「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

実質賃金が4か月連続でマイナス、続く物価高騰、追いつかない賃上げ

 今年も値上げラッシュが続くといわれています。一方で、物価上昇率は、輸入物価上昇の一巡で下落トレンドになっているといいます。物価理論の権威は、賃上げとサービス価格が上げられれば、日銀の物価安定目標2%の達成に近づき、政府が「デフレ脱却宣言」を出せるのではないかと予測します。

物価理論の権威、渡辺努教授「25年にデフレ脱却宣言あり得る」:日経ビジネス電子版

 学者の予測は果たして当たるのでしょうか。データ、数字からすればそうなのかもしれませんが、ここ数年続いた物価高騰が積み重なって高いなと感じるばかりです。いまだにデフレ云々との話なのかなと感じます。

 

 

 実質賃金が4か月連続でマイナスになっています。昨年一時プラス圏に浮上しましたが、逆戻りです。名目賃金は伸びているものの物価上昇に追いつかていない状態が続いています。

【毎月勤労統計調査】実質賃金、4カ月連続マイナス 米・野菜の値上がり響く - 日本経済新聞

 一般庶民はついつい節約志向に走りがち。個人消費低迷に貢献していそうです。しかし、政府はなかなか政策転換を図れないようです。間違ったタイミングで政策を変えるとデフレに舞い戻るリスクがあるというのが理由のようです。

下手なデフレ脱却宣言、政策変えデフレに逆戻りのリスク=赤沢再生相 | ロイター

 赤沢経済再生相が「デフレ経済と、賃上げと投資がけん引する経済の分岐点にある」と述べました。一方で、政府・日銀の財政・金融政策が変わらず円安が続いて、輸入物価高騰は改善せずコスト増の要因になったままです。人手不足も深刻のようで賃金を上げなければならずこれもコスト増です。持続的に賃金を上げていくためには余力を確保する必要があります。企業は、政府の思惑通りに動けるのでしょうか。物価高騰が収まる気配はなさそうですし、それを上回る賃上げも難しそうにも見えます。

ポイ活達人のアドバイス

 賢くポイ活、ポイントをうまく活用できれば家計の足しになります。こんなご時世なのですから、合理性がありそうです。「1回の買い物でポイントの多重取りを意識することも大切です」「ポイ活は、ポイント経済圏にどっぷりつかり、地道にコツコツ取り組むことが大事です」と達人はアドバイスします。

物価高に負けるな 目指せ「ポイ活」の達人 マッスルマネー - 日本経済新聞

「レジ前でもたもたしていると後ろに並んでいる人から迷惑がられるかもしれませんので、お目当てのカードやスマホ画面をすぐに出せるよう訓練しておきましょう」ともいいます。賢さを追求し過ぎて、かえって深みにはまり、煩雑さが増して効率性が悪くなりそうです。

 こんな生活がいつまで続くのやら。実質賃金の改善が進まないのなら、手取り増の別な手立てがあってもよさそうです。何かを変えずに、効果ばかりを期待するのが間違いではないでしょうか。

 

 

ポイント経済圏疲れ

「魅力ある特典を探したり、ポイントのお得な使い方を考えたりすることに疲れてきた」、自分の好きなコトにはお金をつぎ込むZ世代が、ポイント経済圏に狭さを感じ、ポイントとは違う魅力を探しているそうです。

みずほ・楽天連合、カードの陣取り合戦火蓋 迫るPayPay 変貌キャッシュレス㊤ - 日本経済新聞

 囲い込み合戦が激しくなっていることの弊害のようです。しかし、シェア争いはますます熾烈さを増し、各社が様々な施策を繰り出します。

 ポイントばらまき、国の政策とあんまり変わりません。そんなにコストをかけていいのかなと感じたりします。それよりは手数料を抑えて、利用店のコスト低減に協力して、賃上げしやすい環境を作るのもいいのではないでしょうか。社会貢献になりそうですし、それによってシェア拡大もあるのかもしれません。大企業の都合ではなく、社会に目を向ければ、やれることはいくらでもあるのではないでしょうか。

論語に学ぶ

君子は諸(これ)を己に求め、小人は諸を人に求む。(「衛霊公第十五」21)

 君子は責任を自分に求めるが、小人は責任を他者に求めると孔子は言いました。

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  持続的な賃上げには生産性向上が求められます。一方で、産業構造がそれを阻害していることもありそうです。多重下請け、中抜き構造、場合によってはプラットフォーマーも、これらが社会全体の生産性を低下させていることはないでしょうか。社会のムダを見つけ出して、それを省く、それだけで生産性の大幅な改善もあるように思えてなりません。

 

 

「参考文書」

10周年の楽天ポイント 小林社長「米OpenAIとの提携は大きかった」:日経ビジネス電子版

年会費5万円ラグジュアリーカードを選ぶ20代 ポイント経済圏に疲れ YOUTH FINANCE⑫ - 日本経済新聞

 

変わるSNS、表現の自由を重視か、米メタがファクトチェックを廃止

「トランプ2.0」、トランプ氏の米大統領就任が近づいてきました。米国で色々な業界で様々な動きがあるようです。

 フェイスブックやインスタグラムを運営する米メタは、投稿内容の正確性を調べる独立したファクトチェッカーの使用を廃止すると発表しました。

トランプ時代に迎合、ファクトチェック廃止...ザッカーバーグのメタが示す「右傾化の兆候」|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

「表現の自由をめぐる、我々の原点に戻る時だ」とザッカーバーグCEOが述べました。ファクトチェッカーが政治的に偏りすぎているとも指摘したようです。移民や性自認といった特定の話題の制限も撤廃するそうです。

 この方針転換で、SNSにおける投稿の自由度が高まり、一方で、さらに過激な言論や偽情報が増加する危険性があり、憎悪を増幅する可能性が否定できないともいいます。

 

 

「最近の選挙は、再び言論の自由を優先する、文化的な転換点のようにも感じられる」ともザッカーバーグ氏は語り、「過去の検閲はバイデン政権に強要された」と主張し、レガシーメディアを批判するようになったそうです。 

 メタの最高国際問題責任者に任命されたジョエル・カプラン氏(共和党)は「表現の自由に尽力しているトランプ大統領の就任にあたり、我々はそうした価値観に立ち返り、人々が望む言論や討論の場を提供する」と語ったといいます。

 プラットフォーム企業が、時の政権によってその運営方針を変えることが間違いだとは言わないまでも、疑問を感じずにはいられません。結局、インターネット初期の時代のようにリテラシーが問われることになるのでしょうか。

かつてリベラル派の代表格だったザッカーバーグは、マスクの筋書きに従ってメタのプラットフォームを右傾化させ、トランプ次期政権に取り入ろうとする姿勢を強めている。(出所:ニューズウィーク日本版)

 メタの方針転換が分断の深刻さを物語っているようです。

 

 

 日本においても、「X」や「YouTube」などSNSの問題が指摘されるようになっています。炎上や誹謗中傷だけでなく、最近では選挙結果にも影響することが明らかになりました。また、「闇バイト」など犯罪に関わる問題も生じています。

荒廃し炎上マシンと化したX 2025年、政府はもう黙っていない:日経ビジネス電子版

 一方で、SNSが若者の投票率を伸ばしたという良い面も指摘されています。しかし、自由な言論空間であったはずのインターネットやSNSが今やデマや偽情報の拡声器のようになり、炎上商法や煽った者勝ちみたいな害が蔓延するようになっています。こうした事実からすれば、失敗とは言わないまでも不完全なテクノロジーといわざるを得ないのではないでしょうか。

 日本でも、SNSに対する規制が有識者会議で議論されているといいます。ガイドラインが作られて、それに従ってSNS運営会社が有害な投稿の削除やアカウントの凍結などを行うことになるのではないかといわれています。

Xからネガティブ情報が消える? イーロン・マスク氏がアルゴリズムの変更を予告【やじうまWatch】 - INTERNET Watch

「表現の自由」との兼ね合いがどのように考慮されることになるのか気になります。米国の影響を受けたりすることはあるのでしょうか。

 

 

 もし現状のSNSが変わることがないのなら、リベラル寄りのSNSが誕生してもよさそうですし、新聞やテレビなどのオールドメディア、レガシーメディアが正確で信頼できる情報を発信するように変革できばいいのかもしれません。何ならSNSのようなメディアを運営してもいいのでしょう。しかし、その前に変えなければならないが多々ありそうです。

中居さん番組、休止や差し替え 女性との性的トラブル報道受け:時事ドットコム

 中居正広さん、松本人志さんにジャニーズの問題、色々なことが明るみになって、メディアが対処する事態が続いています。まずはこうしたところから変えていくべきなのでしょうが、何か障害でもあってうまくいかないことでもあるのでしょうか。

論語に学ぶ

辞(じ)は達するのみ。(「衛霊公第十五」41)

 言葉は発信するだけでは意味がなく、相手に十分伝わるようにすることが何より大切と孔子は言いました。

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 ことばは、相手に伝わらなければ意味がありません。ことばとは、自分の意志を伝えるものです。言葉はシンプルにして、複雑華美にする必要はないといいます。

 こんなコミュニケーションが成立するテクノロジーがあればいいのかもしれません。

 

「死ね」と言ったあなたへ|岸田奈美|NamiKishida

 

「参考文書」

フェイスブックとインスタグラムのファクトチェックを廃止、米メタが発表 - BBCニュース

FacebookやInstagram、メタがファクトチェック廃止 トランプ氏接近へ方針転換 - 日本経済新聞

ファクトチェック廃止のザッカーバーグ氏、トランプ氏寄りに急旋回 - Bloomberg

リベラルは“死んだ”のか? 復活への処方箋は… 吉田徹・同志社大学政策学部教授【時事時評】:時事ドットコム

中居正広さん、トラブル認め謝罪 一部報道内容は否定 - 日本経済新聞

「私は許していない」中居正広と密室で2人きりにさせられ…週刊文春が“パイプ役”のフジテレビ幹部を直撃した | 文春オンライン

 

インフル大流行、薬不足、薬価引き下げ、進まない日本の医療DX

 色々な問題を抱える日本社会、解決が進まないうちに次から次へと問題が押し寄せてくるようです。今年2025年は、「団塊の世代」が全員75歳以上となり、いよいよ超高齢化社会を迎え、様々な社会問題が顕在化するといわれています。これを「2025年問題」と呼ぶそうです。

「2025年問題」がトリガーを引く日本の危機、社会保障も介護も破綻寸前だが石破政権は関心薄(1/4) | JBpress (ジェイビープレス)

 社会保障費の負担増加、介護・医療システムの崩壊、労働者人口の減少による国内市場の縮小、人材不足による事業承継や業績悪化への不安などが問題として挙げられるそうです。深刻な問題と言ってよさそうです。政治が積極的に関与して解決への道筋をつけるべきなのでしょうが、なかなか手が回らないのでしょうか。

 

 

インフル大流行、薬不足

 インフルエンザ治療薬「タミフル」のジェネリック医薬品の供給を沢井製薬が一時停止したそうです。インフルエンザの急激な流行拡大で需要が想定を上回り、生産が追いついていないことが理由といいます。この他にも、咳止めやたんを切る去痰薬、抗生物質などの需要も逼迫しているそうです。

沢井製薬、タミフル後発薬の供給一時停止 インフルエンザ流行で生産追いつかず - 日本経済新聞

 背景には、4年ほど前から続く薬不足があるといわれています。その始まりは、ジェネリック医薬品メーカー「小林化工」での品質不正。問題発覚から長い年月が経ちますが、いまだに業界全体で3割近い製品が通常出荷できていないといいます。国は業界再編などを促すことで対策を模索するものの、問題解消には至っていないようです。

 一方、国は今年の国家予算で社会保障費の伸びを抑制するため、薬価を引き下げるそうです。官僚が「2025年問題」を考えれば、この発想になるのも致し方ないのかもしれません。

【2025年度予算案】薬価引き下げで医療費2466億円削減 社会保障費は最高 - 日本経済新聞

 しかし、あれもこれも製薬会社に求めては、単なる責任の移転にならないでしょうか。これではなかなか問題解決には結びつくことはなさそうです。お得意の官民挙げての対応が求められているのでしょう。それとも献金が少ないとか、それ以外の問題でもあるのでしょうか。

 他方、立憲や国民民主は、薬価の過度な引き下げを抑え、薬不足の解消を目的にした法案を衆院に提出したそうです。薬不足を優先課題とすれば現実的な解なのでしょうが、今後どうなっていくのでしょうか。

 

 

進まない医療DX

 医療DXを進めてムダを省いて全体でコストカットし、効率性アップ、生産性向上につながれがよさそうなものですが、こちらもスピード感に欠けるようです。

電子処方箋システム停止を延長 再開は未定―厚労省:時事ドットコム

 今度は電子処方箋。期待のあるシステムでのトラブルです。マイナ保険証しかり、力を入れたいところで問題が生じます。官民で、いったいどんな仕事をしているのでしょうか。

新型コロナウイルスの流行下で、病院と保健所、自治体の間でFAXでやり取りがされていた。これはものすごいショックでした。

——「システム連携できていれば」と、当時から指摘されていました。

時田:すべて富士通のお客様でした。富士通は病院のヘルスケア事業・電子カルテで大きなシェアを持っています。保健所のシステムや社会保障のシステム、自治体のシステムだって作っていた。

——でも、間をつなぐ(業種をまたぐ)提案ができていなかったと。

時田:要請があれば取り組んでいたとは思います。ただ、業種をまたぐような要請はそもそもその業種のお客様からは出てきにくい。問題解決には業種間のコラボレーションが重要だということは、世界中でコンセンサスが広がっていますが、そのファクトをまざまざと認識しました。(出所:Business Insider)

 システム構築を受注する企業も企業なら、発注する行政側もと思うような実態がありそうです。いったいどこを見て仕事をしているのでしょうか。

 

 

論語に学ぶ

君子は上達(じょうたつ)し、小人は下達(かたつ)す。(「憲問第十四」23)

 君子は、教養や道徳などを身につけようと努力するが、小人は小手先の技能ばかりを身につけようとすると孔子は言いました。

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 知識もあり教養もある人は、志を高く持って上達していくが、知識はあるが教養に欠ける人は、目先の利益で動くから、ダメになっいていくという解釈もあります。後者が今の日本の実情を表していそうです。政治も企業もそうなっているように見えるのですが。

 

 

 日本の実情を知れば知るほどに未来が暗澹たるものになっていきそうですが、一方で、まだまだ日本には良いところもあるはずなので、それを伸ばすことができればもう少し明るい未来も見えくるのではないでしょうか。

 例えば、国民皆保険制度、せっかくの良い制度なのですから、これを持続的に発展させることができるようにシステムの改善、効率性と生産性向上をとことん追求していくべきなのでしょう。システム、デジタル、そしてこれらにかかわるモノすべてを最新化、アップデートし続けることが求められるのでしょう。

 懸案の薬不足についても、デジタルの力だけでは解決できません。結局、薬作りもものづくりですし製造業です。錠剤を作るにしても原料の他にも錠剤に成形するための金型も加工装置も必要なわけであって、デジタルもどれもおろそかにすることはできません。やはりシステム全体として考えて、全体での生産性向上につながるようにしていかなければならないのです。

日本は資源が全然ない国です。さらに人口が減っていく。日本が生き残るためには、ハイテク産業の国になるべきであることは昔から変わりません。(出所:NEWSPICKS)

 ハイテク、ちょっと古めかしいかもしれませんが、やはり先端技術、ソフト、ハードを問えず、追求し、それを実装して社会全体の効率性アップに努めなければならないのでしょう。しかも競合に負けないスピードでの実現が求められるのでしょう。

 

「参考文書」

ジェネリック医薬品の供給不安なぜ長期化? 業界改革へ政府動く - 日本経済新聞

【ゼロ解説】4年間ずっと「薬不足」いま何が起きているのか

電子処方箋、発行再開を延期 点検作業終わらず - 日本経済新聞

薬価下げ対象、53%に縮小 創薬・安定供給でメリハリ - 日本経済新聞

立民、国民民主が薬価制度法案を提出 毎年改定を廃止に - 日本経済新聞

「2025年問題」約5人に1人が後期高齢者に 医療や介護などの体制拡大が課題 | NHK | 医療・健康

 

病める米国、日鉄に提訴されたバイデン大統領、挑発するトランプ次期大統領

 日本製鉄によるUSスチール買収問題で、日本製鉄がバイデン大統領らを提訴する事態に発展、政治絡みとなって注目されています。

日鉄買収計画が刺激した「米国の郷愁」 経済合理性通じず - 日本経済新聞

 経済の合理性より政治の合理性が優先されたがために頓挫したとの見方が優勢のようです。そんな中、日鉄の橋本CEOが会見し、その事情を説明していました。

 

 

「バイデン大統領の違法な政治的介入により、CFIUS 対米外国投資委員会の審査手続きも適正に実施されないまま、今回の大統領令に至ったものであり、到底受け入れることはできない」、諦める理由も必要もないとし。時折、大統領を「バイデン」と呼ぶなど強い語り口で説明していました。また、「勝訴のチャンスはある」とも強調していました。

 さすが日本製鉄を再生させてきた強気・剛腕経営者の発言だなと感じます。企業の立場からただ正論を述べただけのことなのかもしれませんが。過去においては電磁鋼板の特許を巡って、トヨタを提訴したこともありました(その後和解)。

「関連文書」

日本製鉄をV字回復させた“橋本改革”の系譜と課題:日経ビジネス電子版

「全員が勘違いしていた」 日本製鉄・橋本社長が覚えた違和感:日経ビジネス電子版

日本製鉄の橋本英二社長「危機の真因は10年前の経営統合」:日経ビジネス電子版

 ここ数年、橋本CEOに関する報道を追いかけてきましたが、原発推進派ですし、個人的にはあまり好きな経営者のタイプではないですが、混迷期には必要なタイプの人物なのかもしれません。

 

 

論語に学ぶ

法語(ほうご)の言(げん)は、能(よ)く従う無からんや。之を改むるを貴しと為す。巽与(そんよ)の言、能く説(よろこ)ぶこと無からんや。之を繹(たず)ぬるを貴しと為す。説こびて繹ねず、従って改めず。吾 之を如何ともする末(な)きのみ。(「子罕第九」24)

 正論には従わないことができようか。正論に従い欠点を改めるのがよい。一方、遠まわしの忠告の場合、喜ばない者はない。しかし、その真意を求めることが大切。けれども、喜ぶだけで真意を求めないものだから、欠点を改めない人がいる。こういう人はどうしようもないと孔子はいいました。

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 今回の件について、バイデン大統領の側近たちの意見は分かれていたようです。外交を重視するブリンケン国務長官やサリバン大統領補佐官は取引を存続させる選択肢を推したそうですが、国内政策担当の側近に同調し今回の判断となったといいます。

日鉄のUSスチール買収計画、大統領「禁止命令」の舞台裏 | ウォール・ストリート・ジャーナル日本版から | ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 | 毎日新聞「経済プレミア」[

「労働組合の側に立つという自身のレガシー(遺産)を強化するため」..... それが正論なのかどうかはよくわかりません。

「関連文書」

「ダンピング、日本は中国以上」 米鉄鋼大手が日鉄提訴に反論 | 毎日新聞

USスチールCEOがバイデン氏を批判 「恥ずべき腐敗したもの」 | 毎日新聞

[FT]日本製鉄問題、アメリカの「友情」に傷 USスチール買収拒否で揺れる同盟 - 日本経済新聞

 

 

「自分は正しい」――そう信じて疑わない人が暴走する。その暴走がどれほど危険であるか、そしてそれをいかに止めるべきか。(出所:日経BOOKPLUS)

「人を動かす」の著者D・カーネギーはそう主張しています。

 現代政治においてもこうした行為がよく見られるようになっていないでしょうか。周囲の声に耳を傾け、よくよく考えて行動することが求められているにも関わらず....

「カナダはアメリカの51番目の州になるべきだ」、大統領就任が近づいているトランプ氏も暴走しています。グリーンランドやパナマ運河を巡っては軍事力行使をちらつかせる始末です。病める米国。トランプ氏に近づくイーロン・マスク氏も同様です。

「カナダと米国は合併を」 首相辞意でトランプ氏がまた挑発 | 毎日新聞

 欧州では極右化が進んでいるようです。中道やリベラルが問題解決できなくなっているのが問題なのでしょうが、だからと言ってです。この先が心配になります。

「関連文書」

トランプ氏、軍事力行使排除せず パナマ運河とグリーンランド巡り | ロイター

オーストリア、極右が政権奪取の公算 欧州伸長止まらず - 日本経済新聞 

カナダ・トルドー首相辞意が映す各国与党の苦境 物価高の逆風続く 編集委員 瀬能繁 - 日本経済新聞

 せめて日本がその歯止めに役になれればよいのでしょうが、こちらもそんな雰囲気はなく、厳しそうです。

 世界平和や地球の未来、ウェルビーイングな社会、その実現に向かうからこそ未来があるのではないでしょうか。どんな政治なら時代を前に進めることができるのかと考え込んでしまいます。違う力でリードしていかなければならないのかもしれません。民主主義と資本主義を正しく機能させるためにも。

 

「参考文書」

【USスチール買収】日本製鉄・橋本英二会長、米当局の審査は「結論ありきの政治介入」 - 日本経済新聞

日本製鉄会長「諦める理由も必要もない」 大統領を「バイデン」と呼び捨ても | 日テレNEWS NNN

 

戦後80年、これから先の日本の役割を考えるとき

 終わらない紛争、荒ぶる気候、世界平和、地球の未来が心配です。眼前の危機に国際社会が協力、解決に立ち向いさえすれがいいはずのに、それに逆行していそうです。

アメリカも国連も頼れない 軍拡時代に逆戻り、独は新しい兵役模索 逆転の世界④ - 日本経済新聞

 政治の問題が世界共通になっているようです。韓国に米国、露国などなど例を挙げればきりがありません。政治体制にかかわらずです。悪い時代に逆戻りさせることもないはずなのに、政治家たちはわざわざそうしているように見えます。

 

 

ウクライナや中東で続く戦争は大国主導の安全保障の限界を映す。第2次世界大戦後、外交を軸に築いた平和は遠のき、軍事力増強に走る世界に逆戻りしたかのようだ。(出所:日本経済新聞)

イスラエルに武器売却へ 米政権、1兆円相当 | 共同通信

 第1次トランプ政権が終わり、バイデン大統領の手腕に期待しましたが、がっかり、分断を助長させて終わることになりそうです。ふさわしくない人物といっても過言ではないのでしょう。

 USスチール買収問題でも評判を大きく落としました。

日本が脅威なのか-USスチール問題が問う「国家安全保障」の意味 - Bloomberg

 日米同盟の意義が問われているようにも感じます。トランプ政権になれば、好転することはあるのでしょうか。

 

 

 こんな混迷する世界にあって、日本がイニシアティブを発揮して、世界平和のリーダーになるべきなのでしょうが、日本政府にはその意思がないようです。

防衛装備輸出、年内に新戦略 トランプ氏復権も視野―政府:時事ドットコム

 防衛産業の基盤を強化し、防衛装備品の輸出を促進、防衛産業を成長産業にしようとしているようです。防衛力強化の必要性は否定しませんが、どさくさに紛れ、なし崩し的に軍拡を進めているようにしか見えません。

 おカネはもっと違うところに優先的に投入されるべきような気がしますが、どうなのでしょうか。日本の政治もまた愚かな方向に走っているとしか見えません。

論語に学ぶ

故(ふる)きを温めて新しきを知る、以って師と為るべし。(「為政第二」11

 古典に習熟して、そこから現代に応用できるものを知る。そういう人こそ、人を教える師となることができると孔子は言いました。

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「温故知新」、伝統を墨守するのではなく、永遠の真理の今日的意味をさぐる、そうした知的訓練を重ねることによってのみ、目前の複雑で混沌とした、私たちにとって切実な現実を鋭くまた筋道をたててとらえることができるといいます。

 今の政治に欠けていることではないでしょうか。しかし、アップデートさせることができないのが政治家ということでもありそうですが。

 

 

 あの忌まわしい戦争から80年経ちました。そこから一体何を学んだのでしょうか。その歴史を思えば、日本には世界史的な使命がありそうなものです。世界平和だとか、核兵器廃絶とか。今それが求められているように思えてなりませんし、そこにこれから先の日本の役割がありそうです。そこでイニシアティブを発揮すれば、日本が真に国際的なリーダーとして認められることになりそうな気がしてなりません。

 

 

「参考文書」

USスチール買収、「政治」が翻弄 労組に配慮、正当化難しく―米:時事ドットコム

「中国の鉄鋼支配に直面、必要だった」自民の木原選対委員長、USスチール買収阻止に苦言 - 産経ニュース

【経済学者・岩井克人氏に聞く】トランプ政権誕生と生成AIの衝撃――2025年、日本の針路は?(前編):フォーサイト編集部 | 記事 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト

国家が崩壊する瞬間…「この国は外圧がないと変わらない」と言う人が誤解している「歴史の教訓」(岩尾 俊兵) | 現代新書 | 講談社(1/3)

【書評】『昭和史発掘』と『日本の黒い霧』を読み解く:保阪正康著『松本清張の昭和史』 | nippon.com

 

 

叶わなかった日本製鉄によるUSスチール買収、阻止した米国大統領

 バイデン米大統領が、日本製鉄によるUSスチールの買収を阻止することを決めました。米国の安全保障を損なう恐れがあることが理由のようです。

バイデン氏、USスチール買収阻止-日鉄「あらゆる措置講じる」 - Bloomberg

 日本製鉄はUSスチールとともに、これを非難、政治的な判断と失望感を表明しました。日本経済新聞によれば、米政府を相手取り訴訟を提起する方針を固めたといいます。この中止命令を決めた手続きの適正さなどを争うそうです。

 

 

「USスチールは米国が所有し、米国が運営し、米国の組合鉄鋼労働者が働く、世界最高の誇り高き米国企業であり続けるでしょう」、バイデン大統領は声明の中でそう述べました。「鉄は国家なり」、そんな言葉を連想します。

USスチールと米国の近代史

USスチール、1901年にフェデラルスチールとカーネギースチールの合併によって誕生しました。近代米国、アメリカンドリームの象徴のような存在といっていいのかもしれません。そのことが今回の決定に影響したのでしょうか。

 その成功物語には、鉄鋼王アンドリュー・カーネギー、金融王と呼ばれた銀行家 J・P・モルガン、合弁交渉を進め、USスチールの初代社長になったチャールズ・M・シュワブなどが登場します。スコットランド移民だったカーネギーは、この合弁で巨万の富を得ます。まさにアメリカンドリーム、その体現者といわれます。カーネギーはこの合弁後、引退、篤志家として活動、カーネギーホールやカーネギー図書館などを残しました。

 J・P・モルガン、チャールズ・シュワブもまた同様で、その名を企業名に残し、そしてそのビジネスは今なおビ続いています。

 

 

 J・P・モルガンは当時、鉄鋼業界を統一することで、コストを削減し、製品価格を下げ、大量生産し、労働賃金を上げることを考え、そのためにカーネギーの製鉄会社などを買収、合併させ、無駄の排除を目指したそうです。その結果、米国史上最大の買収劇となり、時価総額10億ドルを越える巨大企業が誕生したといわれています。

論語に学ぶ

博く学びて篤(あつ)く志し、切に問うて近く思う。仁 其の中に在り。(「子張第十九」6)

 偏らず幅広く学び、 篤志、志を揺るぎないものとし、協力援助する気持をもつこと。知らないことを身近な問題として取り上げ、熱心に問いただして考える。「仁」人の道はその中にあると子夏はいいました。  

dsupplying.hatenadiary.jp

「ラストベルト」と呼ばれる工業地帯の一角にあるペンシルベニア州に USスチールは本拠地を置いています。大統領選の激戦地です。

最大の敗者はUSスチールに 日鉄の買収計画頓挫、続く中国鉄鋼生産の支配力 - 産経ニュース

 繫栄したUSスチールも今では業績低迷が続く状況になってしまい、日鉄の買収が実現しなければ資金が不足し、主要工場の生産を止める可能性がある状況にあったといいます。

 USスチール誕生ストーリのように、今回の合弁も社会的な意義がありそうですが、それを考えずに、バイデン大統領は政治的に判断したように見えます。他の政治家たちももっともらしい理由をこじつけては、ちょっかいを出してきます。良くも悪くも「政治の時代」といっていいのかもしれません。

 

 

 世界のあちらこちらで、政治が様々な問題を起こしています。経済においてもしかりです。政治が経済を牛耳ることはどれだけ危険なことなのでしょうか。政治も企業もそれぞれが自主独立を尊重し、切磋琢磨して、健全に経済を目指し、それを進めるべきではないかと思えてなりません。

 

 

「参考文書」

バイデン米大統領、日鉄のUSスチール買収阻止を発表 | ロイター

バイデン大統領「安保上のリスク」 日本製鉄のUSスチール買収阻止巡る声明全文 - 日本経済新聞

日本製鉄、米政府を提訴へ バイデン大統領のUSスチール買収阻止受け - 日本経済新聞

日本製鉄のUSスチール買収阻止、米政治が翻弄 企業は野心持ち続けよ 本社コメンテーター 中山淳史 - 日本経済新聞

USスチール買収阻止、国内生産維持に関する決定 対日軽視でない=米高官 | ロイター

USスチール買収阻止したバイデン氏 「苦しい説明」の裏事情 | 毎日新聞

 

 

イーロン・マスクと渡辺恒雄、危険な存在、その類似性と違い

新たな年2025年が始まりました。早いもので21世紀も4分の1が過ぎることになります。戦後80年、節目の年で、昭和100年になるそうです。

「トランプ2.0」が始まり、不確実性につつまれ、世界は身構え、民主主義が問われる年になるといいます。政治の混乱が日本でも世界でも続きそうです。

加速する地球温暖化、乱れる自由貿易の秩序、核も絡み危うさを増す地政学的な緊張など、世界的な協調を必要とする懸案は数限りない。(出所:日本経済新聞)

 長く続く激動期は終わりを迎えそうにありません。

 

 

危険な存在となりつつあるイーロン・マスク

 あのイーロン・マスク氏が、トランプ次期米大統領の主要アドバイザーとして政治に関与することになります。

「政商」マスク氏、異例の権力を手中に トランプ次期政権の決定に再三介入【地球コラム】:時事ドットコム

 さらに戦争の行方を左右することにもなりそうだといいます。ウクライナに対して、スペースXの衛星インターネット接続サービス「スターリンク」の提供を一時的に停止したり、一方で、ロシアのプーチン大統領とのつながりを持ち、その運命を左右するとの意見もあるようです。中国においても同様のようです。

「イーロン・マスク」、民主的な選挙で選ばれたわけではないのに、政治に強い影響力を持ち、世界の覇権国のリーダーも、ご機嫌をとろうとする存在になりつつあるといいます。

マスク氏の影響力、世界中で強まるばかり-中国との関係巡り疑念も - Bloomberg

 人類の未来を左右しかねない、危険な存在ともいわれています。

 

 

 その右傾化が気になります。

マスク氏、英国に解散総選挙を訴え-ドイツに続く同盟国への介入発言 - Bloomberg

 各方面で物議をかもしているようです。

マスク氏、ドイツ極右政党党首とXで対談か 10日開催との情報 | ロイター

誰の意見にも従う必要がないテクノロジー系起業家たちは、世界をこれからどう動かそうとしているのでしょうか。危うい方向に向かう可能性はないのでしょうか。現状では、彼らの良心を信じるしかない、というのは恐ろしい事実です。(出所:日経ビジネス)

「関連文書」

独政府、マスク氏の極右政党支持を非難 「選挙介入にあたる」 | ロイター

マスク氏、独極右政党だけが「ドイツを救う」 異例の応援 - 日本経済新聞

マスク氏、英右派政党に巨額献金? 「外国の干渉」懸念も:時事ドットコム

ナベツネ

 昨年末、読売新聞グループ本社代表取締役主筆、「ナベツネ」こと渡辺恒雄さんが98歳で他界されました。ジャーナリスト、メディア界のドン、独裁者、フィクサー、妖怪、哲学者など様々な顔があったようです。

共産党に入党するも除名され読売新聞に… 渡辺恒雄氏が“独裁者”として君臨するまでの道のりを追う | デイリー新潮

彼がしゃべるとそれが影響力を及ぼしたことは事実で、巨星墜つという感じだ。(出所:NHK)

 戦後の政治史、メディア史を語るうえで欠かせない人物であったといいます。新聞界の権力者として長年にわたってもたらした功罪はとても大きいものだったともいわれています。

「関連文書」

渡辺恒雄氏が君臨した「黄金時代」 「終生一記者」が権力の象徴に… 社説では国会議員を名指しで「ガチ反論」:東京新聞デジタル

さよなら、渡辺恒雄さん 記者に届いた「人たらし」の手紙 | 毎日新聞

渡辺恒雄さん死去 読売新聞グループ本社代表取締役主筆 巨人オーナーや大相撲横審委員長務める 98歳 | NHK | 訃報

 イーロンが現代版の「ナベツネ」に見えたりします。新聞ではなく、SNSをおさえ、政治に関与しようとしているからでしょうか。「ナベツネ」よりオープンではあるのでしょうけれども、逆にそれが厄介なのかもしれません。

 

 

「ナベツネ」、ただ戦争を嫌う気持ちが人一倍強く、戦争を知る世代のジャーナリストとしての使命感を持っていた......

「あの戦争は侵略戦争だ」渡辺恒雄氏が東京ドームで田原総一朗氏に語っていたこと | レビュー | Book Bang -ブックバン-

「それはね、軍の横暴、独裁政治の悪さを、身にしみて分かったわけだ」、「あれだけ人を殺して、何百万人も殺して、日本中を廃墟にした連中の責任を問わなくて、いい政治ができるわけない」、自らの戦争の体験をもとに語り、戦争経験を持たない人が多くなることに危惧を抱き、それがまた行動の源泉になっていたようだといいます。

SNSの普段使いが当たり前になって、不確かな情報が拡散され、過激な政治勢力が伸長するようになりました。日本ではSNSが若者の投票率の伸びの一助になったともいわれます。

断片的で不正確な情報や主張の氾濫が社会や政治を乱すことへの注意は必要だ。新聞などのメディアが正確で信頼される情報をいかに発信するか。(出所:日本経済新聞)

 こうしたところにもTwitterを買収したイーロン・マスクの影響が大なり小なりありそうです。「ナベツネ」がもし健在ならこうした現状に何を思い、どう対処していくのだろうかと思い馳せます。

 

 

論語に学ぶ

子貢(しこう)曰わく、管仲(かんちゅう)は仁者に非(あら)ざらん。桓公(かんこう)は公子糾(こうしきゅう)を殺せるに、死すること能(あた)わず。又 之を相(たす)けり、と。子曰わく、管仲、桓公を相け、諸侯に覇たらしめ、天下を一匡(いっきょう)す。民 今に到るまで、其の賜(たまもの)を受く。管仲微(な)かりせば、吾其れ髪を被(こうむ)り衽(じん)を左にせん。豈(あに)匹夫匹婦(ひっぷひっぷ)の諒(まこと)を為して、自ら溝涜(こうとく)に経(くび)れて知る莫(な)きが若くならんや、と。(「憲問第十四」17)

 弟子の子貢が「管仲は仁者ではありますまい。桓公が公子糾を殺したとき、殉じて死ぬことができず、その上、桓公の謀将となって助けたではありませんか」と問いました。すると孔子は「管仲は桓公が補佐して諸侯の覇者たらしめ、諸侯をして周王室を尊崇せしめ、世を平和にし、民は今に至るまでその恩恵を受けている。もし管仲がいなかったならば、外国の侵略を受け、その慣習を強いられ、髪は結ばずさんばら髪となり、衣服も左前に着ることとなったであろう。庶民に通ずる小さなまごころを尽くして溝の中で首をくくって自殺し、世にはその名を知られずに終わるような小さな生き方と比較できようか」といいました。

dsupplying.hatenadiary.jp

 イーロン・マスクのモチベーションはどこにあるのかと心配になります。世界平和を乱すことだけはあってはならないのですから。

 

「参考文書」

寺島実郎氏「二極化の発想やめよ、世界を単純に分断するな」 | 週刊エコノミスト Onlineから | 週刊エコノミスト Online | 毎日新聞「経済プレミア」

イーロン・マスクら大富豪を英雄視するのは危険 ノーベル賞学者の警告:日経ビジネス電子版

 

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