毎日新聞の勝間和代のクロストーク<の最近のテーマが「ネット選挙活動 解禁を」でありました。勝間さんも指摘するとおり、オバマが大統領になった大きな要因はネット上の選挙活動でオバマ陣営が大いに利するところがあったからだと思います。
我が家に毎月送られてくる「サンフランシスコ」誌の最新号もオバマを表紙に据え、ネットとオバマの勝利の関係について特集しています。「おれたちのせいだ:歴史の瞬間 ベイエリアのテクノロジー、独創性、義憤、キャッシュのおかげでオバマは大統領になった」(Blame on Us: Without Bay Area technology, ingenuity, righteous indignation Obama would not be President)
サンフランシスコからサンノゼにかけてのベイエリアは、シリコンバレーのテクノロジーとや資金、さらに資金調達のテクニック、スタンフォードやバークレーといった頭脳、全米でももっともリベラルな土地柄、そういった要素があわさってオバマ勝利につながった、というわけです。
この特集にはクレイグスリスト(英語圏でもっともポピュラーな掲示板サイト)の創設者、クレイグ・ニューマーク、デイリーコス Daily Kos (人気リベラルブログサイト)創設者のマーコス・ムリツァス、サロンドットコム(初のオンラインのみの総合誌)創設者のデイヴィッド・タルボット、ハフィントンポスト Huffington Post創設者ののアリアナ・ハフィントン、はたまたかのローレンス・レッシグといった面々がインタビューされています。インタビューに登場する42人のリストはこちら。
それで私が何を思うかというと、日本のネット言論はどうなんだろう、ということでありました。サロンやハフィントンポストに匹敵するようなサイトはあるのでしょうか。JanJanやOhMyNewsも内容的には素人的でつっこみが薄いように思います。もちろん「世に倦む日々」や「天木直人」ブログのように、毎日内容の濃いブログを発信して多数の読者を獲得しているサイトもありますが、コメントは受け付けておらず(嫌がらせを避けるためでしょうけど)寂しさが漂っています。
彼我の違いにはさまざまな要因があると思います。
まず、日本ではネットで匿名であることが標準になってしまい、匿名での無責任なコメントを招きやすくなってしまい、せっかくのネットがインタラクティブな場として十分に機能できていないこと。ここはわたしも考えるところがあり、実名公開でやっていこうかな、と考え中であります。
そして日本にはネット上に優秀な編集者がいないこと。これはたぶんネットマガジンを編集するだけで食べていける、というビジネスモデルができていないからなのでしょう。確かにサロンとか広告はほとんど載っていないようなのに、どうやって回しているんだろう、、というのは私も不思議に思ってしまいます。
そして三番目は若い皆さんが何をしているのかな、ということでした。アメリカの若者はMy Space, Facebook, Twitter,その他もろもろのSNSで高校生からして「ステューデントフォーオバマ」といったグループを使って活躍していたわけですが、ミクシーやプロフから政治的な意見を発する高校生や大学生はどのくらいいるのでしょうか。ただアメリカの場合は8年間の暗黒のブッシュ政権下で息苦しい子供時代をすごし、世代の近い若者が戦場で命を失ったり、傷ついて帰ってきたり、という重い現実があったことが、彼らを政治的に動かす要因になったのかもしれませんが。
勝間さんのいうネット上での選挙活動解禁はもちろんわたしの願うところであるのですが、(こちらから在外投票をしようとしているのでなおさらです)、その前にネットを民主主義の道具として使いこなす知恵を、市民の立場として身に着けていきたいのです。
広告主に影響されず、さりとてプロレベルの質の高い文章に接することのできる開かれた言論の場が日本語では不足していると思います。プロの編集者&見返りをあんまり期待しない投資家(なんているのかな)&読者の寄付でこういう場ができてほしい、とぜひ期待するところなのであります。
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