「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

首相が目指す「楽しい日本」、続くコメ高騰、終りの見えない「令和のコメ騒動」

 新潟産コシヒカリの卸会社の取引価格はが1カ月で35%上昇した(日本経済新聞)。コメの高騰が続いているようです。新米が流通すれば落ち着くと政府はいっていたはずなのに....

コメ卸値、上昇率が過去最大 JA「確保難」を通知 - 日本経済新聞

「今年に入っても高い状況が続くのではないか」と江藤農水相が価格高騰の長期化について言及したそうです。品不足が理由といいます。予測の甘さを感じずにはいられません。 政府がようやく備蓄米を放出することの検討を始めたそうです。

「令和のコメ騒動」、予測困難な時代といわれるのですから仕方がないのでしょうか。単にご都合主義から抜け出せずにいるだけのように思われます。

 

 

「分析・考察対応が遅すぎる。コメの価格の高止まりは昨年来、ずっと続いている。今まで、対策を考えていなかったのかと、まず驚かされる」と専門家は指摘し、備蓄米放出だけで高騰が収まるとは思えないといいます。

農相「備蓄米の条件付き販売可能に」米価高騰で見直しへ - 日本経済新聞

 コメの高価格を維持したいJAグループに配慮し、条件を付与することが足かせになるとの指摘です。高騰の背景に流通の滞り 卸業者による在庫積み増しがあるといわれています。農業を保護しなければならない事情があるのも理解できます。システマティックな対応が求められるのでしょう。何か単独の要素をたたけば、対策できるものではないのでしょうし、まして絆創膏をはるような対策では根本の解決にはなりません。供給が安定し、価格が下がることはあるのでしょうか。

 実質賃金が目減りを続けています。政府、官僚、そして関係する業界にはよくよくと考えて欲しいものです。

論語に学ぶ

君子は周して比せず。小人は比して周せず。(「為政第二」14)

   教養人たる君子はだれとでも公平に付き合って、特定の相手とだけ仲間になることはない。小人は仲間贔屓があって、利害で取り入ると孔子はいいました。

dsupplying.hatenadiary.jp

「周」は「あまねく」「公平に」という意味であるのに対して、「比」は「べたべたに」「偏って」と意味します。自分に都合のいい相手だけではなく、だれとでも公平に付き合うべきだというのが孔子の教えです。利害や感情にまかせて、偏った狭い交わりしかできないのが小人だと孔子はいいます。今の政府や官僚、問題を起こす業界の人々は小人の特徴を有していそうです。

 

 

「楽しい日本」で危機克服。一人ひとりが自己実現できる「楽しい日本」を目指し、地方創生を核とする「令和の日本列島改造」と、石破首相が施政方針演説で表明していました。

令和7年1月24日 第217回国会における石破内閣総理大臣施政方針演説 | 総理の演説・記者会見など | 首相官邸ホームページ

「楽しい日本」とは、すべての人が安心と安全を感じ、自分の夢に挑戦し、「今日より明日はよくなる」と実感できる。多様な価値観を持つ一人一人が、互いに尊重し合い、自己実現を図っていける。そうした活力ある国家です。

「楽しい日本」、掛け声、国家ビジョンは大切なことですが、浮世離れしていないでしょうか。物価も厳しく目の前の問題が切実で、なおかつ大きすぎて「今日より明日はよくなる」と思えそうになりません。国民だけでなく中小企業など多くの産業が物価高騰に苦しめられているのが実態ではないでしょうか。

 首相は、今年は戦後80年、「昭和100年」に当たる節目の年だと切り出し、「わが国の直面する現実を直視しなければならない」と危機感を訴え、これまでの日本の歩みを振り返り、これからの新しい日本を考える年にすると語っていました。

人中心の国づくりを進め、すべての人が幸せを実感できる、人を財産として尊重する「人財尊重社会」を築いていく必要があります。

「人中心」の新しい日本社会の構築が必要と述べていました。それはそれでいいのでしょうが、まずは思い込みを捨て去る必要がありそうです。発想が変わらなければ、何をやってもいつものように夢物語で終わるのではないでしょうか。それが自民党の歴史なのですから。

 

「参考文書」

危機克服へ「楽しい日本」 角栄、湛山元首相も登場―施政方針演説:時事ドットコム

石破茂首相「令和の列島改造」実現へ5本柱 施政方針演説 - 日本経済新聞

 

 

経団連の会長が交代へ、献金、国への提言、その機能、役割を問い直すとき

 人事院によれば、2014年度に採用された国家公務員の幹部候補である総合職(キャリア官僚)の23.2%が、この10年間で退職したそうです。

若手官僚、10年で23%退職 待遇不満、早期転身視野も | 共同通信

 給与水準や長時間労働への不満が理由といいます。終身雇用の時代ではないのでしょうが、官庁がこのような状態で行政を正しく実施していくことができるのでしょうか。それでも、色々な問題解決を国に求めます。無理な要求ではないかと思えたりします。官僚機構も改革が求められていそうです。誰がそれを責任をもって遂行できるのでしょうか。

 

 

 国に政策提言する経団連が昨年末、2040年を見据えた政策提言「フューチャー・デザイン2040」を発表しました。目指すべき未来の姿だといいます。現役世代の社会保険料の負担増を抑える税と社会保障の一体改革や原子力を最大限活用するエネルギー政策を柱にしています。

経団連・十倉雅和会長「税・社保改革逃げるな」 2040年見据え提言 - 日本経済新聞

 デフレから完全脱却し「成長と分配の好循環」を軌道にのせ、個人消費を伸ばすためにも、現役世代の社会保険料負担の増加を抑える税・社会保障の改革を急ぐ必要があると訴えているといいます。

「現状の日本に対して抱く、強い危機感があったからです。世界で対立が深まってきている中で、日本はエネルギー自給率が低く、資源小国であるという宿命的な課題を抱えている。少子高齢化も進んでいます。こうした多くの課題を一度、俯瞰して見て、日本のあるべき姿を示そうとまとめたのが今回の提言です」と十倉会長は語っています。

 さらに「特にお伝えしたいのは、複数の課題が絡み合っていることです。イノベーションに社会保障、教育、経済外交や地域経済などの課題が互いに関係し合っている。1つの課題を解消するために1つの政策だけを打ち出せばよいわけではありません。ある結果が別の原因を生み出して、またその原因が次の結果を生み出しているのです」と指摘しています。

経団連:FUTURE DESIGN 2040 (2024-12-09)

 多くの大企業が参加する経団連がまとめる提言なのですから、よくまとまっているのでしょうでし、それなりに説得力もありそうです。しかし、はたして提言先の国は実行できるのでしょうか。いまだに裏金事件に揺れる政府自民党、人材不足の官僚機構です。それよりは提言をまとめた経団連、大企業主導で、責任をもって実行してもよさそうなものです。もうそろそろ古くさい慣習から抜け出るときではないでしょうか。

 

 

論語に学ぶ

邦に道有れば、言を危(みが)き行ないを危(みが)く。邦に道無ければ、行ないを危くも言は孫(したが)う。(「憲問第十四」3)

 道理に従って政治がなされているときは、正しい主張、正しい実践を。もし道理に従って政治が為されていないときは、正しい実践はするものの、主張は控えめにしておくのがいいと孔子言いました。

dsupplying.hatenadiary.jp

 正しい議論ができない環境下で、主張を通そうとすれば、その言葉があだとなって炎上し、舌禍となりかねないからなのでしょう。経団連の人たちにも学んで欲しい言葉です。今なすべきことは大風呂敷を広げることではなく、自ら正しく実行し、また道理のない政府に忖度したり献金するのではなく、諫言することではないでしょうか。

 

 

 経団連の会長が今年5月に交代となるそうです。住友化学出身の十倉氏から日本生命保険会長の筒井氏へ。金融機関から初の登用で、製造業偏重からの転換を示す象徴的な人事といいます。

「筒井経団連」5月発足 日本生命出身の筒井義信新会長、製造業偏重から転換 - 日本経済新聞

 経団連自らが変わる機会にして欲しいものです。賃上げなど解決しなければならない問題が山積みです。その多くが企業の力で解決できることではないでしょうか。そのために必要な時に政治を動かすくらいになってもらいたいものです。問い直す、考え直す力が求められていそうです。

 日本経済の衰退、社会の荒廃を止める、そういう視座に立ち、科学的、疑問的態度で臨めば、やるべきこと、できることがまだまだたくさんあると気づきが得られるのではないでしょうか。

 

「参考文書」

経団連・十倉会長「日本は大切な財産を失う」 核融合炉規制の早期整備を要望:日経ビジネス電子版

十倉雅和経団連会長、任期切れ前に「消費税増税」への布石? 「金持ち増税」を打ち出した政策提言の中身と狙い:東京新聞デジタル

成長・分配の好循環つなぐ 経団連次期会長に日生・筒井氏 「機関投資家経験生かす」 - 日本経済新聞

経団連会長に日生の筒井義信氏 金融機関から初、5月就任 | 共同通信

 

 

 

フジテレビと日本の芸能界はほんとうに問題を解決できるのだろうか

 世界経済フォーラム年次総会で「クリスタル・アワード」の表彰式が行われ、日本の建築家 山本理顕さんが、元サッカー選手でユニセフ親善大使のデビッド・ベッカムさん、ファッションデザイナーで慈善家のダイアン・フォン・ファステンバーグさんとともに受賞しました。

【ダボスリポート3】建築家・山本理顕が受賞。アートはグローバルな課題解決の糸口になるのか | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

「クリスタル・アワード」は、社会、環境、創造性の面で世界の進歩に多大な貢献を果たした文化リーダーの功績を称える賞といいます。今年の受賞者は建築、ファッション、スポーツなど多様な分野にわたり、コミュニティ再生、ジェンダー平等、子どもの権利などに関する顕著な功績が認められてのことだといいます。

 ここ最近、アートの力が注目されているようです。殺伐とした風潮が世界共通になっているからなのでしょうか。その力を信じてみてもいいのかもしれません。

 

 

 中居・フジテレビ騒動において、いくばくの進展があるようです。真相が解明され、メディアとしてのテレビが次のステップに進んでいくことを期待します。

フジHD株が反発、第三者委設置と前日発表-3月末にも報告書提出 - Bloomberg

「民放全体の不信感に」 中居さんトラブルのフジ対応で―民放連会長:時事ドットコム

 ネットがなかった時代、フジテレビは変化をクリエイト、生み出しては新しいトレンドを発信するメディアでした。しかし、ここ最近はその影はすっかり潜め、マンネリ、お下劣との印象が否めません。輝きを再び取り戻ることはあるのでしょうか。

論語に学ぶ

吾 衛 自(よ)り魯に反(かえ)る。然(しか)る後、楽 正し雅頌(がしょう)各々其の所を得たり。(「子罕第九」15)

 私は衛の国から祖国の魯へ帰り、そのあと、乱れた音楽を正すことに努め、それが正しくなった。音楽に合わせて誦せられる詩の雅、頌の順序もそのあるべき場所に戻すことができたと孔子はいいました。

dsupplying.hatenadiary.jp

 文化の乱れを正すことができれば、秩序もまた正しくなっていくということなのでしょうか。音楽やアート、文化には社会やそれを構成する人々にポジティブな変容を促す力があるのかもしれません。

 情報、言葉を扱い、文化を発信するメディアが、暴力的な言説などによって乱れたネット社会に引きずられることなく、正しく報道し、また豊かで多様な文化を発信できるように変化すべきということなのかもしれません。

 

 

日本の芸能界は、長く語られることのなかった性加害の問題に直面せざるを得なくなっている。(出所:BBC)

元SMAP中居正広氏、芸能活動引退を発表 昨年末に性的スキャンダル報道 - BBCニュース

 テレビの主役たちの残念な事実です。テレビ業界も同様で欲望まみれのままなのかもしれません。

伊藤詩織さん監督作品が候補に 長編ドキュメンタリーで―米アカデミー賞:時事ドットコム

 オーセンティシティをキーワードにすべきときがやってきているのはないでしょうか。その回復が求められているようです。

 米メディア大手のワーナー・ブラザース・ディスカバリー傘下のCNNが、従業員の約6%を一時解雇し、事業再編を進めるそうです。

米CNN、従業員の6%削減へ デジタル化推進の一環 | ロイター

 従来型テレビ編成を見直す事業再編の一環で、人員削減によって業務を合理化し、デジタル・サブスクリプションサービス拡充を目指すそうです。視聴者がシフトしているプラットフォームや商品に軸足を移すことが目的だといいます。ここにも見習うべきことが多々ありそうです。

 

「参考文書」

中居正広さん、芸能界引退を発表 ファンクラブサイトで - 日本経済新聞

フジテレビ、日弁連指針の第三者委員会設置へ 取締役会決定 - 日本経済新聞

フジテレビ、社員向け説明会開催 港浩一社長「会見失敗だった」 - 日本経済新聞

泣きながら質問、追及に拍手も フジテレビ社員への説明会:時事ドットコム

フジテレビCM、主幹事・大和証券も見合わせ 金融に拡大 - 日本経済新聞

中居正広さん騒動でフジテレビ炎上は必然、日枝氏「院政」の末路:日経ビジネス電子版

世界経済フォーラム、2025年クリスタル・アワード受賞者を発表 > メディア | 世界経済フォーラム

 

【トランプ2.0】 株を上げたソフトバンク孫さん、それは日本とって好影響なのか

「トランプ2.0」、トランプ米大統領が復活、早速、物議をかもしながら爆走wo

始めました。この先4年間で世界はどんな姿に変わっていくのでしょうか。

トランプが中国に警告、TikTokの買収を阻止すれば「関税で報復」 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 日本政府は間髪入れずに日米同盟を新たな高みに引き上げると動き出しました。国際情勢の分析が不十分のまま突っ走ったように映ります。媚び諂いでなく、策略があってのことであればよいのですが。

 

 

 ソフトバンクGの株価が爆上がりし、日経平均株価も上昇しました。孫社長がトランプ大統領と共同記者会見に臨み、AI 人工知能インフラへの大型投資を発表したためといわれます。

ソフトバンクグループ孫正義氏、全米で「データセンター+発電」構想 - 日本経済新聞

 今後4年で少なくとも5000億ドル(約78兆円)投資するそうです。AI分野で米国の優位を維持するためといいます。また成長が期待される医療分野などへのAI応用の可能性も会見で強調されていました。このプロジェクトにはOpenAIやオラクルも参加するそうです。

 なんでかんでもビジネスライクに考えるトランプ大統領、テック企業らと利害が一致させているのですから、孫さんの判断も合理的なのかもしれません。

トランプ氏、巨大IT課税「無効」 テック企業と利害一致 - 日本経済新聞

 日本政府は見限られたように見えます。国内では医療DXは進まず、経営危機に陥る病院が増加の一途といわれるほどの危機で、AIの力が求められていそうなのですが。

物価高などで多くの病院が経営危機 団体が国に対策要望 | NHK | 物価高騰

 孫さんがその力を国内にもうちょっと振り向けてくれてもよさそうなものです。そっぽを向かれた政府も積極的にはアプローチしようとしないのでしょうか。

 

 

論語に学ぶ

篤く信じて学を好み、死を守りて道を善くし、危邦(きほう)には入らず、乱邦(らんぽう)には居(お)らず。天下 道有らば、則ち見(あら)われ、道無くんば則ち隠る。邦に道有りて、貧にして且つ賤(いや)しきは、恥なり。邦に道無くして、富み且つ貴きは、恥なり。(「泰伯第八」13)

  堅く人の道を信じ、学問を好み、たとい死に至ろうと節操を守って人の道を貫き、乱れようとしている国には入らず、乱れている国は去る。世の中が人の道を履(ふ)んでいるならば、そこで働き、人の道にはずれているならば退いて暮らす。国に人の道が行われているとき、貧賤であるのは恥である。国に人の道が行われていない危邦、乱邦であるとき、富貴であるのは恥であると、孔子はいいました。

dsupplying.hatenadiary.jp

 今の米国とは距離を保ったほうがいいのかもしれません。一緒になって踊るようでは危うくなっていきそうな気がします。日本はすでに危うい国だからそうなってしまうのかもしれませんが。

「参考文書」

日米同盟「新たな高みに」 トランプ政権で初の外相会談 - 日本経済新聞

トランプ氏、ソフトバンクGなど3社による巨額AI投資を発表へ - Bloomberg

デジタル課税漂流、トランプ大統領復帰で「制裁関税」再燃も - 日本経済新聞

トランプ大統領はこう考える… 対中国「戦争よりビジネス」 解剖トランプ脳㊤ - 日本経済新聞

トランプ大統領2.0、世界企業に変革迫る 電気自動車(EV)・関税で環境激変 - 日本経済新聞

「円安ジャパン」が「80年代男」トランプの逆鱗に触れるとき | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 

 

 日銀が金融政策決定会合を開き、追加利上げを決める見通しといいます。金融市場の混乱がなければ、政策金利を0.25%程度から0.5%程度に引き上げるのではないかといわれています。

日銀が今週の決定会合で利上げへ、トランプ氏就任後に市場混乱なく - Bloomberg

 多少なりとも円安が是正され、上昇を続ける物価の抑制になればいいのでしょうが、トランプの米国の影響があって、円安圧力が継続すると専門家は見ているようです。

 コメにガソリン、キャベツなどの野菜も恐ろしいほどに高騰しています。

日銀が気をもむコメ高騰 職員食堂にも「台湾米」 日銀ウオッチ - 日本経済新聞

 円安是正が進まず、その他政府施策もあって、高値がこのまま定着するのではないかといわれているようです。

 明日から始まる国会ではどんな議論が繰り広げられるのでしょうか。今こそ、政治は国民をみて仕事をすべきときなのでしょう。問題は外交だけでなく、多岐にわたり複雑に関係しあって山積し、国民生活を圧迫しているのですから。

 何がなんでも首相が前面に出る必要はないのでしょう。せっかくたくさん大臣がいるのですし、第一党で多数を議員を抱えているのですから。複雑な問題をひも解き、役割分担を明確にし、チームプレーで同時並行に解決にあたってもらいたいものです。危うい状況がトランプ2.0でとどめを刺されることはないのでしょうか。

 

「参考文書」

ガソリン上昇185円10銭 補助金縮小、1年5カ月ぶり高値 | 共同通信

家計負担は年9万円増 コメ6割値上げ・キャベツ2.4倍 くらしの数字考 - 日本経済新聞

野菜高騰、少雨でキャベツ3.3倍 コスト転嫁法制化も - 日本経済新聞

 

始まった春闘、マイナス続きの実質賃金改善は進むのか

 今年も春闘の季節がやってきました。経団連と連合の会長が面談し、事実上スタートを切ったことになったといいます。マイナスが続く実質賃金の改善につながる賃上げは実現できるのでしょうか。

春闘 事実上スタート 賃上げを中小企業に波及できるか焦点 | NHK | 春闘

 実質賃金を直接コントロールすることはできないまでも、その構成要素である名目賃金と物価は企業の対応次第で変化しうるのですから、具体的な行動が示してもらいたいものです。何かと理由をつけては政治に解決を求めがちになるようですが、そうではなくて、経団連および企業のリーダーシップを発揮することが求められます。

 

 

 実質賃金の持続的な引き上げは、生産性の向上に加え労働分配率の適正化によって実現できるといわれます。さらに、円安是正、輸出産業の価格競争力の維持・向上のための産業構造転換、化石燃料輸入に頼らないエネルギー構造転換が必要とされます。政府の利害調整や旗振りは必要なのかもしれませんが、最終的には企業次第ということに変わりはありません。

 経団連が表明した「分厚い中間層の形成と構造的な賃金引き上げの実現に貢献することが経団連と企業の社会的責務」を肝に銘じれば、おのずと日本経済の持続的な成長も実現されるのでしょう。単に業績を追いかけたり、利益追求に走るようであれば、これまでと何も変わらないことになるのでしょう。意識を変えることが問われています。

 人手不足倒産が増加するほどの史上空前の人手不足といわれます。その対応策としても、賃上げの重要性が高まっているといわれます。初任給を大幅に上げて30万円超となる企業が増えています。それぞれがそれぞれに対応を始めています。一方で、リストラを断行する企業も増加しているといわれません。人が足らないといわれながら人が余っている状態のようです。

空前の人手不足…なのに企業が「早期退職」を増やす納得の理由 | 今週のキーワード 真壁昭夫 | ダイヤモンド・オンライン

 賃上げ原資確保のためのリストラともいわれます。必要もない人員を多数抱えていたということのようです。付加価値を生み出せない人がごまんと存在する。これではお世辞に高い生産性を示せるはずもありません。

「ホワイトカラー消滅」、まっとうなご指摘なのかもしれません。もし超人的な社長がいて、ひとりで何でもこなすことができれば、社員など雇う必要はありません。社員いなければ利益を独り占めできるのですからその方がいいに決まっています。しかし、それでは非効率極まりありません。だからこそ分業システムが生まれたのでしょう。商品やサービスを開発し作る人、それを売る人、ホワイトカラーと呼ばれる事務系の仕事に携わる人。それぞれが働いて仕事は回ります。

 

 

 会社の中で付加価値を生み出しているのはいったい誰なのか。一般的には事務職が付加価値を生み出すことはないといわれます。それゆえ、必要であっても究極的には不要といわれます。価値ある仕事ができなければ、真っ先に首を切られても仕方がありません。まして近年のITやAIの発達を考えればなおさらです。それによって代替できるようになってきたのですから。

論語に学ぶ

子張 禄を千(もと)めんことを学ばんとす。子曰わく、多く聞きて疑わしきを闕(か)き、慎んで其の余を言えば、則ち尤寡(とがすく)なし。多く見て殆(あや)うきを闕(か)き、慎んで其の余を行なえば、則ち悔い寡なし。言尤寡なく、行ない悔い寡なければ、禄其の中に在(あ)り、と。(「為政第二」18)

 門人の子張が、就職の方法について教えていただきたいといいました。孔子は「多く学習し疑問点を解き、その他の確かであることについても慎重に発言すれば、まず過ちは少ない。多くを経験して不安な点を除き、その他の確かであることについても慎重に行動すれば、まず過ちが少ない。発言に過ちが少なく、行動に過ちが少なければ、世はその人を信頼し招聘するので、就職は自然と定まる」といいました。

dsupplying.hatenadiary.jp

「君の仕事には付加価値がない」「自分の仕事をなくすように仕事をしなさい」、入社して間もないころ上長や先輩諸氏からそんなことを口酸っぱく言われていました。配属部門は生産技術、一般事務職同様究極的には不要といわれかねない職場です。骨のある先輩諸氏の指導と気づきを得たことで何とかリストラの憂き目にあうことはありませんでした。結局、効率化の追求、生産性の向上なのです。そのためには最新テクノロジーと動向に明るくなければなりません。それと処世術とマネジメントも必要なのでしょうか。

 

IEの基礎

IEの基礎

Amazon

「参考文書」

賃上げの内実と2025 年春闘の課題 ~実質所得増に向けた改革プラン~|日本総研

 

 

トランプ2.0、米国の黄金時代へ、そのとき日本はどうなるのか

 トランプ氏が連邦議会議事堂で就任宣誓し、第47代大統領に正式に就任しました。その後の演説では「2025年1月20日は米国民にとって解放の日になる」と表明し、「米国の黄金時代がいま始まる」と宣言していました。いよいよ「トランプ2.0」が始まります。

トランプ氏「黄金時代」誓う、不法移民対策など優先 米大統領就任 | ロイター

「米国の完全な復興と常識の革命が始まる」、「南部国境に関して非常事態を宣言する」、最優先課題とする不法移民対策では軍を派遣する考えを明らかにしていました。このほかにも領土を拡大すると述べ、パナマ運河の支配を目指すとか、メキシコ湾の名称を変更する考えを示し、火星に米国の宇宙飛行士を送り込む構想にも触れたそうです。「米国の衰退は終わった」「新時代の幕開けだ」とも語り、大幅な政策転換を進めるようです。

 

 

 日本政府がよく口にする「力による現状変更」との印象を拭えません。大胆に180°で方向転換した米国との関係がこの先、今までと同じ論理の上に成立するのかと疑念がわきます。

「米国と足並みを揃えて権威主義的な国々に対峙していくという従来の安全保障上の戦略は、大きな見直しが必至となるだろう」と専門家も指摘します。何かを変える必要がありそうです。そうでなければ矛盾が生じ、ダブルスタンダードといわれそうです。

論語に学ぶ

君子は坦(たん)たらんとして蕩蕩。小人は長たらんとして戚戚(せきせき)たり。(「述而第七」36)

  君子は公平であり、ゆったりしている。小人は他者よりも長ろうとしてこせこせしてると孔子はいいました。

dsupplying.hatenadiary.jp

 バイデン前大統領が退任演説で、「ひと握りの超富裕層に権力が集中する危険な状況」で寡頭政治が形作られつつある」と述べ、「彼らによる権力の濫用を野放しにすれば、米国は危険な結果に見舞われかねない」と警告していました。

バイデン退任演説、テック業界の影響力拡大に警鐘 「寡頭政治が形作られつつある」 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 特にテクノロジー業界の影響力が拡大していることに懸念を表明していました。色々問題があった大統領だったのでしょうが、最後の演説には説得力がありました。

 

 

 米国のそれとは状況が異なるのでしょうが日本もまた混乱しています。ネットにはうそやデマが蔓延し、県議が自殺に追い込まれ、兵庫県警がネット情報を否定する事態が起きています。中居・フジテレビ騒動は、企業がCMを差し替える動きが急拡大し、少なくとも50社超で見直したか見直す予定といわれています。

フジ、CM差し替え50社超 日産や花王、急拡大 | 共同通信

 企業イメージ低下を避けるためといわれています。たしかにフジテレビを見ればACジャパンの広告ばかりの異常事態です。

 コメの高騰が収まらず、コンビニのおにぎりや弁当が値上げになるそうです。キャベツは恐ろしいほどの値段になり、ガソリンも高騰です。世の中ひどい有様です。

経済不安60%、変化への敵対的行為容認は40%に=世界世論調査 | ロイター

苦情が基盤となる社会から脱却するには、情報の融合や買いやすさ、持続可能性、AIの将来といった問題への組織横断的な取り組みが必要だ....
調査は、こうした不満は次世代への希望の欠如、低所得者と高所得者の間の階級格差、政府当局者や企業経営者、ジャーナリストを含めた指導者への不信感、信頼できる情報への混乱から生じていることを示した。(出所:ロイター)

 

 トランプ大統領を肯定するわけではないですが、それに比べると、日本政府があまりにも無策すぎないでしょうか。もっと国民のためになる政治を行って欲しいものです。何が変わらなければ、日本もトランプ2.0の影響をまともに受けそうな気もします。このままでは日本の社会でもポピュリズムが台頭することになりかねません。

 

 

「参考文書」

世界乱すアメリカ大統領の自己愛 歯止めなきトランプ氏の「人格リスク」 本社コメンテーター 西村博之 - 日本経済新聞

「黄金時代の始まり」宣言 トランプ米大統領が就任―「米国第一」再び、国境・エネルギー政策を大転換:時事ドットコム

トランプ次期米大統領が軍事力行使も明確に排除せずグリーンランドなどの領土獲得に向けた野心を露わに | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

トランプ「王朝」は要らない 秩序が要る - 日本経済新聞

いよいよトランプ2.0 日本は中国との関係再構築を図れ:日経ビジネス電子版

中国→アメリカシフトの日本企業 「トランプ2.0」リスクに直面 - 日本経済新聞

死亡の元県議、「逮捕予定ない」 県警本部長が答弁―兵庫:時事ドットコム

〈中居正広9000万円トラブル〉フジテレビ“ガバナンス崩壊”の裏に総務省「天下りキャリア官僚」 | 週刊文春 電子版

中居さんの「金スマ」終了 「THE MC3」は降板―TBS:時事ドットコム

【高橋弘樹P】いまこそ「政治のエンタメ化」が必要な理由

トヨタ、日本生命などがフジテレビでのCM差し止め、危機感足りないテレビ業界と芸人

 トランプ氏の大統領復帰が間近に迫ってきました。何がおきるのかと思わず身構えてしまいます。日本の政治、経済が確固たるものがあれば、それほど憂慮することもないのでしょう。しかし、日本の現実を見ればため息が出ます。

 中居・フジテレビ騒動はそのひとつ例なのでしょう。事態が深刻化していくのでしょうか。トヨタや日本生命など大手企業がフジテレビへのCM差し止めの動きを見せています。

日本生命がフジテレビでCMを差し控え、中居氏騒動受け-明治安田も - Bloomberg

 フジテレビの緊張感・危機感のなさが露呈します。それは芸人についても同じことがいえそうです。変わりゆく社会の動きが考慮していないように見えますし、社会的責務も全く意識していそうにありません。自業自得なのでしょう。これでは新しい文化が生み出されることももうないのでしょう。

 

 

論語に学ぶ

君子は泰して驕らず。小人は驕りて泰ならず。(「子路第十三」26)

 君子は、堂々としているが驕り高ぶったりしない。小人は、驕り高ぶりはするが堂々とはしていないと孔子は言いました。

dsupplying.hatenadiary.jp

 君子は自信を持ちながらも謙虚であり、それに対して、小人は傲慢でありながら、そのくせ自信に欠けているところがあるとも解釈できます。

 謙虚さがあれば、今あるもめごともおおよそ解決できるのかもしれません。人の上に立つ者、謙虚でなければならないといってもよさそうです。

 

 

 政治の乱れで様々な揺り戻しが起きていますが、それでも世界はまだつながっているのでしょうし、なんとか美徳・美意識が維持、守られているのではないでしょうか。どんなときでもならぬものならぬなのです。それゆえ米投資ファンドはフジに提言するのでしょうし、日本の大手企業もCMボイコットするのでしょう。ステークホルダーの存在を無視した企業経営は今の時代にはありえないということなのでしょう。説明責任を果たさなければなりません。それは政治についてもいえることなのでしょうけれども。

 

 

「参考文書」

トヨタ、フジテレビへのCM差し替え | 共同通信

 


www.youtube.com

Â