<Alexander Ward,Catherine Lucey and Bob Tita/2025年1月6日>
ジョー・バイデン米大統領は日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収を禁止する命令を出すにあたり、国家安全保障担当のトップ補佐官らの意見には従わなかった。代わりに、労働組合の側に立つという自身のレガシー(遺産)を強化するため、国内政策担当の側近に同調した。
政権関係者によれば、バイデン氏のスタッフたちは最近、二つの幅広い選択肢を提示した。141億ドル(約2兆2160億円)の買収計画を完全に阻止するか、あるいは、日本製鉄がUSスチールを所有することが米製造業のサプライチェーン(供給網)に悪影響を与えるとの懸念を払拭(ふっしょく)できるまで承認を遅らせるかだ。
関係者によれば、非公開の話し合いの中で、ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)とアントニー・ブリンケン国務長官は東アジアの同盟国との重要な関係を損ないたくないと考える外交政策志向の側近として、取引を存続させる選択肢を推した。
一方、スティーブ・リチェッティ大統領顧問をはじめとする国内担当スタッフは、2023年12月に買収計画が発表されて以来この取引に声高に反対してきた全米鉄鋼労働組合(USW)の幹部たちに味方するのが最善の策だと述べたという。バイデン氏は米国史上最も労働組合寄りの大統領を自称している。
バイデン氏の国家安全保障問題担当のアドバイザーたちは、この取引を承認する道筋を見つけることに一様に賛成したわけではない。
例えば、米通商代表部(USTR)代表のキャサリン・タイ氏は買収中止を支持した。し…
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