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TOP > 考察 > 敢えて今語りたいパンツのこと~アカシックパンツ論へ向けて~

敢えて今語りたいパンツのこと~アカシックパンツ論へ向けて~   2010.09.20

テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術 Tag [パンツ]


パンツの話をします。

この世の中にパンツが嫌いな人がいるとも思えませんし、今さらこのような場でパンツの良さについて語ることに意義を見つけることも難しいでしょうし、今我々が語るべきなのは「パンツの意味」ではなく「パンツの可能性」であるという点は百も承知です。

ただ、「可能性」について言及する前に、今一度、パンツとは何なのか、なぜパンツなのか、そういったことを改めて考えてみることもまた一興なのではないでしょうか。

というわけでパンツの話をします。



◯個性としてのパンツ

以前当ブログでは「縞パン人気」についての記事を捏造したことがありました。

ここでは、「縞パン」について『少女性と成熟性の狭間、“成長途中”あるいは“発展途上”とでも言うべき微妙な立ち位置を明確に演出するツール』とか何とか、よく分からない理屈を述べていましたが、要は「個」を演出するための装置としてパンツが有用であるということだけ押さえて頂ければよいでしょう。

例えば、人気アニメ「ストライクウィッチーズ」なんかでは、顔と名前は一致しないけれども顔とパンツ(のように見えるズボン)は一致する、という視聴者は数多く存在するでしょうし、実際彼女らがはいているパンツ(のように見えるズボン)は、それをはく人物の“キャラクター性”を表現するのに一役買っています。


EX1.幼さ/未熟さを思わせるスク水(のように見えるズボン):主人公っぽい人

s1_20100920221431.jpg


EX2.少女性の表出である縞パン(のように見えるズボン):幼女っぽい人

s2_20100920221430.jpg


EX3.年増大人の象徴としての黒パンツ(のように見えるズボン):隊長っぽい人

s3_20100920221427.jpg


こうした「パンツによって与えられる個性」は、何も今に始まった話ではなく、また、フィクションの世界だけの話とも限りません。

多くの人は「黒/レース=大人/ビッチ」「柄モノ=子ども」「白=純血」といったごくありふれた“イメージ”を抱いているでしょうし、実際にそうしたイメージを自己表現として取り入れる女性も少なくはありません。

つまり、パンツは我々のイメージによって「個性」を与えられ、また、パンツによって我々自身も「個性」を与えられるという相互関係が成り立っているのです。




◯マンガ・アニメ的パンツ

さて、前項ではパンツのイメージによる個性の付与について簡単に振り返りましたが、本項では、まるでどこかで聞いたようなキーワードをパクr引用しつつ、マンガ・アニメ的想像力におけるパンツについて考えてみましょう。

日本のアニメにおける「パンツ規制」の存在は読者諸兄もご存知のことでしょう。
力学に反した鋼鉄スカートや過剰な光線などが生み出す例のアレです。
そうしたパンツ規制へのカウンターを意図してのものなのかどうかは分かりませんが、昨今、いくつかの重要なパンツ表現が生み出されたことは指摘する価値があるでしょう。

前項でも名前を挙げた「ストライクウィッチーズ」では「パンツじゃないから恥ずかしくない」という、「パンツという存在の否定」が行われましたし、また、この秋からアニメ二期が放映される「そらのおとしもの」では、パンツが空を飛ぶという俄には信じがたい光景が描かれもしました。

これらに共通するのは「パンツという存在の歪曲」であり、我々が現実世界でも目にすることのできるような「死なないパンツ(ただの布切れ)」に、「死ぬパンツ(生命力をもった何か)」を重ね合わせることにより、マンガ・アニメ独自のパンツを生み出すことが出来たわけです。
我々はここに「マンガ・アニメ的想像力」の極地を見出さずにはいられません。

つまり、「ストライクウィッチーズ」において「パンツではない」と否定された「パンツにしか見えない何か」は、逆に言えば、「ズボン(性的ではないもの)」に、「パンツのような形状(性的なもの)」を宿らせることによって、オタク的想像力による「パンツの認識」と、定義の歪曲による「パンツ規制の回避」を同時に成立させることが可能となったのです。

「ひだまりスケッチ」や「けいおん!」で描かれた、パンツが見えるであろう瞬間にパンツを思わせる「柄」のカットを挿入するという手法にも同じことが言えるでしょう。

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我々は直接「澪の縞パン」を見たわけではないにも関わらず、この時、誰もが「澪は縞パンをはいている」と認識しました。
これも「オタク的想像力によるパンツの認識」であり、つまりは「ただの縞模様(性的ではないもの)」に、「パンツが見えたであろうアングルのカット(性的なもの)」を重ね合わせた結果であると言えます。

こうした表現は、現実世界では決して見ることのできない、まさしく「マンガ・アニメ的パンツ」であると言えるでしょう。




◯記録メディアとしてのパンツ

さて、ここまでは大まかに「パンツ表現」についての話でしたが、いよいよここから「そもそもパンツとは何なのか」という命題に移っていきたいと思います。

皆さんもご存知の通り、パンツには様々な機能が期待されています。
例えばウィキペディアの「下着」の項目では

着用する事により、その上の服を身体からの汚れから守り、体の保温、快適さ、加えて衛生を維持する。

と解説されていますし、また、スカートファッションなどにおいては、通常人に見せるべきではない部分を「隠す」ための最終防衛ラインとしても機能するでしょう。
こうした一般的に考えられる機能に加えて、ここでは「記録メディア」としての有用性に着目します。

まず、通常考え得る限り「身体に密着している時間が最も長い着衣」はパンツである、ということに我々は目を向けなければなりません。
日常生活において、部屋着、制服(外出着)、寝間着など、「上着」は一日の内に何度か着替えることもあるでしょうが、パンツをそう何度もはきかえることはないでしょう。
そして、長い時間を「宿主」と共に過ごしたパンツには、宿主の身体(の中心核)から分泌される何らかの物質が徐々に蓄積されていくのです。

この、パンツに蓄積される成分は、その日飲んだもの、食べたもの、運動量、健康状態、これらの要素によって日々性質が変化します。
宿主の身体から滲み出る何かしらが、どれだけの分量で、どのような成分バランスで付着するのか、それはその日の行動によって大きく変わってくるわけですから、言わばその宿主が一日を生きた証であると言っても過言ではありません。
持ち主の「生きた証」が刻み込まれたパンツは文字通り「活動記録」として機能するのです。

我々は、例えば好きな女の子のパンツをクンカクンカしたりペロペロしたりすることによって、その女の子の一日を共有し、身体的な接触程度では到底得ることのできない真の同一化を図ることも可能となるのです。

この大きな可能性を見過ごすことなど決してあってはならないでしょう。
CDやDVD、写真や日記などに続く記録メディアとしてパンツの有用性をもっと多くの人が認識すべきではないでしょうか。




◯アカシックパンツという概念

「アカシックレコード」という言葉をご存知の方は多いでしょう。
人類を含む、過去から未来までの全ての宇宙の歴史が記録されているという概念です。

パンツにも似たような性質を見出すことが可能だと考えます。
前項においてパンツとは記録メディアであると述べましたが、パンツに蓄積された記録、即ち宿主から分泌される何らかの物質は、例え洗濯したとしても完全に消えてなくなることはありませんし、そもそも「誰かが着用したパンツ」という「歴史」はどうやっても消すことなど不可能でしょう。

一日家でゴロゴロした日、よく動いて汗をかいた日、何かしら性的な行為を行った日……そうした日々の活動記録が徐々に蓄積され、その人の歴史が記憶されていくのです。

また、最初の項で述べたように、パンツには「個性」が付与されもします。
イメージによる個性の付与もそうですし、例えば「勝負パンツ」と定義されたパンツには「勝負師」としてのアイデンティティが宿るでしょう。
こうして、「歴史(記憶)」と「個」を与えられたパンツは、もはや一人の人格として動き始めます。

そして、仮にですが、全人類のパンツを一箇所に集めたとしたら、そこは全ての人の全ての歴史が記されたデータベースとして機能するはずです。
これが「アカシックパンツ」の概論です。

もっとも、この論は未だ完成に至っていない試論であり、まだまだ研究の余地がありますので、今回は大まかな概念の提示に留めておきます。





と、いったあたりでパンツの話はお終いです。
まだ他にも「ガラパゴス化するパンツ」や「ポストモダンパンツ」など語れることはありそうですが、そのあたりはまたの機会にということで。
ではっ。


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