Tフリードマンの新刊とオバマ演説 |
昨日、オバマの議会に対する初の演説をTVで見ました。もちろんライブでなくて、子供を寝かしてからTivoで2時間遅れでみたのであります(笑)。
ところで最近、トマス・フリードマンの新刊、"Hot, Flat and Crowded”を読み始めております。「フラット化する世界」の延長上で、ブッシュ以後のアメリカが成功するには、温暖化対策でリーダーになって一発逆転だ、、という本のようです。
この人はたぶん「政治的にリベラル、経済的にネオリベラル」で、大企業のタイコモチっぽいし、そのときの流行に乗って適当なことを書く「時代のコピーライター」的な売文屋だと思います。スティグリッツも「グローバリゼーションを正す」の中で、フリードマンが現在の貿易自由化がいかに歪んでいるか指摘してない、と批判していました。
ここまでこき下ろしておいて、やっぱり買ってしまったのは、どこかで「これは新政権のアジェンダセッティングをやっているのだ」というのを聞いたからでありました。最近、バークレーのバイオエナジー研究所(BPが出資して、新エネルギー庁長官のスティーブン・チュ-が代表だった)のディレクターと知り合ったのですが、彼女も「上司にすすめられて読んでいる」と言っておりました。
やっぱりフリードマンは文章は面白いのでぐいぐい読めてしまいます。終わりまで読んで見なければなんともいえませんが、「グローバリズム礼賛」の人が、「これからはサステイナビリティだ!」の旗振り役をしてくれるということは、大量生産大量消費型の文化のシフトチェンジに貢献してくれるということなので、眉に唾をつけながらもちゃんと読んでみよう、というわけであります。
オバマの演説は経済復興の巨大な予算を「エネルギー、ヘルスケア、教育」の三本柱に注入するということを紹介するものでしたが、やっぱりうまいな、と思ったのは、「温情的な福祉」を政府が行う、という印象はうけなくて、「先進諸国の中で最低になっているこれらの分野で、またリーダーシップを取り戻さねば、国としての競争力は取り戻せないぞ」と鼓舞する印象が強かったということです。
CNNがフェースブックと連携して直後に世論調査をした結果は90%以上好感度がもたれたということでした。(ね、フェースブックがここにまででてきているんです。)
そういうわけで、フリードマンの論調とオバマ演説には確かに重なるものがありました。「新しい赤、青、白(星条旗)はグリーンだ」というわけです。日本の翻訳者は優秀なので、この新刊もすぐに日本語版がでるでしょう。
共和党はこの予算案に当然反対であり、オバマ演説の後にルイジアナ州知事のボビー・ジンダルが反論演説をしたのですが、オバマの後に演説させられて、器の小ささが目立ってかわいそうなぐらいでした。
麻生首相が訪米してオバマからすれば「どーでもいい」レベルだったとは思うのですが、首相自身が語ったように、日米関係の中で「省エネ技術の移転」というのは絶対的に大事なな要素になるでしょう。中国の台頭は米国も歓迎しているし、政府の予算が軍事産業から平和産業(経済復興産業ですねー)に多少移動するでしょうから、安全保障面でのプレッシャーはやや弱まるんじゃあないでしょうか。
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シュガーCRMでわが社もクラウドコンピューティングだー |
「クラウドコンピューティング」が話題になってしばらくたちますね。 うちの会社は大分前からヴァーチャル・サーバを使っていたので、技術的には大分前からオンライン上にサーバはのせておりました。
ただ、「顧客情報管理」みたいなもんをオンラインでやるのはいかがなものなのか?という敷居のようなものがなんとなくあったのですが、「セールスフォース」の普及ぶりを見て、うちのIT担当者(実はわたしの夫であります)もこれを考慮し始めました。
セールスフォースにも競合がいて、これが「シュガーCRM」。シュガーの場合はセールスフォースと違って「コミュニティーバージョン」というフリーバージョンがあるのです。
今月頭にサンフランシスコでシュガーのコンベンションがあり、これに出席してきた夫は大興奮。これでいこう、ということでマネジメントを説得、カスタマイズにかかっています。
まだまだ人数も小さいわが社は今のところこれで十分。会社の予算アップとともに有償バージョンに移行すればいいのですから。
クラウドコンピューティングの本は読んでいないのですが、アマゾンの書評を読むだけで、「ネット」は基本的にもはや電気や水道と同じ、「ユーティリティ」になった、ということを最近実感します。要するに20世紀のユーティリティーを代表したのが電力で栄えたGEだったとすれば、21世紀のGEがグーグルだ、ということですよね。
最近Facebookもはじめてみたので、そこらへんの感想はまた改めて書いてみます。
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日本のネット言論の進化を期待する |
毎日新聞の勝間和代のクロストーク<の最近のテーマが「ネット選挙活動 解禁を」でありました。勝間さんも指摘するとおり、オバマが大統領になった大きな要因はネット上の選挙活動でオバマ陣営が大いに利するところがあったからだと思います。
我が家に毎月送られてくる「サンフランシスコ」誌の最新号もオバマを表紙に据え、ネットとオバマの勝利の関係について特集しています。「おれたちのせいだ:歴史の瞬間 ベイエリアのテクノロジー、独創性、義憤、キャッシュのおかげでオバマは大統領になった」(Blame on Us: Without Bay Area technology, ingenuity, righteous indignation Obama would not be President)
サンフランシスコからサンノゼにかけてのベイエリアは、シリコンバレーのテクノロジーとや資金、さらに資金調達のテクニック、スタンフォードやバークレーといった頭脳、全米でももっともリベラルな土地柄、そういった要素があわさってオバマ勝利につながった、というわけです。
この特集にはクレイグスリスト(英語圏でもっともポピュラーな掲示板サイト)の創設者、クレイグ・ニューマーク、デイリーコス Daily Kos (人気リベラルブログサイト)創設者のマーコス・ムリツァス、サロンドットコム(初のオンラインのみの総合誌)創設者のデイヴィッド・タルボット、ハフィントンポスト Huffington Post創設者ののアリアナ・ハフィントン、はたまたかのローレンス・レッシグといった面々がインタビューされています。インタビューに登場する42人のリストはこちら。
それで私が何を思うかというと、日本のネット言論はどうなんだろう、ということでありました。サロンやハフィントンポストに匹敵するようなサイトはあるのでしょうか。JanJanやOhMyNewsも内容的には素人的でつっこみが薄いように思います。もちろん「世に倦む日々」や「天木直人」ブログのように、毎日内容の濃いブログを発信して多数の読者を獲得しているサイトもありますが、コメントは受け付けておらず(嫌がらせを避けるためでしょうけど)寂しさが漂っています。
彼我の違いにはさまざまな要因があると思います。
まず、日本ではネットで匿名であることが標準になってしまい、匿名での無責任なコメントを招きやすくなってしまい、せっかくのネットがインタラクティブな場として十分に機能できていないこと。ここはわたしも考えるところがあり、実名公開でやっていこうかな、と考え中であります。
そして日本にはネット上に優秀な編集者がいないこと。これはたぶんネットマガジンを編集するだけで食べていける、というビジネスモデルができていないからなのでしょう。確かにサロンとか広告はほとんど載っていないようなのに、どうやって回しているんだろう、、というのは私も不思議に思ってしまいます。
そして三番目は若い皆さんが何をしているのかな、ということでした。アメリカの若者はMy Space, Facebook, Twitter,その他もろもろのSNSで高校生からして「ステューデントフォーオバマ」といったグループを使って活躍していたわけですが、ミクシーやプロフから政治的な意見を発する高校生や大学生はどのくらいいるのでしょうか。ただアメリカの場合は8年間の暗黒のブッシュ政権下で息苦しい子供時代をすごし、世代の近い若者が戦場で命を失ったり、傷ついて帰ってきたり、という重い現実があったことが、彼らを政治的に動かす要因になったのかもしれませんが。
勝間さんのいうネット上での選挙活動解禁はもちろんわたしの願うところであるのですが、(こちらから在外投票をしようとしているのでなおさらです)、その前にネットを民主主義の道具として使いこなす知恵を、市民の立場として身に着けていきたいのです。
広告主に影響されず、さりとてプロレベルの質の高い文章に接することのできる開かれた言論の場が日本語では不足していると思います。プロの編集者&見返りをあんまり期待しない投資家(なんているのかな)&読者の寄付でこういう場ができてほしい、とぜひ期待するところなのであります。
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