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2012/07/07

定量的プロジェクト管理ツールはIT企業の基幹システムを目指す

IPAが出版していると思われる雑誌にチケット駆動開発の記事を見つけたのでメモ。

【元ネタ】
SEC journal_No28

IPAの定量的プロジェクト管理ツール #redmine: プログラマの思索

Redmineを業務システム化するアイデア~メトリクス集計の本質は集計バッチ処理: プログラマの思索

「定量的プロジェクト管理ツール(IPF)の紹介」の記事で、IPAが作った定量的プロジェクト管理ツールがどのような目的で作られて、どの範囲を適用しようとしているのか、を解説している。
その記事の中で、このツールがRedmineやTracを元ネタとして、プロジェクトの状況を各種のメトリクスで出力する時に、チケット駆動開発のアイデアを適用していると書かれている。

本来、チケット駆動開発は軽量なプロセスであり、チケットをタスクカードとして扱うという簡単な発想から発展してきた。
だが、このアイデアを突き詰めると、定量的プロジェクト管理ツールのように、IT企業の基幹システムのようになっていくのだろうと思う。
つまり、SI企業の各プロジェクトの進捗や品質の状況をリアルタイムに把握するために、開発者個人の入力データから集計し、その集計結果をマネジメントの判断材料として扱いたいわけだ。

定量的プロジェクト管理ツールの記事を読んで思うことは2つある。
一つは、これはIT企業のERPだな、という点。
機能が豊富だが、入力項目がたくさんありカスタマイズ可能なので、自分たちの会社やチームにどのように当てはめると効果的か、そしてどのように運用すればいいか、見極めることが重要。
ERP導入時のフィットギャップ分析と同じように、どの機能を流用し、どの機能をカスタマイズするか見極めないといけない。

フィットギャップ分析 - @IT情報マネジメント用語事典

実際のERP導入では、コストや納期のバランスで見極めるのが難しい。

もう一つは、RedmineやTracなどWebフロントで入力されたデータを元に、バッチ処理で集計処理を行なっている点。
普通の会社では月末に請求締めや会計締めなどを行なって、在庫の確定や売上を計上し、損益計算書を作る。
IT企業でも同様に、プロジェクトもマイルストーン単位に、進捗の情報から今どれだけの工数を消費して、どれだけの利益が出るのか、を知りたいものだ。
すると、月次バッチのような機能が必要になり、それは定量的プロジェクト管理ツールのように一定期間ごとに各種メトリクスを出力する機能が必要になるだろう。
EVMのように実績工数からコストや利益を計算する仕様はあるから、それを月次バッチで実装すればいいだけのことだ。

こういうツールに触れて思うのは、IT企業ほどIT化が遅れている業界はないのでは?と言う点。
銀行や証券のような金融業はITシステムの装置産業と言ってもいいし、製造業でも生産計画や在庫計算などはMRPなど既にシステム化され尽くしている。
小売業もPOSなどでリアルタイムに商品の売れ筋情報を管理するようにシステム化されている。
なのに、IT企業は自分たちの売上や費用の確定があいまいで、蓋を開けてみないと分からない時が多い。

世の中の企業がシステム装置産業へ変化している情勢ゆえに、IT企業もその流れに組み込まれていくではないかと思っている。

【追記】
定量的プロジェクト管理ツールはアジャイル開発のタスク管理をサポートすることにも使えるらしい。
そういう目的で作られたとは思わなかった。

情報処理推進機構:ソフトウェア・エンジニアリング

(引用開始)
Redmine、Tracを使った「定量的プロジェクト管理ツール」の紹介

アジャイル型開発においては、頻繁なリリースに対応するための機能追加やバグ修正、あるいはリファクタリングによるソース修正をコントロールするために、ソース修正に対するタスク管理を行うことが重要です。ところが、イテレーション計画が頻繁に変更されるため、リアルタイムなタスク管理を行うことが難しくなっています。この問題に対応するため、IPA/SECでは、ソース修正の自動収集を行い、さらに定量データに基づきプロジェクト管理とバグ管理を行うツール「定量的プロジェクト管理ツール」を開発し、オープンソース・ソフトウェアとして公開しました。本セミナーでは、同ツールの概要について説明します。
(引用終わり)

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