【7/26】秋葉原事件から派遣労働の現実を考える集会
~孤独と絶望を共に乗り切るために~
7月26日で、秋葉原事件から49日になります。
事件の後、社会的背景として派遣労働が取り上げられ、派遣法改正に向けた動きが
高まる、グッドウィルは廃業するなど、状況は改善の方向へ向いていっているかのよ
うです。しかし、その影ではあの事件が深く捉えられることもないままに、時ばかり
が過ぎ去っていくかのようです。
そこで、私たちは49日という節目の日に、かけがえのない命を奪われた7人を悼
むと共に、加藤容疑者をあそこまで追い詰めた社会的背景に改めて迫り、あのような
事件を再び起こさせないために私たちに何が出来るのか、皆で考えるための集まりを
持つことにしました。
みなさん、ぜひご参加ください。よろしくお願いします。
日時:7月26日(土)18:30~(開場18:15)
場所:万世橋区民会館(千代田区外神田1-1-11、JR秋葉原駅電気街口から徒歩3分)
パネルディスカッション:雨宮処凛さん(作家)
月乃光司さん(作家、詩人、こわれ者の祭典)
本田由紀さん(社会学者)
今野晴貴(NPO法人POSSE代表)
司会:池田一慶(ガテン系連帯)
詩の朗読:月乃光司さん
※有志で集会の前に献花台に花を供えに行きたいと思います。ご希望の方は下記連絡
先までご連絡下さい。
共催:NPO法人POSSE(http://www.npoposse.jp)
NPOガテン系連帯(http://www.gatenkeirentai.net/)
連絡先(ガテン系連帯):千代田区岩本町3-6-5木所ビル3F
tel 03-3861-6210 e-mail [email protected]
昨日で秋葉原事件から1ヶ月です。
昨日は秋葉原事件から1ヶ月の日でした。
今日私たちは、NPO POSSEの仲間たちと共に秋葉原事件の現場となった交差点に設けられている献花台に花を供えてきました。
昨日が1ヶ月ということでまた新聞や雑誌で秋葉原事件が取り上げられていますが、あの事件の犠牲となった七人の命が戻ることは決してありません。そしてその家族や友人の心は決して癒えることのない取り返しのつかない傷を負いました。
こういってしまえば、何ともあっけないものですが、七人にも、その家族や友人の方々にも具体的な顔と名前があり、それぞれの人生があります。
昨日は献花台で七人の犠牲者を悼み、悲惨なこの事件に巻き込まれてしまった数多くの人たちにそれぞれ想いを馳せました。
これから私たちはこの事件の背景にある派遣労働の問題をさらに強く追求していきます。しかしこの想いを決して忘れません。だからこそ執念深く活動を続けていきたいと思います。
21日にはNPO POSSEが秋葉原事件のイベントを開催し、ガテン系連帯の池田もパネラーとして参加します。
秋葉原事件49日にあたる7月26日(土)にはガテン系連帯が追悼集会を予定しています。
詳細について後ほどお知らせします。
みなさんもそれぞれの想いを胸に、この事件と向き合い、私たちの取り組みにもご協力くださることを切に願います。
明日(7/2)、厚生労働省へ申し入れを行ないます。
過日(6/20)、私たちは関東自動車工業に申し入れを行い、同社の派遣社員大量解雇について説明を求めましたが、残念ながら現在まで回答はありません。
こうした派遣先の無責任な派遣社員使い捨てをこのまま許す訳にはいきません。
そこで私たちは、以下の通り、厚労省に申し入れを行います。
関東自動車工業のような派遣社員使い捨てを規制するために厚労省はどんな対策をとっているか、派遣社員の雇用安定を派遣先(自動車、電機などの製造メーカー)に求めた厚労省の告示がどの程度履行されているのか、などを質したいと考えています。
取材をご希望の方は、あらかじめお名前、所属、連絡先をinfo@gatnekeirentaiまでご連絡下されば幸いです。
記
日時 7月2日(水)17:00~
集合 厚労省1Fロビー
以下、厚生労働省宛に提出した申し入れ書です。
2008年6月27日
厚生労働省
大臣 舛 添 要 一 様
ガテン系連帯
共同代表 木 下 武 男
同 池 田 一 慶
全日本建設運輸連帯労働組合
中央執行委員長 長谷川武久
労働組合日研総業ユニオン
執行委員長 和 田 義 光
申 入 書
拝啓 貴職の日頃のご活動に経緯を表します。
私たちは、派遣労働者の支援活動にとりくむNPO、及び派遣会社日研総業の派遣社員でつくる労働組合です。
今月8日おきた秋葉原通り魔事件の背景には、労働者派遣の自由化が生み出した、人間の「使い捨て」構造があると私たちは考えています。
ご承知の通り、事件をおこした加藤智大容疑者は、昨年11月から日研総業から関東自動車工業東富士工場に派遣され、塗装工程で働いていました。加藤容疑者の派遣契約は今年4月から来年3月までの1年間でしたが、今年5月26日、関東自動車工業が派遣契約の6月末での中途解約を派遣会社4社にいっせいに通知しました。このため、当初はおよそ200人の派遣社員全員がいっせいに仕事を失うことになり、加藤容疑者もその中に含まれていたことが犯行の重要な動機となっているとみられているからです。
正社員ならば、労働基準法の解雇規制条項や整理解雇の四要件などの判例法理があって、これほど簡単には大量解雇できないのに、派遣社員というだけの理由で、道具以下の扱いで使い捨てられる。派遣労働がもつ、その残酷極まりない「使い捨て」構造の本質が、秋葉原事件では鮮明になったというべきです。
そして、この「使い捨て」構造が日本の主要な自動車、電機など大企業の製造現場にまん延している現状を考えると、ふたつの点で事態は深刻です。
第1に、過去5カ年間、最高益を更新し続けた大企業は、サブプライムローン問題をきっかけにした資源・原油高、北米景気の急激な冷え込み、そして国内景気の減速といった情勢の下で、トヨタグループを筆頭にいっせいに減産に踏み切る模様ですが、その中で、大量の派遣社員が今後次々に切り捨てられる可能性が高い、という点です。関東自動車工業の派遣社員大量切り捨ては、一企業の例外的事例にとどまらず、これから始まる派遣社員切り捨ての大津波という事態の、奇しくも先鞭をつけたケースととらえるべきではないでしょうか。
第2に、派遣社員の雇用を保護する規制措置が、現行の労働者派遣法の体系の中には全く存在していないことが、今回の事例を通じて明確になったという点です。製造派遣の解禁から現在までは、多くの製造メーカーが偽装請負を派遣に切り替えたこともあって、派遣社員は引く手数多でした。だから、派遣先都合による大量の中途解約がおきた場合、現行の派遣法体系が派遣社員の雇用安定に役立つのかどうか、客観的に検証されたことはこれまでなかったといえるかもしれません。しかし、今回の関東自動車の経緯をみると、派遣先が講ずるべき派遣労働者の雇用安定のための措置、とくに、派遣先の都合による派遣契約の中途解約がおきた場合、派遣先指針が派遣先に求めている「就業機会の確保措置」などは、実際は全くの画に描いた餅にすぎないことが明らかになりました。この程度の保護措置のままでは、派遣先メーカーは、派遣社員の雇用と人権など配慮する必要なしに、大量解雇をいつでも簡単に実行できるという理不尽な事態を招くことになりかねません。
貴職は過日、臨時国会に派遣法改正案を提出するとのお考えを表明されましたが、その法改正においては今回の事件の教訓が十分反映されることを期待します。しかし、法改正を待たずとも講ずることのできる施策がたくさんあるはずです。その点で、以下の通り、緊急に対策を講じて下さるよう要請します。
記
1.いわゆる派遣先指針(平成15年厚労省告示第449号「派遣先が講ずべき措置に関する指 針」)は、派遣先の都合で派遣契約を中途解約する場合、派遣先が自社の関連会社での就業あ っせんを行うなどして派遣社員の雇用安定に努めるよう求めています。
(1)今回の事件の舞台となった関東自動車工業では、この派遣先指針の定めに基づく就業機会 の確保措置は、どのように実施されたのか調査して下さい。
(2)製造派遣が解禁されてから現在までに、20人以上の派遣社員を中途解約した事例がどの 程度あるか、また、その場合、派遣先指針の雇用安定措置がどの程度なされてきたか、を至 急に調査して下さい。
(3)日本経団連加盟の主要製造メーカーに対し、派遣先指針の趣旨を再度徹底する措置を緊急 に講じて下さい。
2.今後、製造メーカーによる派遣社員の大量解雇が続発するおそれがあるので、厚労省が主催 する「今後の労働者派遣制度のあり方に関する研究会」で至急検討し、来るべき法改正におい ては、派遣先の中途解約に伴う派遣労働者の雇用安定措置を抜本的に見直し、派遣先の雇用責 任を明確にして下さい。
敬具
*参考
「派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣労働者の責に帰すべき事由以外 の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合には、当該派遣先の関連会社での就業をあっせんする等により、当該派遣契約に係る派遣労働者の新たな就業機会の確保を図 ること。」(平成15年厚労省告示第449号「派遣先が講ずべき措置に関する指針」)
こうした派遣先の無責任な派遣社員使い捨てをこのまま許す訳にはいきません。
そこで私たちは、以下の通り、厚労省に申し入れを行います。
関東自動車工業のような派遣社員使い捨てを規制するために厚労省はどんな対策をとっているか、派遣社員の雇用安定を派遣先(自動車、電機などの製造メーカー)に求めた厚労省の告示がどの程度履行されているのか、などを質したいと考えています。
取材をご希望の方は、あらかじめお名前、所属、連絡先をinfo@gatnekeirentaiまでご連絡下されば幸いです。
日時 7月2日(水)17:00~
集合 厚労省1Fロビー
以下、厚生労働省宛に提出した申し入れ書です。
2008年6月27日
厚生労働省
大臣 舛 添 要 一 様
ガテン系連帯
共同代表 木 下 武 男
同 池 田 一 慶
全日本建設運輸連帯労働組合
中央執行委員長 長谷川武久
労働組合日研総業ユニオン
執行委員長 和 田 義 光
拝啓 貴職の日頃のご活動に経緯を表します。
私たちは、派遣労働者の支援活動にとりくむNPO、及び派遣会社日研総業の派遣社員でつくる労働組合です。
今月8日おきた秋葉原通り魔事件の背景には、労働者派遣の自由化が生み出した、人間の「使い捨て」構造があると私たちは考えています。
ご承知の通り、事件をおこした加藤智大容疑者は、昨年11月から日研総業から関東自動車工業東富士工場に派遣され、塗装工程で働いていました。加藤容疑者の派遣契約は今年4月から来年3月までの1年間でしたが、今年5月26日、関東自動車工業が派遣契約の6月末での中途解約を派遣会社4社にいっせいに通知しました。このため、当初はおよそ200人の派遣社員全員がいっせいに仕事を失うことになり、加藤容疑者もその中に含まれていたことが犯行の重要な動機となっているとみられているからです。
正社員ならば、労働基準法の解雇規制条項や整理解雇の四要件などの判例法理があって、これほど簡単には大量解雇できないのに、派遣社員というだけの理由で、道具以下の扱いで使い捨てられる。派遣労働がもつ、その残酷極まりない「使い捨て」構造の本質が、秋葉原事件では鮮明になったというべきです。
そして、この「使い捨て」構造が日本の主要な自動車、電機など大企業の製造現場にまん延している現状を考えると、ふたつの点で事態は深刻です。
第1に、過去5カ年間、最高益を更新し続けた大企業は、サブプライムローン問題をきっかけにした資源・原油高、北米景気の急激な冷え込み、そして国内景気の減速といった情勢の下で、トヨタグループを筆頭にいっせいに減産に踏み切る模様ですが、その中で、大量の派遣社員が今後次々に切り捨てられる可能性が高い、という点です。関東自動車工業の派遣社員大量切り捨ては、一企業の例外的事例にとどまらず、これから始まる派遣社員切り捨ての大津波という事態の、奇しくも先鞭をつけたケースととらえるべきではないでしょうか。
第2に、派遣社員の雇用を保護する規制措置が、現行の労働者派遣法の体系の中には全く存在していないことが、今回の事例を通じて明確になったという点です。製造派遣の解禁から現在までは、多くの製造メーカーが偽装請負を派遣に切り替えたこともあって、派遣社員は引く手数多でした。だから、派遣先都合による大量の中途解約がおきた場合、現行の派遣法体系が派遣社員の雇用安定に役立つのかどうか、客観的に検証されたことはこれまでなかったといえるかもしれません。しかし、今回の関東自動車の経緯をみると、派遣先が講ずるべき派遣労働者の雇用安定のための措置、とくに、派遣先の都合による派遣契約の中途解約がおきた場合、派遣先指針が派遣先に求めている「就業機会の確保措置」などは、実際は全くの画に描いた餅にすぎないことが明らかになりました。この程度の保護措置のままでは、派遣先メーカーは、派遣社員の雇用と人権など配慮する必要なしに、大量解雇をいつでも簡単に実行できるという理不尽な事態を招くことになりかねません。
貴職は過日、臨時国会に派遣法改正案を提出するとのお考えを表明されましたが、その法改正においては今回の事件の教訓が十分反映されることを期待します。しかし、法改正を待たずとも講ずることのできる施策がたくさんあるはずです。その点で、以下の通り、緊急に対策を講じて下さるよう要請します。
記
1.いわゆる派遣先指針(平成15年厚労省告示第449号「派遣先が講ずべき措置に関する指 針」)は、派遣先の都合で派遣契約を中途解約する場合、派遣先が自社の関連会社での就業あ っせんを行うなどして派遣社員の雇用安定に努めるよう求めています。
(1)今回の事件の舞台となった関東自動車工業では、この派遣先指針の定めに基づく就業機会 の確保措置は、どのように実施されたのか調査して下さい。
(2)製造派遣が解禁されてから現在までに、20人以上の派遣社員を中途解約した事例がどの 程度あるか、また、その場合、派遣先指針の雇用安定措置がどの程度なされてきたか、を至 急に調査して下さい。
(3)日本経団連加盟の主要製造メーカーに対し、派遣先指針の趣旨を再度徹底する措置を緊急 に講じて下さい。
2.今後、製造メーカーによる派遣社員の大量解雇が続発するおそれがあるので、厚労省が主催 する「今後の労働者派遣制度のあり方に関する研究会」で至急検討し、来るべき法改正におい ては、派遣先の中途解約に伴う派遣労働者の雇用安定措置を抜本的に見直し、派遣先の雇用責 任を明確にして下さい。
敬具
*参考
「派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣労働者の責に帰すべき事由以外 の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合には、当該派遣先の関連会社での就業をあっせんする等により、当該派遣契約に係る派遣労働者の新たな就業機会の確保を図 ること。」(平成15年厚労省告示第449号「派遣先が講ずべき措置に関する指針」)
週刊金曜日2008.6.25号
本日発売の週刊金曜日2008.6.25号で、秋葉原事件に関連したガテン系連帯の取組が紹介されています。
是非お読み下さい!
<関連目次>
■「金曜アンテナ」p7.
秋葉原事件と派遣の問題を考える「ガテン系連帯」懇談会(永尾俊彦)
■「秋葉原無差別殺人事件 」p21~
「派遣」は犯罪予備軍ではない(藤田和恵)
派遣先自動車工場での容疑者の日常(横田一)
ガテン系連帯事務局長に聞く・トヨタ式「人を使い捨てる派遣労働」
関東自動車申し入れの様子。
ユニオンチューブに関東自動車申し入れ時の動画を載せていただきました。
ありがとうございました。
どうぞご覧ください。
――――――――――――――――――――――
●ガテン系連帯、秋葉原事件で関東自動車工業へ申し入れ 4分44秒 撮影=ガテン系連帯
ガテン系連帯と日研総業ユニオンは、6月20日、秋葉原事件で関東自動車工業へ申入れを行なった。事件の背景となった「派遣契約の中途解約」(解雇)の
経緯について説明を求めた。
↓ユニオンチューブ
http://video.labornetjp.org/Members/akira/videos/mousiire.wmv/view
↓YouTube
http://jp.youtube.com/watch?v=Meo99aF_M2w
ありがとうございました。
どうぞご覧ください。
――――――――――――――――――――――
●ガテン系連帯、秋葉原事件で関東自動車工業へ申し入れ 4分44秒 撮影=ガテン系連帯
ガテン系連帯と日研総業ユニオンは、6月20日、秋葉原事件で関東自動車工業へ申入れを行なった。事件の背景となった「派遣契約の中途解約」(解雇)の
経緯について説明を求めた。
↓ユニオンチューブ
http://video.labornetjp.org/Members/akira/videos/mousiire.wmv/view
↓YouTube
http://jp.youtube.com/watch?v=Meo99aF_M2w
6/18秋葉原事件/派遣労働懇談会の動画
関東自動車へ申し入れに行きました。
ガテン系連帯と日研総業ユニオンは、本日、関東自動車・東富士総合センター(静岡県裾野市)を訪れ、申し入れを行いました(申入事項については、申入書をお読み下さい)。
関東自動車、本社・情報センターの総務・渉外部 庶務・広報室の徳原秀紀主任担当員、宮下繁主任担当員が私たちを応接議室へ案内し、対応してくださいました。一言目から「申入書は受け取ることが出来ない、決まりでどこからも受け取ってはいけないことになっている」と、受取を拒否しました。申入書には手すら触れようとしませんでしたが、テーブルの上に置いた申入書の文面は目で読んでいました。
私たちは今回の申し入れの趣旨を口頭で説明し、「私たちと共にいる派遣社員も皆が注目している。ぜひとも関東自動車が説明をする機会をつくってほしい」と依頼しました。
それでも関東自動車の徳原主任担当官は「この申入書は、ここに置いて行かれるということで良いですね」などど、くり返しました。
私たちは「そんなつまらないことは言うのはやめて頂きたい、とにかく私たちは期待して待っている」と詳しい説明をした上で会議室を出ました。
関東自動車がこのような対応をとったことはとても残念なことです。
関東自動車は、これまで自分たちは何一つ間違ったことをしていない、との態度を続けてきています。しかし200人もの派遣社員を一括解約してしまうのは、極めて乱暴なこととはいえないでしょうか。
自分たちは無関係だと開き直るのではなく、関東自動車は、今回の整理解雇の経緯についてしっかり説明し、間違っていた点については率直に認め、今後にいかしていくことこそ必要なのではないでしょうか。
以下、申入書です。
2008年6月20日
関東自動車工業株式会社
代表取締役 服 部 哲 夫 様
ガテン系連帯
共同代表 木 下 武 男
同 池 田 一 慶
労働組合日研総業ユニオン
執行委員長 和 田 義 光
拝啓 貴社のご清栄の段お慶び申し上げます。
私たちは、派遣労働者の支援活動にとりくむNPO、及び派遣会社日研総業の派遣社員でつくる労働組合です。
今月8日おきた秋葉原通り魔事件に関して貴社の見解をお伺いしたく以下の通り申し入れます。
1.事件を起こした加藤智大容疑者は、昨年11月から日研総業から貴社東富士工場に派遣され、塗装工程で働いていたと聞いています。加藤容疑者の派遣契約は今年4月から来年3月までの1年間でした。
しかし、今年5月26日、貴社が派遣契約の6月末での中途解約を派遣会社4社に通知し、当初は全ての派遣労働者が解約対象となっていて、加藤容疑者もその中に含まれていたことが犯行の重要な動機となっているとみられています。
ところで、派遣社員にとっては中途解約は解雇と同じ意味を持つので、中途解約が濫用されると派遣社員は常に雇用不安にさらされ、人間的な最低限の生活条件を確保することすら難しくなります。
そこで、ご承知の通り、派遣社員の雇用安定を図るために、厚労省はいわゆる派遣先指針を定め、派遣先に対し、つまり貴社のように派遣社員を受け入れる製造メーカーに対し、派遣契約を中途解約する場合は、次のように、派遣先が関連会社などで就業機会の確保措置をとるよう求めています。
「派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合には、当該派遣先の関連会社での就業をあっせんする等により、当該労働者派遣契約に係る派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること。」
(平成15年厚労省告示第449号「派遣先が講ずべき措置に関する指針」)
しかし、私たちの知る限り、今回の中途解約にあたって、貴社がこの厚労省指針に基づく雇用確保措置をとった形跡はなく、派遣社員がうける打撃を貴社がどのように緩和しようとしたのか、私たちは疑問を抱いています。
2.そこで、以下の通りおたずねしますので、事実関係について説明して下さるようお願い致します。
(1)1年間の派遣契約をわずか2カ月で、しかも、実質的に全員一括で中途解約するほどの措置を決めたのはなぜでしょうか。経緯について説明して下さい。
(2)厚労省の派遣先指針が定める、中途解約に伴う就業機会の確保措置をどのように実施したのか説明して下さい。
(3)今後ふたたび派遣社員を受け入れる場合、今回の事件を教訓として、派遣社員に人間らしい生活条件を確保するための改善措置を検討していただけないでしょうか?
以上、ご多忙のところ恐縮ですが、私たちの質問に対して説明する機会を設けて下さるよう重ねてお願い致します。
敬具