皆さん、世界でアメリカ、中国についで温暖化ガス排出量が3番目に大きい国はどこだかご存知ですか?じつはわたしも昨日歯医者のロビーでタイムの7月12日付けの記事で読むまで知りませんでした。
この記事によると、インドネシアのCo2排出量は年間33億トン、そのほとんどが森林破壊によるものだそうです。単純な熱帯雨林の消滅面積はブラジルのアマゾンのほうがはるかに広いはずなので、インドネシアが3番目、というのはちょっと不思議な気もします。これはこちらの記事を読むとよくわかりますが、インドネシアの熱帯雨林は泥炭層の上にあるので、ひとたび森林が放火されると、木だけでなく、地面の泥炭が燃えてしまうので、炭素の排出も飛躍的に増えてしまうというわけです。
現在の京都議定書の枠組みの中では、途上国に対して温暖化ガス排出量の削減義務を課していません。ということは、逆に言えばインドネシアやブラジルのような国々には、排出量を減らすために森林保全をする、という動機も生まれないわけです。
また、先進国の「脱石油製品志向」が洗剤や食用油向けにパーム油の増産を拡大させているわけで、これがインドネシアの森林破壊の大きな原因でもあるそうです。さらにインドネシアでは歴代の政権と違法伐採業者が深く癒着しており、森林破壊の大部分が違法伐採によるものだとされています。最近もある伐採業者がいったん逮捕されたにも関わらず、懲役刑を免れて国外逃亡してしまった、しかも森林大臣がこの業者を弁護する発言をしていたという記事もあります。
さてそのインドネシアで開催中であり、日本が「化石賞」を総嘗めしたと話題になっているバリ会議、COP13ですが、ここでもインドネシアがブラジルその他の熱帯雨林のある国家をまとめて、森林保全と排出権のスワップを認めさせるアピールをしています。
昨日記事を読んだ時点では良いアイディアではないか、と私はぱっと思ったわけですが、長年の違法伐採をとめることができない国が、「排出権」という「おカネ」をもらったらどうなるのでしょうか。生活に困窮する末端の労働者に、そのお金が行って、伐採をやめさせるインセンティブになると考えるのはどうも無理があります。
自分自身排出権を取り扱う仕事につき、米国内の酪農家からのメタン回収プロジェクトや、LEDへの変換で電力会社を通して排出権を生み出す、というプロジェクトに関わっているわけですが、インドネシアが直面しているような、汚職や腐敗の問題については考えたこともありませんでした。
みーぽんの関わっているのはシカゴ天候取引所(CCX)という民間の自主的なイニシアチブであって、政府が関わっていないというのもありますが、排出権取引を今の段階でむやみに広げていくことにはわたしもちょっぴり懐疑的になってきました。
京都議定書以降の枠組みの中で、インドネシアやブラジルといった国々の思惑は絶対的に無視はできないわけで、たぶん森林保全スワップも組み入れられるのではと思いますし、わたしも原則的には賛成の立場です。
ただ、汚職や腐敗をモニターして世論に広く知らせていくためのNGOなどの活動はますます重要になるだろうなあ、と思っているところです。
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テーマ:環境・資源・エネルギー - ジャンル:政治・経済
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