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TOP > 2011年春期アニメ > パンツ規制の基準はどこにあるか 『そふてにっ』

パンツ規制の基準はどこにあるか 『そふてにっ』   2011.06.05

テーマ:アニメ・感想 - ジャンル:アニメ・コミック Tag [パンツ]

ほぼ毎週日曜の夜10時30分からアニメ反省会と称したUSTを配信しているのを今さら宣伝しつつ、以前の放送でkarimikarimiさんと対談した際に話題になった「そふてにっ」における規制表現について簡単にまとめつつ、終盤にきてついに牙を剥き出したその攻撃性、そしてこの作品に込められた反骨精神について言及していきたく思います。


●モザイクによる規制

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この作品では、しばしばアニマルガードによってそのパンツや乳首が隠蔽されています。
序盤では、「おちんこ」と同じく、パンツではなく「パンツからはみ出した何か」を規制するためのものではないか、と推測していましたが、どうやら毛色が違ったようで(詳細は後述)、とりあえずは「動物」の種類が何を意味するのか、という問題提起を行うに留めておきます。


●遮蔽物による規制

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古くからポルノ映画などでも伝統的に使われている手法ですね。被写体とカメラのあいだに植物やインテリア用品を配置することで局部を隠すというものです。
アニメにおいては、舞い散る「葉っぱ」や「水しぶき」なんかもよく使われます。ロングヘアーのキャラクターだと、髪の毛によって乳首が隠される、という描写もよく見かけますよね。
また、「光」や「影」、あるいは「湯気」なんかも、ここに該当するでしょう。
(地上波のテレビアニメでは、もはや「影」ですらないただの「黒塗り」も散見されますが、あれはどちらかというとモザイクの方でしょうか。)


●ディフォルメ化

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キャラクターをディフォルメすることで「完全な描画」を可能とした手法。
ギャグアニメでよく見られますね。
「リアルに描かなければよい」という発想ですが、描く側のさじ加減と我々の想像力が試される高度な表現です。
ロングショットにすることで細部を識別できなくする手法もここに該当するでしょう。


●パンツじゃないから恥ずかしくない

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2000年代の後半に確立された最新鋭の表現ですね。
「パンツはいてない」もこれの亜種になります。
この作品においては、「アンダースコート」の存在によってこの手法が実現しました。
パンツのようでパンツじゃない少しパンツっぽいパンツ。
「乳首じゃないから恥ずかしくない」の登場が待たれます。


さて、これら大きく分けて4つの規制表現が入り乱れるのがこの「そふてにっ」という作品なわけでありますが、絶対に忘れてはならないのが、この作品は決して「パンツを見せないアニメではない」という事実です。

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第1話の段階から「パンツ」は定期的に映されていたわけですから、上記で挙げたような「規制」は、乳首や女性器を隠すために使われこそすれ、「パンツを隠すためには使われない」と言えます。
では、所々でパンツに規制が入るのはなぜなのか、アニマルガードの真意は、パンツが隠蔽される基準はどこにあるのか……といった問題を考える前に、まずは第8話において描かれた、我々視聴者に対する明確な意思表示を振り返っておきましょう。

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この、エビオス嬢をも凌駕する女子力の持ち主であるところの岬さんのパンチラを見た時、(アンスコの存在を刷り込まれている)我々視聴者はきっと「どうせアンスコだろう」「パンツじゃないから恥ずかしくないんだろう」と思ったはずです。そして、なんたることか、「記憶に留める」という作業を怠ってしまうのです。
ここに罠がありました。
このパンチラの直後、明日菜の口から衝撃の事実が告げられます。

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「アンスコをはいていない」という事実です。
この時多くの視聴者は「パンツだったのか!」「もっとちゃんと見ておけばよかった!」と後悔と自責の念に駆られたことでしょう。
そして、その事実が詳らかにされた頃には、時既に時間切れ。

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我々は、イタリア代表のディフェンス陣よりも堅いアニマルガードによってその視界を遮られてしまうのです。
たとえどんなものであっても女子のスカートの中身は逐時名前を付けて保存すべきだ、という基本を疎かにしたばかりに、我々は大切なものを失ってしまったわけです。
そして、そんな――保存に失敗した――我々をたしなめるかのように、作中では、由良がしっかりとRECする様が描かれていましたよね。

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この淑女的な姿勢は、「スカートの中」に対する「紳士さ」を失念していた我々への皮肉に留まらず、どんな時にも集中力を切らさずに視聴しなければパンツに失礼である、という戒めとして、我々の心に大きく響くことでしょう。
だからこそ、続く第9話において、敗者救済措置として再びパンツが描かれたならば

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この作品の慈悲深くもユーザーフレンドリーな姿勢に、我々はただただ頭を垂れ、代わりに亀頭を持ち上げることにもなるはずです。(もっとも、ここでは岬さんのパンツは描かれなかったわけですから、やはり敗者にはそれ相応のペナルティが与えられてもいたわけですが。)
こうした、パンツに対する紳士的(あるいは淑女的)な姿勢は、先述の規制表現へと繋がります。
もう一度思い出していただきたいのは、この作品は「パンツを見せないアニメ」ではないということです。つまり、パンツ規制に「パンツを隠す意図はない」ということになります。
では、なんのための隠蔽なのか。
それはこの作品全体を見渡すことで浮かび上がってきます。

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この作品では、エヴァを中心に、多くのアニメや映画、TVドラマなどのパロディが多用されています。また、第一話レビューでも触れたように、Rio的身体をベースとした、パロディやオマージュを飛び越えた映像づくりが行われてもいます。
こういった点を鑑みれば、先に挙げた数々の規制表現の意図が見えてくるでしょう。
つまり、この作品では「パンツ規制」という現象のパロディ化が行われていたわけです。
(したがって、そもそも「パンツを隠す基準」を考えること自体が的外れであり、「パンツが隠されるのは陰毛がはみ出ているからに違いない。キリ」などとドヤ顔でのたまってしまうのは愚の骨頂、失笑されて然るべき態度なのでありましょう。)
これまで我々を苦しめてきたパンツ規制は、2011年になってようやくパロディ化されるに至ったのです。

前述の、パンツに対する紳士な振る舞いと、この「パンツ規制のパロディ化」に、我々は大きな衝撃を受けざるを得ません。
これら、この作品の攻撃的な姿勢、無粋な規制を強いる大人たちへの挑発的な態度を感じ取ったならば、もはやこの作品をポル産クソアニメだなどと一笑に付すことは決して出来ないでしょう。
どんなに苦しい時期もいずれ笑い話にできる――そんな時代がようやく訪れた幸福を噛み締めながら、頼もしくも慈愛に満ちたこの作品に、畏怖と尊敬の念を抱きつつ、胸と股間を熱くするより他ありません。
そしていつの日か、次なるフェーズ、「乳首/女性器規制」がパロディ化されるに至る道のりへの期待に胸と股間を膨らませることでしょう。

以上。













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