こちらはかの有名な環境保護団体、グリーンピースが11月26日に発表した「グリーン・エレクトロニクス・ランキング」のウェブから拝借した図です。こちらのウェブサイトによれば、電化製品に含まれる有害物質を減らしているか、使用済みの製品の回収&リサイクルをすすめているかなどが主なポイントであるそうです。
図からもわかるとおり、ソニー・エリクソンとサムスンが同列で7.7ポイントで一位、任天堂がなんと0ポイントで最下位になっています。
任天堂DSを家族で愛用する私としては、ちょっと無視できないニュースだったので、ちょっぴり首をつっこんでみました。 さっそく任天堂内部からと思われるこんなブログの記事で反論がされています。(ずさんきわまりない環境保護ランキング)
「0点」「史上最低スコア」というキャッチコピーだけを見れば、誰しもが任天堂は環境配慮をまったくしていない非エコ企業なのかと思ってしまうと思いますが、実際のところは違います。
社内では積極的なリサイクルを推進していますし、製品に対しても、梱包材の再利用や禁止物質(水銀・鉛など)の排除、プラスチック利用の制限というように、一般的な取り組みは十分に行っています。
(参照:Nintendo of Americaの環境保護の取り組み) → http://it-ura.seesaa.net/article/69746246.html
これらに関する指摘はランキングの目に付くところには記載がなく、個々の評価シートPDFの中で少し触れられている程度です。
そもそも、グリーンピースが調査で用いている評価シートの項目に沿った形で環境保護の取り組みを報告していないために、ガタ落ちの評価が下されているとも言えます。
なるほどなるほど。CNETの英語版の記事でも、環境保護対策をしていないことが問題、というよりは、環境対策に対する情報公開が不十分である、というのがマイナスの原因だという分析をしており、やや任天堂に同情的なトーンを感じます。
グリーンピースのウェブサイトを見てみると、主な有害物質としてポリ塩化ビニル(PVC)と臭素化難燃剤(BFR)の2つがあげられています。PVCはダイオキシン発生の原因になるとして、日本でも大幅に使用は制限されるようになっているはずですが、BFCについては私も聞いたことがありませんでした。ちょっと調べてみると、BFCは難燃剤としては有名な有害物であるPCBにとってかわり、幅広く使われているが、空気中や水系に汚染が広がりやすく、人体や鯨などにも蓄積されて障害を引き起こす可能性があるとのことです。(参考記事)
アップル、パナソニック、サムスン、シャープ、ソニー、東芝はすべてPVCと、BFRを含まない製品を製造すると宣言しているそうなので、環境問題に敏感な企業は、電化製品の製造においてなにが環境面で有害と広く認識されているのかを理解し、(この場合はPVCと難燃剤BFRの使用ですね)ゴールを設定して活動内容を公開するということをやっているわけです。
任天堂を擁護するブログの記者は
このような情報は直接企業の広報に問い合わせれば、喜んで色々と教えてくれるはずですが、先のグリーンピースはそんなことは一切行わず、ただWeb上に公開されている情報をだけを元にして、大々的に環境保護ランキングというものを公開しています と言っているわけですが、これは本当なのでしょうか?わたしもちょっとソニーなどのウェブをチェックしてみましたが、PVCやBFRの使用についての情報は、公開されているところからは見つけることはできませんでした。実際に昨年1位だったノキアの携帯の製造工場を訪問してチェックした結果今年のランキングを下げた、とウェブには書いてあります。またこの記者は任天堂が実際にグリーンピースが問題としているPVCとBFRをどの程度使用し、また使用を停止する目標があるかどうかについては一切触れていません。
おそらく任天堂にとって残念だったのは、2006年にはじまったこのランキングに、今年は自分たちが槍玉にあがるかもしれない、ということに全く気がつかなかったことなのでしょう。グリーンピースやり方は、話題に上っている有名企業を俎上に上げて、串刺しにすることで、一般の消費者に対して環境問題を喚起するという戦略ですから、今年はたまたま任天堂がいたぶりやすいターゲットになってしまった、という気がします。
このブログの記者が言うとおり、環境に関する努力は製造過程と製品の回収のみにとどまらず、企業の活動全般に対して評価が与えられるべきである、というのには私も同意します。ただ、グリーンピースのような戦闘的な団体の指摘のおかげで、無知だった私も臭素化難燃剤の有害性を学ぶことができた、、それを考えると、任天堂にはちょっと気の毒でしたが、やっぱりグリーンピースの存在意義も大きいのだなあと考えざるをえないのでした。
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テーマ:環境・資源・エネルギー - ジャンル:政治・経済
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