大分キヤノンへの申入書
拝啓
過日(12月4日)、私たちは、1,100人を超す人員削減に関し、東京のキヤノン本社に対して別紙の申入書を手渡しました。人員削減の規模は派遣・請負会社の情報を総合すると2,000人規模とも見られています。
この人員削減について、貴社らは報道機関に対し、「キヤノンは生産台数の削減を請負会社に指示したにとどまり、請負会社に人員削減を指示したことはない」「解雇は請負会社が決めたこと」などと表明しました。御手洗会長も8日の記者会見で動揺の趣旨をくりかえしています。
しかし、自ら原因をつくっておきながら何ひとつ責任をとらず、すべて派遣・請負業者に責任をなすりつけるのは見苦しい限りというほかありません。生産の見通しを誤ったのであれば、まず御手洗会長をはじめとする経営陣が率先して責任をとるべきなのに、経営陣が何もせずにツケを私たちに押しつけるのは納得がいきません。企業の社会的責任はどこにいったのでしょうか。
貴社らの行為は重大な人権侵害であると同時に、貴社らの対応には、厚労省が定めた請負業務のガイドラインに違反する以下の問題があります。
1.厚労省ガイドラインの違反の疑い
実際、人員削減の責任が自らに及ぶのを避けようとして、貴社らは、厚生労働省のガイドラインから逸脱した手法で減産を実行してきました。
厚生労働省が昨年(07年)6月、偽装請負が社会問題になったのを受けて定めた「製造業の請負事業の雇用管理の改善及び適正化の促進に取り組む発注者が講ずべき措置に関するガイドライン」は、「請負事業は、請負労働者の雇用に関して、請負事業者が発注者からの影響を受けやすい特徴があり、その雇用管理の改善及び適正化の促進……には、発注者の協力が必要である」としたうえで、「請負業務の急激な変動についても、請負労働者の雇用に影響が及ぶことも考えられることから、猶予期間をもって請負事業主に変動の見通しを明らかにすることや、事前に請負事業主と協議をすることが重要である」と強調しています。
そして、「発注者の責に帰すべき事由により請負契約の契約期間が満了する前に請負契約の解除を行おうとする場合には、他の請負業務や関連会社での請負業務等の受注の機会の提供を行うこととし、これができないときには……少なくとも30日前に請負事業主に対しその旨の予告を行うこと。当該予告を行わない発注者は、速やかに当該請負労働者の少なくとも30日分以上の賃金に相当する額について損害の賠償を行うこと」としています。
しかし、貴社らの減産指示は10月に入って唐突になされたもので、この点でまず厚労省ガイドライン違反の疑いがあります。そればかりか、中途解約に伴う損害賠償の責任を免れるために、今回の大幅減産が、まさにガイドラインが想定する通りの請負労働者の大量解雇に直結することを十分に知っているにもかかわらず、貴社らは、「これは請負契約の中途解約ではなくて減産指示にすぎない」という外見を装おうしてきたのです。悪質な脱法的手法をいわざるをえません。
2.労働局の「直接雇用を」の指導無視
また、貴社らは、派遣・請負労働者の大量解雇を引き起こしておきながら、他方で、ハローワーク、求人誌、自社のホームページなどで新規の期間工を募集しています。
12月4日、私たちがこの件で厚生労働省に対し緊急調査を申し入れたところ、厚労省からは、「10月の時点で、新規に期間工を募集しるなら、職を失う派遣・請負労働者を直接雇用するように大分労働局が指導していた」との回答を得ました。
しかし、貴社は、労働局のこの指導も無視しています。貴社が派遣・請負労働者に期間工募集の事実を明示したこともなければ、応募するよう働きかけた事実もありません。逆に、現在までに、期間工募集を知って応募した派遣・請負労働者のほとんどが書類選考で排除されています。
これまた、前出の厚労省ガイドラインに明確に違反した行為です。
3.いうまでもなく、派遣・請負労働者の大半は大分県外から働きに来ていて、寮に住んでいます。解雇されれば寮からめ退出を求められるので、この年の瀬に住まいまで失うという、まさに生存権を脅かされた事態に直面しています。
彼らはまじめに働き、貴社の業績向上を現場から支えた一員です。下記の通り申し入れますので、この危機的現状を一刻も早く打開するために協力してください。
(1)新たな「期間社員」の募集について
大量の派遣・請負労働者の契約解除の一方で、多数の期間社員を新規に募集する理由を説明してください。さらに、これら新規の期間社員が行う業務とこれまでの派遣・請負社員の行ってきた業務との間に差異があるのか否か、期間社員に期待する業務遂行能力と派遣・請負社員のそれとの間に決定的な違いがあるのか否かについても説明してください。
(2)派遣・請負社員の優先的採用について
これまで大分キヤノンで働いてきた派遣・請負社員のうち、希望する者については、貴社らが新規募集する期間社員として優先的に採用してください。
(3)解雇される派遣・請負労働者に対し、30日分以上の平均賃金を保障してください。
(4)住まいを失う派遣・請負労働者に対し、次の仕事が見つかるまでのあいだ、貴社の期間工用の寮を一時的に提供してください。
敬具
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2008年12月11日 佐々木希 ヤンキー画像 動画
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