイルプロジェクトマネジメント」の一番最後の付録で既に書かれてる。
「スクラム入門-アジャイルプロジェクトマネジメント」では、ScrumのプラクティスはCMMMIのレベル2、3のKPAをほぼ網羅しており、不足しているKPAは、プラクティスの制度化とソフトウェア外注管理だけだという指摘がある。
Scrumが認定スクラムマスターや認定プロダクトオーナーなどの制度を導入した理由の一つは、ここに発端があるのだろうと思う。
ScrumがCMMIに影響を受けたのが良いのかどうか分からないが、認定制度を取り入れたことで、Scrumが急速に普及していった理由の一つになるだろうと思う。
とはいえ、僕が、アジャイルの概念を取り入れようとしているCMMIに対する違和感は下記に書いた。
上記のPDFをきちんと読んでいないけれど、小規模リリースという考え方を取り入れる時、CMMIはその本質をうまく表現できるのか、という懸念を持っている。
また、似たような例として、アジャイル検定という試験が最近公開されたが、平鍋さんと同じ意見を僕も持っている。
少なくともScrumでは認定制度の中でワークショップが開催されているとは聞いている。
Twitter / hiranabe: アジャイル検定には強い違和感を感じる。せめてワークショップを含めるとか、実プロジェクトの体験記を書いてどう改善するか考える、とか、入れて欲しい。
今後、アジャイル開発が注目されるにつれて、自分たちに都合の良い解釈が流行して、本来のアジャイルの概念が曲解される危険もある。
今後もその動向に注目していく。
【追記】
アジャイル開発とCMMIなどの他プロセスの比較検証・評価については、「アジャイルと規律 ~ソフトウエア開発を成功させる2つの鍵のバランス~」で既に色々と書かれている。
| 固定リンク
「ソフトウェア工学」カテゴリの記事
- アーキテクチャ設計はベストプラクティスを参照するプロセスに過ぎないのか?~Software Processes are Software, Too(ソフトウェアプロセスもまたソフトウェアである)(2024.09.22)
- 「システムアーキテクチャ構築の原理」の感想part2~非機能要件がシステムのアーキテクチャに影響を与える観点をプロセス化する(2024.05.06)
- 「システムアーキテクチャ構築の原理」の感想(2024.05.06)
- ソフトウェア工学の根本問題から最近のソフトウェア設計を考えてみる(2024.03.03)
- マイクロサービス設計は従来のアーキテクチャ設計と何が違うのか(2024.01.02)
「Agile」カテゴリの記事
- 「世界一流エンジニアの思考法」の感想(2024.12.08)
- 「システムアーキテクチャ構築の原理」の感想part2~非機能要件がシステムのアーキテクチャに影響を与える観点をプロセス化する(2024.05.06)
- 「スクラムの拡張による組織づくり」のScrum@Scaleの感想(2024.03.31)
- ソフトウェア工学の根本問題から最近のソフトウェア設計を考えてみる(2024.03.03)
- 「GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかた」の感想(2023.12.10)
コメント
「アジャイル」が何を指すのか?CMMIが何を指すのかによるような気がしますね。
CMMIがプロセス改善であるならば、どんどん自分たちのやり方に合わせて、開発方法をブラッシュアップすればいいのでアジャイルでも問題はないでしょうね。逆に、「不足しているKPAは、プラクティスの制度化とソフトウェア外注管理だけ」という捉え方をするのであれば生きないように思います。
昔、現場の改善でレベルアップしていった組織を今のCMMIでマッピングするとかなりいびつな構造をしていると思います。でも、それでいいんです。組織に合わせて最適化して、結果の出せているプロセスならば問題は少ないはず。
プロセスに使われない開発って、そもそもそういうものでしょ。
そして、それはアジャイルでも変らないはずです。
投稿: 大野晋 | 2012/07/10 13:46